ジャンプスケア(唐突な驚かし要素)を売りにするゲームは果たしてホラーゲームとするべきか
タイトルの通り、驚かせ要素を全面に出したゲームのジャンルについてつらつらと持論を語ると共に考えるエッセイもどきです。
基本的に否定的なので肯定的に考えている人にとっては楽しくないかもしれません。
では、どうぞ。
昨今出ているホラーゲームは、このジャンプスケアゲームと追いかけっこゲームの二つに分類できると思っています。
もちろんそうでない、雰囲気を大事にしたゲームや、心理的ないし心霊的ホラーゲームも存在するとは分かっていますが、絶対数の問題です。
ホラーゲームをやろうとして検索をかけた時、引っかかってくるその総数で考えたら。ほら?ね?
それで、追いかけっこ要素に関してはある種本能を刺激するというか、作り方、見せ方次第で十分にホラーとして通用するものだと思っています。
無力な主人公(操作キャラクター)が追跡者を撒き、あれこれ策を弄してクリアまで持っていくことが楽しいし、いつ出会うか分からない緊迫感と、いざ出会った時の緊張と恐怖は愛すべきものだと思っています。
しかし、ジャンプスケアは個人的にはいただけない。
ただ驚かせて心臓を過剰に刺激しているだけで、そこに恐怖はないと思います。
怪談や七不思議、オカルトは好きでも、ジャンプスケアが苦手でホラーが嫌いだと言う意見は散見します。
この時点で、製作者にとっては手っ取り早いけれどプレイヤーには嫌われる要素であると言えるのではないでしょうか。
また、昨今では何度もジャンプスケアを挟んだだけのお散歩ゲームをホラーゲームと言い張る風潮があります。
心霊現象とも思えない、無意味なクソデカSEと同時にバン!!と画像を出すなりすれば。ほら。皆さんよく見るでしょ?この展開。
なんなら唐突にSEがするだけの場合もあります。
ただ心臓に来るだけで、それは恐怖じゃないと思います。
そりゃ暗い中で懐中電灯やスマホの明かりを頼りに歩いている中で急にクソデカ音がしたらびっくりしますよ。
原因が謎なら怖いとも思うでしょう。
でもその比率って絶対びっくりが9割ですよね。
急に地震で家が揺れた時とあまり変わらない変化だと思いませんか。
ではなぜジャンプスケアゲームが人気か?を考えてみてみることにしましょう。
昨今は実況者、あるいは配信者といった存在がブームを先導します。
実際プレイする人たちも彼らの評価を気にすると思います。
一切気にしない、俺はストアの評価だけ見てプレイするぜ!という非活動者もいるでしょうが、今は置いておきます。
さて、ではそういった活動者を見る層から見て、面白いホラーゲームとはなんでしょうか。
お判りでしょうが、リアクションが大きいゲームです。
小さいリアクションよりも派手に怖がったり驚いたりしてくれるほうが見ていて面白いですよね?
漫才だってしらけた雰囲気の中見るよりも、周囲が笑って同調してくれている方が面白く感じると思います。
そうなると、視聴者の喜びそうなリアクションが出来るホラーゲームとして、ジャンプスケアゲームが流行し続けるわけです。
さて、最初の「ジャンプスケアゲームはホラーゲームか否か?」に話を移したいと思います。
個人的結論としては「否」です。
ホラーゲームではなく、ジャンプスケアゲームとしてジャンルを立ち上げ、その中でホラー風ジャンプスケアゲームとして名を馳せて欲しいと思います。
なぜか?
個人的にはホラーゲームとは、プレイ後に残るものがあるかどうかが大事だと考えているからです。
例えば寝る前に思い出してゾワッとすることがあるかどうか。
ふとした時に思い出して恐怖がぶり返すことがあるかどうか。
なんならプレイ後数分でも「怖かったな」と、純粋に思えればホラーゲームとして成立すると思います。
ジャンプスケアゲームは「びっくりしたなあ」です。
故に私はジャンプスケアゲームをホラーゲームとは決して認めません。
一度二度驚かせてくるけれど、それ以上に精神的に恐怖で揺さぶってきて、プレイ後にその恐怖が後を引くようなゲームであればホラーゲームとして成立し得たと言えるでしょうが、そういったゲームは希少です。
適当にホラーっぽいけど支離滅裂なシナリオの合間合間にジャンプスケアを大量に挟み込み、どう?怖いでしょ?とドヤ顔キメこむゲームばかりです。
それでも一縷の望みにかけてホラーゲームを漁ってしまうのですから、人間のサガとは恐ろしいもんです。
皆様の夏に良きホラーゲームがあることを祈って、筆を置きます。