わたしはご令嬢でしてよ?
お久しぶりです。
秋ですなぁ〜
ついに始まったお披露目のお茶会。
ライネリアの初めての一日。
はたして無事に終わるのか?
快晴の空のもと屋敷の庭園に設けられた茶会の会場には、いくつものテーブルにイスが設定され、中央にはこの日のために厨房の料理人たちが開発した新しい料理やお菓子が美しく並べられていて、それだけでもワクワクする光景なのに、ネリはまだ室内にて待機中である。
紹介があるまでは登場できないらしい。
会場にはすでに招待客である近隣の貴族が集まっており、花が咲いたかのように女性達の華やかな色あいのドレスが目を引くし、ネリと同年代の子供たちも招かれているためなかなかに賑やかな雰囲気がある。
そんななかで、ひときわよく通る声で辺境伯家当主が開始の挨拶をはじめる。
「本日は我が辺境伯領へ足を運んでいただき感謝申し上げる、我が家の末娘の披露目の会をどうぞ楽しんでいかれよ。では、我が家の末の娘をご紹介いたします!」
父ハイネンの一声に視線が集中するのを感じながらも、ネリは兄ライネルのエスコートで堂々と会場入りする。
ネリのすぐ後ろをリリを乗せたロロが続き、父の隣に立ったところで最初のご挨拶である。
「皆さまお初にお目にかかります。リスナス辺境伯家が次女、ライネリアでございます。どうぞよしなに。」
ここでずっと練習をかさねてきた淑女の礼を完ぺきに披露し、称賛と歓迎の拍手をもらわねばなりません。
ネリは片足を引きバランスを取りながらゆっくりと淑女の礼をとります。
それは本当に5歳の披露目として素晴らしく美しい完ぺきと呼べるものでしたので、ネリが顔を上げたと同時に会場の隅々から大きな拍手がおこりました。
やりとげたと嬉しくなったネリは思わず家族を見渡し、リリとロロにも微笑み、控えていた従者のバロックにも小さく手を振りました。
家族もほっとした様子で、それを見たメイドたちが客たちに着席を促し給仕を始めます。
この後は両親と共に客たちのテーブルをまわり個々に挨拶をしていく流れです。
ひと通りの挨拶を終えて客たちもお茶と料理を楽しんだのちに屋敷内へと移動を始めます。
貴族達はこの後さらに場所を変えて交流を続け晩餐となりますが、ライネリアたちは会場に領民を招いて第2部のお披露目をしなくてはなりません。
慌ただしく会場を整え直し、料理の追加を運び終えたところで領民たちの入場です。
それぞれが一張羅の晴れ着に身を包み、精一杯のお祝いの気持ちを抱いて訪れてくれました。
初めて会うライネリアの成長を寿ぐ領民たちの歓声にライネリアも喜びの気持ちを抑えられませんでした。
「皆、よく来てくれた。我が家の末娘ライネリアを辺境伯領の領民として受け入れてくれるように望む。皆今日は無礼講だ楽しんでくれ!」
領主の願いに賛同の声を上げた領民たちや騎士たちがにぎやかに会話や飲食を始める。
無礼講を許されたゆえに領民たちがライネリアや家族に話しかけてきてくれるので、ネリも笑顔で対応する。
昼間のため酒の提供はできないが、参加者たちは全く気にしていないようだ。
「お嬢さまにお会いできるのを楽しみにしておりました。お健やかに5歳を迎えられておめでとうございます。」
領内で花屋を営む夫婦とネリと同年代の兄弟から、可愛くまとめられた花束を受け取る。
「わぁ♪すてきね。ありがとう。」
それ以外にも手作りのお菓子や刺繍入りのハンカチなどさまざまな小さな贈り物を受け取る。
そのどれもが優しい気持ちを感じられるものばかりでネリだけでなく家族もみんな領民たちの贈り物に感謝した。
日が暮れる間際まで続いたお茶会も領民たちが帰宅して修了となる。
領民たちはこの後も領内の酒場や広場にて領主からの施しを受ける事になっているので、今日一日はお祭り騒ぎとなりそうだ。
はめを外して騒動になるようなことはないだろうとの話だが、ちょっと心配。
「疲れたかネリ?晩餐は大人たちだけで行うから、ネリは部屋に戻って少し休みなさい。夕食は部屋でライネルたちととるといい。」
「はい。父さま、今日はわたしのためにありがとうございました。わたしちゃんとできましたか?」
「もちろん。素晴らしいご令嬢ぶりだったぞ!明日は滞在中の貴族家の子女たちとの交流もあるから、今夜はゆっくり休みなさい。」
「よくできていましたよ。頑張りましたねネリ。」
両親に優しくほめられて部屋へと送り出されました。
廊下を進んで家族だけのプライベートゾーンに入る手前で、不意に声をかけられてふりかえると、そこには目に痛くなるような派手なピンクピンクのドレスを着た女の子が立っていました。
ライネリアよりは少し年上でしょうか?
「どうされましたか?お部屋を迷われましたか?」
バロックがすぐに対応しようと声を掛ける。
「アナタは黙って、ねぇ私マルガレーテ。伯爵令嬢よ!アナタ私と友だちになりなさい!」
「え?友だちですか?」
「えぇ。光栄でしょう?私と友だちになれるのよ?」
マルガレーテと名乗った伯爵令嬢様はそう言うと、返事は明日聞くと言ってスタスタと去っていった。
その後ろを隠れていたのか慌てたようにお付の侍女らしきひとが追いかけていく。
私もバロックも訳が分からない感じで見送るのだった。
読んでいただけて
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