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サトシ先生は美しき十代の乙女に手を出さない  作者: 白神ブナ
第一章 一年一学期

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第23話 サトシ先生を守れ

 失神したあとサトシは発熱した。


殴られたせいで熱が出たのではなく、慣れない環境で久しぶりに教師に戻ったことによる過労だと思われる。


急遽、教務主任の五十嵐先生がサトシの代わりに一年A組の帰りのHRを引き受けた。


「サトシ先生は、ちょっと教室に来られないので、わたしが代わりにHRをしまーす」


教室内がざわついた。


「サトシ先生が教室に来られないって、どういうこと?」


「何か問題発生?」


サトシが来ない理由をはっきりさせないことを、桃瀬と柚木は不思議に思った。

それを聞いた桜井は、だんだんサトシ先生のことが心配になってきた。


「嫌だわ、問題発生って何よ。そんな言い方やめてよね、柚木くん」


「美柑、ごめん、ごめん。ここは夏梅、あなたの出番よ。五十嵐に聞いてみてよ」


あなたの出番と言われた夏梅は、頼られたようで嬉しかった。

さっそく夏梅は、教室のざわつきを止めるために、五十嵐先生に質問した。


「先生、サトシ先生が教室に来られないとは、どういう意味ですか?」


「心配しなくて大丈夫。ちょっと、体調不良で保健室で休んでいるだけだ。たいしたことはないから、大騒ぎするんじゃないぞ。言っとくが、保健室を覗きに行かないように。いいか? 静かに休ませてやってほしい。ちなみに、保健室前には、他の先生を立たせて監視させているから、お前らが行こうとしても無駄だからな」


「ひぇー、先手撃たれた」


「まるで芸能人扱いじゃん」


「はい、はい、おしゃべりはここまでだ。残りのテスト日程、しっかりと取り組むように。こんな時期に、寄り道して帰る奴がいたら、速攻で生徒指導室に呼ぶからな」


桜井美柑がサトシのことを心配にならないはずがない。


「先生、大丈夫かなぁ。保健室、行ったら怒られかなぁ」


「美柑、聞いてたでしょ? 保健室前には見張りを立てているって」


「柚木くん、美柑はそれであきらめると思う? 行こうよ、保健室。わたしたち追っかけ隊でしょ」


「ハルちゃんったら、頼もしい。ありがとね」


「ハルちゃんは、好奇心旺盛なだけだと思うよ」





 保健室前では、教務主任の命令で体育の大山先生が見張っていた。

生徒たちが、サトシを心配して保健室に入らないためだ。


「ほらー、テスト期間中だぞー。部活もないんだから早く帰って、テスト勉強しろー」


ときどき、保健室前を通る生徒たちに声掛けしている。


「大山先生、わたしたちは担任のサトシ先生の具合が心配で、勉強が手につきません」


桜井たちは意を決して、保健室前に来ていた。


「ダメダメ、誰も通すなと五十嵐先生からきつく言われているんだ。さあさ、帰った、帰った! 帰ったらテスト勉強するんだぞ」





 保健室の中では、

ベッドの中で頬の痛みと熱にうなされているサトシが寝ていた。


(いま、桜井の声が聞こえた気がしたが……)


「サトシ先生、痛みますか?」


女性の保健室の先生はサトシの顔を覗き込んで言った。


「すみません。もう大丈夫です。今すぐに保健室を出ます」


「そうですね。ここは生徒さんのため保健室ですから、先生が運ばれてくることはありませんからね」


「申し訳ありません」


サトシは、ベッドから起き上がろうとしたが、熱のためにふらついた。

思わず、保健室の先生の肩に寄りかかる。


「うわっ、すみません……そんなつもりはないんです」


「どんなつもりなんです? 別にわたしは構いませんよ。サトシ先生……」


「いや、よくないですよ。ここは生徒の為の保健室って、今おっしゃったじゃありませんか」


「あら、もしかしてあの噂は本当だったんですか? 女には興味ないという……」


「そうじゃありません。生徒たちが心配なんです。今から教室へ……」


「ホームルームなら、教務が代わりにやってくれましたよ」


「それは申し訳ない。では、早く職員室に戻らなければ……」


「それも無理です。生徒たちが下校するまでは、保健室の前で大山先生が立って見張ってらっしゃいますから」


「え、そんなに厳重に?」


「ええ、そうですよ。ですから、無理せずにベッドでおとなしく寝ていてください。大丈夫です。わたし、サトシ先生を襲ったりしませんから。ちょっとからかってみただけです」


サトシは保健室の先生にからかわれたことよりも、生徒たちが近づかないように厳戒態勢になっていることに驚いた。

保健室の先生は、保健室のドアを半分開けて、大山先生を呼んだ。


「生徒たちはもう帰ったでしょうか。サトシ先生が職員室に戻ると言っているんですけど」


「サトシ先生は、大丈夫そうですか?」


「顔が腫れあがって、熱が38度ありますね」


「それは、どうなんですかね。わたしが一緒に付いて行って、教頭先生に早退願いしましょうか」


「それがいいと思います」


サトシは大山先生に支えられて保健室を出た。

大山先生は教頭を探したが、今日は外出先から戻られないとのことだった。

やむを得ず、二人で校長室を訪ねることにした。

校長は、サトシの腫れあがった顔を見て驚いた。


「おやおや、サトシ先生! 大丈夫なんですか。職員室で運動していて怪我をしたんだって? 話は五十嵐先生から聞きましたよ。熱があるのなら無理をしないで、早く帰りなさい。誰かに自宅まで送ってもらうことはできないのかね」


「校長先生、わたしは車で来ていますから、送って行きます」


「そうですか。それじゃあ、大山先生に頼みましょう。サトシ先生は、あとの業務なんて、気にしなくていいですから、早く家に帰って休みなさい」


「まさか、そんなわけには……、採点もしなくちゃいけませんし」


「採点くらい、他の先生がやってくれますよ。ねえ、大山先生、やってくれそうな先生いますよね」


大山先生は、同じ英語科で採点してくれそうな先生といったら、工藤しか思いつかなかった。

果たして、喧嘩した相手が、引き受けてくれるのか不安である。


「ええ、なんとかなるんじゃないですか。サトシ先生、帰りましょう。わたしが自宅まで送って行きます。わたしの車までは、歩いてもらっていいですか?」


「じゃあ、サトシ先生の荷物はわたしが職員室から持っていきましょう」


「校長先生が、そんな……」


「いいから、任せなさい。たまには人に頼ることも必要ですよ、サトシ先生」


こうして、サトシは半強制的に早退することになった。




 大山先生の車に乗せられ、サトシはずっと謝っていた。


「もう、サトシ先生。すみませんは、無しですからね。そんなことより、先生の家って学校の近くだったんですね。この一軒家にお一人で?」


「賃貸です。時々、姉が来てくれて食料なんかを置いていくんですよ」


「それじゃ、そのお姉さんに連絡したほうがいいですよ。わたしから電話しましょうか?」


「いいえ、自分で電話します」


「大丈夫ですか? 本当に連絡してくださいよ」


サトシは、「大丈夫、大丈夫です」と言いながら、大山先生に体を支えてもらいながら玄関の鍵を開けた。

フラフラしながら、玄関をあがって部屋へと向かうサトシを見て、大山先生は心配でしょうがなかった。


「ったく、黙っちゃおられん! ほら、寝室はどこですか?」


大山先生はサトシの家の中に入って、サトシの体を支えながら寝室まで運んでベッドに寝かせた。

そして、サトシの携帯電話を上着のポケットから取り出した。


「ご実家にいるんですか? お姉さんは。わたしから電話するから、携帯借りますよ」


「大丈夫です」


「ほら、ロック画面を解除して!」


大山先生は、サトシの携帯で実家に電話して、サトシが家で熱を出して寝ていることを伝えると、学校へと戻って行った。





 大山先生が、職員室に戻って来ると、職員室には工藤と教務主任が残っていた。


「大山先生、お疲れ様でした。どうですか、サトシ先生は」


「とりあえず、ご自宅のベッドに寝かせて、ご家族に連絡してきました。今頃、ご家族の方がサトシ先生の家に来てくれているはずです」


「そうですか。それなら、ひとまず安心しました」


工藤は、ずっと無言で期末テストの採点をしていた。

大山先生が、チラッと工藤の机の解答用紙を覗いてみると、採点しているのはサトシが作った一年生英語の期末テストだった。


いかがでしたでしょうか。


「面白い! サトシ先生が気になる」

「この続きはどうなるの? この先の美柑を読みたい!」

「サトシ先生、更新したら通知が欲しいです!」

「先生、応援の仕方を教えてください」


「では、先生から応援する方法を教えましょう。

面白いなぁと思った生徒は、こんな方法があるからよく聞くように。

ブックマークや、『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると作者のモチベーションアップに繋がります。はい、ここ重要ですからね。テストに出まーす!」


「はーい」


「好評連載中で、毎日更新しています。わからなかったら、いつでも質問しに来るように。では、今日はここまで」


皆さま、よろしくお願いします。







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