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子供の想い…

真矢達の制止を聞かず、単身で走り去って行った佳与。残った面々は一刻も早くなんとかしなければならないと、焦り始めていた!


「あーもうあの子ったら‼︎またろくな目に合わないの分かってるくせに!…幹太ごめん、私佳与を追いかけてくる!部活も休むって伝えとくから‼︎」


「おいおい真矢も落ち着け‼︎まずお前がさっき言った通り学校にはもちろん連絡するとして、真矢の父さんには今すぐ連絡をしろ!

今あの子の走った方角が分かるのは、俺達だけなんだからな?俺は兄貴達に連絡を取りながら走る!」


「私も走りながら連絡するよ!もたもたしてはいられない‼︎」


「俺は止める気は元からねぇけど、念のために俺はあの警察署に行ってくるぜ?事件が起きてから動くなんて真似されるのはしらけるからな。ミューラは…」


「あたいもあんたについてくに決まってんじゃん‼︎向こうまで行って疲れてる時に、あんた一人だけでどこまで説明できるの!とにかく一緒に行くから。良い?」


「やれやれ…しょうがないなお前は。じゃあ行くぜ?ミューラ!」


「オッケー‼︎」

二人は大急ぎで競い合うかのように速く飛んで行った!



その頃、佳与達の元から自宅のあるアパートまで逃げ去って来た双子達。


ここは以前他にも数世帯利用してはいたのだが、この家庭が来てからというもの誰もが怖くて近寄れなくなり、次第にこの一家を除いて皆退居していったのだ。


双子は泣きながら玄関を開けて、両親に泣きつく。


「お母ちゃん!お父ちゃん‼︎僕らいじめられたよ~‼︎」

実際いじめていたのは双子だったのだが、まだ自覚していない…


「あぁ⁉︎知るかよんなもん。自分でなんとかしろや‼︎」

ドガッ!


「かはっ!ご、ごめんなさいごめんなさい…」

母親が父親に八つ当たりされる形で、勢いよく蹴り付けられる。


よく見ると日常的に暴力を受け続けているのか、体のあちこちに赤黒いアザが見えていた!


「待ってよ!お母ちゃんは別に悪くないでしょ⁉︎だからやめてよお父ちゃん⁉︎」

男の子は必死に止めようと父親にしがみつく。


「うるせぇすっこんでろ‼︎」


「痛いっ⁉︎」

なんと、父親は男子を強く殴り飛ばした‼︎


「おにぃ⁉︎」

そばにいた双子の女子は、慌てて近寄って起こしに来る。


「だ、大丈夫だよ衣音(いお)。僕は平気だから…」


「チッ!子供なんて面倒でムシャクシャするぜ‼︎…適当にまたパチ(パチンコ)にでも行っとくか。」

そう言うと父親はさっさと玄関をくぐり、乱暴に扉を閉めて出て行った。


取り残された親子が呆然とその扉を眺めていた後、母親は[また]我慢していた感情をさらけ出す…


「もう嫌ぁ‼︎なんで毎日私に攻撃してくるの?なんでいじめるの⁉︎結婚前はこんな事してこなかったのになんで⁉︎

毎日おいしいご飯を食べて欲しくて作っているのは誰?私でしょ‼︎なのに…なのに⁉︎」

悲しみと怒りが混ざったような、情緒不安定に陥る母親。


「「う、うえぇん‼︎」」

子供達もどうしたらいいか分からず、泣くことしかできなかった。


「あなた達のせいよ!あなた達が生まれて来たから私だけがこんな目にあうんだわ⁉︎このっ、この‼︎」


「痛い!痛いよお母ちゃん‼︎」


「えーん!もうやめてよぉ⁉︎」


「はぁ、はぁ……そうだわ、せめてもう一人くらい減らしちゃいましょう。あの邪魔くさいガイダー達の死骸も片付ける事ができて、一石二鳥だわ!あはははは⁉︎」


「「ひっ⁉︎」」

度重なるDVを受け、心が壊れてしまっている母親と彼女への恐怖で身がすくみ、その場で動けなくなった双子。


どちらも父親の被害者であるにもかかわらず、彼の理不尽な罪の擦り付け生活の影響が今のような悲劇を招くのだ…


「まずはあなたからよ?烈雄(れお)。あなた、良く仲間外れを叩く遊びを他の子達にやろうやろうと言ってたんですって?

一部始終を見ていた先生達から、あなた達が笑いながら他所様の子供を一人ずつ痛めつけて笑っていたそうじゃない。

そんな悪い子はどうせ何を言っても分からないんでしょ?だからせめて…私の手で楽にしてあ・げ・る!」

彼女は双子の兄・烈雄を片手で引っ掴んでからもう片方の手にガイダーの亡骸四人分を入れた袋を持ち、外に連れ出して突き落とそうと考えていた‼︎


「待ってお母ちゃん!ごめんなさい…ごめんなさい‼︎他の子のこといじめてごめんなさい!もうそんな遊びはしないから‼︎だから許して‼︎許してぇ⁉︎」


「うふふふ!だめよ。そう言ったあとあなた達はまた同じ事しかできないんでしょ?あなた達の…お父さんみたいに‼︎」


「待ってよお母ちゃん⁉︎私もあやまるからおにぃを許してあげてよぉ‼︎」

目は完全に血走っており、一切聞く耳を持とうとしない母親に妹:衣音は兄の体にしがみ付き、必死に止めようとする。


「謝るというのなら、せっかくだしあなたも烈雄と仲良くイきなさい?私もそれでこの地獄から解放されるんだから⁉︎」

とち狂った笑い声を上げ、玄関の扉を開けようとした次の瞬間…


(♪~)

誰かが外のチャイムを鳴らす音が聞こえた!


「ご、ごめんください…」


「「⁉︎(ウソ、この声は!)」」

外では双子が今朝からかっていた女の子・佳与が中から聞こえてくる声にひどく怯えながらも、双子の自宅前にたどり立っていた!


「佳与!なんでここに…ってかはやく逃げろよ!今こっちは危ないんだぞ‼︎」

ドア越しで烈雄は、佳与にこの場から離れるよう訴え始めた!


「そうもいかないよ‼︎私はあんた達がこんな家庭で過ごしてたなんて知らないで[親がいるくせに‼︎]って言った事を謝るためだけに来たんだから!あんた達が私に謝らないのはこの際どうでもいい‼︎

だからもう二人を許してあげて⁉︎ころさないで‼︎」


「佳与…」


「う、うぅ…」


「………」

バンッ‼︎


「きゃあぁ⁉︎」


「「佳与ぉ⁉︎」」

突然二人の母親が扉を蹴破るくらいの勢いで乱暴に開けると、そばに立っていた佳与はそのまま突き飛ばされた!


「…ダメよお嬢ちゃん。この子達はとっても悪いことをあなたにもしてたんでしょ?だったら許したりしないで、早くやっつけてあげれば良いのよ!」


「…わ!私、外にあった洗濯機のそばで隠れてたらおばさんやそこの二人がひどい目に合ってる声を聞いたし、あの怖いおじさんが出てきたのも見てた!

ねぇ、今すぐ警察に相談しようよ‼︎ひょっとしたら力になってくれ…」


「くれる訳ないじゃない⁉︎何も知らないで偉そうな事を言わないで‼︎」


「「「⁉︎」」」


「「……」」

このやりとりを、真矢と幹太は階段の端に隠れて無言で聞いていた。


最初は、玄関に立とうとしていた佳与を引っ張り込んで止めようと必死に急いで上の階に辿り着いたんだが、間に合わなかったのだ。


なので、真矢は冷静を装いスマホのボイスレコーダーアプリを開き、会話を記録していた。

もしこれが証拠となって、この家族の現状を証明できる事と信じて…


幹太も出発前に禅内達へ大まかな話を伝えると…[分かった!俺達もすぐそこへ向かう‼︎]と告げられた。

そして到着前に警察にも連絡していた為、そのまま通話をオンにし傍受させているのである。



ちょうどその頃俺は自宅のアパートからその現場に向かう為、疲れてうまく動けない体に鞭を打ってなんとか立ち上がっている最中だった!


早く辿り着ける手段は今のところ…禅内のスキル:アイスロードくらいだ。


「仁君、私も行くわ!」


「お、俺はあかりをおぶって走る体力までは戻ってねぇぞ?」


「分かってる!だからこうするの。フロットお願い…来て?」


「オッケーあかり!行くよ?」

二人はほぼ自在に、[絆の覚醒]を扱えるようになっていた‼︎


「さすがあかり!じゃ、急ごっか‼︎」


「うん!」


「おう‼︎」

シアンを俺の中に入れてから、俺は跳躍後のアイスロードを使う。あかりはそのまま空を飛んで件のアパートへと直行した!



・同じころ、佳与達のいるアパートでは母親が今日まで味わっていた理不尽な体験を聞く所であった。


「最初私は、あの人の目を盗んで時々警察に相談に行ってた!でも、度々足を運んでは必ず同じ年配の婦警さんが他の婦警さんと強引に交代してこう言ってくるの‼︎

[何度も言いますけど~、そんな本当にDVかどうかも分からない夫の事を真に受ける必要はありませんでしょう?

ここは警察、犯罪が起きた時に対応する場所なんですからいい加減帰っていただきますか?事件が起きてからで良いですので、その時に来てください。]…って、必ず言われるのよ⁉︎何もできるわけないじゃない‼︎」


「…その婦警さん絶対おかしいよ⁉︎私そんな人なんか会ったことないもん!」


「現に私は会ってるのよ?それがどれだけ絶望しかないのか、あなたみたいなお子様に分かる⁉︎」


「うぅ…やめてよお母ちゃん。怖いよぉ!」


「お願い!おにぃを離して‼︎」


「ええいもう!うるさい‼︎」


「きゃあ‼︎」


「危ない⁉︎」

なんと、真矢が飛び出して勢いよく蹴りつけられた衣音を助けた!


「お姉ちゃん⁉︎幹太兄ちゃんも!」


「このバカ!どんだけ危ない事に首突っ込んでるのあんたは⁉︎たとえ私と佳与は血が繋がってなくても、もう一緒に暮らす家族そのものなんだよ?どうしてそんな無茶しかしないのよ⁉︎」


「私だってお姉ちゃん達のことが大好きだもん‼︎だから自分がやりたいと思ってることで助けになりたいから頑張ろうとしてるんだよ?もうお荷物にはなりたくないの‼︎」


「ねぇ佳与!私も真矢達も、誰もあなたの事お荷物なんて考えたりしてないよ?なんでそう思うの。」


「だって!私がしっかりしなきゃみんな見てくれなかったんだもん‼︎お母さんも…お姉ちゃん達も‼︎だからどうやって甘えたら良いのかなんて、全然分かんない!

どうすれば子供らしく思われて、いつも一緒にいてもらうことができるの?頑張っちゃ…ダメなの?」


「佳与…」


「佳与ちゃん…」

真矢も幹太も、今まで佳与がそんなに思い詰めていたなんて知らなかったらしく、何も言えなくなってしまった…


「ふふふふ…そんなに自分がどうしたら良いか分からないなら、うちのこの息子と一緒に仲良くイっとく?そうすればもう何も考えずに済むし頑張らなくて良いじゃない!

どうせ誰も自力では旅立てないでしょ?なら、私が手を貸してあげるわ。」

考えがどんどん狂い続けていった双子の母親は、ガイダーの亡骸が入っていた袋を烈雄をつかんでいた手の側に運んでいき、佳与の腕を強引に掴んできた。


「い、痛い⁉︎」


「…ひ、ひぃっ⁉︎」

烈雄の目の前にあるその袋の中からは、まるで恨みと憎しみを強く込めたかのように深い闇を纏った両目で、ガイダー四人の死骸が彼を睨みつけていた…


「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい⁉︎僕たちを許してぇ~⁉︎いやだ…死にたくない!死にたくない‼︎」


「おにぃ‼︎」


「さあこっちに来なさい‼︎同時に落としてあげる⁉︎」


「嫌!嫌だよ離して‼︎」


「…佳与、しゃがんで‼︎」


「‼︎」

佳与がしゃがむと、リオーネが展開していた炎が母親の髪の毛と、烈雄を掴んでいたガイダーの亡骸を入れた袋に着火した‼︎


「あ、あ…わた!私の髪が!手が熱い⁉︎」


「みんな、早くこっちに‼︎(…ごめんね同士達。もしマスター・ゼノン様の所に戻れたなら、静かに休んでて?)」

リオーネが佳与達を真矢達のいる所へと誘導していく中、心の中で亡骸と化したガイダー達に謝罪しながら、燃えていく最後を見届けた…


「なんで!なんで助けるの⁉︎また私一人であの人に攻撃され続けなきゃいけないの‼︎もう無理!こんなの耐えられない⁉︎

子供達が両方とも死ねないと言うのなら、私が先にこの世から消えてやる‼︎」

母親は自ら三階の塀を跨ぎ、下に飛び降りた‼︎


「「お母ちゃんーー⁉︎」」


「ダメぇーー‼︎」

双子と佳与達が母親の所へと駆けつけながら、手を伸ばそうとしたが既に遅かった…彼女は安らぎの笑みを浮かべたまま落下して行くが、地面に当たることは無かった。


「ふぅ~!間一髪だったな!…って、人を抱えて滑るのってやっぱしんどいな‼︎」


「ナイスね仁君‼︎」


「何あれーー⁉︎」


「かっこいいーー‼︎」


「仁兄ちゃん‼︎」

佳与は頼もしいヒーローのような登場をした禅内仁の姿を見て、心の底から安心した!



「…私、死んじゃダメなの?ねぇ君‼︎」


「わっ、ちょっ⁉︎揺らさないでくれよ!落ちちまうだろーが‼︎」

母親が暴れそうになっていたので、慌ててアパートに向けて方向転換した俺。


地面へ無事に着くと、真矢達が既に降りて来ていた。


「「お母ちゃんー⁉︎」」


「う、うぅ…どうして?どうして誰も私を自由にしてくれないの!私何も悪くないのに‼︎なんでまだあの人にやられなきゃならないの⁉︎」


「おばさん…」


「…その心配はなさそうだぜ?双子のお母さん。兄貴も後ろを見て下さい?」


「後ろだって?…あっ、おっさん⁉︎それに警察官の人達まで!」


「ねぇ仁!あの男の人はもしかして…」


「お、お父ちゃん?」


「なんで両手に硬そうな輪っかをはめて乗せられてるの?」

既に、幹太達の通話を使って傍受していた警察官が近辺住民の証言でパチンコ店に入った事を知り、そこにいた父親が他の客が持っていた金を奪おうとしていた所を発見された為現行犯逮捕されていたようだ。


「あ、あぁ…」

母親は戸惑いと同時に意外な形で自由になれた事が嬉しかったのか、泣きそうになる声を必死に堪えていた。


「あらっ?ねぇ仁君。あの貫禄たっぷりな体つきをしたおばさんは誰?なんか警察官の服装はしてるみたいだけどふてぶてしい顔つきのまま手錠をかけられてるわ」


「本当だな…なんかいかにもやばそうな顔したおばさんだが、なんなんだ?」


「あ!あの人‼︎いつも私が相談する時に割って入ってた人です⁉︎」


「なにぃ⁉︎」


「あの人がおばさんをいじめてたんだね‼︎」

走って一言文句言おうとした佳与の腕を、幹太は掴んで引き止めた。


「なんで止めるの?幹太お兄ちゃん‼︎」


「落ち着け佳与ちゃん。あのおばさん理由までは詳しくは分からないが、この母親みたいにDVの相談に来てた保護者を全て拒否してきたんだとよ!

ただ、内部で相談を受けてもあのおばさんを責任者にしたお偉いさんの一部だけが、過去にプライベートの付き合いがあったらしい。

だから、あれがしている事に目を瞑っていたんだとさ。」

つまり、警察署の中で度々不倫をしていたと言う話なのか?あの体格をした中年おばさんのどこにそんな需要があるのか分かんねぇや。(失礼)


「えっとつまり…大人のアソビ?」


「?衣音、どういう意味…いだだ‼︎」


「おにぃはまだ知らなくて良いの‼︎」


「ゔ⁉︎なんつー言葉知ってんだ…まあこうして、被害者の経験したやりとりを通話状態にしてずっと聞かせていたから、警察としても顔が汚されると感じて逮捕したらしい。勝手な話だよな!」


「そう、なのね。もう…苦しまなくて良いのよね?」


「…失礼。並田さんのご家族でよろしいですかな?この度は、私の管轄内にいる部下の行いで心を塞がれてしまう結果を生んでしまい、誠に申し訳ございませんでした。」


「あっ‼︎あなたはあん時の⁉︎」

この人、オヤジさんの店に来てた警察の偉い人っぽい男性じゃねぇか⁉︎


阪原総監は俺を見て、静かに笑みを浮かべて反応を示した。


「阪原警視総監さん!それにロルとミューラも‼︎」


「ヤッホー!」


「幹太達の通話を署内の皆が聞いたおかげで、行動にうつせたんだってよ‼︎」


「ありがとなロル。それにミューラ‼︎その人が来てくれたなら間違いはないだろ」


「う、ううぅ~…」

母親はDV夫から解放された安心感とこれまでにしてきた、子供達への八つ当たりへの後悔を同時に考えているのか、泣き崩れたままだった。


「ただ、あなたがお子さんに危害を加えるに当たってどんな気持ちでいたのかその事についてお尋ねしたい…申し訳ありませんが、署までご同行願います。」


「はい…ではせめて、一つだけお願いを聞いてください。」


「ええ、私どもにできる事であれば…」


「私はあの人とは離婚します。ですがこの子達を養えるお金もないですし、ましてや再び感情的になって私自身がこの子達に手を出しかねません…なので、この子達が生活できる場を与えてあげてくれませんか!」


「やだやだー‼︎」


「お母ちゃんと一緒が良いーー‼︎」


「ごめんね?二人とも…私もいつかまた一緒に暮らせるように、頑張って元気になるから。だから信じて待ってて…ね?」


「うぅ…ぜったい、ぜったい戻って来てよ?約束‼︎」


「私も、おにぃと一緒に他の子達とちゃんと仲良くするから!だから‼︎」


「うん、うん!偉い子ね?二人とも…」

ひとしきり双子をあやした後、母親はパトカーに乗り込んだ。自分が味わってきた思いを告白する為と、子供と笑って暮らせるようカウンセリングを受ける為に…


「ハァ……私のお母さん、ホントどこにいっちゃったんだろ?」

双子達の泣く姿を見ながら、佳与は心のどこかで母親との再会を望んでいた。


「信じてればきっと会えるよ。でもね?今の私にとっては、佳与は本当にかわいい妹だから、そこは自信持って言えるわ!

だからこれからも一緒に暮らそ?それと、もう少し弱音は吐いてちょうだい?その時はこうして抱きしめて元気付けてあげるから!」

真矢はその両腕を広げて、目の前で俯いていた佳与を、その後ろから静かに抱き寄せた。


「お姉ちゃ~ん⁉︎ゔえぇーーん‼︎」


「「…」」

烈雄と衣音達双子は黙っているようだが、今佳与がどれほど寂しい気持ちをしてきたのか少し分かってきたようだな。


「佳与って、すごく強がりだけど本当は泣き虫だったんだ。知らなかったよ…」


「ほんとねおにぃ。佳与はすごいと思う…それなのに私たち、あんなに頑張ってたあの子の事を生意気呼ばわりしたり追いかけ回したりして…」


「うん。二人で今から佳与にちゃんと謝ろう?それで許してもらおう!後で、燃えちゃったガイダー達のお墓も作ってあげなきゃ…」


「うん!」


「やれやれ、佳与もわりと無茶するよなぁ?幹太に電話で起こされた時はなんだと思ったが。」


「あはは、すいませんね兄貴。でもおかげで助かりました!」


「なんか私は、ただこの格好で追いかけただけになっちゃったけどね?フフッ!」


「(まぁ良かったんじゃないかな?この姿なら、どこにでも飛んで駆けつけることが分かったわけだし。)」


「そうねフロット…でも、やっぱりこのパツパツな格好って恥ずかしいわ!」


「私達もなりたいなぁ?」


「真矢がその格好になるのか?じゃあもしかすると…」


「…って、んもぅ‼︎そういう想像は二人だけの時にしてよぉ⁉︎」

十代の会話はすごいなと、俺は思わず感心してしまった。


「あ、あの…」


「佳与。ちょっと良いかな?」


「あっ…あんた達。私に何を言う気?」

まだ少し、双子達を警戒している佳与。


「ちがう‼︎僕たちは…」


「あなたに謝っておきたいの!あなたが嫌と感じる遊びをしてて本当に…」


「「ごめんなさい‼︎」」


「えぇ⁉︎」

佳与は、この二人が自分に謝ってくるなんてまったく思わなかったらしく、大いに驚いていた!


「僕ら、親がいないってどんな気持ちなのかぜんぜん分かんなかった。」


「でも今日から、お父ちゃんもお母ちゃんも私たちのそばを離れて初めて思った!寂しいって…こんな気持ちのまんま、佳与はずっと暮らしてたのね?ほんとにごめん‼︎」


「…ううん、良いよ。それだけでも分かってくれるのなら嬉しい。」


「よしお前たち。おっちゃんが警察署のお偉いさんがいる所までこれから乗せてってやるから、ついてきな?」


「うん!」


「あっ、まって?その前にやっときたい事があるの‼︎おにぃ!」


「あっそうだった!ごめん。すぐ済ませるから!」

二人は駆け足で三階の自室に戻る。その手には塵取りとホウキ、小さな袋とスコップが握られていた…


「あ、そっか。あのガイダーさん達の為に…」


「ふぅ~ん、意外と良い子達なのね?」

真矢とミューラは双子の行動に感心しながら眺めていた。


二人が大急ぎで降りてくると、近くの建物脇にある土を掘り起こし、灰となったその四人分の亡骸を丁寧に埋めてあげたのだった。


「「お待たせー‼︎」」

二人の手にはまだその道具が握られていたが、恐らくそのまま持っていくつもりなんだと思う。


「また会おうね?佳与ー!」


「今度はちゃんとした友達になろうなー?」


「バイバーイ‼︎…リオーネ、今日はいっぱい助けてくれて本当にありがとね?」


「ううん…私こそありがとう。あなたになら、私も背中を預けられるって安心できる!これからもずっと一緒だよ?佳与!」


「うん‼︎リオーネ!」

二人の手が触れあった時、すもも色の光が二人を優しく包む。かつての俺達みたいに…


「これ、ひょっとして…」


「まさか、佳与達もなのか?」


「とてもきれいな光ね!もしかして強い意志もこめられてるのかしら?」


「私とミューラ、何があればこんな風に目覚める事ができるんだろう?」


「あたいにも分からないけれどきっと、お互いにとって大事なものが必要かも。それがなんなのか分かればもしかしたら!」



覚醒の前段階が発動する時がいつになるのかと、二人は密かに一緒になれる日が来る事を望んでいた…

親のトラブルなどに巻き込まれて一番辛い思いをするのは、やはり子供だという事ですよね…

次回は後日の話になりますが、真矢が学校でやや変わり者の女子生徒と顔見知りになるみたいですよ?


次の更新は、今夜の23時にいたします!

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