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高柳又四郎は戸田流林田派を極めたい

「先生、今日は何をすればいいでしょうか?」

「お前の好きなようにしろ」

「はい!では、素振りをしてきます!」

又四郎は元気よく返事をする。

「ああ、行ってこい」

「はい!失礼します!!」

又四郎は頭を下げて部屋を出ていく。

「相変わらず、騒々しい奴だ」

忠左衛門は苦笑する。

「ふっ、そう言うな。あいつらしいではないか」

「まあ、そうなんだが……」

忠左衛門は呆れた表情を浮かべる。

「ところで、あの話はどうなった?」

「ああ、あれか……。まだ決めかねている」

「そうか。早く決めることだ」

「わかっている」


「そういえば、最近、妙な連中が現れてな」

「ほう?どんな者たちだ?」

「それが奇妙な格好をした男たちなのだ」

「奇妙とは?」

「全身黒ずくめで顔を隠していたのだ」

「なるほどな」

「しかも、かなり強い」

「そうか……」

「どう思う?」

「さぁな」

肩をすくめる。

「気にならないのか?」

「別に」

「そうか」

忠左衛門は残念そうだ。

「だが、注意しておいた方がいいかもしれないな」

「わかった」

忠左衛門は真剣な眼差しになる。

「それなら良い」


道満の子分の一人の「鬼の目」太蔵は飛騨で刀剣のみを盗む盗賊として活動していた。その被害に遭った者の中には幕臣もいた。しかし、郡代の与力同心たちは無力であり、町民たちの間で噂が広がるだけであった。又四郎は太蔵が戸田流林田派の剣術を使うことに興味を覚えて太蔵を捕縛しようとした。


又四郎は太蔵を追いかけて陸奥国まで行く。そこで又四郎は道満と出会った。盗賊の追及を止めて道満に師事する。

「先生……あのねえ、昨夜ね、夢を見たんだよう」

又四郎が言った。

「どんな?」

「それがさあ、私がね、大きな桃の木の下で昼寝をしているんだよう」

「ほう、それで……?」

「そしたら、そこへ若い侍が来たんだよ。私を見てびっくりして逃げちまったよ」

「ふうむ、ふうむ……」

「どうでしょう、変でしょう?」

「ま、そういうこともあるだろうのう」

「だって、木の下なんかに眠っているなんて……」

「だからといって、何も不思議はないではないか」

「ないけど、やっぱりおかしいよ。それに、その侍が逃げたことも妙だし……」

「それはお前の夢じゃな。わしには何の関係もないわえ」

「そんなこと言ったら、つまらないじゃないかよう」

「つまらんこともないぞ。それより、今日は何をする気だ?」

「いつものとおりだよ。先生のお手伝いをしてあげるつもりなんだよう」

「そうか……では、ひとつ頼むとするかな」

「まかせておくれなさいよ」

又四郎は張り切っている。

「それなら、風呂でも沸かすかね」

「はい。まず薪割りをするよ」

「よし、よし。手伝うてやるわい」

又四郎は台所仕事を手伝ったり、洗濯をしたりもした。


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