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救出成功

エンセイモグラに食われてしまった俺とシアンは、食道あたりを移動しているが一つ気がかりな事がある。


「まさかとは思うが、こいつの腹の所に例のガイダーがいるって言うんじゃねぇよな?」


「可能性は捨てがたいわね。お互い溶かされるのは正直嫌だし、さっさと見つけてなんとか帰りましょ?」


「だな。姫野達も探してくれているとは思うが、もし心臓とかにいたなら殺さない限り無理じゃねぇか?」


「うん。まずは行ける所まで行ってみよ?もしかしたら既に二人が見つけてくれてると思うから!」


「おう‼︎行くか。」



・所変わって、モグラの外にいるエージェントを含めた彼らは、今からどうやって禅内達を助けるか話し合っていた。


「ねぇ須上君‼︎捕獲案を取り下げる事はできないの?殺してから解剖すれば簡単に助ける事はできるでしょ⁉︎

どうすれば仁君達を無事に助ける事ができるのよ⁉︎」


「ふ、富士野さん落ち着いてくれ‼︎彼が食われてしまっては、俺も捕獲は断念する他ないって思ったんだ!

実際モグラは大食漢だから一日中食い続けて生きる動物だと俺が忘れていたのは、確かに申し訳ないと思ってる。

ただ、どこに彼らがいるか分からないままあれを討伐しても、禅内も巻き込まれかねない。

最悪、肛門から出てきてくれる事を待つくらいしか…いででで‼︎」


「富士野さん⁉︎そんな物騒なナックルで彼の頭をゴリゴリしないでーー⁉︎」


「骨ごと溶かされて出て来いって言いたいわけ⁉︎」


「あかり~。彼は雷のバリアも張れるかも知れないんだし、死ぬ事はないと思うよ?だから彼を離してあげなよ。」


「……もし出てこなかったら、せめて私がこの拳であのデカモグラを叩きのめして仇をとってやるんだから‼︎」

鋼鉄のナックルを胸の前で強くかち当てて、音を鳴らしていく富士野あかり。


「あかりさん、シアンさんとは違う意味で怖いね?ミューラ。」


「そうね。てか、あかりもいい加減仁にグイグイアタックして色気で落とすくらいしておけば良かったのに!

それで少しは、お互い一緒にいたいと感じるようにはなったんじゃないかしら?…誰かさんみたいに♪」


「…ミューラの意地悪。」


「…なんか兄貴が食べられてても、割とみんないつも通りに見えるのは俺だけか?」


「俺もそう思うぞ、幹太…まあ禅内サンならもしかしたら、奴の尻から何食わぬ顔をしてブリッ!と出てくるかもな!ん?…ぎゃあーー⁉︎あかりさんやめてくれぇ⁉︎」


「ま!待てあかりぃー⁉︎」

まだ気が立っていたのか、今度はロルに怒りの矛先を向けて殴りかかろうと走って迫り、ロルはモグラのいる方向から逸れるように逃げていく。


それを容赦なく、富士野あかりが後を追っていた…


「えーと、光風指揮官様?折りいってお願いがあるんですが…」


「皆まで言わなくて良いとも須上君。捕獲は私達も破棄し、禅内君達が無事に脱出して来たのを確認次第討伐する…以上だ諸君‼︎」


全部隊「サー・イェッサー‼︎」



・同じ頃、こちらはモグラの中にいる禅内達。どうやら次の場所に、ようやく辿り着いたようだ…


俺とシアンが進んでいくと、食道が終わりに差し掛ってきた。

目の前に見えるのは恐らく、胃袋と見受けられる。そこは様々な生物の骨があちこちに散乱しているエリアだった!


「じ、仁⁉︎人間の骨もあるわ!うぇ〜…」


「…ほ、本当に人間も餌として食ってやがるんだなコイツは!さっさとオヤジさんのガイダーを見つけ出そうぜ!泣くのはその辺にしてくれよ?シアン」


「うん…あれ?ねぇ、あそこにいるの姫野じゃない?」

胃袋の酸に満たされているだだっ広い水たまり。その先で、姫野が大きく手を振ってこっちを呼んでいるのが見えた。


「…仁兄さーん!シアンさーん‼︎」


「もしかして見つけた?」


「かもしれないな。上から落ちてくる酸の液に気をつけながら進もうぜ?」

宙を飛ぶシアンは上を気にして飛び、俺は足場に出来そうな場所を選びつつ、注意して進んでいく。


「姫野!もしかして見つけたのか?」


「あっ!はい。今その場所にろく助がいてくれてるのでそこまで案内します!」


「頼む!」

姫野の案内に導かれた俺達は、胃の終わり…腸への入り口に進んでいく。


弾力性が割とある肉の足場が、俺の歩く速度を妨げていた。


「う…臭い。仁〜、私ここ嫌‼︎」


「俺だってここの臭さはたまったもんじゃねえよ。ただ、このまま行くと肛門に行ってしまうんだろ?なら、ウ○チに混じって出るしかねぇんじゃね?」


「「それだけはイヤァーー!」」


「俺にどうしろっての!できるとしたら、コイツの中から穴を開けて無理やり出るしかねぇだろうし…って、姫野も幽霊なのにやっぱ嫌なんだな。」


「何言ってるんですか仁兄さん⁉︎私も見ての通り女子ですよ?嫌に決まってるじゃ無いですか‼︎」


「わ、悪い悪い…それで、ろく助の場所はこの先なのか?」


「ムゥ~!…そうですよぉ。あの子はへっちゃらみたいだけど!」

姫野は膨れた顔を見せながらも、ろく助の居場所を指でさし示した。


目線の先には足場と同様に、柔らかい腸の壁から不自然に生えている植物のツルが見えていて、ろく助はその横に立ち指をツルの中心へと向けていた。


「仁兄ちゃん!多分この子じゃないかな?まだ息がある!」

見るとそこには、まるで異世界漫画に出てくるエルフのように、新緑を想像させる色合いをした長い髪の毛を垂らし、太いツルから顔だけを表に出ている相手がいた。


女にも男にも見えるほど抽象的な顔つきをしたガイダーが、目を閉じたまま口を動かし始める。


「そ、そこに…誰か、いる…の?」


「おお!口が聞けて良かった。俺達はお前を助けにきたんだよ!やすべぇのオヤジさんと離れ離れになったガイダーってのは、まさかお前なのか?」


「やすべぇ‼︎彼は無事なの⁉︎お願い、私を連れてって!

この中にいる間に目が見えなくなっちゃったから、一人では出られないの‼︎」


「(女だったか…)お、落ち着け。俺だって今すぐそこから出してやりたいんだが、そのツルは燃やしてもいいのか?」


「う!それは、ちょっと困る…このモグラにこれ以上消化されないように巻いてるから。だいいち…」


「「?」」


「私今…裸なの。」


「「あー…」」

シアンと姫野は、すごく納得した様子で首を縦に振っている。


「仁兄ちゃん。僕達、見ないで助けられるかな?」


「お、俺も自信がねぇ…」


「ねぇ仁、氷で刃物を作って切ってみたら?」


「刃物ねぇ……こんな感じか?」

片手に持てる程の大きさにしたナイフに見えるものを、試しに作ってみた。


「「すごーい‼︎」」


「ちょうど良いじゃない仁!それならスパッといき…いやまって⁉︎えっと、ごめん。あなたのツルを切ったらポロリとかしないわよね?」


「す…する。でも、切ってすぐ外側だけを何かで固めてもらえば多分大丈夫…あなた達、全員ガイダーなの?」


「あ、ガイダーは私だけよ。私の名前はシアン、属性は雷」


「そうなのね。じゃあ残りは人間?私はフィック!見ての通り草属性のガイダーなの」


「俺は禅内仁、シアンは俺のパートナーだ。」


「私は姫野です。」


「僕はろく助だよー?」


「よろしくです。では、姫野さんとろく助君のガイダーは誰ですか?その方々が、先ほど氷のナイフを作ったり、炎を扱えたりするんですよね?」


「え⁉︎いやその…」


「ぼ、僕たちはえっと…」

姫野とろく助が言い淀んでいる内に、モグラの体内で異変が起きる。


なんと、胃のエリアがある方向から何かが流れてくる音が聞こえてきたのだ!


「きゃー⁉︎皆さんの中の誰でも良いので早く早く‼︎私を出して下さい![はなぞのタイム]ですぅ~‼︎」


「「はなぞの?」」

男の俺とろく助は分からなかったが、シアンと姫野は顔を真っ青にして絶叫する…


「「イヤァーー⁉︎」」


「仁⁉︎今は考えてる暇なんて無いわ!さっさとそれを切って連れて行くのよ⁉︎」


「仁兄さん急いで‼︎そうしないと呪い殺しますよ⁉︎」


「お、おおう⁉︎…おらぁ!」

素早く周りだけを切りつけてフィックのいるツルの中央部分だけを取り出し、続け様に氷でほどけそうな所のみ俺は凍らせた。


「お前ら、こうなりゃ肛門から出るが文句は言うんじゃねぇぞ‼︎シアン、それに姫野とろく助も俺の中に入っとけ?雷バリアを張って突っ走ってやる‼︎」


「「はい‼︎」」


「うん!」


「えっと?姫野さん達は人間なんじゃ…」


「詳しい話は無事に外に出てからにするぞフィック‼︎思いっきり飛ばして走るから、それ以上喋らず歯を食いしばっとけ‼︎」


「え?は、はい…ひぃやあぁーー⁉︎」

俺は、肛門めがけてアイスロードを作りながら全力疾走した‼︎


「(仁!狭いけど行けそう?)」


「行くしかねぇだろがぁ⁉︎…ってクソッ!さすがに狭すぎるぜ!

しゃあねぇ、モグラには悪いが便秘になっててもらうか。この氷で作った壁を置き土産にしてやる…オラオラオラオラァ⁉︎」

狭い通路に何重にも並べた氷の壁が、押し寄せてくる排泄物らしき濁流を強引に食い止めていた!


「今だ‼︎」


「ひぃーやあぁーー⁉︎」


「(ごめんねフィック。私じゃ代わってあげられないから我慢してね?)」

シアンは俺の中で謝罪の言葉を呟いていた…


同じ頃、エンセイモグラをいつでも討伐できるように備えていた全員が、標的に異変が起きた事に気づく。



「ーー‼︎ーー⁉︎」

辺りを二転三転と転がりながら、必死に何かを堪えているかのようにひどく苦しみ始めた!


「ガルルル!…って、何よあれ‼︎急に暴れ出したわ⁉︎」


「…なにかを我慢してるような体勢をしてるね?とりあえずあかり。彼は離してあげなよ」


「わ、わかったわよ…」

ナックルをつけてない手から、ロルを解放した富士野あかり。


「た、助かった…幹太ぁ!女怖いぃ⁉︎」


「よしよし、もう怖くねぇから。」


「ロル、おかえりなさい…後でこのあたいが慰めてあげるから今は倒すことに集中するわよ?」


「う、うう…ミューラ~」


「すっかり恋仲だな二人は。」


「そうね?でも今は…目の前の相手に集中しとこ!」


「おお‼︎」

真矢、幹太、ミューラ、ロルは他の彼らと同じく身構える。


「私にも、何かできる事があるかな…」


「心配しないで佳与。私がついてる!今度こそ、最後まで佳与の側から離れたりなんかしないんだから‼︎」


「(私だって、本当はお荷物だけなんてやだもん…)」

佳与も、今の自分にできる事を探そうと考えていたのだった。


間もなく、モグラのお尻にあたる部位から肉に無理やり穴を開けるような痛々しい音が聞こえてくる。


同時に、モグラの顔がまるで耐え難い産みの苦しみを更に越えたかのような雰囲気が伝わるほど、人には聞こえない声で絶叫していた。


「うわぁ…禅内君もしかして内側からかなりひどい真似をしてるのかしら?」


「お、お尻の中であの人は一体何を…」


「考えるな明音、シェーラ…同情したら気が滅入るのは明白だ。せめて安全に殺してあげよう…やるぞエンラ」


「うん、直毅!」


「禅内の奴、内側からえげつない真似をしてそうだな。思わずモグラの奴相手に情が移りそうだぜ…」


「ご主人様…私も同じです」

犬吹豪太とティーアも、困惑を隠せない状況だ。


周りが安全な所から様子を眺めるなか、ついに禅内達は外に脱出することができた!



「…おっしゃぁー‼︎外に出られたぜ!」


シアン達「(バンザーイ‼︎)」


「ふやぁ~…ばんざーい?」

すまんフィック。あとで光風指揮官達にお前を預けるから、もう少しのがまんだ!


「おおー‼︎流石は禅内君だ!無事に生還して来たぞ⁉︎」


「素晴らしいですわ‼︎とても人間技とは思えません⁉︎」


「よ、良かった…仁君!」


「あかりよかったね。これで心置きなく戦える…僕と手を繋いで?一緒に行こう!」


「‼︎…うん、一緒にやろう!フロット。」

富士野あかりとフロットが想いを一つにして触れあった時、以前のように強い光が辺りを照らし始める。


光が徐々に弱まるとそこには、半透明のバトルスーツと半透明のヘッドギア姿に変身した富士野あかりの姿があった!


「おおお⁉︎こ、これは…なんと美しく魅力的な姿なのだ。」

光風指揮官は目の前に起きた出来事を前に、驚きと共に称賛の言葉を送った。


「(あかり、また変身できてるよ!なんで⁉︎僕はただ、一緒に行こうと言って手を差し伸べただけなのに…)」


「…そっか、そういう事か!私やっと変身できる条件が分かったかも知れない!

これって、信じ合える相手と気持ちが一つになる時に触れ合うと、変身できるのよきっと‼︎」


「なるほどそうか‼︎だとしたら、俺とエンラが一つになった理由はやはり…エンラ!」


「ウン直毅!僕はいつでもいけるよ!また…一緒になろう?僕は直毅と共にいるんだから‼︎」


「ありがとう…エンラ‼︎」

こちらでも手を取り合うと、強い光を放ち始める。

光が収まり、暁色をしたバトルスーツを着た須上直毅がそこに立っていた。


二人もまた、富士野あかり達と同じく[絆の覚醒]を、こうして再び発動させる事ができたのである。


「やるわね須上君‼︎…それでえっと、飛ぶにはどうしたら良いの?」


「実は俺も何故飛べたのかは分からない。だが、その場から離れる事に意識して飛び跳ねたのは間違いない…こんな感じでな?」

須上は上に逃げるようにジャンプすると、そのまま落ちる事なく上へと上がり始めた。


「…分かった!じゃあ私は、試しに浮かぶイメージだけしてみるね?」

集中してイメージすると、あかりは見事に宙に浮いていた‼︎


「わーい‼︎飛べたぁ!」


「私達も、直毅の横に並びたいね?シェーラ…」

置いてけぼりにされた気持ちになり、寂しそうな顔で上を見上げる相田明音を、シェーラは明るく笑いかける。


「並ぼうよ?一緒に。私達ならきっと大丈夫だよ明音‼︎私はいつだって、あなたの側に居るから…」


「シェーラ…」

二人は共に見つめ手を取り合うと、こちらも強い光を放った後、濃い海の色を連想させるバトルスーツに身を包んだ姿へと変身した‼︎


「嘘みたい‼︎本当に出来ちゃった!…これが、今の私?」


「(良かったね明音!これで直毅さんの隣に立てるよ!)」


「ありがとうシェーラ‼︎…一緒に行こう?」

相田も、二人を追いかけるように上へと登っていく。


「「きれい…」」

真矢と佳与は、3人の飛ぶ姿をその目に焼き付けて魅入っていた…


「なんだ?あかりはともかく、須上と相田まで[あの姿]に変身してるって何が起きてるんだよ…」


「(3人ともすごいよね、仁‼︎)」


「(カッコいいーー‼︎)」


「(こんな光景を見る事ができるなんて、幽霊生活も捨てたものじゃないかも!本当なら、早く成仏できれば良かったんだけど…)」


「心配すんなって姫野!俺達と一緒にいれば、そのうち楽しくて心が晴れるかもだぜ?まずは、あのモグラ野郎を頭を蹴り付けて地面に伏させてやるか!

そのままの流れで俺は地面に、作った俺が凍らせたままの水に飛び込む‼︎仕留めるのは多分、他の連中でもいけるだろうしな。」


「(は、はい‼︎これからも、末長くよろしくお願いします!)」


「(お…お姉ちゃん?少し何か違ってない?)」


「(……)」

シアンは何故か急に喋らなくなった。


「ん?シアンどうした?」


「(…なんでもないわこの女垂らし。さっさと下に下ろしなさいよ!)」


「そんな発言、俺はしてねぇだろ⁉︎とにかくすぐに降りるからその事については後で話そうぜシアン?」


「(……)」


「(また無言かよ、なんだってんだ‼︎)」

内心苛立ち始めた俺は八つ当たり感覚もあってか、大きな弧を描きエンセイモグラの頭、およそ斜め後ろの上を陣取ると真っ直ぐ突っ込んでいく‼︎


「オルァーー⁉︎」


「ー⁉︎」

頭の後ろから強い衝撃が伝わって、地面に縫い付けられる格好で動けなくなったエンセイモグラ。


「氷を割って中に入るぞ!フィック、口を塞いどけ‼︎」


「う…ウン~~‼︎」

蹴り付けて割れた氷の層に俺は手で触れると、全て水に変わっていった。


その中を勢いよく鼻と口をつまみ息を止める俺達。

水中の抵抗を利用しながらなので、激しい水しぶきがまき起こった。


「ぷはぁ‼︎生きてるか?フィック!」


「はーいー…らいりょーぶー(大丈夫ー)」

やらかしちまった…まあ、お陰で体にまとわりついてた悪臭は抜けたけどよ。


「おかえり仁さん!」


「仁兄ちゃん、やっぱりすごーい‼︎」


「兄貴、これはスタントマンになれるんじゃないんですかい?」


「さすがにそこまでの体力は身についてねぇからやめとく…誰か、このガイダー・フィックに合う服を選んで欲しいんだが。」


「なら私が見ましょうか?禅内様。」


「助かるティーア。ほら、シアンと二人もそろそろ外に出てくれ?」


「…」

やっぱ訳がわからねぇ…


「「はーい!」」


「よくやってくれた禅内君‼︎後は私達にも任せてくれ?直ちにエンセイモグラを討伐する…総員、攻撃開始!」


全部隊「サー・イェッサー‼︎」


「すいませんが俺も、奴の前足だけは使い物にならないようにだけさせてもらいますよ…正直、今無性に力いっぱいどこかにうっぷんを発散させたいんで。では…」


「禅内君?」

俺は指揮官の言葉を待たず、そのまま前に進んでいった。目の前にいたシアンから目を背けるように…


「…‼︎」

すれ違う時、ふと悲しんでいるのかと思う程小さく体を震わせて、何かを堪えてるシアンを感じた気がしたがこの際関係ない。勝手にしてろってんだ…


「はあぁー!くらいやがれぇー⁉︎」

両手に集めた紫電の光線で、俺はモグラの前足を一つずつ潰してやった。


「ーーーー⁉︎」

更に苦しみながら痛みを訴えていたモグラに向けてたたみかけるかのように、近くまで着いていたエージェント部隊も銃火器で殲滅を開始した。


「単独の力だけであれって…仁君すごっ⁉︎」


「全く…あいつを敵に回してたのかと思うと、今となるとぞっとするな。よし、俺達も攻撃するとしよう!行くぞ二人とも‼︎」


「「うん‼︎」」

絆の覚醒によって、三人はガイダーの力の一部を扱えるようになった!


「エンラ、炎はどうすれば具現化できるんだ?」


「(大丈夫だよ直毅。体の内を巡っているその力で何かの形を想像しながら、一箇所に集めるイメージをしてごらん?すぐに出るはず!)」

アドバイス通りに須上はやってみると、イメージしていた存在が確かに現れた。


それは、炎で形を整えた剣であった。


「よし、出来たぞ~‼︎二人とも、俺は先に行く!」


「もう!直毅ったら相変わらずああいうのに弱いんだから。じゃあ私は…シェーラ、力を貸して?」


「(うん![あの競技]で使ってた物を作るんでしょ?本体はそっちに任せるから‼︎)」


「ありがと…お願い、姿を現して!」

相田明音が集中して作り上げた物…それはなんと、水でできた弓矢であった。


「綺麗ね…相田明音‼︎」


「うふふ、ありがとう!じゃあ彼の援護に行くね?」

須上に続くように、相田もエンセイモグラに突撃していく。


「えっと私は?私はどれを使えば良いのフロット~⁉︎」


「(あはは、今まであかりが使ってたナックルをイメージしてみなよ。すぐに現れるから!)」


「オッケー、フロット…出来た!なんかすごく強そうなのが⁉︎」

メタルメッキの凶悪なナックルを見て、テンションが上がっている富士野。


「(やったじゃないか!さあ僕達も行こう?あかり。)」


「うん‼︎」

富士野あかりは嬉しそうにナックルを目の前で鳴らしながら、エンセイモグラに向かって突っ込んで行った。


その光景はまるで、ハンターアクションゲームさながらに近接二人と援護に一人つく布陣……


エージェント部隊の援護射撃の的にならない場所から、三人はエンセイモグラを相手に善戦していた。


「羽田さん、これお返しします。ありがとうございました…」


「おお‼︎禅内君、君は大したものだ!どうかな?俺の発明に是非協力してもらえないだろうか‼︎」

熱烈な歓迎は素直に嬉しいけれど、今の俺はそんな気分にはどうしてもなれなかった。


「ありがとうございます羽田さん。でも今日は、いろいろ気持ちが疲れていてこれ以上は会話をする事も苦しいんです……

なので先に帰ります…落ち着いたらまた、顔を出させてもらっても良いですか?」


「?…分かった。この短い間に何があったかは俺には分からないが、しばらく羽を休ませておけば良い。」


「はい…」


「よぉ禅内!お疲れさんだったな?」


「おっさん。すんませんが、しばらく休みを下さい…」


「ど、どうしたってんだ禅内。以前の顔とまではいかねぇが、ひでぇ面だぞ?」


「大した事じゃないですよ。体力は一応まだあるんですが今日はこのまま抜けます…後は、よろしく頼みます」


「あ、じ…」

シアンが何かを口にする前に、俺は逃げるようにその場で勢いよくジャンプした。


そしてどこに行くとも告げず、アイスロードを使って遠い空の彼方へと飛んでいく…


「お、おい禅内⁉︎」


「仁…(私の、バカ‼︎)」



その後、エンセイモグラは見事に変身した三人と、エージェント部隊の活躍により討伐された。

だが、禅内仁だけはその瞬間を見る事は無く、遠くの地へと何も考えずに空を駆け彷徨い続けていた…

イチャイチャしたり私情のもつれで仲違いを繰り返したりと、本当に忙しいですね禅内達は…

彼が飛び去っていくなかでたどり着くであろうその場所には、思いもよらない[変わった人物]が禅内を待ち受けていた。


次の更新は本日の午後23時です!またどうぞ、見に来てくださいね?

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