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サトシ先生は美しき十代の乙女に手を出さない  作者: 白神ブナ
第一章 一年一学期

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第27話 BL文庫発覚

 期末テストの全日程が終わった。


「期末テストは終わりましたが、まだ休みではありませんよ。これから、テスト結果によって赤点をになった生徒は補修を受けること。補修を受けないと、成績表をつけられませんからね。

そして、明日から普通授業になるから、今日は早く家に帰って、テストの自己採点をすること。以上です」



一年A組のホームルームを終えて、サトシは教室を出た。

廊下を歩くと、生徒たちのひそひそ話が耳に入って来た。


「ねえ、聞いた? 今日2Bの教室で工藤先生とサトシ先生がそっと寄り添ってから、テスト監督を交代したんですって」


「きゃー、何それー素敵。そのシーン見たかった」


「だれか写真に撮ってないの?」


「テスト中よ。写真を撮れるはずないでしょ」


「やっぱりね。あの二人には付き合ってほしいわ」


「付き合っているんでしょ、もう」


サトシはこんな噂話にも、耐性が出来ていた。


(早っ、もう腐女子が湧いている。どうしたものかな。どうもできないか。放っておけばそのうち冷めるだろう)




 腐女子が湧いている廊下を通り過ぎ、サトシが職員室のドアを開けて中に入ると、何故か重苦しい空気が流れていた。


(どうしたのだろう。まさか、また先生たちまで俺と工藤のことを誤解しているんじゃないだろうな)


サトシは、体育の大山先生に恐る恐る聞いてみた。


「どうかしたんですか。なんだか空気が重いようですが」


「教頭先生が、ついに動いたんです」


「動いたって何がです?」


「BL事件ですよ」


「え? わたしは違いますよ。生徒たちが勝手に……」


「安心してください。サトシ先生のことじゃありませんから。実はですね、教頭が抜き打ちで持ち物検査をしていて、見つけてしまったんですよ」


「見つけたって何をです」


「大量のBLコミックっていうんですかね。二年B組の教室から」


二年B組といえば、サトシが工藤とテスト監督を交代したクラスだ。


「ええ?! 教室で、ですか? しかも、大量って一人の生徒の持ち物から?」


「それが、クラス数人でロッカーを独占して、BL文庫と呼んでクラスじゅうに貸し出ししていたそうですよ。今、担任の赤川先生が校長室に呼ばれている」


赤川先生は社会科の女の先生だ。職員室でも腐女子系に入る先生だった。

先生はともかく、クラス全体でBLコミックが流行っていたとなれば、これは問題だ。

二年B組がそこまで染まっていたとは知らずに、サトシは工藤と接近してしまった。

それを目撃した生徒たちは、さぞ喜んでいたことだろう。

生徒たちが流した変な噂が広まるのが早かったことも納得できる。


「赤川先生、大丈夫ですかね」


「かなり、取り乱していました。自分のクラスからそんなものを大量に見つかったとなれば、冷静ではいられないでしょう」


「男子なら、エロ本没収とかよく聞きますけどね」


「女子校では、たまにあるんですよ。なぜか、成績が良くてお嬢様系の生徒が集まるクラスは、腐女子率が高いんです」


「そうなんですか? それは謎ですね」


「まあ、サトシ先生は病み上がりですし、早く帰った方がいいですよ。大丈夫です。BL系の保護者対応マニュアルがありますから、先生たちも慣れていますよ」


「そんなマニュアルがあるんですか」


「慣れちゃいけないけれど、よくあることなんで」


まあ、これで問題が明るみに出たことで、サトシと工藤の関係を誤解した噂も自然消滅することだろう。

サトシはそう前向きにとらえて、お言葉に甘えて定時で退勤することにした。





定時で退勤して家に帰って来ても、工藤から子供が生まれたという連絡はなかった。


(もしかして、難産なのか)


サトシは心配になって、工藤の携帯に電話してみた。



「あ、サトシだが、どうした? 大丈夫か? え? まだ生まれそうにないって? だけど、電話ではかなり苦しそうだったぞ。……うん、……うん……、へぇー、初産だと時間がかかるものなんだ。お前が倒れたら大変だぞ。適度に休憩してろよ。あ、そうか。男は休憩しているしかないのか。ハハハハハ。とにかく、何かあったらすぐ連絡してくれ」


サトシは台所で洗い物をしてながら、空のお弁当箱が置きっぱなしになっていることに気が付いた。

学校を休んだ日に桜井美柑が持ってきた、あのお弁当箱だ。


(ああ、これを返さなきゃいけないなぁ。でも、学校で返してるところを他の生徒が見て誤解されてもなぁ)


そんなことを考えながら、空のお弁当箱を丁寧に風呂敷に包んだ。

そのあとサトシは、買い物に出かけようと思って家を出た。

そして、スーパーまでの道のりを、ずっと考え事をしながら歩いた。

今日の桜井の様子を思い出したのだ。

サトシと目が合った瞬間に、桜井は視線をそらしたこと。


(俺、何か悪い事でもしたっけかな。昨日は従妹の友梨奈が桜井のお弁当を受け取った。

それがいけないのかな。まさか、友梨奈と俺の関係を誤解しているとか。いやいや、それはない。年の差がありすぎる。ってか、桜井は友梨奈と同じ年齢か。

じゃあ、やっぱり何か誤解しているのか?)


たとえ誤解されていたとしても、サトシと桜井とは先生と生徒の関係でしかないわけだから、誤解されてどうこう心配する理由は無い。

それでも、なぜか気にしているサトシだった。


(そういえば、工藤が言ってたな。

例えば、ある女の先生と何も関係ないのに、付き合っていると噂された場合、何もないのなら今まで通りの対応できる。けれども、実際に付き合ったとたんに、学校では急に素っ気なくするとか。

桜井が視線をそらした理由はそれと同じかも。いや、そもそも付き合っていないのに、同じ理由なはずがない。それは同じではない)


そんなことを、ずーーと考えながら歩いていたら、とっくにスーパーを通り過ぎていた。


(あれ、考え事をしていたら、桜井のアパートまで来てしまった。俺は何をやっているんだろう。そうだ、桜井のお弁当箱を持ったからいけないんだ)


サトシはここまで来たのだし、ついでだからお弁当箱を返そうと桜井のアパートを訪ねることにした。




いかがでしたでしょうか。


「面白い! サトシ先生が気になる」

「この続きはどうなるの? この先の美柑を読みたい!」

「サトシ先生、更新したら通知が欲しいです!」

「先生、応援の仕方を教えてください」


「では、先生から応援する方法を教えましょう。

面白いなぁと思った生徒は、こんな方法があるからよく聞くように。

ブックマークや、『☆』を『★★★★★』に評価して下さると作者のモチベーションアップに繋がります。はい、ここ重要ですからね。テストに出まーす!わかりましたかー?」


「はーい」


「よろしく頼みますよ、みなさん」




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