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新しい家族はもふもふでした!幼女はもふもふと幸せな明日を生きる事になりました。  作者: ぷらなちか


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雨降りは不安。

今日はあいにくの雨降り。

すでに3日ほど土砂降りの雨の日が続いています。

この季節に雨が続くのは珍しく、水害につながらないかと島国日本暮らしだった私としては気になるところです。


「ねぇバロック?辺境伯領って今までに水害とか土砂崩れとかはなかったの?」


「水害?土砂崩れ?ひめさんはずいぶんと難しい言葉を知ってるんですね~?まぁこの雨だと心配にもなりますよね?」


「うん、まぁそりゃあねぇ~それで?あるのないの?もしかしてバロックは知らないの?」


私がそう聞くとちょっとバツが悪いって顔でうなずいて見せる。

なんだ、知らないのか。

じゃぁ仕方ない。

知ってそうな人に聞こう。


私はそう思い立つと部屋を出る、もちろんバロックもついてくる。

私はとりあえずとうさまとかあさまの執務室に行くことにした。

ふたりは同じ執務室で左右に別れて仕事をしている。

広めの執務室だからできることだよね。

時々お邪魔してはいるだけど、今日は相手をしてもらえるかな?

ちょっと不安に思いつつも執務室に着いちゃったから、バロックに頼んでノックしてもらう。


すぐに誰だ?と、とうさまの声がする。


「ライネリアです。少しいいですか?」


「お。ネリか?良いぞ、入っておいで。」


とうさまの声と同時に執務室のドアが文官によって開かれたので、私はお礼を言って中に入る。

入って右側がとうさま、真ん中に休息用のソファーセットがあり、左側はかあさまの執務室となっている。


左右からとうさまとかあさまの声がして、急に来た私にも心良く対応してくれる。


「どうしたの?何かありましたか?」


かあさまが執務机から立ち上がって私のところまで来てくれる。

とうさまも立ち上がってどうしようかとウロウロしてから、私のそばまで来てくれた。


ふたりが揃って私を心配そうにのぞき込むので、私はあわてて笑顔を向ける。


「何もありませんよ!ちょっと気になることがあって聞きに来ただけです、お忙しいならまた次の機会にしますね。」


と、言ってみたもののやっぱり気になるので、ふたりを伺うように見つめてしまう。


とうさまとかあさまは目を見合わせて頷き合うと、私をソファーへと招いてくれた。


「それで、気になる事とはどんな事だ?」


ふたりに挟まれるようにソファーに座った私は、言葉を考えながら雨が続く事への不安について話す。


「雨が激しいまま何日も降り続くと川が決壊したり、山の斜面が崩れたりして近くに住んでる人たちに被害が出たりしないか心配なの。今までにそういうことはなかったのか気になって……。」


私がそう話すととうさまがびっくりした顔をする。

かあさまも驚いている様子だった。


「ネリは難しい事を考えるんだな。そんな事は今まで無かった。大丈夫だ、この辺境地で雨が続くことはほとんど無い、きっと明日には止むよ。」


えっ?雨が続くことがほとんど無い?

だとしたらこの雨はちょっとヤバいんじゃない?

すでに今日で3日は続いてるよね?

明日止むとしてもかなりの勢いで降ってるんだよ?

日本なら絶対に水害や土砂崩れを心配して避難勧告とか出てるレベルだよね?

なのに、なんでこんなにのんきなの?


「誰かわたしに辺境伯領の地図をみせて!川とか山の位置がわかるやつをおねがい!」


私が大きな声をあげると、すぐにバロックが反応して文官のおじさんを急かす。


文官のおじさんはオロオロしながらも本棚から折りたたまれた地図らしきものを何枚か出してきてくれた。

私はそれをバロックにたのんでソファー前のテーブルに広げてもらう。


地図には辺境伯領が大まかに記載されており、領の3分の1程度は魔物の潜む広大な森だが、領民が暮らす場所もわりと森に隣接していることがわかる。

森と人の住む場所を隔てているのは川だった。

この川が魔獣の被害から領民を守っており、討伐にも助けになっているのだろうと思う。

地図の尺図がよく分からないものの小さな川ではなさそうだ。

その川は北端の山から王都に向かって流れている。


「これって、辺境伯領では何も起きなくても、この川の水が大量に王都に向かって流れてるなら、王都付近で氾濫して被害がでるんじゃないの?」


私が思わずつぶやいた言葉に、とうさまがハッとしたように声をあげる。


「そう言われると、確かに昔嵐のような雨が何日か続いた後に王都近くの農地で用水が溢れて平民たちの家屋や家畜が流されたことがあったな。」


「確かに、記録を読んだ記憶がございます。10年以上前の記録だったかと?農地でしたし草食系の獣人が多く、死者も出ていたかと。」


おじさん文官さんが思い出しながら話してくれるのを聞いた私は、やっぱりヤバい!と焦る。


「昔あったなら、きっとまた同じ場所で同じことが起きるよ!早く知らせを出して!!その地域の人を安全な高台に避難させないと!ここでは雨が降ってても向こうで降ってなかったら気が付かなくて被害にあうかもしれないから、ちゃんと知らせないとダメだよ!誰かに近くでいいから川を見てきてもらって!でも絶対に近付きすぎちゃダメだからね!」


私の言葉を聞いたとうさまがすぐに近くにいた騎士たちに指示を出してくれる。

私はしつこいくらいに危険だから近くに行かないようにと注意をして送り出した。


土砂降りの中を馬で行くのは無理だからと3人ほどで雨よけの外套を羽織った騎士が走っていく。


地図を見る限り土砂崩れを起こしそうな山や丘は領民の住む場所の近くには無いようでほっとする。

北端の山も民家からはかなり離れている様子。


しばらくすると川を見に行っていた騎士たちが帰ってきた。

ずぶ濡れのため玄関で報告を受ける。

その頃にはにいさま達も、別邸で暮らすおじいさま達まで話を聞きに集まっていた。


「ライネリア様の仰るとおり、川の水は普段の倍以上になっております。流れも早くかなりの勢いで王都方面に流れており、川のフチを越えそうに思えて恐怖を感じます。どうすればいいのでしょうか?」


騎士たちの報告に玄関に集まって居た皆が騒然とします。


「やっぱり。土嚢を作りましょう!それを川のフチに並べて決壊を回避します。それから、あえて森側の川フチをいくつか崩して水を森に流しましょう!少しでも領民を守るために明るいうちにできることを!もちろん王都に知らせを出して!」


この辺境伯家でいちばん小さなわたしの言葉にみんなが一斉に動き出します。


にいさまたちは騎士たちや見習いを引連れて領民や近隣の貴族たちに協力を求めて走りました。

話を聞いた貴族達はそれぞれが領民たちを呼び集めます。

集まった領民たちは指示通り土嚢を作り、騎士たちと一緒に決壊しそうな危ない場所を重点的に補強していきました。


私はそれと並行してあえて崩す森側の場所をとうさまやおじいさま達と一緒に地図から探して決めていきます。

雨が降っているとは言え森には魔獣がいますから、魔獣に警戒しながらの作業になります。

崩す場所が決まるとその場所に近い貴族達に協力を得て騎士達に警戒してもらいながら領民と一緒に川フチを崩してもらいます。

とても危ない作業ですが、やらなければ大切な橋も流されてしまいます。

この作業にはおじいさま達が手を貸してくださいました。

おかげで何とか溢れる前に川の水を森に流す事に成功しました。


それでもすでに王都へと流れてしまった水はどうすることもできません。


魔術を使った緊急の伝令は王都に住む国王陛下に直ぐに伝わりました。

やはり王都周辺では快晴で雨の兆しもなく、最初はとうさまの言葉を信じてもらえませんでしたが、わたしが農地の人たちを今すぐ避難させてと言っているんだと話すと、やっと信じてもらえて、以前の被害を覚えていた農民たちの声もあり、無事に避難が間に合って家畜たちを連れて高台に上がった直後に、鉄砲水のように用水が溢れて農地が水に沈んだのだそうです。


辺境伯領での雨が止んだのは更に2日後でした。

王都でも遅れて雨が降りだしたため、農地に溢れた水が引くまでに時間がかかり、高台に避難した農民たちの安全を守るために王さまが尽力したと聞いています。

水が引いてからもすぐにはもとの生活には戻れませんから大変だとは思いますが、今回は迅速な避難で死者がひとりも出なかったことが一番の功績でした。


雨が上がり落ち着いたところで、今度は決壊させた川の修復が必要になりました……。

言い出しっぺの私も、今回は作業に参加させてもらえました。

見習い達に混じって土嚢に詰めていた砂利や土を再利用しながら川フチを仕上げていきます。

すっかりおだやかに戻った川の流れのおかげで危険もなく無事に修復がかないました。

とは言え全てを終えるまでに1ヶ月近くかかりましたが、鍛錬にもなったし見習い達とも仲良くなれて良い経験になったように思います。


リリとロロもこっそり暇つぶしに森を走り回ったりして楽しんでましたしね♪




読んでいただけて

ありがとうございます。

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