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4.秘密の冒険

決行日の朝が来た。今日は草原で剣の稽古をするからとアリシアに伝えたが特に怪しまれた様子はなかった。「天気も良いし私もついていこうかな」とフレイルが上手く会話に便乗し、パンに野菜や玉子を挟み込んだサンドイッチのようなものを用意してくれた。


コーラル山は今まで近づいたことがなかったが思ったよりも近かった。

山の麓に着くとすでに1人の少女がいた。


「フレイルー!こっちこっち!」


少女は黒い先が尖っているつばの広い帽子を被り、杖を持っている手と反対の手でこちらに向かって手を振っている。


「シャル!ごめんなさい。待たせちゃったかしら?」


どうやらこの少女がシャルのようだ。

フレイルは慌てて駆け寄る。


「ううん、今来たところよ。あっ君がルイズ君ね!フレイルから聞いてるわ。私は、フレイルの友達のシャルロット=マグワイアよ。シャルって呼んでね。よろしく!」


「ルイズ=ラーモンドです。シャルさんよろしくお願いします!」


初対面の俺は挨拶をしてシャルと握手を交した。

普段アリシアとフレイル以外の女性と交流することがないから少し緊張する。


それにシャルはフレイルと違い、出るとこが出ていて色気がある。2人は同じ年らしい。なぜこんなに違うのだろうとまじまじと見比べていたが、フレイルに「ルイズ君、どうしたのかしら?」と普段君呼びされない君呼びの恐怖を感じて止めた。


ちなみにクラインはシャルに何度か会ったことがあるらしい。

こんな素敵なお姉様ならもっと早くに紹介してくれれば良かったのに。


「じゃあ揃ったことだし、早速行きましょう!」


フレイルが号令をかけ俺達は山を登り始めた。とはいっても、歩ける道があるので、それに沿って進んで行く。例の綺麗な鉱石があるのは山の上の方にある炭鉱の中なんだそうだ。


見た目から察してはいたのだが、歩きながら尋ねるとやっぱりシャルは魔術師だった。しかも両親が2人とも魔術師らしいので魔法の知識も長けているんだとか。これまで触れてこなかった領域なのでシャルの話はすべてが新鮮に感じた。


「魔法の強さにもランクがあって、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)の順で高位になるのよ」


フレイルが扱う神術とは違い、魔法にはランクがあるらしい。某ゲームでいう~ラ、~ガ

みたいに強くなっていくようなものか。


「私はまだ水の精霊様にしか誓約ができていないんだけどね」


「せいやく?」


「誓約よ、誓約。私達、魔術師は特別に魔力というものを持っていて、魔法を扱う対価として精霊様にその魔力を差し出すことを誓って約束するの。その誓約をすることによって初めて魔法を扱えるようになるんだよ」


シャルの話を簡単にまとめると、この世界には属性毎に精霊が存在し、魔法を扱うにはその属性の精霊に力を貸してもらう必要があるらしい。そのための精霊への「誓約」。


また、精霊との「盟約」という特別なものもあるらしいが、これは精霊と対等関係になれば

結ぶことができ、一度交わすことができればその者の子孫共々、魔法が使える状態で産まれるらしい。ただ、精霊と対等関係になるなんてありえないようで、魔術師の中では誰かが勝手に創作したものだと言われているみたいだ。


あー!!!知的好奇心が満たされていく!

アニメ好きとしてはずっと魔法のこんな話が聞きたかったんだ!


ご満悦になってしまった俺の表情が緩みきってしまっていたのだろう。


「ルイズ、大丈夫だと思うが念のため周りも警戒しながら進むぞ。これも稽古の一環だ」


クラインに声をかけられ、はっと我に戻った。



それからも順調に歩いていたが、やっぱり山道は山道だ。傾斜が続くので少し疲労の色が見えはじめ、腰を下ろせそうな場所で休憩することにした。そこでフレイルが朝用意してくれたパンをみんなで頬張る。


「シャルはこの山にはよく来てるのよね?」


「うん。お父様とここに魔草を取りに来てるのよ。綺麗な鉱石がある鉱山もその時に見つけたんだ。近くまで来てるはずだからもうすぐで到着するはずよ」


2人の話を聞きながら後一息だなと思っていたところ、


がさがさ!


急に草が生い茂っているところから音が聞こえてきた。


「痛っ!」


なんだと思っていたら足に痛みを感じた。

下を見ると細長い蛇のようなものが近くにいる。

どうやら足を噛まれてしまったようだ。


「ルイズ!」


クラインが近づくとすぐにそれを剣で両断した。

蛇のようなものは頭と胴が離れるとすこしだけぴくぴくしていたがやがて止まった。


「大丈夫か?」


「うん、大丈夫!!・・・あれ!?」


急に頭がくらっとして全身がだるくなった。


「さっきの毒蛇だったかもしれないな。フレイル!」


「えぇ、わかってるわ」

フレイルは俺の前で両手を組んだ。


「アンチポイズン!」


全身が青白い光に包まれる。

すぅーっとだるい感じが引いていった。


「ルイズ、もう大丈夫だと思うんだけど」


「うん!今ので毒も抜けていったみたい。ありがとう!フレイル姉さん」


「ルイズ君大丈夫?でも無事で良かった。神術が使えるフレイルがいて良かったわね。そういえば、ルイズ君も神術を使えるの?それともおじさまの剣士の才能を継いでいるのかしら?」


その質問がきてしまったか・・・どうなんだろう。俺が聞きたいや。


答えに困っているとクラインが、


「ルイズは剣技の才能を継いでいるよ。この前も素振り200回したもんな」


とフォローしてくれた。


「さぁ休憩終わりよ!もう一息、みんな頑張ろう!」


フレイルも空気を変えてくれた。


いつも2人に助けられてばっかりだな。


休憩場所からはすぐだった。それらしきものが見えてきた。


「あったわ!ここが鉱石を見つけた炭鉱よ」


シャルの一声とともに俺達は目指していた炭鉱に辿り着いた。

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