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サトシ先生は美しき十代の乙女に手を出さない  作者: 白神ブナ
第一章 一年一学期

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第19話 美柑の温かいご飯

 アキラと話しているうちに、サトシはふと自分の家のことを思い出した。


「あっ、アキラくん、ちょっとごめん。おじさんは、ちょっと家に電話するから待ってってくれ」


「えええー、せっかくサトシ先生って呼んだのに。あ、ミスった。早くしてくれよー!」


「こら! アキラ! 先生が困っているでしょ。わがまま言わないの」


台所から、桜井がアキラを叱る声がした。

サトシは、部屋の隅の方に行って、携帯電話で姉に連絡した。


「あ、レイコ姉さん、ごめん。今、桜井の家にいるんだ。桜井の弟さんに懐かれちゃって、なかなか離してもらえなくて……というわけでもない。嘘つきました。実は、お腹が空いたから、こっちでご飯食べて帰る。

他の生徒は? あ、レイコ姉さんと一緒に車に乗って帰る途中? それなら、よかった。

え? 違うよ、ただ弟さんと遊んでいるだけだよ……」


「おじさーん、まだぁーーー?!」


「あぁ、今いくよー。そ、そう、おじさんって呼ばれちゃってさ、俺。そんなわけなんで、俺は大丈夫だから。姉さんも生徒たちを送ったら、もう早く休んで。うん、じゃ、よろしく」




 「サトシ先生、アキラ、ご飯できたよー」


「うわー! やったー。おじさん、姉ちゃんのカレーって美味いんだぜ」


「前に合宿所で、ご馳走になったよ。あの時は感動したなぁ。桜井、わざわざご飯を炊いたのか?」


「ごめんなさい、先生。そのご飯は温め直しなんです。」


「それでも嬉しいよ。やっぱり温かいご飯はいいなぁ。美味しい!」


すると、アキラが自慢げに、別の一品をすすめてきた。


「だろ? これも食ってみて。なんだっけ、何のトマトサラダっていうんだっけ……美柑」


「西京味噌でトマトサラダ」


「そうそう! 最強の味噌でトマトサラダ」


「最強の? 西京味噌があるのか? 桜井の家には……」


「母さんのお得意さんから、米や調味料はいつも送られてくるの。味付けは自己流だから、口に合わないかもしれないけど」


「………美味い! トマトがこんなに美味しいサラダになるなんて凄いな。アキラくんは、いつもこんなにおいしいご飯を食べているのか」


「ああ、そうだよ。羨ましいだろ」


桜井はアキラの言葉に、説明を加えた。


「生意気にこの子ったら、少しでも不味いと食べないんです。小さなころから、舌だけは肥えていて」


アキラは自慢げに、桜井の料理のことをサトシに話してくる。


「今日はないけどさ、僕にとっては美柑の卵焼きが一番だな」


「あ、卵焼きが好きなんだよね。知ってるよ」


「なんで知ってるの?」


アキラに聞かれて、サトシは戸惑った。

だが、小学生のアキラに嘘をついてもしょうがない。


「ああ、前にスーパーの卵売り場で、お姉さんと会ったんだよ。よかった。あの卵が、アキラくんの卵焼きになって」


「はぁ? おじさん、スーパーの卵売り場でも勉強を教えてるの?」


「いや、そうじゃない」


「いいから! アキラ、おしゃべりばかりしないで、さっさと食べなさい!」


挿絵(By みてみん)



桜井の作った夕ご飯は、空腹だったサトシの胃袋をしっかり捕えた。

サトシを捕えたのは料理だけではない。

何よりも、弟アキラと会話していると、自分も童心に戻ったようで楽しくてしょうがない。

こんな小さな子に懐かれる経験は、サトシは初めてだった。

桜井の家にいると、サトシの教師モードは全く機能不全に陥っていた。

まるで実家にいるような、いや、実家以上に我が家にいるような自然体の自分でいるのが心地よかった。




 合宿所で協力したように、サトシは食器の片づけでもしようかと台所に立った。


「いいの、先生。今日はお客さまなんだから、洗い物はしないで。アキラの相手でもしてよ」


「そうか? 悪いな」


そして、ついついこの家庭の居心地の良さに長居をしてしまう。


「おじさん、ゲームのコツを覚えるの早いなぁ。天才じゃん。やっぱ先生なんだね」


「アキラくんの教え方が上手だからだよ」


「そうかな。じゃ、僕も先生になれるかな」


「なれる、なれる。アキラくんは先生の素質あるよ」


「わーい、やったー! 僕、先生になって自分の家を建てる。こんなアパートじゃなくて、おっきい家を」


「いい夢だ」


「おじさんは?」


「へ?」


「おじさんの夢は?」


「おじさんの夢か……難しいなぁ」


「おじさんの夢は先生になることじゃなかったの?」


「いや、それは考えていなかったなぁ」


「えええー! じゃあ、先生になって大きな家を建てた?」


「それもないなぁ」


「……なんだか、僕の夢がしぼんでいきそうだ」


「そ、そんなことないよ。アキラくんはきっと大物になる」


アキラに夢について聞かれてみると、確かに夢もなく家もない自分に気が付いた。


(俺は何をやってきたんだろう。アキラくんみたいにキラキラしたことあったのかな)




 しばらく、アキラと遊んだあと、


「じゃ、先生はもうそろそろ帰るよ」


「嫌だ、おじさん、泊まっていってよ」


「まさか……」


「アキラ、あまり、先生を困らせるんじゃないわよ。でも、本当に泊ってってもいいんだけど……」


「いや、さすがにお母さまが帰ってきたら驚くでしょ。そんなことしたらクレームものだ」


「違うよ。僕の母ちゃんなら喜ぶと思う」


「いや、好意はうれしいが、今日は帰るよ。アキラくん、またな」


サトシは、玄関口で桜井とアキラに別れを告げた。




 「絶対だぞー! 絶対また遊びに来いよー」


サトシが既にアパートから遠く離れても、玄関先でずっとアキラは叫び続けていた。


(あんな子が家にいたら、まっすぐ帰りたくなるよな。桜井と桜井のお母さんは、アキラくんを愛情いっぱいに育てたんだろうな)


サトシはアキラに聞かれて答えられなかった夢について、考えた。


(ああいう家庭を持つことが夢とか……うん、悪くないな)



いかがでしたでしょうか。


「面白い! サトシ先生が気になる」

「この続きはどうなるの? この先の美柑を読みたい!」

「サトシ先生、更新したら通知が欲しいです!」

「先生、応援の仕方を教えてください」


「では、先生から応援する方法を教えましょう。

面白いなぁと思った生徒は、こんな方法があるからよく聞くように。

ブックマークや、『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると作者のモチベーションアップに繋がります。はい、ここ重要ですからね。テストに出まーす!」


「はーい」


「好評連載中で、毎日更新しています。わからなかったら、いつでも質問しに来るように。では、今日はここまで」


皆さま、よろしくお願いします。




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