おうちに帰ります!
続投。
お待たせしてすみません。
なんか外がざわざわしてる?
もしかして、デブハゲ神官が到着しちゃった?
『すんません。主が呼んでるんで行ってきます。お嬢ちゃんはここから動かないで待っててください。』
ネズミ妖精さんはそう言うとふっと消えてしまう。
たぶんうさぎさんの影に戻っていったのだろうと思う。
うさぎさんがうまく時間を稼いでいる間にリリがとうさまを呼んできてくれると良いんだけど、それにしてもわたしはいつまで床に転がされてないといけないのかしら?
そう思いながら側に立つロロを見上げると、ロロが視線をそらす。
ん?なんで?
「ねぇロロ。ちょっとほどいてくれないかなぁ?ちょっとつらいんだけどなぁ?」
『それはできない。そのままの方がかわいい。あいつらも喜ぶ』
はい?なんで?意味わからん。
納得がいかないまま放置され、待っている間にリリが影に戻ってきたのを感じる。
すぐにリリに呼びかけると影からふわっと現れる。
『呼んできた。少し待てって、うさぎのことも伝えておいたよ。』
「ありがとうリリ!おつかれさま。」
わたしは言われた通りおとなしく転がされたままで待つことにした。
しばらくすると大きな声が聞こえてきた、怒鳴ったり喚いたり、バタバタと争う音もする。
ちょっと怖くてリリとロロにしがみつきたくなったが、残念ながら縛られて動けない。
それを察したリリとロロがわたしの側で座り込み優しく宥めてくれる。
そうしてやっと静かになって部屋の扉がバタンと開いた。
入ってきたのはとうさまと城の騎士たち。
そして茶色い耳のうさぎ獣人。
「無事かネリ!!怪我はないか?かわいそうにすぐにほどいてやるからな。」
とうさまが走ってきてわたしを床から抱き上げてくれる。
うさぎさんはほっとした顔をしていたが、すぐに項垂れてしまう。
「とうさま。うさぎさんはわたしをデブハゲ神官から助けてくれました。とてもイイ人です。だからわたしの従者にしたい。うちにつれてかえってもいいですか?」
え?
はい?
なに?
はぁ!?
とうさまと騎士たち、うさぎさんの視線が痛い。
でも、わたしは負けない!
「うさぎさんはわたしの従者にします!決定です!とうさまこんどこそネリはうちにかえりたいです!!」
「うっ、わかった。帰ろう。帰るぞうさぎ!ついてこい!」
そうしてわたしととうさまとうさぎさんは騎士たちにその場を任せ、国王さまにデブハゲ神官を引き渡してすぐに辺境伯領に転移して帰った。
急ぎすぎて縄をほどいてもらうのも忘れて帰宅したため、縛られたままの姿を色んな人に見られてしまい、しばらくの間かなり噂になってしまった。
その噂のほとんどが神官の悪巧みで拐われた、かわいそうな辺境伯の末姫さまを哀れむものばかり。
縛られた姫さまがあまりにも儚げで可愛らしく愛らしかったとか、庇護欲がかきたてられたとか……。
神官ゆるすまじ!とか…。
街中の平民たちまで噂が広がり、神殿が大変なことになったらしいが、わたしのせいじゃないぞ!と思いたい。
がっちり縛られていたことで、わたしの純潔については保証され、誘拐されたが無事だったと証明されたので、今後の婚姻の障害になることは無いらしい。
ロロはそこまで考えてわたしを床に転がされたままにしておいたのだろうか?
う~ん違う気がする。
まぁ良いけど。
で、バロックは無事にわたしの宣言通り、わたしの専属従者兼護衛になった。
わたしの手駒が増えたわけである。
ますます異世界生活が楽しめそうな予感♪
読んでいただけて
ありがとうございます。




