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佳与のアイデア

一旦休憩所で皆と合流してから、光風指揮官の治療を施ししばらく休んでいるうちにエレベーターの電力がようやく復帰した。


「?はて、そういや俺はなんでこんな所に拳をめりこませたんだっけか?…まあ良いか!起動に差し支えは無い訳だし。よし皆、乗ってくれ」

もはや、[いなくなった者]に関しての記憶は誰の心にも残らなくなった…ただ、不確かな爪痕だけがこの建物に残ってしまった。


全員が乗れるほど巨大なエレベーターに皆が乗り、改めて作戦室へと向かう為に降りている中、各自で異変に気づくものがいた。


「ねぇ仁。掌の傷はどうしたの?どこか触った?」


「あれっ?そう言えばなんで痛かったんだろうな。見る限り俺の爪痕としか思えないんだが…何故かは分かんねぇや」


「ちょっ‼︎コラあかり、なんでそんな傷跡つくっちゃってんのさ⁉︎こんなのリストカットよりもひどいんじゃないか!」


「えっと、ごめんフロット…私も何故こんな事をしていたのか全く分からないのよ。」


「ところで指揮官。階段で転んだとは思えない程に怪我をされておられましたけど、何かトラブルがあったのでしょうか?」


「うーむ、すまんが私にも全く心当たりが無いのだ。幸い動ける範囲の怪我で済んでいるから構わんが…

会議が済み次第ちゃんと見てもらうとしよう」


全員で作戦会議室に改めて合流したのだが、他の部署にいるエージェント達も禅内達と同様に怪我をした者、理由も分からず体を震わせている者ばかりがいたのである。


「…私達の知らない事がこの本社で起きていたとでも言うのか?これは尋常ではないぞ。」


「…マスター光風。わたくしが貴方の中で過ごしている間、何者かに酷く滅多打ちにされているかのような感覚がございましたが、本当に覚えておられないのですか?」

光風指揮官の体から、ガイダーのクール系女が現れた。


「光風社長?その子はひょっとして…」

俺が思わず尋ねてみると光風社長は快く答えてくれた。


「ああそうだとも。私の自慢のガイダー…ルウェンだ。」


「……お初にお目にかかります皆さま方。わたくしの名はルウェン…マスター・光風の光属性ガイダーであります」

ルウェンの格好は指揮官の趣味なのか黒地をベースとした藍色の補色が施されていて、やや短い丈のメイド服を着ていた。


靴は黒のメイド靴にウェーブがかかっている頭髪が、肩にややかかる姿。


不思議ととても魅力的に感じる…


「光属性のガイダー。こんな格好の奴もいるのか…」


「…プイ」


「「えっ?」」

ん?俺達なんか気に触ることでもしたっけかな?


「…禅内君。それに皆さん、できれば今後とも彼女と仲良くしてくれるとありがたい!

なにせ見ての通り癖の強い娘でね?他のガイダー達以上に、あまり素顔を見せたがらない性分なのだ。

まだ私も彼女の素が分からない上にふらっと何処かに行ってしまうので、なかなか私の側にもあまりいてくれないのだよ!」

なんとも不思議な子だなと俺は思うも、とりあえず今回の作戦行動中にでも気軽に話しかけてみることにした。


「…まず先に、作戦会議を行おう。君達は最初の時と同様、後ろの高いところについてくれ!」


光風指揮官はあかり達エージェント部隊と共に、下の段へと降りて行く…


「わ、分かりました。みんな準備はいいか?」


「(頷)」

俺が目で全員に合図を送ると、彼らは頷いた。


改めて作戦会議が始まる。


「…皆、私を含めここにいる全員の身に先ほど何が起きてしまったのか、誰も覚えてはいないのだろう。

とてつもない悪夢のような出来事があったのかも知れないが、良く無事でいてくれた!」

全員、激励の言葉を聞いて嬉しさと未だ抜け切れていない怖さとが入り混じっていて、どんな表情をすれば良いか分からず迷っている様子だった。


「私は、後ろの席に座っている禅内君達と一緒にいる時、なんとマスター・ゼノン様と対面することができた!そして、その方から直々にこう言われたのだ。

[ガイダーの子を救ってくれ…それとくれぐれも死なぬように]と…」

考えてもいない自体に、エージェントの全員が顔を真っ青にしていく。


「その話を聞く限り、恐らく今の奴は私たち人間をエサとして見るようになってしまったようなのだ!このままでは日本に住む人間が全て食われてしまう…

なんとしてでも阻止しなければならない‼︎故に、私は危険な賭けに出ようと思う。奴を、この付近におびき寄せるのだ!」


「救護班の(いぬい)です…恐れながら指揮官。我らを含め、彼らの大半は戦意を失い満足に動けないでいます!そんな中で、作戦を決行されるのはあまりにも酷すぎかと。」


「索敵班の星田です。おびき寄せるにしても、匂いをどのように集めるおつもりですか?流石に排斥物などを集めて周るのはコストが大きいかと…」


「ウム…」

何も言えなくなって考えこんでしまった指揮官を見て、俺は隣にいる須上にマイクを持たずに尋ねた。


「なぁ須上、俺達の匂いってことは汗を含んだものでも良いんじゃねぇのか?」


「ん?まあそうだろうが、全員が一度にそんな大量の汗をかいてたら、捕獲の前に倒れちまうだろ。」


「…あっ‼︎ねぇねぇお兄ちゃん達!私すっごい事を思いついたよ!マイクで話しちゃってもいい?」


「佳与?」


「なんだ、どうしたんだ佳与ちゃん?」

真矢も幹太も、急に嬉しそうな顔をしてはしゃぎ出す佳与を見て口を開く。


「佳与、何か思いついたのか?……よし、言ってみな。ちゃんと手を上げて名前を言って、光風指揮官が発言していいかを聞いてから答えろよ?」


「はーい‼︎」


「すっかり本物のお兄ちゃん気分になってるわね?仁」


「微笑ましい顔で俺を見るなよシアン!恥ずかしい…」


「「えへへ!」」

シアンと2人して笑っている佳与は、マイクを持ったまま彼らが見えるように階段の近くまで来て、教わった通りにした。


「はい!」と、大きな声を出して指揮官と皆に見てもらおうとした佳与。


「おお…これはまた可愛らしい娘がアイデアを言ってくれるみたいだな。喋ってみなさい?」


御柱佳与(みはしらかよ)です。私思いついたんですけど、みんなでお風呂入りませんか?

それで、お風呂にみんながつかったお湯をそのおっきなモグラさんがいそうな大きい穴に入れるの!それなら、みんなもすっきりした気持ちで動けるんじゃないですか?」


「おおおーー⁉︎」

俺達を含めて、ここにいる全員が感心したように驚いた‼︎

ここにいる全てのエージェント達も、この提案を大いに賛成していると感じた光風指揮官は……


「素晴らしい‼︎画期的な意見ではないか!」

ベタ褒めしていた。


「須上です。よろしいですか?佳与ちゃんの意見に私も賛成です!

後はどのようにその湯水を撒くかというのと、囮役として誰かが湯水を撒いた付近にいなければおびき寄せる事はできないかと…」


「そ、そうだったな…(軽く咳き込む)仮にもしうまくおびき寄せる事ができたとして、モグラの動きを一瞬でも止める方法もあるとは思わんかね?」


「そ、それは…」

須上もさすがに困ってしまったようだな…ここは少し、俺も間に入ってフォローするか。


「佳与、マイクを貸してくれ。」


「うん、良いよ仁兄ちゃん…はい!」


「ありがとよ…禅内です、一つ提案があるんですが」


「おお禅内君!何かね?」


「俺とシアンが放つ電気を湯水に向けて撃てば、そいつに感電させやすいのではないですか?長くは持たないかも知れませんけど。」


「なるほど‼︎…して、電気とはどこまでなら出せるのかな?私はまだ直接見てない気がするのだが。」


「見せるのは構いませんがこうも人が大勢いる中ではやりづらいですよ……あ、ボール状にすれば上手くいきそうかもな。

宙に浮かせるイメージで作ってみますから、少し待ってください」


「ウム!楽しみだ。」

楽しまれてもなぁ~……まあ、言った以上はやるか!マイクは一度置いとこう。


「みんな、ほんの少しだけ離れててくれないか。」


「仁の雷はきついからね。さあみんな下がって下がって…って相田明音!あなたは近づいたらダメ‼︎ほらほら須上直毅!この女の彼氏ならこのさい抱いててもいいから動きを止めて?早く‼︎」


「お、おお!ほら明音?」


「シェーラ、危ないって‼︎」


「うぅ…雷浴びたいよぉ。」


「私も浴びたいですぅ!」

勘弁してくれ……気を取り直して集中するか。


(ボール…電気のボール…)

上にかざした片手の掌から、ゆっくりと淡いラベンダー色をした球形が見え始める。


「これは…なんとも綺麗な光だ!これが雷属性の力なのか?」この場にいた同じ雷属性のガイダー達とその相方であるエージェント達は、まるで神々しいものでも見てるかのような顔をして眺めていた…


「できた…シアン、どうだ?」


「全くあんたって人は…私以上に扱うようになってんじゃないわよ!」

若干拗ねてしまったシアン。


「なははは…」


「…見事だ禅内君。とても興味深いものを見させてもらえて嬉しく思うよ。

ただ、囮役になれるとすれば最低限雷に耐性があり、その強力な雷に撃たれても平気な者でなければならんのだが…」


(ドンッ!)

…なんだ?後ろの方から、誰かがやや強く倒されたかのような物音が聞こえた気がする。


「まあ、俺はステータスの中に[状態異常耐性++]って表示がありますのでたいてい平気ですし、囮役にはなれますけど…」

俺は電気ボールを消して、改めてマイクを持って自分なら可能だと言うことを話している最中に割って入る存在に気づかなかった!


「はい!はい!是非私達に‼︎その囮役をやらせて下さい!ハァハァハァ…」


「相田ぁ⁉︎…ハッ!須上、エンラ‼︎」

俺の隣にはなんと、いつのまにか相田とシェーラがいた!


「す、すまん禅内…」


「ふにゃー…」


「って、なぜ後ろでのびてるんだよ⁉︎」


「仁さん…お願い、その人に囮役をやらせてあげて?」


「兄貴、この人達このままだと暴走しちまうから是非そうさせてくれ…でなきゃ俺達まで投げ飛ばされちまう‼︎」


「明音お姉ちゃん強ーい‼︎」


「…あの相田って娘、なかなかの腕前じゃねぇか。俺の見た限り、柔道の上段にあたる実力者ってとこか?こりゃ良いぜ!」

なんかおっさんは…


どこぞのアニメキャラみたいに、[おらワクワクすっゾォ‼︎]って言わんばかりに笑ってるんだが⁉︎


「ム?まあ…相田さん、君が禅内君みたいに耐性持ちだと言うのならどちらにしても私は構わないのだがね?ただ、かなり危険ではないかな。」


「大丈夫です‼︎私休憩中に自身のステータスを見て確認してみたのですが、雷属性耐性:完全無効って書かれてましたので、何も問題ありません‼︎

あと、シェーラも雷の影響を強く受けない体質だそうで‼︎」


「マジかー…」


「もう、腹をくくるしか無いわね…仁」

こうして、囮役を相田とシェーラが引き受け、俺とシアンが雷を浴びせる役目となった。


作戦会議室内で全てのエージェントの皆が、まずは社内用のお風呂に浸かりその湯水を男女別れ、それぞれが吸水用のホースをさして湯水を回収すると言った話でまとまる。


「全ての作戦が完了したら息抜きがてら、全員でどこかの温泉旅館に泊まって過ごそうではないか!」

粋な提案をする光風指揮官の言葉に、各部署のエージェント達は大喜びで温泉地の候補をそれぞれのグループ内で議論し始めた‼︎


俺達日本人はやはり、風呂が好きなのだ。


「大丈夫か須上、お前みたいに運動神経が抜群な奴が何故…」

起き上がれるように手を貸す俺。


「痛つつ!すまない、ありがとな禅内。実を言うと明音は柔道の全国大会一位の実力者なんだよ…俺程度では太刀打ちできやしないんだ」


「うげぇ‼︎…ある意味、俺にとっては天敵みたいな存在だな。」


「ねぇ。じゃあエンラは、なんでシェーラにやられてるの?」


「フニャラ~~…」

シアンは今も幸せそう(?)な顔をして伸びている、エンラを指差す。


「シェーラは……キス魔だ。それも凄腕ディー○キスの使い手だよ!あいつにかかれば男でも女でも、コロッと簡単にイっちまう」


「キッ…⁉︎」

シアンが一瞬で、顔を真っ赤にして狼狽し始めた。


「私、シェーラちゃんからキステクを教わってみようかなぁ?」


「俺の理性を崩壊させる気か?真矢…」


「しっかりしろや?幹太"君"」


「…真矢のお父さん、楽しんでません?」

俺達がそんなやりとりをしているうちに、エージェント達の意見をまとめたらしき光風指揮官が全員によびかける。


「静粛に!温泉の候補地が決まったぞ‼︎」

全員が静かになったのを見計らい、光風指揮官は決定した所を告げる。


「多数の意見をまとめて決めた場所は…あの大江戸温泉物語だー‼︎」


「わあああーー‼︎」

興奮冷めやまぬエージェント達の雄叫びが、所々に響き渡る。


「すごい盛り上がりね仁。この戦い負けないようにしないとね?」


「だな!じゃあ相田。囮役怖いと思ったら、迷わず大声を出せよ?俺もみんなもちゃんと助けるからな!」


「ええ禅内君!直毅…みんな、よろしくね‼︎」


直毅達「おおー‼︎」


「そして私は電気を纏って至福の時間を…ムフフ!」


「そっちが本音かよ」


「…大丈夫なのかな?」

俺とシアンはなんとなく不安に感じて来たが、今更変更はできない。


「諸君、作戦名も決めておいてみた方が良いではないのか?」

光風指揮官が、ノリノリで問いかけて来た。


「…ご主人様。私あの方がやたらと今を楽しんでおられる気がしてならないのですが?」


「ティーア、その通りだ。ある意味そのユーモアさには感心するぜ…」


「うーん、作戦名か…好物の匂いで誘って引きつけてから倒すみたいな話は、何かの神話に出ていた気がしたんだが。」


「直毅、ひょっとしてそれ[ヤマタノオロチ伝説]じゃない?確かヤマトタケルが生贄用の女性の代わりとして女装して、酒に酔わせて眠った所を剣で刺し葬ったと聞いた事があるような…」


「わ、私達も後でその話のこと聞いてみたいです!ね?ろく助‼︎」


「うん、姉ちゃん!なんかカッコよさそう‼︎アカ姉ちゃん、絶対教えてよ?」


「ふふ!分かったわ。会議の後で移動しながらでも話しましょ?確かこのまま、私たち人間の汗を全員がお風呂で流すのよね?禅内君」


「ああ、そういう事になるよな。じゃあすまないが相田と須上…今言ったヤマタノオロチの話を交えて光風指揮官に意見を伝えてくれるか?俺じゃあちと、良く分からねぇから…」

日本の神話までもは、覚えていなかったからなぁ。


「分かった。明音、マイクを取ってくれ!」


「はい、どうぞ。」


「ありがとう…じゃ、一緒に話すか!」

須上と相田は2人で協力して、今俺達が聞いた神話の話を用いながら、光風指揮官達に今回の作戦名を提案すると…


「良いな‼︎それを使おう!」


一発で決まった!


結論としてはモグラからガイダーを救い出してから、殺すか捕獲して研究するかの判断は彼等エージェントが決める事となった。


「ではこれより、ヤマタノオロチ作戦を開始する‼︎一同、準備に入れ!」


エージェント全員「サーイェッサー‼︎」

なんだかんだと、指揮官を含めたエージェント部隊は楽しそうに話を決めている感じがしましたね…

作戦決行時では、どんな展開になるのか見ものです!


今度の投稿は、本日の午後23時にいたしますのでどうぞ見てってくださいな!

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