お兄さまの恋
年を越す前に間に合いました!
色々あった夜のせいで私の部屋は半壊し、住めなくなってしまいました。
まぁ半壊してなくても、ちょっと無理だったと思うけどね……。
仕方がないので、客間に仮住まい中。
ベッドも家具も大人仕様なんでかなり不便で困っちゃう!
バロックは私を抱き上げる理由ができて嬉しそうなんだよなぁ、ちょっと複雑。
早く大きくなりたい!!
半壊した部屋は修繕して更に防犯対策を強化するらしく、家具も新しくしてくれるらしい。
しばらくは時間がかかりそうだから、不便なのは我慢なんだけど、とりあえず今回の襲撃で首謀者が判明したらしく、父さまは王城に報告に出かけてしまった。
どうやってあの人たちから聞き出したのか?
すごく興味があるとバロックに言ったら、げんなりした顔で言いたくない!って全力で拒否されました、ザンネン。
さて、暗い話はこの辺までで。
先日縁談がきていた長兄のハインツにいさまに、なんと好きな人がいることが判明したんです!!
昨年の秋に開かれた王城主催の狩猟会で出逢った令嬢らしいのですが、名前がわからなくてずっと人伝に聞いたりしながら探してしたようなのですが、この度無事に判明し奥手なハインツにいさまがあっという間に求婚しちゃったんです!もぅビックリ!
お相手はマントル伯爵家の次女ジュリエッタさま。
ジュリエッタさまは黒髪にオレンジの瞳の可愛らしい印象の女性だそうです。
狩猟会で落馬しそうになったところを、そばにいたハインツにいさまが助けてあげたのが切っ掛けで、王城まで一緒に帰る事になり馬車で話をしていた時に番だと気がついたんだと、ハインツにいさまは幸せそうに話してくれました。
もちろんジュリエッタさまもにいさまを番だと理解したようでしたが、身分差があるのでは?と不安を感じてあえて名乗らずに別れたのだけど、ずっと気になっていたそうです。
獣人には互いに引かれ合う番と呼ばれる伴侶が見つかることがあります。
昔は普通に番に出逢えたらしいのですが、
ここ数百年前ぐらいからは番に出逢うのは幸運や奇跡にちかいらしいです。
とは言うものの父さまと母さまは番だし、お祖父様たちも番だと聞いてるから、ハインツにいさまに番が見つかったのも不思議には思わないんだけどなぁ?
「ふふっ、ハインツが縁談話を嫌がったのはジュリエッタさまを探していたからなのね?そうならそうと言えば良かったのに。」
「そうですよ、話してくれていたら僕だって探すの手伝えましたし、父上も力を貸してくれたんじゃないですか?」
「わかってる。だが自分で見つけたかったんだ。もう一度会ってみないことには番かどうか確信がもてなかった。でも茶会で再会して間違いないと互いに確認したんだ、だから急いで求婚した。他の誰かにひっ拐われては困るからな。」
「そう言うものですか?僕も参考にさせてもらいます。」
「あらあら、ライオルにはまだ早いんじゃないかしら?ふふっ」
なんて母さまは上機嫌で嬉しそう。
わたしとフィーナねえさまは幸せそうな話にワクワクして顔を見合わせてにんまりしちゃいました。
正式な婚約は王城にいる父さまがマントル伯爵にお会いしてからになるのだけれど、互いに番だとわかっていることと、マントル伯爵家には嫡男がいることから、問題なく交わされる予定だから、婚約が整えば早ければ来月にもジュリエッタさまが辺境伯領について学ばれるために我が家に来てくれることになりそうです♪
「ねぇネリ!ジュリエッタさまにお会いするの楽しみね!でもお兄さまを取らないでなんて、言ってはだめよ?」
「うぅ、いわない、いわないとおもう。」
フィーナねえさまに指摘されてちょっと焦る。
ハインツにいさまがすごく幸せそうなのに水を指すような事はしないと思うけど、ちょっと自信はないかも。
「大丈夫だよネリ。ジュリエッタ嬢と結婚しても私はずっとネリのにいさまだ。ジュリエッタ嬢は妹ができると喜んでいたから、二人とも仲良くしてやってくれるとありがたい。」
にいさまは本当に嬉しそうに笑って私を抱き上げてくれる。
不安がない訳じゃないけれど、今はハインツにいさまの恋が成就したことを祝ってあげよう♪
「うん。わたしもたのしみ!おめでとうハインツにいさま!」
私はハインツにいさまの首に抱きついて頬に祝福のキスをしてあげたの。
それを見たライオルにいさまが僕も!って顔を寄せてきて、フィーナねえさままでよってきて、ちょっとくすぐったくて幸せで楽しい♪
ちょっと嫌なことがあった後だけに嬉しい事があって良かった♪
家族が増えるって素敵なことかも。
読んでいただいて
ありがとうございます。
みなさまいつも不定期過ぎなのに読んでくださって本当にありがたいです!
どうかよいお年を!
来年こそは頑張って書きます(T_T)




