帰郷
レイと別れたカインが、氷漬けされている男を見せ物扱いにされつつ観光客達からお金をもらっていた頃、リフト乗り場頂上の食堂にて、禅内はそこの食事を堪能していた。
「んめ~‼︎米うめぇ⁉︎」
あまりの旨さにテンション上げたまま、定食を食べていた。
「ははは‼︎アンタ、相当腹が空いてたんだな。いつから食ってないんだ?」
「んお?…今朝からだよ。」
「ご、ごめんなさい。お店が繁盛しすぎて休んでもらう余裕が無かったから…」
「ああ、別に構わねえよ。どちらにしても帰る金も稼ぐつもりだった訳だし。」
「良かった…あの、禅内さんはどこから来られたのですか?」
「俺は東京の秋葉原から来たんだ。」
「アキバ‼︎良いですね。私も是非、ブクマとか行ってみたいですぅ~!」
「俺達、何度か行ったことはあるがよ…あそこの買い物は戦場と言う表現が近いぞ?」
「せ、戦場…」
思いもよらない単語が出てきて、怯んでしまうミカ。
「…すまん。実は俺も今年に入ってから秋葉原に来た身だから、そういった事とは無縁の生活を送ってて知らねぇんだ」
「そうかよ⁉︎じ、じゃああれは!メイド喫茶‼︎あんな美人だらけの所も行ったことねぇってのかよ!」
「ああ…」
「「もったいねぇ⁉︎」」
「そうか?俺はそう思わねぇんだが…」
「お前まさか、彼女持ちか⁉︎」
「え~…ショック」
「か、彼女じゃねぇよ⁉︎…まあ、俺もそいつの事は気になるから、一応帰ったら言ってやりたい事はある。」
「そうか…俺達も、アンタの恋路を遠くから見守ってやるからな?チキショー!」
「お前も落ち着けや…」
「禅内さん、お金は今持ってる分しか無いですけどどこか泊まる場所はあるんですか?」
「ああ、心配ねぇよ。ぶっ飛ばして走りゃ今夜中に着くだろうし…」
「「「…車?」」」
おっといけね‼︎
「ちと違うが、早くは移動はできるんでな?……ふぅ!ごちそうさん。奢ってくれてありがとよ!食事うまかったぜ?」
「もう行っちゃうんですか?」
「…なんだいミカ。やっぱり仁君の事気になるんじゃないのかい?」
「れ、レイ⁉︎いつからいたの‼︎」
「あはは!『もう行っちゃうんですか?』って所からだよ?」
「んもぅ…ふんだ!」
ミカはふててしまったか。なんか真矢と似てるな。
あいつらにも心配かけちまってるんだろうし、連絡はしときたいが…あっ、スマホ持ってたの忘れてたわ。通知の確認っと!
…ウゲッ⁉︎100件も来てたのか‼︎
「わ、悪いお前ら。ちと東京の仲間に電話してくる…」
「おう、気にすんな。」
「彼女としっかり話しとけよ!」
「えっ⁉︎仁君相手がいたのかい?それは申し訳ない…」
「私にそんな気を遣わなくたって良いよレイ⁉︎ほら禅内さんも、気にしないで行ってきて下さい?」
「おう、ありがとなミカ。二人も!」
俺はスマホを片手に外へ飛び出し、一番着信回数の多いあかりにまずかけてみた。
呼び出し音が鳴り響く前に、すぐ応答があった‼︎
「仁君?仁君‼︎どうして電話にずっと出てくれなかったのよ⁉︎私や皆…特にシアンったら、泣きべそかいて帰りを待ってんのよ!」
「あかり~⁉︎泣きべそなんてかいてないからぁぁ! …ってか仁‼︎あんたどこにいんのよ⁉︎」
シアン、元気そうだな。良かった…
「あー…あかり。シアンも、心配かけて悪かった!俺は今鳥取砂丘ってとこに来てんだよ。」
「「う・ら・や・ま・し・い~‼︎」」
「どんだけ息ぴったりなんだよお前らは‼︎…これから帰るつもりだから、多分帰り着くのが深夜か明日の朝過ぎになるかもな?」
「だったら仁‼︎せめてお詫びとしてお土産買ってきなさい⁉︎てか、本当は私も行ってみたいんだからー!」
「私もシアンと同じよ仁君‼︎私達だけじゃなく、指揮官やエージェントの皆…それに須上君達や店長さん達も!皆本当に心配してたんだからね…」
あかりが電話先で、泣きじゃくってるのが聞こえてくる…俺はあかりにまで不安な気持ちにさせてしまってたんだな。
「(迷った時はとりあえず女は抱け!)」
(いやいやいや⁉︎なんでここであのオッサンの言葉を思い出してんだ俺はぁ‼︎)
電話先のあかり達に聞こえないよう声を出さないように身悶えていた俺の姿は、きっと見る人がいたら不気味さ全開だったかも知れない。
結局、あのオッサンは誰だったんだろうか?不思議と顔が思い出せなくなっちまってるし……まあ、今は皆にちゃんと謝る為に帰るか。シアンとも、きちんと打ち解けておかないとな?
「本当にごめんなあかり。今からここで知り合った連中に別れを告げてから帰宅するからよ?皆と連絡がとれるなら、ついでに伝えておいて欲しい…」
「あ、当たり前でしょ‼︎…待ってるからね」
「ん?どこで待つ気だあかり。えっと…シアン、昨日は悪かった!」
「わ、私もごめん…なさい」
「おお…じゃあな?」
通話を終えて、彼らがいる食堂へと戻るとそこには…凍らせていたはずのアイツが彼らの前で立ったまま、動かないでいた。
「氷を解いたのか?まあ、凍死されるのは勘弁だしな。」
「…禅内さん。お帰りなさい」
ミカはもちろん、残りの二人もこの男を見て怒っているようだが、どんな会話をしてたんだ?
「あ!お前まだいやがったのか。失せろよクソが‼︎俺の邪魔すんじゃねぇ⁉︎」
「おいコラ良い加減にしろよ廉‼︎いつまでもしつこくこの娘や俺達を困らせんなや!」
「凱さん…」
「凱の言う通りだ‼︎毎回毎回テメェの鬱憤晴らしの為だけに付き合わされてる俺達の気持ちも知らねぇで‼︎なぁカイン、なんでコイツを上にあげたんだよ‼︎」
「悪かったよ俊…解凍が終わってすぐ、コイツは俺に [アイツらとあの娘に謝りたいから、すぐに連れて行ってくれ!]って言ってきたんだ。
初めて必死に頼みこんできたから、やっと心を入れ替えてくれたんだと思っちまった途端これだよ!」
「…お前、救いようがないほどのダメ野郎だな?」
「んだとコラぁー!」
「ここじゃなんだから、外にこい!」
「てめっ‼︎は、離せー⁉︎」
「禅内さん⁉︎」
初めて俺は、自ら相手を殴り付ける為に野郎を強引に外へと引きずり出し、敷地の所へと放り飛ばした!
ミカ達は、俺の後ろにある入り口の外まで様子を見にきている。
「ぐぇ⁉︎…な!なんだよそのバカぢからは!」
「うっせぇよ。」
「ぐへぇ⁉︎」
そして立ち上がってきたそいつを、かまうことなく蹴りつけた。
「…俺はな、どんだけ些細な事でも必死に取り組んで、手探りながらも自分の生き方をなんとか見つけようともがいて今を過ごしてきたんだ。
だがお前はどうだ?駄々をこねるだけで身近にいてくれる奴の存在に甘えてるだけだろうが‼︎」
「う、うるせぇなぁ‼︎何をやっても理想通り考えていた結果すら出せない…俺みたいな報われない奴の気持ちなんか、てめぇにわかってたまるかよぉ~⁉︎」
俺はコイツの繰り出すパンチをまっすぐ片手で受け止めてから、気づいたことを口に出す。
「まさかお前、自分の力量以上の事を望んでるんじゃねぇのか?正直そんな理想通りの人生なんて俺だってできた事ないのによ、無いものねだりにも程があんだろうが…
都合の良い夢を見る事は俺も止めることはしねえ。だがな?身近にある目標すら果たせねぇ奴の言葉なんか、誰が聞くかよ!」
「…‼︎」
反論する意思すらなくしてしまったコイツに、これ以上言う事なんてあるのだろうか。
「なぁ廉。ちゃんとその人…禅内さんとこの娘にまずはちゃんと謝ろうや?」
「俊の言う通りだぞ。今は迷惑かけた人達に謝ろうぜ?俺達も一緒にいてやるからよ!」
「…俊、凱。」
「…ったく!お前がさっさと素直に認めようとしねぇから、今日まで無駄な時間を過ごしてきたんだぜ?廉。
どんだけお前を水攻めにして懲らしめてやりたいと思っきた事か…」
「カイル…お前ら」
「廉さん。言っときますが私は謝ってもらったとしても、簡単には許しませんからね!
そんだけこっちは怖い思いをしたんだから当然です!」
「ミカ…」
レイも、静かに事の成り行きを見守っていた。
「す、すみません…でした」
「…ふんだ‼︎」
「まあまあミカ。」
「全く、大変な目にあったぜ…だが、後のけじめは自分で考えて決めなよ?俺もそこまで面倒は見たくねぇ」
「ありがとうよ禅内さん!廉の奴を説得してくれて」
「俺からもありがとう!俺ら二人じゃ、どうして良いかよく分からなくなっていたからな。
俺達はこの廉を連れて、どこかのホテルで泊まる時に一度きっちり話し合っとくから心配しないでくれ!」
「分かった」
あとは連れの二人に任せとくか。
となると残るは彼女だけだな?
「わ、私の家は流石にまずいですよ…ねぇ?」
「まずい。非常にまずい!申し出は嬉しいがごめんな」
「いえいえ⁉︎謝らなくて良いですから‼︎ではその…おやすみなさい。良かったら明日の朝、また店に寄って是非食べに来てみてくださいね?」
「分かった、必ず寄るよ。おやすみ…」
ミカとレイは揃ってお辞儀した後で、駐車場に置いてある赤い軽自動車に乗り込んでいった。
「後は俺か…さて、この金だけで泊まるべきか。だが下手したら野宿か?」
「…この近辺にそんな高いホテルはねぇよ。」
「あっお前は確か…」
「カインだ。一応覚えておいてくれ…」
「そうかカイン。俺は禅内仁だ」
「ああ、あいつらからチラッと聞いた。それより…ほらよ!」
「重っ⁉︎なんだこの小袋……金だと?なんでこんな大金が!」
「気にすんな。とりあえず迷惑料とでも思って受けとってくれ!まあ本当は、何故か氷漬けにされてたあいつが見せ物になってくれたおかげで、勝手に入手した金ってだけだがな?」
「こんなにいっぱいの金、運ぶのしんどいんだが?」
「問題ねぇだろ?それだけあれば旅館の宿泊と飛行機に乗るくらいの額は余裕で使えるはずだし!
とにかく、使ってくれよな?んじゃ…」
「えっ⁉︎ま、マジかよ‼︎」
俺は少し困惑していたが、実際シャワーか風呂にでも入りたかったのは確かだし…
その好意に甘えさせてもらうとしよう。
丘の上に旅館もあったので一晩はそこで過ごす事にしたが、フカフカな布団で寝るなんて本当に贅沢な限りだぜ…
翌朝
「……朝か。さてと、起きるか!」
俺は顔を洗い、そのまま砂だらけの服を洗う間、旅館の人からもらってた古着に着替えて食事を取らせてもらった。
…うん、やっぱうまい!
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしています…」
旅館を後にした俺は付近にある土産物コーナーに行き、手頃な菓子類を手当たり次第に買ってからリフトで下に降りたのだが、そこで見た意外な光景に驚いた‼︎
ミカ達と三人「いらっしゃいませー‼︎」
「えっ⁉︎お前らなんでいんだよ⁉︎」
「あ‼︎禅内さん。おはようございます!えへへ…この人達が働きたいって事で、手伝ってもらってるんです!」
「何がどうしてそうなったんだか…」
「それはこのバカ主から直接聞いてくれ。」
呆れ顔を隠さないで話すカイン。
「あー…実はよ、あの夜この二人と一緒にホテルへ泊まったまでは良かったんだが、意外と高い金額だったんでな?
やむを得ずバイトで金を稼ごうかなと思った訳で。」
「「ハハハ…」」
「…それでミカに、『ここで働かせてもらえないか?』と三人揃ってお願いしに来ちゃったんだって。」
最後は何故か、レイがまとめるような言い方をした。
「私は正直複雑ですけど、まだ手のマメが潰れたままで痛いですし…やむを得ず一緒に働いてもらってるんですからね!」
そう言ってる割には、どことなく嬉しそうだよな?
「お、おう。とりあえずまあ喧嘩しない程度に…な?」
「はぁーい。じゃあ禅内さん?そう思ってくれるんでしたら、早速買って食べてって下さいよ!」
「分かった。じゃあそうだな…レモン味ってのをもらおうか?」
「毎度あり~!ほら廉さんさっさと回して‼︎でも乱暴に回さないでよ?」
「お、おう⁉︎」
うわぁ…鳥取の女って度胸がつくとなんか強ぇなぁ!
「頑張れよー廉!」
「次は俺達が回すんだからな?」
コイツら、なんだかんだで楽しそうだな?
しばらくして、細かく砕かれた氷の上にレモン色のシロップがたくさんかけられていく。
書かれている代金を支払うとミカが先端の広がっているストローをさして手渡してきた。
「さあ、召し上がって下さい?」
「~~⁉︎頭にキーンときたぁ!でもうめぇ。」
俺はバクバク食っては頭の痛みと戦う格好となった。
「あははは!それがかき氷の醍醐味ですよ禅内さん!いずれまた、この鳥取に来てくださいね?
できれば今度は仲間さん達と[普通]に、乗り物を使って来てください♪」
「げっ⁉︎なんでそのことを…」
「禅内さんなんでしょ?この動画に映ってた[空を駆ける男]は!」
ミカは自身のスマホを俺に向けて来た!
「お、俺が映ってる⁉︎」
彼ら「マジで本物だったか…」
「禅内さん‼︎大声はまずいですよぉ!」
「わ、悪い」
俺はすでに平らげていたかき氷の容器を、店の隣に置いてあるゴミ箱へと正確に投げ入れた。
「…そろそろお別れしないとですよね?じゃあ、絶対お仲間さん達を連れてまた来てくださいね?禅内さん!」
「おう‼︎じゃあなお前ら!ちなみに、空港の方角ってどっちだ?」
「西に行けばありますよ。でも、空を駆けるのは控えた方が…」
「分かってるさ。ちゃんとバスとかを使って行くから心配すんな!なるべくあんな風に映されたくねぇし、後々が面倒だ…」
「だな」
「だねー。」
廉のガイダー・カインと、ミカのガイダー・レイが同意してくる。
「気を付けていけよ禅内さん!俺達も余裕が出来たら、また東京に遊びに行くからな!」
「廉の事ありがとよー‼︎」
「ほら廉さんも!」
「わ、分かったよ…禅内さん、また会ったら俺達と酒飲んで語ろうぜ‼︎」
「おう‼︎じゃあなー!」
俺は手を振りながらバス停に止まっていたバスへと近づき、空港行きなのを確認して乗り込んだ。
「おっ、あかりから電話か……悪いあかり。今バスに乗っててな?通話は控えたいんだが」
「あっ!ごめんね?てっきりまた空を飛んで戻って来るのかと…」
「そうしたいが、荷物のせいで両手が塞がってんだよ。一応飛行機ってのに乗って帰るつもりだから、シアン達にも伝えておいてくれないか?」
「分かった…気を付けて帰ってきてよ?」
「ああ、ありがとな。あかり」
「は、早く帰ってきてよね‼︎じゃ!」
なんか慌てて電話を切ったなあかり。でもまあなかなか楽しい日々を過ごせたぜ!
空港に着いた俺は受付の人に東京行きのチケット代を払った後、早速飛行機へと乗り込んだ。
「今までは自力で移動してたが、こんなのもたまには良いもんだな!」
飛行機の旅を満喫しながら東京の空港にたどり着くまでに、あかりのスマホに『飛行機で乗って帰ってる最中だ』とメールで報告しておいた。
『分かった‼︎』…と速攻で打ってきたあかりの返事を見て、ずっと持ったままなんじゃねぇだろうかと俺は考えてしまう。
無事に東京の空港を出ると、なんとあかりやおっさん達はもちろん須上と相田、幽霊姉弟と一緒に浮かんでいる…目を直したフィック。
更に、ルウェンや光風指揮官率いるエージェント部隊までもが出迎えに来てくれていた‼︎
「…なんか、すげぇいっぱい出迎えの人数が多くね?」
驚きの余り、両手に持ってたお土産袋が下に落ちる。
「仁ーー‼︎」
「シアン、ただい…ま"ぁぁ~⁉︎ばばばば」
帰ってきていきなり電撃かよ⁉︎
「バカ!急にいなくならないでよ!一人にしないでよぉ~…うわぁ~ん‼︎」
そっか、俺がシアンをこんなに悲しませてしまったんだな。
「ごめんなシアン、もう勝手に離れねぇって約束するから…な?」
優しく両手でシアンを包み込み慰めていると、あかりも近づいてくる……そして!
パァン‼︎
「……」
空港の外だというのに、甲高く響く乾いた音が周りの空気を伝って響く。
後ろにいたみんなも、何が起きたのか分からなかった…
「あんた‼︎そんだけシアンを好きでいるくせに、なんでこんな事したのよ‼︎その子がどれだけあなたの事を思ってたのか、本当にわかってるの⁉︎
正直私もシアンと同じようにあんたが無事だって事が分かって安心して喜んでたけど、どうして逃げるようにあの場を去ったのか私には分からなかった!その事を思い出してたら無性に腹が立ったから、こうして引っ叩いたんだからね⁉︎」
あかりは俺に対して、強い憤りを込めてひっぱたいてきたのだ!
「ま、待ってあかり!仁は悪くなんてない。」
「いやシアン、あかりの言う通りだ。俺はお前の気持ちなんてまともに考えられなかった。
シアンと一緒で、考えるのが怖かったんだ…人間は人間としか結ばれないという事実は変えられない…
だからと言って、シアンが俺に好きと言う言葉を俺は曖昧に返したくねぇ。」
「…じゃあ、仁君は今どうしたいの?」
あかりは感情を抑え気味にして、静かに俺へ問いかける。
「できることなら、俺はシアンが人間サイズになって隣にいて欲しいと考えてる。」
「じ、仁…!」
シアンは更に感極まって泣き顔で崩れていき、気づくとあかりの目にも涙がうっすらと浮かんでいた。
「…私じゃ、ダメなの?」
「あかり?」
「本当は私もね?シアンなんかに負けないくらい、仁君の事が好き‼︎あなたの事だからすぐに決められないでしょうけど、それでも良い!
振り向いてもらえるまで、今日からあなたが音をあげるくらいアプローチさせてもらうから覚悟しててよね‼︎…それからシアン!」
「は、はい⁉︎」
大声で名指しされたシアンは顔を上げて、俺の横で直立姿勢になった‼︎
「もしアンタが人間サイズの大きさになっても、またはそうでなかったとしても、私もあなたに負けないくらい仁君の側に近づいてやるんだから!いつだか私に言ったでしょ?[譲らない]って。
私もその台詞そっくりそのまま返すわ!あなたには絶対譲らない‼︎」
「…うん、ありがとうあかり。そう言ってくれて私は嬉しい!でも私も決めた!ガイダーだとしても、一人の女として仁の事は渡さない!だから、今日から勝負よ‼︎」
「あれ?俺、なんで修羅場みたいな状況に陥ってるんだ?なあみんな…」
視線をふとシアン達の後ろにいる彼らに向けると、彼らは揃ってにやけ顔のまま我関せずと言わんばかりに、それぞれが目線を合わせないようにしていた!
(う、ウソォー⁉︎お、俺なりに真剣に悩んで気持ちを打ち明けたのに、余計大変な事になってきたんだが⁉︎
この先どうすりゃ良いんだよ…)
かくして、あかりとシアンが恋のライバルとして、禅内仁をかけた勝負へと発展する事態となった。
禅内仁の苦悩は、解決できる日が来るのであろうか?
禅内仁が東京に戻るまでの間に、ほぼ一睡もしていなかったであろうシアンとあかり。
彼と会えたことによる安堵からか、二人の感情は色々と爆発したのかも知れませんね…
次回の更新は、6月11日の午前11時にいたします!




