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怪物モグラ2Aパート

作戦会議が終了したのは、夕方を過ぎる頃であった。


俺たちは早速他のエージェント達と共に、男女に分かれて社内の浴槽に吸水用のチューブを準備した後、俺は幹太と須上。

そしてエージェントの男達と男ガイダー全員で、後退しながら狭い浴槽へと3人ずつ20分ずつ入っていく。


「仁サマとお風呂だ~」

双子ガイダーの兄ネレが、素っ裸で風呂の湯船に大の字になってプカプカと浮かんだまま、満喫している。


「ほらほらネレ、その辺にしてちゃんと風呂の中に浸かっておかねぇと風邪引くぞ?…って、なんか不思議な感じだな?須上や幹太達と一緒に、こうして狭い浴槽に男3人だけで入ると言うのも。」


「確かにな…まあ、これも作戦に必要な事ではあるから文句は無いが。」


「俺はまさか、こんな形で兄貴達と風呂に入るなんて考えてもいませんでしたよ。」


「僕は、こんな日も悪くないかなぁって思うよ?こんなふうに他のガイダーとも会話したことなんて無かったし。」


「エンラの言う通りだな。俺も幹太といつも一緒にはいるが風呂の時は幹太の中にしかいなかったから、少し新鮮な気分だぜ」

男同士、仲良く風呂場に入ること自体は不思議な事ではない。


だが、できればもう少し趣きがある入り方をしたかったとこの時俺は少し思った。


「とりあえず、さっさとモグラからガイダーを助けてからその巨大なモグラをどうするか後でまた聞きに行こうぜ?」


「そうだな禅内。ただ、俺としては生け捕り出来たらして欲しいところだ…個人的に生物調査をしたい!」


「す、須上…なんか興奮してねぇか?」


「興奮だなんてとんでもない!俺は見ての通り…冷静だぞ?」


禅内達「目が血走ってるぞ⁉︎」

頼むから須上、アブナイ学者にだけはならないでくれよ?


「仁兄ちゃん達楽しそうだなぁ~。」

ろく助は宙に浮かびながら、俺達の様子を眺めて静かに楽しんでいた。


禅内達が入ってる時と同じ頃、女性側の風呂場では禅内仁がやらかした恥ずかしい話で、変に盛り上がっていた。



「…えー⁉︎仁さんって初めてステータスを開こうとした時、そんな恥ずかしいポーズをとってたんですかぁ‼︎」

真矢が大声で驚きながらも、顔は意外な一面を見れて嬉しそうである。


「あはははは‼︎仁兄ちゃんかわいい~」


「うふふふっ‼︎後で直樹にも教えといてあげよ♪」


エレ・ミューラ・シェーラ・リオーネの女ガイダー4人は、口を揃えてこう呟いた。


4人「見てみたかったなぁ…」


「あははは‼︎流石に仁だってもうしないから見れないでしょ!アイツも私に言われた時、恥ずかしさのあまり俯いてたんだから。」

まさかシアンが、禅内仁にとって封印したい黒歴史を明かしていたなんて本人は知りようがないだろう…


「それにしてもねぇ…聞けば聞くほど不思議な話だわ! 確か、禅内君がゲームみたいな世界になればって願望を口に出してそれが叶えられたから、こうしてガイダーのシェーラと出会えたのよね。

それを実現してくれたのがあのマスターゼノンって人なんだよね?あの不可思議な具現化をしてた存在の…」


「そういう事!あの方は私たちにとっての父であり、主でもあるの。」


「そっかぁ!シアンちゃんにとってのお父さん…それなら私も、また会う時が会ったら挨拶しておかないとね!

リオーネを助ける事ができたお礼を、まだ言えてなかったし!」


「あ、挨拶⁉︎そ、そうよね?別にアイツとする訳じゃないから問題ないんだろうけどでも…プシュー」

何を連想したのか、急に顔も体も真っ赤になりのぼせて湯船に浮かんでしまった。


「うぇ⁉︎シアンちゃんどうしたの‼︎」


「…えっと?私達何か気になる事を言いましたっけ、明音さん」


「いえいえ!何も言ってないはずだけど、最後にシアンさんが言っていたアイツってもしかして…」


「…仁サマ?」


「「それっ‼︎」」


「禅内仁さんも、直毅さんに負けず劣らず誰かに好かれてるんだなぁ。」


「あの〜皆さん。よかったら私がこっそり隣で湯に浸かっている仁さん達に会って聞いてみ…」


女子達「姫野ちゃん、抜け駆けダメ‼︎」


「…あぅ~」

実は姫野としては、幽霊の立場を使って男の裸を見たい衝動に少し駆られていたのだった。



・風呂場の外にて


「うう~…私もシアン達と入りたかったよぉ!」


「ほらほら泣かない泣かない!」


「私達がいっぱい話し相手になるから、存分に言いなさいよ?」


「あかりちゃんと恋話できるの楽しみ!」

浴室の外で待機していたあかりと、三人の女性エージェント…真央、瑠奈、美羽(みう)が富士野あかりを励ましながら笑いあう。


そして同時に、内心ではこう思っていた。


三人娘「(あかりちゃんをたくさんいじるチャンス‼︎)」


「あらあら、あの子達ったらまたあかりをいじって遊ぶ気ね?…ふふ!」


「あかり、強く生きてね…」


「微笑ましい限りじゃねぇか。」


「ハハハ‼︎あの忠告無視の常習犯、富士野あかりがだいぶ少女っぽくなっちまったな。まるでうちの末娘みたいだぜ!」


「娘いんのかよ⁉︎」


「いちゃ悪いか‼︎まだ小学6年だがよ、なんだかんだしっかりしてて割と素直な子だぜ?」


「徹…娘をもつ者の一人として俺はお前に忠告する。中学生を過ぎてからが一番辛いから、今のうちに覚悟はしとけよ?」


「?お、おう…」

彼女達の企てを、大人組の菅谷隊長と鵺雉隊長。そして犬吹豪太が、あかりのガイダー…フロットと共に後ろにある待機用の椅子に座ったまま、微笑ましそうに見守ってからそれぞれの話に花を咲かせていた。


「おおーいルウェン!…はて、どこまで行ったのだ?」


「「………」」

ティーアがよく使う、主である犬吹豪太を呼ぶ際の[ご主人様]と言う単語に強く反応し、素早く近づいて無言のまま両手で壁ドンしてくるルウェンの存在に戸惑い、彼女は心の中で叫んだ!


「(え?え?何これ‼︎私は自分のマスターである犬吹豪太さんの事をいつも通り[ご主人様]と呼んでたはずなのに、なんで興味深々にじっと見つめられてるの~⁉︎)」

ティーアはパニック状態から抜け出す事ができず、主の中に入りたいが服を掴まれてて動けずにいた…



一連のやり取りを皆がそれぞれ味わっているうちに日は完全に暮れ、大食堂で共に食事する事となった俺達。


食事が済み次第、作戦を決行する事となった。


「よし皆。いよいよこの食事が済み次第作戦を決行する!この作戦に必要不可欠な禅内君達と共に、必ずエンセイモグラからガイダーを連れて帰ろう‼︎

そして、上手くいけばそのモグラを捕獲して調べようではないか!」


全員「オオーー‼︎」


「…うおおおーー⁉︎」


「⁉︎⁉︎」

エージェント達の雄叫びに負けない声で叫ぶ須上を見た俺達は、ひき気味に反応してしまった…


「ごめん禅内君、彼は生き物研究になるとこんなふうに人が変わっちゃうから…」


「ああ、さっきもその兆しを見たからなんとなく予想はしてたよ…それよりもおっさん、ティーアはどこに行ったんだ?」


「それがな、ルウェンって子が有無を言わさずどこかに連れ去ってしまって探しても見つからねぇんだ…」


「あの、仏頂面の娘がティーアになんの用だろうな?」


「なんだ禅内君に犬吹さん、ルウェンがどうかしたのかな?実は私も探しているのだが…」


「それが…」

俺は今おっさんに聞いた事をそのまま話した。


「…ふむ、彼女が他の女性ガイダーに絡むとは初めての事だな?」


「助けて下さい…ご主人様ァァーー⁉︎」

突如、ティーアの声ではあるがまるで別人のようにおしゃれなメイド服に着替えさせられた彼女が、この食堂に勢いよく飛び込んで来た‼︎


「ティーア⁉︎なんだってんだその格好は‼︎」

「助けて下さい~!彼女が…彼女がぁ!」


「「彼女?」」

おっさんと光風指揮官が声を揃えて、ティーアの指差す方向を見ると…


「お待ちになってティーアさん~!是非わたくしと共に、私の勤めておりますメイド喫茶に従業員として入って下さいませー♪」


「る、ルウェンーー⁉︎」

ルウェンが目にハートマークを浮かべながら、ティーアの後を追いかけるといった想定外の出来事に、流石の光風指揮官も仰天してしまっていた!


「ハッ!……コホン、マスター・光風。そんなに驚いてどうされたのですか?」


俺達「ごまかすなー⁉︎」

ルウェンの一際変わった一面を見て思わずその場でひざまずき、項垂れてしまった光風指揮官。


その横にはティーアに泣きつかれ、オロオロしてばかりで食事にありつけないおっさんがいた…


「…ご迷惑をおかけ致しました。」

ルウェンによってここにいる全員が驚かされたが、食堂はだいぶん落ち着きを取り戻し他の皆は食事を始めている。


「私からも誠に申し訳ない犬吹さん!うちのルウェンがそちらのティーアさんになんと失礼な事を…」


「うぅ~…」

まだおっさんの後ろにはティーアが影に隠れてて、様子を伺っていた。


「ま、まあ悪気があったわけではないんで俺は大丈夫ですよ……ティーア、もう怖くねぇからそろそろ前に出てきてくんねえか?」


「…ご主人様も、一度私と同じように着せ替え人形みたいな扱いを受けてみます?」


「い、いや!まあその…なははは‼︎」


「笑って誤魔化さないで下さい。」

ジト目のままおっさんを睨みつけてくるティーアの姿が、向かいの席に座って食べていた俺達の視線に入ってきた。


「…仁、あれ大丈夫に見える?私はちょっと不安なんだけど。」


「俺も同感だシアン。とりあえず作戦が終わるまでの間、おっさんと光風指揮官の二人が間に入っててもらうしかないんじゃないか?」


「ねぇねぇ仁兄さん![めいどきっさ]ってなんのお店なのですか?」


「仁にいちゃん教えて~!」

姫野とろく助が俺にメイド喫茶について聞いてくる。


「俺も行ったことがねぇから分からないんだがよ?確か動画で昔見たのが、今ルウェンが来ている格好にそっくりな若い女がいっぱいいる店だったような気が…」


「そうなの?じゃあ仁、この任務が終わって落ち着いたら見に行ってみたい!」


「…えっ?あなたがたはわたくしのいるメイド喫茶に興味がおありなのですか⁉︎

ぜひぜひ来て下さいませ!喜んでおもてなしをさせていただきますわ‼︎」

大興奮で喜びながら、シアンの両手を掴んで大きく揺らすルウェン。


「わ!わ!わ!わぁ⁉︎」


「これこれルウェン!その辺にしときなさい…」


「あっ…申し訳ございませんマスター。わたくしってば嬉しさの余りつい!」


「…構わんよ。意外な形ではあったがルウェンのこんな嬉しそうな顔を見れただけでも私は嬉しいからな?ルウェンの働いている場所の事は私も気にはなる。

だがまずは、皆で団結してガイダーの救出とモグラの捕獲を優先しよう!禅内君に皆さん、どうか力を貸していただきたい‼︎」


禅内達「はい‼︎」

こうして俺達は食事を済ませて、共に作戦の前準備へととりかかった。


「禅内君。君がどこまで人間とガイダーが持つ絆の可能性を引き出してくれるのか、とても興味深い…期待しているよ。」


「はい‼︎期待に添えるよう頑張ります!」

光風指揮官が俺の所に来てそう言ってくれたのは大変嬉しいと、俺はこの時初めて感じる事ができた。


「…禅内君、昔とは違って生き生きしてるね?直毅」


「そうだな…ひょっとしたらあれが本来のアイツの姿だったのかも知らない。

俺たちもアイツに負けないくらい、頑張って役に立とうぜ!エンラ、明音、シェーラ。」


「「「うん‼︎」」」


俺とシアンは最初に、外に出る準備を整えている索敵班の星田さん達と共にエレベーターに乗り、地上へと向かって行った。


「改めて挨拶といこうか…俺は星田って言うんだ!一緒に探しにきてくれて助かるよ、禅内君。」


「はい!…けど、俺でよかったんですか?探索系のスキルがあるわけではないんですけど」


「ふふ、君は気づいていなかったかもしれんが、俺は浅草での土ガイダーが暴走してた事件も、フロットの暴走の時もエージェントのサポートとして身を潜めて観察し、相手の情報をデータに入れていたんだ。

なので君が空から降りてきた時や氷の道を作りながら帰っていた時も、ちゃんと見ていたんだよ?」


「なるほど…つまり俺に、上から探して欲しいと言うんですね?」


「理解が早くて助かるよ!じゃ、この赤外線カメラを搭載したヘルメットを被ってみてくれ。」

何やら工事作業のおっさんらがつけてるヘルメットに外見は似てるような?

唯一違うのは、暗視ゴーグルみたいなのが目の位置にスライドできる構造になっている事くらいか。


「……こんな感じですか?」


「バッチリだ!確かシアンと言ったね?君が彼の中にいるとき、彼の目で見ている視界と同じものを見たりできないかい?」


「うーん…多分できますね。仁、試しに被ったままそのゴーグルを下ろしてみてよ?今から中に入って確かめるから!」


「おう!…おお⁉︎すげぇ、緑色の風景がくっきりと浮かんで見えてきたぜ‼︎」

俺がゴーグルを下ろすのを確認してから、シアンは中へと入っていく。


「(…うん、私も仁が言った通りの景色が見えるわ!)」

俺は、シアンが中でそう言っている事を星田さんにも伝えておいた。


「よし!発明は成功だ‼︎これなら他のエージェント達にも活用してもらえるな。」

俺達、ついでに実験台にもされてたのか…まあ、暗闇には使える代物だからありがたく借りておこう。


「言い忘れていたが、そのゴーグルはサーモグラフィー機能も搭載されている。ヘルメットの右側についてるボタンらしき物を押してくれ。それで穴の中も丸見えのはずだ!

じゃあこの照明弾の筒を渡しておくから、もし見つけたら上に向けて打ち上げて欲しい…良いね?」


「はい!行ってきます」

俺は久しぶりに足に電気を纏わせながらビルの壁を利用して上に駆け上がり、最上階から飛び上がるとアイスロードを展開した。


「~♪(口笛)間近で見るとつくづく凄いよなぁ彼は!今度は彼の動きを元に、彼と同じ事ができる発明でも作ってみるか!ふふふふ…」


「…ブルッ!なんか今、変な感覚がしたぞ?」


「(どうしたの?寒くなった?)」


「いや…そうじゃないがなんとなく身の危険を感じただけだ。それよりシアン、下はどんな感じだ?」


「(うん。左手側に見えているとても広い池があったのかな?そこに大きな穴みたいな影が見える!)」


「あそこは不忍の池か。何やら滝のように水が流れる音がどこからか聞こえてはいたんだが…よし!行くぞ」

俺は方向転換できるように、アイスロードの足場を捻らせるイメージで変形させ、ジェットコースターみたいに速いコーナーリングを行った。


「…こいつはすごいな、池の真ん中で巨大な穴が開いている。サーモグラフィーを使うぞ?シアン」


「(りょーかい…って、いたー⁉︎何よこのでかさ‼︎本当に穴と同じサイズの巨大な奴がモゾモゾ動いてる~⁉︎)」


「おいおい!完全に30メートルどころか、50メートル級の穴じゃねぇかよ⁉︎モグラこえぇ…」


「(怖いのはお互い様よ‼︎早く照明弾で合図出して!)」


「おう‼︎」

穴の手前まで来てから腰にさしている照明弾を上に掲げ、俺は合図を出す。



禅内が合図を上げる頃、この作戦に参加している者達全てが外に揃っていた。


「…合図来ました!指揮官。」


「本当か星田君‼︎場所はどこか分かるかね?」


「位置座標を調べます!…ここは不忍の池⁉︎観光名所の池の中ですが、驚いた事に穴は50メートル級‼︎」


「モグラめ…よりにもよって、人の目が届きやすい場所にまた穴を開けてきたか…総員準備にかかれ!」


「サー!イェッサー‼︎」


まさかの場所に現れた成長したエンセイモグラ…いよいよ対峙する事となったエージェント一同。


緊張と恐怖を押し殺し、彼らは今出発した。

どんな形であれ、他人同士でも風呂に入ると不思議と落ち着いて会話できるもんですかね?禅内を憎んでいたはずの須上も、和解の後は落ち着いて話ができているんですから。


次回はいよいよ、エンセイモグラとの対決が始まる!


今度の更新日は、6月4日の11時に致します。

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