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投稿の仕方がよくわからない!
「とにかくあなたも座ってちょうだい。」
本を脇へよけてお嬢様が顔を上げる。直毛の黒髪、深い青の瞳、まだ幼い丸い頬はほんのり紅く、本当に美しい。彼女の祖母とよく似ている。
読書後に感想を聞くのはお嬢様の希望で、私も楽しみにしている。自分の分も冷茶を用意し、向かいへ腰掛ける。私はシロップをたくさん入れるのが好きだ。
もやもやーっとしたシロップがグラスの下に流れるのを見る。
「それで、どんなお話だったのですか?」
マドラーでシロップを混ぜながら私が聞く。
茶を一口飲み喉を潤した後、お嬢様は話始めた。
「8割方読んでみたけれど、下町の女の子が実は貴族の落とし胤でね、何だかんだで貴族社会で恋愛無双するお話しよ。」
それだけで読まずとも内容が推し量れるなあ、と関心してしまう。お嬢様は7歳…。
「何か学べる所はごさいましたか?」
毎日勉強で忙しいお嬢様が、成長物や伝記・冒険譚を読む様になったのは、『自身が今後どうなりたいか、どんな大人になりたいか』を模索するためである。読んだ本が、好みかそうでないかは置いておく。参考になるかならないかが肝心なのである。
「男の人は可愛い女の子に頼られると嬉しくなってしまう…?のかしら?」
「一概にそうとも言えませんけど、そのような人は多いかも知れませんね。」
私も茶を一口。甘い、冷たい、あー美味い。
「私、顔はいい方だから使えるかしらと思って。上目遣いで縋り付けばいいかしら。」
何か面倒事があれば使う気ですかお嬢様。
というか、自身の顔面偏差値をしっかり把握しているお嬢様。ななさい…?
「それを世間では あざとい と言います。あまり良くない意味ですよ。使い所と頻度を間違えると、同性から凄まじいヘイトを向けられます。おやめになられるがよろしいかと。」
優雅にグラスを傾けながら、お嬢様は苦笑いした。
「まあ、そうでしょうね。私も読んでいてイライラしたわ。主人公はね、天真爛漫で前向きで素敵な女の子なのですって!“恋に仕事にがんばります!ドキドキ?アタシの貴族ライフ”と言うのが、サブタイトルよ。貴族の学校で勉強に目覚めて、文官になる中で恋愛もするの…。
私には、自分からトラブルを起こして責任もとれず、泣いて喚いて縋って他力で解決するアホ女としか見れなかったわ。」
眉間に皺が…本当にイラついたのですね。
「男の人たちも、顔も身分もとても良い人たちなのだけど、規律とか規範とかモラルとか無視なの。勤務時間内に主人公の為に席外したり、君だけだからって立ち入り禁止区域に入れたり!私、もし文官になっても絶対にこんな人たちと仕事したくないわ!」
アァー、きっとこの本の見どころはそこじゃない。でも、私も激しく同意する。絶対に同僚にはなりたくない。ただ、そう言う奴ほど現実では権力を持っている。そして、天真爛漫女ほど周りを踏みつけていく奴はいない。アイツらは周りの迷惑を考えないのだ。
わたしは なるほど、と相槌をうつ。
「現実にもいますので、気をつけたい所ですね。巻き込まれると大変です。害悪度高めなのでご注意を。」
わかったわ。と頷くお嬢様。
「あと、下町でもないのに あたし と言う人とは絶対に仲良くなれないわ。」
それも激しく同意します。お嬢様。