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ヒロイン名、覚えてますか?

「よし、じゃあ俺は早速プレゼントを買いに行く。同時に最先端の流行を見に行こうじゃないか!」

「「おお〜!!」」


リリィとメルシーが楽しげに手を挙げた。

この世界では珍しいアクセサリーとかでもいいかもしれないな。

しかしハインの好きなものってなんだろう?


「あ、あの〜今日受ける依頼はどうします?」


シルヴィアから的確な指摘をされた。


「うーん。ドラゴン討伐祝いはしたいから…プレゼント用意してその後でいいかな?」

「そ、それなら私もついて行って良いでしょうか?実は買いたいものがありまして……」


シルヴィアが目を輝かせて言った。

確かに女の子はそういうの好きだもんね。(勝手な偏見)


「うんいいよ。さて、そろそろ出発しようじゃないか」


私たちは街へ繰り出すことにした。




「ねぇシルヴィーちゃん、何買うか決めてるの?」

「はい!あのですね……」


リリィとシルヴィアの話を聞きながら歩くこと数分、大通りに出てすぐのところでシルヴィアが立ち止まった。

その店の看板には『フェアリー商会』と書かれている。


「ここのお店です!」


フェアリー商会とはエルフが経営している雑貨屋なのだ。

主人公ハインくんもここに来たことがあるぞ。

妖精でエルフな説明はなかったぞ。


店内に入ると色とりどりの可愛らしい商品がたくさん置いてある。

ぬいぐるみ、ネックレス、指輪などなど。

その中でも特に人気なのはマジックアイテム。

装飾もしっかりしていて機能も充実、値段も足元見てないいい感じらしい。

私はこういうセンスはよわよわだからよく分からないけど。


「それじゃ、一旦解散。まぁニ時間後集合でいいかな?」

「わかったわ!」

「わかりました!」

「はい!」


それぞれ返事をして解散した。


さて、私はプレゼントを買うか……。

私の足は自然と奥の方へ向かっていた。


「いらっしゃい!何をお探しで?」


店員さんが話しかけてきた。


「はい。何かオススメのものありますか?」

「そうだねぇ……このブローチなんかどうだい?」


それは水色の宝石が埋め込まれた小さな花をあしらったものだった。

結構可愛いデザインだ。


「あーすみません。渡したい相手は男なんですよ」

「あらら残念」

「でも綺麗なブローチですね」

「ありがとう。これはお姉さんの自信作なんだ!是非買ってみてよ」

「……はい」


結局、私はこのブローチを購入した。

マジックアイテムとしての効果は花の装飾の色が自分でイメージした色に変わるらしい。

ガイナス(本人)の所持金で買っちゃった。

次こそはハインへのプレゼントだな。


………………………………


一時間半ほどかけてようやく選び終わった。

シルヴィアとメルシーはもう既に帰ってきていたようだ。


「ガイナスさんが戻ってきました!」

「あらあら随分長かったのね」

「ちょっとプレゼントを選ぶのに時間がかかってしまったんだよ」

「おまたせ〜!ごめんね遅くなった!ガイナスは何を渡すの?」


最後に来たリリィが興味津々といった様子で聞いてきた。


「それは……秘密だ」

「えー教えてくれたっていいじゃない」

「プレゼントだからな。特別感を出したいのさ」

「うぅ〜分かったわよぉ〜」


リリィが頬を膨らませて拗ねたように言った。

可愛く言っても耐えるぞ。


「それでシルヴィーちゃんは何を買えたの?」

「はい!実はですね……」


シルヴィアは嬉しそうに袋を取り出す。

そして中から取り出したものは__


「これです!『マジックリング』です!」

「……はい?」

「綺麗ねこの腕輪、どんな効果があったかしら?」


メルシーが首を傾げながら聞いた。


「はい、効果は『魔力増加』と『射程距離向上』だそうです」

「つまり魔法で助けやすくなるんだね!それにとっても可愛いよ!」


リリィがすごく絶賛した。

確かにいいかもしれない。


「じゃあみんな揃ったことだし、俺はハインに渡してくるよ」

「……頑張ってください!」

「仲直りも頑張ってきてね〜!」

「健闘を祈るわ」


……まぁいっか。

よし、因縁の場に行くぞ。



冒険者ギルドに戻った後、俺は勢いよくドアを開けた。

いたぞ。

黒髪黒目のラノベ顔、君たち何人兄弟さ?


ハイン君だ!

それとメインヒロインの人。

彼らに近づく間に何かを察した冒険者達が自分やハインから距離を取り始める。

何やってんだよ、邪魔だよお前ら!(理不尽)


「よう!」

「……何の用?」

メインヒロインの人が不快そうな声で聞いてきた。

「まぁまぁ、君たちへのロックドラゴン討伐祝いだよ。はいこれ」


俺は笑顔で右手を差し出す。

しかしハインは手を取らずただじっと見つめてくるだけだった。


「……あのさ、まず受け取る気はないかな?流石に傷つくんだけど……」

「……なんです、これ?」


やっと反応してくれた。


「ん?ああ、俺からのプレゼントだ。気に入らないなら売ったり捨ててくれて構わないぞ」

「いえ、そういうわけでは……。すみません、ありがとうございます」


彼らは丁寧にラッピングされた箱を受け取った。

そして恐る恐るそれを開封する。


「……小さな時計?」

「腕時計って言うんだってさ」


私がいた世界でも今渡したタイプのアナログモノはものによって高い価値がある。

そしてこの世界では比較的に新しい存在だ。

価値が全てではないしかっこいいと思ったから、おまけに派手すぎない。

でも結構高かった。

しばらく同じくらいの値段がするものは買えないよ。


「……ありがとうガイナスくん」

「いいっていいって!そして君にはこれを!」


メインヒロインさんには……フェアリー商会の店員さんがオススメしたブローチの入った袋を渡す。


「……」


神妙な様子で受け取り中身を確認した。


「……ありがと」

「君たちの活躍を聞いていてもたってもいられなくてね」


店員さんに感謝だ。

メインヒロインさんにもある方が断然いい。


「あー……俺はこれから依頼を受けに行く。それじゃあな」

「……うん」


俺はその場を去った。


「お疲れさま。どうでしたか?」


シルヴィアが不安そうにこちらを見てきた。


「いや、特に問題なかったよ。それより受けられそうな依頼はあったか?」

「はい!Bランクのこれがありました」


内容は討伐依頼が出ていたキマイラというモンスターの調査だった。この前戦ったロックドラゴンとほぼ同格のモンスターらしい。

Aランクじゃないかね?

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