表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/59

想う心

時刻にしておよそ深夜02:00頃、禅内仁が行き先をつげずに突然飛んで行った事に対して、全てが片付き出動していた者達を含めた全員が、その事を聞いて困惑している。


「みんな、ごめんなさい…ヒック!私の態度のせいで仁の事、傷つけちゃった…ヒック!」

自分以外の女性からアプローチを受ける禅内仁をそばから眺めるだけで、今まで以上に嫉妬の感情が抑えられなくなっていたシアンは、その場で居なくなってしまった仁と周りの彼らにも謝りながら泣いていた…


「シアンちゃん…」


「シアンさん、そこまで仁さんの事が好きだったのね…」


「シアン。なんでこの時に限って、急に嫉妬したのよ…」


「う…」


「あ、あの…多分皆で脱出した時、私が変なことを口走ったからだと思います。」


「む?どういう事かね?姫野さん。」


「えっと、お姉ちゃんはね…」

ろく助と姫野。それぞれの視点で答えた話を皆で統合して出した結論は…


「…仁お兄ちゃん、姫野姉ちゃんにも好かれちゃったんだ。」


「お姉ちゃん、ここ最近仁兄ちゃんに惚の字だったもんねぇ?」


「い⁉︎言わないでよろく助~‼︎」


「本当の事じゃんー‼︎」


「まあ、仁さんは好かれてる事にはなかなか気づかない人でしたから納得だけれど…シアンさんも、どこか本心を言うのを躊躇ってる感じだね?」


「…そりゃシアンも躊躇うわよ。あたい達ガイダーは人間とは違って、死ぬ事はあっても寿命という概念なんか初めからないから、歳なんかとらないの。

何故ならマスター・ゼノン様から直接創られる存在だものね…

愛しい相手に先立たれて、自分だけ取り残される悲しい気持ちを理解してくれる人間なんてなかなかいないわ。」

ミューラもこれに関しては、共感する…


「…私とろく助も幽霊として過ごしていますから、あなた方の気持ちは分かります。ただ、これだけは知って欲しいです。

どんな境遇であれ、伝えられずに死ぬ事よりも伝えてから死ぬ事ではどちらが気持ちの整理をつけやすいかを…」


「伝えきってから、死ぬ…」

泣くのがやや収まったシアンは、その言葉を心に深くしまっていく。


今の自分は、本当に本心を伝えられているのか良く分からなくなっていたから…


「僕とお姉ちゃんは、生まれた時から仁兄ちゃん達の生きる時代が来るまで、人間とガイダーは殺し合いしかしない付き合いだってずっと思ってた。」


全員「⁉︎」


「それは本当なのかね?ろく助君‼︎私も歴史には詳しいのだが、500年前にそんな事が起きてる事までは知らないのだが…」


「マスター…この子の言ってる事は本当ですわ。わたくしも江戸の時代から長い年月を生きてきましたから分かります。

恐らく、時代ごとの権力者達がこれらに関係する公表を拒んできたのでしょう…その代わり歴史にはこう記されていますよね?[悪い人外の小人]という単語が。

それが私達、ガイダーなのです!」

ルウェンは今まで感情を剥き出しにして怒った事が無かったが、ここに来て初めて激しい感情を見せた。


「…ルウェン」

光風指揮官は、知られざる真実を自身のガイダーによって知らされショックを受けてしまう。


「ごめんなさいマスター。感情的になってしまいましたが、私は今の時代にいる皆さんがとても愛おしいのです。

そして禅内仁様…彼はもしかしたら、全てのガイダーの為に存在する方になるかも知れません。

彼ほどガイダーであるシアンさんを信頼し、愛しておられる方は到底先の世にも現れない事でしょう!」


「あ、愛⁉︎まま、待ってルウェン‼︎そんな言葉言われたら流石に私も恥ずかしすぎて何も言えないよ…」


「うぅ、シアンには負けるわ!仁君の事をそこまで思う事ができるんだから。私なんて…」


「まだ諦めるのは早いですよ?あかりさん。思い切り気持ちを伝えたら良いじゃないですか!

私たちも陰ながら応援しますしそれに、あの人が帰ってきてくれた方が私達も楽しいですから‼︎」


「…真矢ちゃん」


「正直私は譲りたくないけど、あなたと一緒にいるのは悪くない。それに私では仁のそばにはいる事はできても、あなた達人間みたいに子供は作れない…だからあかり!」


「ふぁい⁉︎」


「あなたがもし仁の事を好きなら、どうかお願い…私も負けじと側にはいるけど彼と付き合って欲しいの!

あいつと正面から向き合ってくれる相手は、私以外にも必要だから。」


「シアン…」

富士野は心の奥底に閉じ込めていた異性…禅内仁への好意を、静かに芽生えさせる。


女性陣「愛ですねぇ…」


「「⁉︎⁉︎」」

シアンと富士野は共に、熟れたリンゴの如き鮮やかな色に染まった顔へと変わり、共に慌てふためいた。


「あ、あのぅ…そろそろ私も会話に入って良いですかぁ?」


全員「あ。」


「あっ⁉︎ご、ごめん。あなたの事すっかり忘れてた…」

シアンが今思い出したかのようにフィックへと言葉をかける。


「わ!忘れないでくださぁーい‼︎」

先程助けたばかりの草ガイダー…フィックの存在を忘れていた面々は、それぞれ謝りながら目が見えなくて分からないでいる彼女の手を取り、自己紹介とガイダー達の挨拶。


幽霊の二人も、フィックに自己紹介を済ませた。


それと自分達エージェントの為に、この件に関して貢献してくれた禅内仁が実はガイダーと同じ、属性の力を手に入れて救ってくれていた事などを順序を立ててシアン達を通して伝えられる。


「信じられません…あのモグラの中で感じた属性ガイダーの力は全て、彼が使っておられただなんて!」


全員(だよな~…)

つくづく人間離れしていく彼に、驚くのをやめつつあったシアン達であった。


「仁、お願いだから絶対帰ってきて?私にちゃんと謝らせて!それまで信じて待ってるから…」

禅内仁が遠くに飛んでいった方向を見て、シアンは一人祈るように呟く。



今から時間は少し遡り、TV局の団体は無断で一軒家の家主である一般人の反対を押し切り、眺めが良い場所を陣取っていた。

空中に浮かび大きなモグラと戦う彼らを撮る事に必死である。


「~~~‼︎~~⁉︎」

呼び鈴を鳴らした相手を見に出ようと扉を開けてしまった男は、いきなりガムテープで口を厳重に巻かれロープ代わりにその部屋にあったコードで巻きつけられ、身動きを封じられたまま泣いていた…


「(ディレクター。いくらなんでもこれは流石にまずいのでは?いくらニュース放送以外に視聴率を稼ぐ為とはいえ、人のする事では…)」


「(黙れ!今良いところなんだ‼︎こんだけ眺めの良さそうな場所は使わなきゃもったいないだろ‼︎

心配せずとも、ワシら報道陣は何をしようが国と政治家に守られているから決して捕まりはせん‼︎)」


カメラの音声に入らないよう小声で伝え合う二人組の報道者は、表に待機している中継用の車から数種類のコードを伸ばして、本社へは[一般の許可取得済み]という嘘の報告をして流していた‼︎


報道の中継車内では、責任者であるディレクターの悪事にウンザリしながらも、命令通り情報を送り続けるスタッフ達がいた…


「まったくあのクサレ上司は‼︎このままじゃ、ただでさえ悪評である我らTV局が更に悪党に成り下がっている印象しか与えられないではないか!」


「先輩、いくら愚痴ったって無駄っしょ?俺らスタッフを含めて本社を丸ごと裏で牛耳ってる、[アノ隣国]からの監視官が指揮をとってるんしょ?簡単には動けねえって…」


「私…こんな事をする為にこの仕事に就いたんじゃないのに⁉︎」

足掻くのを諦めて無力感に満ちた新人の男性スタッフと、この仕事を選んでしまって後悔している女性スタッフが、自身の席でそれぞれ役割を果たしつつ不満を漏らしていた。


「新入りのお前達にこんな人でなしな事をさせてしまってなんといえば良いか、本当に分からねえよ。すまねぇ…」


「はぁ、もう良いッスよ先輩…正直こんなTV局の仕事、俺が辞めようとする前に俺の家族にありもしない話を報告して孤立させられちまってますからね?

せめてあのオッサンと、本社の悪事を丸ごと誰かが暴ける方法を見つけてくれりゃあ、俺もスカッとするッスけどね?」


「俺たちみたいな職業はいまや一般からの信頼関係が取れなくなる立場だものな。誰だってやってらんねぇさ!かくいう俺もそうだ…」


スタッフ同士のやるせない想いからくる、無念のやりとりが現場の一部で静かに行われていた…



シアン達の元から飛び去った俺はアイスロードで電磁波を程々に使いゆっくりと走りつつ、このスキル時に使っている伊達メガネと最近こっそり買っていたマスクをつけて風対策を軽くしたまま、西へと走り続けていた。


早朝の明け方、眼下に広がるのは人の住む都市や町、大小にそびえ立つ山々。

流石に、静岡にある富士山の高さまでは息が出来ないので上がらないが、幸いヘリや飛行機の姿は見えないのでありがたい。


「はぁ、何やってんだ俺…シアンが気持ち伝えたくても言えなくて苦しむ癖があるのを一番見てきたのは俺だってのに!でも、今更すぐに引き返すのもなんか気難しいしなぁ。」

どこに行こうかと考えながら滑ってると、俺が進む方向の上を突き進んでいく[とある乗り物]が視界に入る。


なんと、飛んでいる旅客機を俺は真下から至近距離で見る事ができた‼︎


「スッゲェ‼︎飛行機ってこんなにデカかったのか…乗った事はないから実物を見るのは初めてだぜ!」

思わずはしゃいで眺めていたんだが、すぐ異変に気づく事になる。


「‼︎…おいおいおい!なんか翼の右横にあるエンジンっぽいのが燃えてねぇか⁉︎この下は確か…うわ、マズくね?」

地理はよく分からないが、都会というか町が点々と存在していた。


(幸いまだ飛行機は飛び続けてはいるけど、いつ落ちるかわからねぇ。エンジンに広がってる炎を凍らせてから解凍すれば多分…)


俺がそう考えを巡らせている間に、目の前を飛んでいた旅客機の右翼エンジンのうち一つが、耳をつんざくほどの音を上げて爆発した‼︎


それと共に、風向きを操作する為なのか右翼には切れ目がある。操作部分の一部が先程の爆発により破損しているようだ。


「げぇ⁉︎どうすんだよこれ…このままじゃ町を離れることはできても目の前は海しかねぇぞ!」

混乱しながらも、なるべく旅客機の速度に合わせた速度に上げて周りの様子をじっくり観察しようと、顔を周囲へ向け続ける。


「あの壊れた部分だけを凍らせて整えてやれば、うまく飛べるのだろうか?」



同時刻、旅客機内のコクピットでは操縦士と副操縦士達が必死に打開策を考え続けていた…


「機長‼︎右翼第二エンジンが爆破しました!速度は変わりませんが、右翼側の補助翼の一部が破損!

空港まで安全に着陸できる可能性は極めて困難です‼︎」


「くっ、海に不時着するしかないのか。だが、僅かずつ右旋回をしかけている…もし海に入る前にそのまま陸地に降下でもしたら⁉︎」

最悪な展開を想像してしまう程に緊迫した空気が、コクピット内を包む…


「機長、正直賭けですが[あの砂丘]に不時着するというのは?」


「鳥取砂丘か…確かに海よりは客も降りやすいが、観光地で更に観光客も大勢いるのだぞ?運良く誰もいない中であれ、たとえまっすぐ進むんでも跳ね上がりそのまま着地失敗もあり得る‼︎」


「どうにもできないのでしょうか…」


「…運を天に任せて進むか、外部から何かの接触があればとは思うがそんな共倒れを望む機体は決して無い。ともかく最善は尽くそう!」


「はい…」



見るからにどんどん右へと逸れ続けていく飛行機を全力で追いかけながら見ていた俺。

今は海の方向に向いているみたいだが、このまま旋回が止まらなかった時を想像してみると背筋が凍った。


「あの砂の丘、人だろうかな?たくさん粒みたいなのが見えるぞ…こりゃ迷ってる暇はねぇか。

あの壊れた部分だけを、氷で補ってやろう‼︎」

だが考えてみたら、俺のスキル使ってるMPってどんなふうに減ってんだろうか?軽く開いて確認っと…


「え"MPの残りが50/800⁉︎ちょっとしかねぇ⁉︎…あれ?前回は600だった筈。」

またステータスのレベルが更新したってことか?どっちにしても、このまま何もせずにはいられねぇし!やるっきゃねぇ‼︎


俺は意を決して、ギリギリまで飛行機の右翼の壊れた部分へと接近する為ペースを上げた。


(間に合え‼︎)

下から見えたが、反対側の翼と同じように凍らせてから平らにすれば…強くその姿をイメージして氷で壊れた部分を覆いその形を少しずつ変えてやると、飛行機の旋回が止まった!



・飛行機内にて


「機長、奇跡です‼︎機体のバランスが安定…今ならギリギリ空港へと辿り着けそうです‼︎」


「おお!こんな事が起きるとは…まさに奇跡だ。直ちに進路を修正!鳥取空港に入港する‼︎」


「ラジャー!」

このトラブルからの解決と、緊急着陸として鳥取空港に降りる事などを乗客達にアナウンスで告げた機長達。


客用の席では、安堵と驚愕が入り混じっていた!


「良かった!私達、生きて降りられるのね?」


「すげー‼︎こんな奇跡ってあるもんだなぁ⁉︎」


「ねぇねぇママぁ?」

後部側にある右の窓席に座っていた小さい男の子が、窓の外を見ながら母親へと声をかけている。


「良かったあ~!…あら、どうしたの坊や?」


「あのひと、だぁれ?ずっとはしってるの…」


「えっと、何を言ってるのこの子は。人間が生身で空を飛ぶ…わ、け…うぇーーーー⁉︎」

禅内仁は、見つかってしまった。


客達「なんだなんだ?」

その女性の絶叫が周りの客達に聞かれてしまい、それが気になったその後ろに座っていた別の男性客も窓の外を見てみると…


「…大変だ!人間の男が小さい足場を作りながら並行して走り続けているぞ⁉︎」


全員「……は?」

一人また一人と、訝しげに外を覗き込んだら本当にいたのでそれぞれがパニック状態になった‼︎


中には手持ちのスマホで、撮影を始めた者もいる…


「⁉︎やっべ、何人か目撃者が増えちまったか。すぐに離れねぇと!」

その場から離れようとしたが、急に体が鉛のように重くなっていく感覚がして、彼はアイスロードを出したまま砂丘の付近へ目掛けてまっすぐ落ちていく。


「⁉︎⁉︎」

旅客機内でも彼が下に落ちていく姿が見えた為、騒然となった‼︎


彼はみるみる速度を上げて下へと滑り落ちていき、間もなく誰も足を運んでいない砂地に激突すると彼が感じた瞬間…まるで水の中に落ちて、柔らかい膜で包まれてるかのような感覚を覚えた。



「…なんだ?俺は間違いなくあの砂丘に向かって落下していた筈なのに。」

まるで別次元にでも入り込んだかのようだ。


「…よぉ、すごい目にあったなぁ兄ちゃん。」

後ろから不意に、男の声が聞こえて来た。


「!誰だよオッサン‼︎ここはなんだってんだ⁉︎」

見てみるとその男は、まるでホームレスみたいにみすぼらしい格好で、不精髭も伸び放題な年配者がいつの間にかそこにいた。


「おいおい。せっかく俺の次元に入れて墜落死から救ってやったってのに、間抜けた面見せてんじゃねぇよ?」


「[次元]?[助けた]?これは、あんたがした事なのか…そいつはどうもすみませんっした。おかげで助かりました!」


「おぉ!良いねぇ。謝罪と感謝がちゃんと言える若造なら、誰もが信じてついてってくれるぞ?…お前さんも、ガイダーの力を取得した奴らの一人か。」


「[も]って事は、あんたもか?他にもいるような口ぶりだが。」


「あー、まあ…そんな所だ。何人いるかなんて細かいことは俺も詳しくは知らねーよ?(教えられねぇんだが。)ところで、なんだってこの鳥取砂丘に落ちてくる羽目になったんだ?」


「鳥取砂丘っていうのかここは。それは、話せば長くなるんですが…」


「おう、構わん構わん。長年一人でこの次元を利用しながら暮らしてる俺には、ちょうどいい退屈凌ぎだよ!」

不精髭のオッサンが快諾してきたので、昨日の夜から今に至るまでの出来事を言える限り話し終えた。


「ははははは‼︎おまっ!それ、最高にすごい事してんじゃねぇか⁉︎単騎でエンセイモグラの両足を攻撃するだなんてな!」


「ええまあ…あの様子からしてとっくに仲間達が倒してる筈ですけど。」


「それも確かにすごいがよ、ガイダーの為に命を張って救出したり相棒の女ガイダーを好いたり。おまけに、仲違いしたはずみで住んでる東京から出て行くとはなぁ?そんな奴男じゃあまりいないぜ!」


「わ、悪いかよ!」

笑い続けてるオッサンに、俺は目くじらを立てて反抗した。


「ははっ!すまんすまん笑いすぎたわ。だがまあ…そんな青春ができる今なら、すぐに帰って仲直りのハグでもしたらどうだ?

案外、それで元通りになるもんだぜ?これは俺の体験談だがな……よし兄ちゃん!迷ったらとりあえず、女は抱け‼︎」


「うぉい⁉︎」


「驚きついでに怒鳴んなって。こちとられっきとした助言のつもりなんだぜ?」


「あ、あんたはなんで女付き合いが分かるくせに、一人でこんなとこにいんだよ?」

俺がそんな質問をした時、さっきまで飄々とした態度だったのが一変…切なくて悲しそうな表情へと変わっていった。


「……兄ちゃん、男は年齢に限らず後悔しか感じられない出来事がたくさん舞い込んでくるもんだ。

俺もそれで、妻と娘を失ったんだよ。ガイダーの暴走によってな…」


「‼︎…オッサン。」


「同情はいらねぇよ。俺が[アイツ]の心境をちゃんと分かってあげられなかった…その末路がこれだ!笑えるだろ?」


「笑えねぇよ‼︎」


「そうか……良いか兄ちゃん、人間だろうがガイダーだろうが女は女だ。同時に愛するこたぁできねぇ!

だが良い関係をつくりたいなら、どうしたいかを迷わず選べ‼︎それが最善な道に繋がる事だってある!」


「迷わず、選ぶ…」

いくつか俺も、心当たりがあったかも知れない…オッサンは俺の後ろに、ゲートらしき水の膜を作った。


「行け兄ちゃん。お前の事をきっと、その女ガイダーは戻ってくれるのを待っている筈だ‼︎そろそろ素直な欲を言ってしまえ?

なんなら、混浴でもしてイチャラブしちまうか?」


「⁉︎」

俺は思わず、以前自宅の風呂場で互いの裸を見て興奮していた事を思い出してしまい、赤顔した。


「おっ?その面は既に体験済みかぁ?やるとこまでやってんのかぁ!」


「そ、そんな真似できるか‼︎」

あの後、強烈な雷攻撃を食らって散々だったんだぞ…


「まあ、[アイツ]の雷攻撃は格別だったからなぁ?そんな気も失せるだろ。」


「そうそう……ん?(俺はシアンの雷については一度も口に出してない筈。)」

考え混んでる隙に、オッサンは俺を無理やり持ち上げゲートに放り込もうとしていた!


「うお⁉︎なんだよオッサン!急に持ち上げんなよ‼︎」


「騒ぐんじゃねぇ。このゲートは極端にMP消費する上、短時間で閉まるんだから…よ‼︎」


「どわぁーー⁉︎あ、あんた一体誰なんだよー‼︎」



名前を聞こうとした禅内仁は、ゲートへと強引に男に投げ込まれ、外の世界へと戻された。


「俺が誰だって?…未来の[お前]だよ。この次元は時の流れには干渉しないがな!

あとは頼みますよ?マスター・ゼノン様。できれば、シアン達みたいに人間と結ばれたい奴らの願いも叶えてやって下さいや…」


「…ムゥ、オ前ニハツクヅク世話ヲ焼カセラレルナ?[禅内仁]ヨ。善処ハスルガ、期待スルナ?」


「ハハッ!もちろん些細なきっかけつくりだけで十分ですよ。後は昔の俺次第ですし、別の次元軸となった今の俺とは無縁の平和な未来を通ってくれれば言うことは無いですから。

この俺の存在は間もなく消えるでしょうが、それで構いません。シアンも共に生きて過ごせる未来が、いつまでも続くのなら…」


「…ダカラオ前ハ、[ココニ居タ]ノカ。」


「……(ごめんな、あかり)」

かつて自分の為に全てを尽くしてくれていた妻が、娘と共に命を落とす…


そんな最悪な結末を迎えた未来を変える為、未来の禅内仁は別の次元軸となって動き始めた過去の己を心の中で祝福した。過去の己に選択の意志を持たせて…



その儚くも堂々とした姿を崩さぬまま、静かに存在が消えていく未来の禅内仁。

彼の姿に心を痛めながら、マスター・ゼノンは無言でその末路を最後まで見届けてのち、現代の次元軸へと戻って行った。

…見てくださってありがとうございます。未来の主人公が、過去の己とガイダーのシアンを「想う」姿に少し心が揺れ動かされそうになりました(T ^ T)


今度の更新は、6月7日の午前11時です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ