わたしも辺境伯令嬢ですがなにか?
なんだか秋を通り越して冬です。
みなさま風邪やインフルエンザにくれぐれも
お気をつけください。
翌朝。
疲れ切っていつもより遅い時間に目覚めた私を、バロックはまだ大丈夫ですよ?なんて気遣ってくれたけれど、私的にはちょっとした決戦気分でのんびりとしている場合ではないと考えていた。
遅い朝食をしっかり取ってから侍女たちの手を借りて昨日とはまた違うドレスに着替える。
このドレスも私とかあさま達とで考えた日本知識由来のドレスで、前身頃が着物の色重ねをアレンジしたデザインになっており、お針子さんたちからも色の合わせ方が色々できて面白いと評判だった。
もちろん今日も辺境伯家の女性達はみんな色違いのお揃いドレスである。
昨日のセーラー襟のお揃いドレスも大好評だったから、今日も期待が持てる。
今日の昼食を兼ねた交流会は庭園ではなくサロンでおこなわれる。
参加者は辺境伯邸に滞在中の特に近い親戚や辺境伯家に重要とされる貴族家の子女で、男性陣は別に集まって魔物の討伐時の連携や領地の運営についての会議をすることになっている。
なので、交流会に参加するのはかあさまとジュリエッタ義姉さま、そしてフィーナねえさまに護衛代わりのハインツにいさまも。
そしてなんと!今日はおばあさまたちも参加してくれる事になっている。
昨日はとうさまに遠慮?して参加していなかったのだけれど、今日の交流会に来てくれることになったので、用意していたお揃いドレスが役に立つ!
参加がなかったとしてもおばあさまたちにはプレゼントするつもりで作ってもらっていたのですごく嬉しい♪
「さて、いざ出陣!かな?」
私の芝居めいたセリフにそばに立つバロックからブホッと笑いがおきる。
ギロッと睨んでみたがよけいに笑われて終わった。
理不尽だ、なんか悔しい〜
「すんません。ひめさんの睨み顔が可愛すぎて〜♪」
いつまでも笑ってるバロックの膝に蹴りを入れつつ、私は部屋を出た。
「リリ、ロロ。今日もよろしくね。」
影にいる守護精霊にもきちんと声を掛ける。
ふたりも話はすべて聞いているからちょっと警戒気味
部屋を出てサロンに向かう途中でフィーナねえさまとハインツにいさまが待っていてくれた。
フィーナねえさまのドレスにニンマリしてしまう私に苦笑い気味のハインツにいさまの装いは藍色に赤いライン入りのリスナス辺境騎士団の騎士服である。
「今日は護衛の騎士に徹するから、必ず護るよ。」
「私もそばにいるわ。」
「もちろん、オレもいますよ!ひめさん。」
「うん。わたしがんばるね♪」
バロックにも影から飛び出してきたリリとロロにも元気をもらって、私は改めて気を引き締めた。
と言うか、子女たちとの交流会になんでこんなに厳戒体制なんだろ?笑
サロンでは参加の15組ほどの貴族家の子女と母親たちが立ったままで歓談を始めていて、その中にかあさまとジュリエッタ義姉さまがいる。
おばあさまたちはサロンのソファー席から私を見つけて手を振ってくれた。
護衛のにいさまとバロックが私たちの後ろに控え、影から出てきていたリリとロロが隣に並ぶ。
フィーナねえさまに軽く肩を叩かれて、私は挨拶を始める。
「みなさま、お集まりいただきありがとうございます。リスナス辺境伯家が次女、ライネリアでございます。」
口上と終えると、ゆっくりと美しく優雅に淑女の礼をとる。
サロンのあちらこちらから称賛の拍手と感嘆の声が上がる。
このために頑張って練習したんだから、当然!と思いつつも表情に出さないように気をつけながら顔を正面に向けて周りをゆっくり見回す。
ほとんどが好意的な視線でほっとしつつも、なかにはちょっとピリピリ感じる嫌なものもある。
後ろからバロックが小さく確認した視線の主を教えてくれたのだが、やっぱりその中にマルガレーテさまも入っていた。
「お気を付けて。」
バロックの声に小さくうなずきを返して私はサロンの中心にいるかあさまのもとへと歩き始める。
ピンと背筋を伸ばして着物風のドレスが映えるように、ゆっくり優雅に見えるよう気をつけた。
私はリスナス辺境伯令嬢なんだもの。
何が起きたって負けるもんですか!
読んでいただけて
ありがとうございます。




