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さあ、外へ行こう!

お待たせしました。

「さぁ、行くぞ!」


 父親の言葉に家族全員が動き出す。


 私はひょぃっと父に抱き上げられて、ずっと出てみたかった部屋から初めて連れ出されたのだが、廊下に出ただけで感動して大興奮してしまい、思わず歓声を上げてしまった!


 だってこの世界に生まれてからずっと見てきた天井や床以外の景色なのよ?


興奮するに決まってる!


 廊下には見たこともない調度品や絵画が飾られていたし、匂いも部屋とは全然違う。


 見るもの全てが日本とは違うから珍しくてワクワクして、ずっとうきゃうきゃしちゃうのが止められないの!


「ネリはご機嫌だな。」


「そりゃぁずっと寝てばかりいたんだから、部屋から出るだけでもネリには大冒険なんじゃないですか?」


「うん。可愛い!」


 なんか色々言われてるけど、間違いじゃないからまぁ良いか。


 それにしても広いなぁ?

このお家ってなんかお屋敷?と言うよりもお城レベルか?

 ずっと歩いてるのにまだ外に出れないんだけど?


 それにメイドさん?らしき人がいっぱいいる?


 もしかして私って良いところのお嬢さんだったりしちゃうのか?

 あ~待って!まだ情報量が少なすぎる、ちゃんと色々見て、聞いてから判断しないと、違ってたらガックリしちゃうから。


 なんて考えてるうちに玄関らしき大きな扉の前に到着。

ここはちょっとした玄関ロビーって感じかな?

 降りてきた階段を振り返ると明るい色ガラスでできたステンドグラスから、朝の光が降り注いできていて、玄関ロビーが綺麗な極彩色に彩られている。


「うきゃぁ♪きぇぃ!きぇぃ!」


「ふふっ。キレイでしょう?あのステンドグラスは父さまが母さまのために作らせたから、世界にひとつだけなのよ♪素敵でしょう?ネリも気に入った?」


「きゃぃ!きゃぃ!」


 嬉しそうにはしゃぐ私に、父は真っ赤になって照れていた。


さて、しかし……。

 まだここは玄関ロビーである。

私にとってはここも初めての場所ではあるのだが、行けるなら外に行きたい!


 はやる気持ちがつい行動に出てしまったらしく、気が付くとぴるぴると動く父の耳を思いきり掴んでいたのだ。


 それはやっぱりもふもふで、ふさふさ尻尾とはまた別ものの至福な触り心地に、赤ちゃんの習性故かついついしゃぶしゃぶと口に入れてしまっていた。


「あらまぁ、あなた!ネリがあなたの耳を食んでるわ!なんて可愛いのかしら♪」


「痛たっ!見てるぶんには可愛いのだろうが、ちょっと痛いぞネリ!」


 そう言われてやんわりと抱き直されたので、至福のもふ耳から強制的に引き離される。

 私はぶぅ~っと小さく抗議の声をあげたが、父は苦笑いしただけだった。


「さぁネリ。外に出る前に大事な話をするから聞きなさい。この世界に生まれたネリにとって必ず知らなければいけない話だからな?」


「そんなこと言っても無理よ!ネリはまだ赤ちゃんなんだから、話しても分からないんじゃない?」


「そうねフィーナ。でも必要な事なのよ?あなたも同じように初めて外に出る前には聞かせたわ。分からなくてもこれは大切な約束事だから、あなたたちが大人になって子どもを産んだ時のためにも、ちゃんと覚えておきなさいね。」


 母の真剣な言葉に姉も兄たちも真面目な顔でうなずくのがわかり、私はちょっと緊張したのだが、そのあとに続いた両親の話はやっぱり異世界だった!と感じるものでした。


 が、話が長い!

要訳するとこんな感じ。


゛私が転生したこの世界はアリナシオンと呼ばれていて、今居る国は大国アデライドであり、ここはアデライドの辺境にあるリスナスと言う領地であり、アデライドでは未開の森に接する唯一の領地なのだと言う。

 そして、この国には他国には無い重要な要素がある。

この国には普段は目にすることができないが妖精がいて、この国に生まれた赤ちゃんが初めて外に出た瞬間に祝福を与えに集まってくるのだ。

 また、その妖精のなかから特別に相性の良いものが契約をしてくれるらしい。

 その契約は一生を共に過ごし守護してくれると言う重大なもので、アデライドで生まれた人はみんな必ず守護妖精が側にいるらしい。

 これからライネリアも外に出たら妖精が寄ってくるから、その声を聞いて自分を護ってくれる妖精を見つけて契約しなさい。゛


って感じです。


 どう?やっぱり異世界でしょ?

こんな摩訶不思議な話は異世界じゃなきゃ有り得ないよね?

 こんな話を聞いちゃうと元日本人としては、ラノベっぽくて大興奮ものじゃない?

もちろん私は大興奮!


「うきゃぁ♪」


「おっ?ネリはやる気満々だ!やはりネリは賢いな。では行くぞ!!扉を開けてくれ!」


 父の言葉に控えていた侍従が玄関扉に手をかける。


私は期待と不安にドキドキしながら開いていく扉を見つめた。

読んでいただけて

ありがとうございます。

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