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時を越えし夫婦愛

過去の惨劇をふと思い出し、悲しみの余り心が塞がった為か無意識にポルターガイストを起こしてしまった姫野。

シアン達が湯の中で立ちながら身を寄せ合ったおかげで、心を徐々に落ち着かせる事ができたようだ。


無論、誰も触れる事までは出来ないので、囲うことしかできない。


「よしよし、もう大丈夫。だからゆっくりしててね?姫野」


「あ、ありがとうシアンちゃん…ごめんなさい、私のせいで皆さんに迷惑をかけちゃいました。」

シアンは頭を撫でようとしてはみたものの、どうしてもすり抜けてしまって触れる事が出来ない。

だが、姫野はその仕草を見るだけでとても落ち着いたようだ。


「真央、瑠奈、美羽。悪いんだけど、菅谷隊長を呼んできて対処の相談をしてきてくれないかな?しばらくは私達で囲んでおくから。」


「大丈夫なの?あかり」


「今日は皆でこのまま上がって、休んだ方が良いんじゃない?」


「そうだよ。いくら昼近くだからって、こうして立った格好のまま風に当たって過ごしてると、風邪ひいちゃうって~!」

三人は外から中に戻るように告げる。


「あかり、とりあえずこのまんま固まって屋内に入ろ?そろそろ人が集まり始めたし。」


「シアン…分かったわみんな。こけないようにここを出ましょ!」

彼女達はひと固まりになって、慎重に移動を開始した。



同時刻、男湯でもろく助が急にソワソワし始めた。


「あっ!お姉ちゃんが⁉︎」


「どうしたの⁉︎ろく助君」

ネレは横にいたろく助が、急に大声を上げて慌てだすのをみて驚く。


「なんだなんだ?」

俺を含め周りの男性陣も、何が起きたのか分からず眺めていた。


「仁兄ちゃんお願い、今すぐお風呂を出て!お姉ちゃんが悲しんでる‼︎ポルターガイストが広がっちゃうよ…ほら‼︎」

ろく助の指差す方向。そこは他でもない…女湯の仕切りだった。

風呂桶等が宙に浮かび、不規則にグルグルと大きく周りを旋回している!


「これはただ事ではないな‼︎皆、すぐに上がろう‼︎」


「はい‼︎」

光風指揮官もこの異変を警戒してか、俺達に声をかけて共に湯船から上がった。


「おいおい禅内!それにおたくらもどうしたってんだ?」


「兄貴。女湯が少し騒がしいですが…」


「ああ、俺達もろく助に促されて今上がったんだよ。

詳しい事はわからねぇが、風呂から上がって女性陣達とまずは合流するぞ!二人も良いか?」


「「おう」」

ちなみにロルは幹太の中らしい…いろんな風呂に入りすぎてのぼせたとの事。


彼女達が女湯の脱衣所に戻ると、離れた所から菅谷隊長が彼女達に気づき、近づいていった。


「あなた達一体どうしたのよ。そんな歩きにくそうに固まって…」


「隊長‼︎姫野ちゃんが…」


「ヒック…ヒック!」


「…何かあったのね?詳しい事はあがってから話しましょう。皆はそろそろ彼女から身を離して、楽にしててちょうだい?」


女子達「はい。」

その後、女性陣は着替え終わって脱衣所から出ると、その先には男性陣が心配そうに見ていた。


「菅谷隊長。一体、何があったのかね?こちらもろく助君が大声で私達に出るように言われたのだが…」


「私にも分かりません。なので一度風呂から出た後に、聞いてみようかと…」


「お姉ちゃん‼︎」

ろく助は急いで姫野に抱きついた!


「ああ!ろく助‼︎私…」


「うん…大丈夫だよ?お姉ちゃん。昔の事思い出して、不安になったんだよね?」


「うん…ごめんね?」



「…シアン達、一体何があったんだ?」

彼女達は一度顔を見合わせて頷き合うと、意を決して相田明音が分かる範囲で事情を話す事にした。


「実はね禅内君、姫野ちゃんからちらっと昔話を聞かせてもらってたんだけど、その…」


「?どうしたんだ明音。顔が真っ青だぞ⁉︎」


「えっとね!姫野姉ぇが昔結婚式をあげてた時の話を聞かせてくれてたの。」


「それでね仁さん…当時戦争に負けて野盗になった落武者達が、二人の住んでる村に突然来て皆殺されたそうなんです。その後死んで霊として、その場の上から姫野の死体を野盗達の一人に犯されてたって聞いてました…」


「あとね仁兄ちゃん。お風呂の周りにあったおけが、ビュンビュン飛び回ってて当たりそうで怖かったんだよ‼︎」

なるほど、嫌な過去を思い出して感情が乱れた結果というわけか…


そりゃ、かなりの勢いでポルターガイストが起きていたようだからな…

俺も実はあの時、風もないのに上空まで風呂桶が飛び上がっていた所も見えてはいた。


うんと真上に勢い良く飛ばすのなんて、並の人間では難しいし。


「仁兄さん、ごめんなさい。私…」


「謝ることなんかねぇって。気にすんなよ?姫野」

さりげなく姫野の頭を撫でてやる。


「‼︎…仁は平然と触れるんだ!」


「私たちも触れる事ができたら良いのに…」

なるほど…俺はどうも姫野達を自由に触れるみたいだな?やっぱ、霊障関係のスキルを身につけたからとは思うが。


「ホント兄貴の場合、身に受けた特殊な攻撃は大抵自分の力に変えてる感じですし、到底真似できねぇっすよ…そういや、さっきから別の霊の視線をどこからか感じるんですがね?」


「マジか…」

幸い、俺達の周りには客が近くにいない。だからこんな会話を一般客なんかが大勢聞いてたら、誤魔化すのは難しいな。


「あの~お客様方、お取り込み中のところ申し訳ございません…少しご相談したい事があるのですが今よろしいでしょうか?」

温泉施設の男性スタッフが、俺達の会話にさりげなく入ってきた。


あ、これって営業妨害にあたる会話だったか?


「おっと、申し訳ありません。ここのスタッフの方ですか?お騒がせしてしまったようで…」

光風指揮官が俺達の代わりに謝ったら、スタッさんはそれを静止して俺達に尋ねてくる。


「いえいえお気になさらず!会話を邪魔してしまい申し訳ありませんが、気になる会話が聞こえたので思わず声をかけさせていただきました。

そちらのお方は霊感をお持ちの様子なので、最近この施設に滞在している霊の存在について伺おうかと…」


「「⁉︎」」

姫野とろく助は、揃って驚いた顔を男性スタッフの方へと向けた。


「お、俺ですか!…まあ嫌な感じはしなかったんですが、最初に気づいたのはここの露天風呂巡りしてた時に、上空から一人誰かが眺めているような感じはしてましたよ?」


「それは本当か幹太⁉︎俺にはそこまで分からなかったぞ。」


「そりゃあ俺は兄貴と違って小さい頃からロルやそいつらと退屈をしのいでたから、その辺の気配は感じる事に慣れてるんすよ……それで俺にどうして欲しいんです?退治とかは俺も無理ですよ」


「いえいえ、さすがにそこまでは考えておりません‼︎

ただその霊が誰を探しているのか知りませんが、最近よく女風呂の方に姿を現す出来事が多発してまして!

他の女性客様がたからクレームが立て続けに起きていますし退治は無理でも構いませんが、せめてその霊と接点を持ち説得していただければここではない場所へ立ち退いてくれるのではないかと思いまして……」

なるほど、平和的に解決できるのならそれに越した事はないかも知れねぇな。


「分かりました。兄貴達もそれで良いですか?」


「俺は全然かまわねぇぞ。でも一人だけってのもな…」


「わ、私とろく助ならお手伝いできると…思います。」

声を発すると同時に、俺達のそばにいた姫野達が姿をこの人にも見えるようにした。


「うおわぁ⁉︎お!女の幽霊に男の子の幽霊が‼︎」

スタッフは思わず腰を抜かして座り込んでじまったかが、無理もねぇな…


「あわわ‼︎驚かせてごめんなさい⁉︎」


「は、はい……霊なのに会話できてる」


「お姉ちゃん、少し顔を出すのが早かったね。」


「うん…でも!私達みたいに未練が残ってて彷徨ってる人がいるなら、話し相手くらいにはきっとなれるはずだから!

仁兄さんか幹太さんがその人の場所を言ってくれたら、そこに向かって飛んでいけますよ?」


「それは心強いな。俺ではそこまではできねぇけど幹太はどうだ?居場所は分かりそうか?」


「ちょっと待ってて下さい?……」

目を閉じて、気配を探すため集中し始めた幹太。


「…見つけた。ちょうど姫野とろく助の真後ろ」


「私達の後ろ?……うそ!こんな事って⁉︎」


「お姉ちゃん!この人ってもしかして⁉︎」


「「厳蔵(げんぞう)さん⁉︎」」

二人は同時に、この男霊の名を叫んだ!


「(…久しいな、姫野にろく助。やはりお前達も人の世に残り続けていたか)」

そこにいたのはなんと、陰陽師のドラマとかに出てきそうな袴姿をした男だった!


幹太の年齢に近い様子のその男は、ゆっくりと俺達の所へと近づいて来る。


「後ろから…でで、出たぁぁ⁉︎」

男性スタッフも後ろにいるとは思わなかった為か、酷く動揺した。


「ねぇ真矢。あの人の格好って変わってるけれど、なんなの?」


「ミューラ、私も正直分からない。」


「私は分かるわ!あれはきっと、かつて戦国時代の武将達が習慣的に利用していた祈祷師や占い師の類いね?」


「流石は明音!歴史物を調べる事に夢中だった事だけはある。」


「んもう、茶化さないでよ直毅!」

スゲェ探究心だな?相田。


「は!はいそうなんです明音さん‼︎実はこの人、祈祷師の仕事を辞めて私達の住む村で暮らすようになった…私と祝言をあげた旦那なんです。」


全員「えぇーー⁉︎」


「(どうも…)」

あ…今のままだと俺とシアン、幹太とロルしか満足に霊の声が聞こえないんだった。


「そうだ!みんなちょっと待ってろ……姫野、その人を俺の側にまずは連れて来てくれ。」


「あ‼︎…そっか、私達の声を聞こえるようにしてくれたのと同じですね?分かりました!さぁ厳蔵さん、皆さんに貴方の声を聞いてもらえるようにしてもらうからこっちに来て?」


「(む?姫野、そんな事が可能なのか?見た所、俺と同じ呪術師には到底思えん者ばかりだが…まあ良い。)」

優しく姫野の手に引かれて導かれるように前に来たそいつの口に、俺が空気中に舌と書いた場所を手で押し出す格好にして当てがった。


「ブモッ‼︎⁉︎な、何をする!…ん?声が」


全員「おおー…」


「わ、私にも声が聞こえてきました!これは、ドッキリの仕掛けとかでは無いのですか?」

男性スタッフは、少し混乱気味で俺に尋ねて来たのでやんわりと…「ちがいますよ?現実です。」とだけ伝えた。


顔面蒼白となって、近くの椅子に座り込み気絶してしまった男性スタッフ。


「今世の男はこんな事もできるようになったのか…さながら、陰陽師に近い真似をしてくれる。」


「ううん…仁兄さんだけしかこんな真似しないから、そこは勘違いしてはダメよ?貴方」

なんて言うか、うん…本当に夫婦の会話だなぁ。


「そうか。摩訶不思議な事もあるものだな?それでは仁殿に感謝の気持ちも込めて、敬意を払い名乗らせて頂こう!

俺の名は菅原厳蔵(すがわらげんぞう)。祈祷師として働いていた者であり、隣にいる姫野の夫になったその日に野盗どもに殺された者である…皆、よしなに頼む。」


「お、おう。」


「厳蔵さん!ひょっとして僕たちの事、ずっと探してくれてたの?」

ろく助は嬉しそうに厳蔵の周りを飛び回っていた。


「そうだろく助。俺も死んだ後は長い間、お前達があの世に行かずにまだ近くにいないかとずっと探していた…もしかしたら悪霊になっているのではないかと心配していたんだぞ?」


「そう…だったのね。私達を探すためにこの世に残っていてくれてたなんてとても嬉しい!じゃあこれからはずっと、一緒に過ごしましょう?」


「ああ。だが何年も居残り続けては俺も悪霊になりかねない…意識がある今のうちに、共にあの世に行くぞ」


「あ~……えっと」


「ごめんなさい貴方。実は私達、既に一度悪霊になってたの…」


「それはまことか‼︎すまん、俺がついていながら…」


「良いの。昔にお祓いしてもらえたおかげでこの通り!まあ、ちょっと他の霊達と一緒になっていたずらして遊んだりはしてたけどね?…テヘ」


「姫野……相変わらずなのは嬉しいが、わざわざめんこいしぐさをするな!だがどうしたものか。俺達はどうすればあの世へと行けるのか今となっては分からなくなったぞ?」


「うーん、僕はまだこの人達のそばにいたいなぁ?だって楽しいもの‼︎」

ろく助は俺や幹太。そして、シアン達を見て厳蔵に向けて告げる。


「そうか…正直俺はこの時代になってから目覚め、実に驚かされた。

ここの建物でお前達の一部始終を見た時は、この目を疑ったぞ! [あの小人]と、共に生活できる時代に変わっていたとはな…」


「私も最初そう思ってた。だからこそ今のうちに交流を深めても良いかなって思うの……って、ちょっと待って貴方!

もしかして上から私が他の皆とお風呂に入ってるところをずーっと見てたの? 一切私に声をかける事なく?」


女性陣「何ですって~‼︎」


「うぐっ⁉︎ま、待て。やましい思いで見た覚えなど一つも無いぞ?ただ話しかける時期をずっと伺っていただけで別に覗いてたわけじゃなくてだな‼︎」


「厳蔵さんの…どすけべーー⁉︎」


全員「うわぁーー‼︎」

姫野のポルターガイストにより、床の上にいた俺達は全員浮かび上がって勢いよく下にたたき落とされるかのような、不思議な感覚がした。


「ひゃん♪あん♪」

だが、俺の体が地面へと当たる事はなかった。


その代わり、何やら両手に吸い付くほど柔らかい感触の[何か]を軽く掴んでいた俺は、その声の主があかりである事に気づく…


「あ、すまんあかり‼︎待ってくれ。これは…」

俺は触っていた場所から手を慌てて離す。


「えへへ!そんなに私の体触りたい?仁君…良いよ?もっと触れて。」

あれ?なんか俺の手を掴んで、あかりが自らの下半身へと運んでますけど?


「ちょっとあかり⁉︎こんな所で仁とエッチィ事なんか!あわわわ⁉︎…えーい!」


「ぶへぇ⁉︎」

俺はシアンによる全力キックを、もろに顔面にくらって床へ仰向けとなった。


「仁の…仁の‼︎ドヘンタイーー⁉︎」


「ちょっ!待てシアン⁉︎…おぎゃーー‼︎」

シアンから受ける愛(?)の雷撃が、俺だけに直撃した‼︎


「仁君…うへへへ。」

ややご満悦な顔をするあかり。


「…はっ!お客様方!これは何事ですか⁉︎」

男性スタッフは突然沢山の物が落ちるような音が聞こえてきたせいか、やっと目を覚ました。

見るとそこには、雷に打たれ痺れたまま動かなくなった俺の姿と床でのろけ顔のまま寝転ぶあかり。


そして、スタッフが倒れる前に見た男の霊がなぜか女の霊に馬乗りにされて往復ビンタを顔に打たれ続け、そばにいる男の子の霊は叩かれている男性霊をじっと座って眺めている。そんな光景だった…


「これは一体…」


「いやぁスタッフの方!お騒がせしてしまい誠に申し訳ございません。あの霊達は私どもが責任を持って外に連れて行きます…

施設内で壊れた所の弁償は我が社でさせて頂きますので、どうかお許しください。」

光風指揮官は普段からしのばせていた名刺と、自社の受付電話番号を書いた紙も一緒にスタッフへと渡す。


「えっ?は、はい…」

何が何やら分からないといった感じで、男性スタッフは彼らの呼びかけによってビンタを慌ててやめてから顔の膨れ上がった男性霊と、子供霊を隣に立たせたた女性の霊。


そして、床でよだれを垂らしながら寝そべっているあかりと、シアンの雷に打たれて痺れていた俺はそれぞれ正気を取り戻す。

全員で申し訳なさそうに頭を下げて深々と謝ってから、速やかにこの温泉施設から退出した。



「あのお客様方は、本当はどこかの超能力者団体なのだろうか?」

男性スタッフは彼らが出入り口から見えなくなるまで見届けたあと、手元に残った[電子光学株式会社]と明記されている名詞と電話番号をそれぞれ両手に持ち、そう呟いていた…



騒動を起こした後団体バスに乗って食事処を探す事にした俺達は、今日姫野やろく助と再会を果たせた厳蔵と共に、車内での反省会をする羽目となる。


「あー諸君…とんだ慰労のひと時になってしまったが、それぞれまだ思うところはあるだろう。

今後は極力感情に左右され過ぎず、各自で協力し合い事に当たるよう心がけてくれ……そこの幽霊夫婦もちゃんとみんなに謝っていただきたい。」


「「「もうしわけありません…」」」


「うむ…よし、我らは会社に一度戻るとしよう!須上君達と相田さん達はこのまま私達と共に来てくれ。禅内君達はどこで降りたいのかな?」

そう言われても、腹一杯食える所なんて俺もなかなか知らないしなぁ。


「…兄貴。俺[あの店]が今どうなってるのか気になるんで、そこで降りても良いですか?」


「私も‼︎」


「まあ、俺も幹太と真矢同様にあそこの事は気になるがよ、まだ立ち入り規制とかされてるんじゃねぇか?」


「「⁉︎」」

銃声音もそこで響いていた事を考えると、そんな扱いを受けても不思議はないはず…


「ふむ…安心してくれていいとも禅内君達!今は休止中の紙を警察官が代わりに貼っているだけのようだから、規制はかかってはいないそうだ。良かったら、寄ってみようかい?」

光風指揮官は片手に持っていたスマホでの情報網を使って調べ、俺達に立ち寄りが可能であることを教えてくれた。


「「良かった‼︎是非!」」

幹太と真矢は共にハイタッチして、喜びの気持ちを表現した!


「それなら俺もそこで降ります。シアンやあかり皆も構わないか?」


「大丈夫よ?仁君!」


「問題ねぇぞ禅内。」


「うん!そこなら私達も大丈夫かな。」

おっさんとあかり、他の皆も賛成してくれてるようだ。


「決まりだな…では指揮官、その店に寄ってから俺達は帰ります。」


「分かった。禅内君、時間の空いた時で構わないのでバスを降りる前に後で君へ渡す物を是非見てくれ!きっと気にいる事だろう…」


「えっ?はい、ありがとございます。」

そういやそんな話もあったよな。無性に気になる!


「あかり。仁ったら子供みたいにソワソワしてるよ?」


「仁君もやっぱ男の子ね?フフッ!」


「悪かったなぁ…ぶつぶつ」


「「拗ねない拗ねない」」

相変わらずのやりとりをしている間、もうすぐ俺達は[あの店]前に到着する。


おっさん達を先頭にあかりから幽霊家族までゆっくりと先に降りていく中、俺は光風指揮官から小さい箱を手渡され、須上達と別れの挨拶をしてから最後に地面へと降り立った。


俺達はバスに乗っている彼らに、揃って手を振り見送る。その後張り紙が貼られている店の扉を開けて中の様子を覗いてみると、思ったよりも道具類や座椅子などが綺麗に整っていた!


「すごい…ここがやすべぇの作ったお店なのね?」

フィックは両目を輝かせながら、店の至る所にある物全てに目移りしていた。


「おっ?真矢、火と水両方使えるぞ?」


「幹太、こっちもまだ食材がある!これなら私達で作れそうね‼︎」


「おお⁉︎まさか自分の娘と幹太君が作る料理が食べられる日がくるたぁ、良いもんだな!」


「えへへ!でもお父さん?一応私達はこの店の従業員で、ここを開けちゃったわけだし…タダじゃ出さないよ?」


「む、娘が父親の金で稼ごうってのか⁉︎…がはは!こいつはやられたぜ。良いぜ?喜んで客として食ってやらぁ⁉︎禅内達もそうするよなぁ?」

おっさん目が座ってるっつの…もとよりこちらはそのつもりだったし。


「当たり前だろ?おっさん。俺も幹太達がその話をしてきた時点で、そうなる事も考えてはいたんだからな?幹太、つけ麺一つ頼む‼︎」


「了解っす兄貴!真矢、一緒にやるぞ‼︎」


「うん‼︎」


「つけめんとは…初めて見る名前の食べ物だな?姫野、ろく助。」


「そうね貴方。私達も食べれたら良いのになぁ?」


「お姉ちゃん、僕達って幽霊でもお腹はすくんだね…(グゥ~)」


「ははっ‼︎兄貴。今度試しに幽霊でも食事ができる方法を探してみます?」


「それは面白そうだな!」


禅内達は新しく共に過ごす幽霊の男…[厳蔵]と姉弟も食える方法がないかを空いた時間に探す事にした。


そしてここにもう一人…店主に会わせる為に連れて来たフィックを、真矢と幹太に頼んで連れて行ってもらおうかと禅内仁は考えつつ、頼んだ料理を美味しく堪能するのであった。

幽霊は水の多い所によく出没するとは聞いたことはありますが、現実でもやはり出るのでしょうか……霊感があるようなないような、曖昧な私です。


本日も見てくださって、ありがとうございました!次回の更新日は6月14日正午12時に致します。

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