お昼寝タイムを返せ!
わたしはライネリア。
3才になったばかりの幼気な幼女です。
そんなわたしは今ちょっと困った事になってます。
王城の客間で幸せなお昼寝タイムを過ごしていたはずなのに、目が覚めたら知らない場所で床に転がされていました。
ここはどこ?
リリ?ロロ?どこ行ったの?
不安を増長する原因は、いつもそばにいる守護精霊の気配がまったく感じられない事です。
影に潜っていてもずっと感じていた2人が、どうしてなのかそばに居ないとわかるのです。
「おやぁ?もうお目覚めでしたか。まだ依頼人が到着してないんで、もうしばらくは寝ててほしかったんですが、起きちゃったんだ。まぁいいか、すぐ来るはずだし。」
「だれ?ここはどこ?なんでいないの?」
素朴な疑問を矢継ぎ早に口にしてみる。
もちろん答えを期待したわけではない。
「だれってのは答えられないけど、まぁ何でも屋さん的な?ここはまだ王都。いないのは守護妖精か?嬢ちゃんを拐うのに邪魔だったからちょっと妨害魔法で撹乱させてるが、まぁ何日かしたら戻ってくるんじゃないか?肝心の守護妖精がいないと奴らも嬢ちゃん拐った意味無いだろうからな。」
「やつら?……もしかして…、デブハゲ神官!?」
「おっ!正解!嬢ちゃんちびっこのわりに賢いな!まぁだから狙われたんだろうけど。災難だよなぁ~あいつらの仕事はボクちゃんもいまいち気が乗らないんだよなぁ~金払いはめちゃくちゃ良いんだけどさぁ。そろそろ王都から出ようかなぁ?ってマジで考えてんだ。だから嬢ちゃんが最後。悪いな…。」
ポリポリと掻いている焦げ茶色の頭には長いウサギ耳。
目の色は普通に緑色。
てっきりウサギなら赤い目をしてるのかと思ったのに、白ウサギじゃないからかな?
「王都からおひっこしするの?どこか行くとこあるの?ないならリスナスへんきょうはくりょうは?のどかでおすすめだよ♪」
ぴるぴる揺れてるウサギ耳になんだかほっこりした気分になっちゃって、思わず自領をおすすめしてしまった…。
「リスナス辺境伯領って君のとこ?」
「うん。このままデブハゲ神官さんにつかまったら2度とかえれなくなりそうだけど。」
「うわぁ、そう言うのやめて!ボクちゃんのなけなしの良心がめっちゃ凹む!既にかなり凹んでるから、追い討ちかけないでよ!」
お兄さんは長いウサギ耳を摘まんで顔を隠してしまう。
うん、ちょっと効いてる?
このまま押しきりたい。
なんて…、浅はかでしょうか?
「ボクちゃんもさぁ守護妖精2人持ちの女の子を拐ったりすんのはさぁ、さすがにヤバイって思ってるけどさぁ、仕事だし。でもまさかの王城からの誘拐だしなぁ、バレたらヤバイなんて言う余裕もなく斬首だよなぁ~まだ生きてたいしなぁ、困った。」
おっ?誘拐犯さん悩みだしたぞ?
これいけるかも?
ってかいい加減床に寝てる状態なのは何とかしてほしい。
背中痛い。
縛られてる腕も痛い。
お腹も空いた!
とうさま早く助けて!
リリ!ロロ!
読んでいただけて
ありがとうございます。




