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モグラ対策会議

あかりとの電話で聞いた話をする為に、みんなの元へと戻ってきた俺。

ティーアがいてくれたおかげでシアンは服こそ乱れはしなかったが、酔った姿は無防備もいいところだ。


「シアンは全く、ビールの味を覚えちまいやがって」


「禅内様。もうよろしいのですか?シアンは……見ての通りです」


「にへへ~~…」


「ありがとうなティーア。おかげであん時みたいな展開にはならなくて済んだから、それだけでも助かったぜ!

今からみんなにも伝えておきたい話があるんだが、ここにいる全員一度耳を貸してくれないか?須上の件とモグラの事について報告を聞いたので伝えときたい。」


「…直毅はなんか言ってた?私の事。」

相田はシェーラの水で作られている椅子から静かに立ち、恐る恐る聞いてくる。


「相田と俺に謝りたいってさ…詳しい事を聞くのは皆で向こうについてからにしよう。」


「うん…」


「私達にも手伝えることありますよね?仁さん!」


「兄貴、ここまで来たら誰も引き返したりはしませんよ」


「おう!皆がいれば頼もしいからな。あかりから聞いたが、恐らく迎えの車が今日中に来るかも知れないって話だ…だから各自で、外に出る準備をしておいてくれ。」


みんな「おお!」


「…はっ!仁ごめん、私またやっちゃった?」

シアンは慌てて、自分の服装が変なことになってないか確認していた。


「ははは!気にすんな。今回はティーアに頼んで見てもらっていたから、あのときみたいな格好にはなってねぇよ」


「思い出させないでぇ!……ティーア、ありがとね」


「ふふっ、どういたしまして」

みんなとのやり取りが終わって、しばらくの間各自が外に出る準備を済ませくつろいでいたら、本当に迎えが来たようだ。


犬吹電気店の前で、二台分の車が止まるような音がした。


「おっ、もしかしたら迎えってのが来たんじゃねーのか?よしみんな、行く準備はできたか?」


みんな「おおー!」


「「(おおー!)」」


「どうしたもんか…幽霊の二人を皆が見て怖がってしまわないだろうか。」

俺は思わず二人を見ながら、混乱が起きたりしないか不安になってしまう。


「(…やっぱり、ダメですよね?)」


「ダメじゃないと思うわよ?ほら。」

シアンが指差した方向にいたある人物が、勝手口の入り口を開けて入ってきた。


「へぇ…迎えに行く前に少しだけ富士野から聞かされてはいたが、本当に幽霊と一緒にいるとはなぁ。」


「徹⁉︎」


「よう豪太、迎えに来たぜ?全員俺たちの車に乗ってくれ。細かい話はその中でしてやるから!

それともう一人、迎えに行くのについていきたいといってる野郎も連れてきたから、そいつの顔も見せておくぜ?

ほら須上、いつまでもそんなところで控えてんじゃねぇ!」


「は、はい鵺雉さん…」

鵺雉隊長と一緒に現れたのは他でもない、須上直毅だった!


「直毅‼︎」


「直毅さん!」

相田は一目散に駆け出して、須上直毅に抱きついてきた!


「おっと!明音…」


「バカ!心配したんだから‼︎」


「ごめんな明音。迷惑や心配ばかりかけた…」


「シェーラ!」


「エンラ‼︎」

ガイダーの二人も仲良く抱き合い……そして


「「チュー!」」


全員「えぇ~~⁉︎」


「え、エンラ⁉︎」


「シェーラ⁉︎何で今こんなところで、そんな真似をしてるのよ‼︎」

俺はもちろん、この場にいる全員がこの二人のガイダーがとった行動に度肝を抜かれてしまった。


「え?好きな人同士が再会したらキスをするって寝言で言っていたのは明音だけど、覚えてないの?私とエンラは、そのとき起きてたから覚えてるもの。」


「明音、お前そんなに思ってくれていたのか…」

エンラ達の様子を見て触発されたのか、須上も相田にキスをしようと接近してるんですけど。


これは、止めないと収まりがつかないのか?


「ままま!待って待って直毅⁉︎時と場所を考えるってのが普段のあなたじゃないの?してくれるのはまあ、嬉しいんだけど……」


「あー、おたくら。人の家で急にいちゃつかれても困るんですがねぇ?やるなら場所を変えて、二人きりの時に好きなだけやってくれや‼︎」


「す、すいませんでした…禅内。」


「須上、俺は…」


「悪かったな、お前を殺そうとして。それもエンラを利用する形で…やってはいけないことだと気づいてても、どうしても気がすまない理由がその時あったから冷静さを欠いていた…」


「直毅…」


「俺は高校時代に明音と約束をしていてな?二人で同じ大学に入ってそれそれの分野で活躍できるようになったら、結婚を前提に付き合う…そう硬く決心していたんだ。それを当時のお前は邪魔してしまった」


「良いの直毅。もう終わったことだから…ありがとね?あの時の約束を今も覚えてくれていたんだ!」


「改めてすまなかった…須上、相田。当時の俺はそれ以外の事を見させてはもらえなかったって言ってもなかなか納得はしてもらえないだろうけど、これだけは言っとく……ありがとな?話してくれて」


「おう…」


「よぉしお前ら、残りの会話は車の中でしてくれよ?ちょいとばかし急ぐからな!」

鵺雉隊長が早く乗るように催促してきたので、俺たちはそれぞれ別れて止まっている車…なんとディープタイプに乗り込んで行った!もちろん、幽霊達も一緒である。


禅内仁とシアンに佳与とリオーネ、並びに幽霊二人と双子ガイダー、須上と相田が一緒の車に乗り込んでいく。


何故かと言うともう一つの車には、アツアツカップルがいるからだ…



「…ねぇロル。私達はっきり言ってお邪魔だと思わない?」


「奇遇だなミューラ、俺もそう思う…」

二人の視線の先に見えるのは、まるでおしどり夫婦のようにくっついている真矢と幹太の後ろ姿だった。


「豪太、お前んとこの娘…真矢ちゃんだったか?若い頃に見たお前の嫁とおんなじタイプじゃねぇか。」


「だよなぁ…幹太には悪いが、このまま娘と一緒になってもらうつもりだ。

でなきゃ毎晩真矢の自慰行為している声を聞かされて、落ち着かないったらありゃしねぇ…」

今まで知られざる真実をひた隠しにしてきた豪太とティーア。


もう一つの車に乗っている佳与とリオーネは最近それを知り、時々肩身が狭く感じる事があったと、こっそり豪太にも話していたという…


「ははは…彼はこれから大変だな!」


「…最初は禅内に的を絞ってはいたようだが、幸いあいつが歳上の大人ならではの常識を持っててくれて正直助かったぜ。

だがところ構わず抱く奴だったら、まず容赦はしなかったがな?」


「お前は迎え入れたいのか殴り倒したいのか、どっちなんだよ!」


「俺だってマジ、わかんねぇんだよぉ~⁉︎」

二人のいる座席は特別に後部座席とは隔離されていて、声は後ろには届かなかった。


その頃、禅内達はというと…



「そうか、禅内達のいる場所付近に起きていた地震と電気製品が一瞬でダメになる事…そして、お前達が今話してくれた[つけめん屋や○べぇ]の店主が聞く声。

これらを聞く限り、間違いなく[エンセイモグラ]の仕業だとしか言えないな。」


「須上、そいつはモグラなんだよな?何で電気系統までも乱れて壊れたり、オヤジさんのガイダーが出す声なんてものが聞こえるんだよ?」


「声に関しては俺も詳しくは分からない。だが、地震ってのは大抵大陸プレートと海底の下プレートが擦れて起きるのはよく知っているだろう?

電磁波も、擦れてできる摩擦によって引き起こされる…だから地上では磁場が大きく狂ってしまう為に、電気系統はその日のうちに使い物にならないんだと俺は思う。」


「そうか…」


「ねぇ仁兄ちゃん!早いとこなんとかしようよ‼︎このままだと今日みたいにたくさんの人が来て、私達今度こそ働きすぎで死んじゃうよぉ‼︎」


「そうよ仁様‼︎」


「うん…私も大いに賛成ね。相田明音も今朝味わったわよね?あのとんでもない客の数を」


「ああ…思い出したくないからやめて?シアンさん」


「…今度こそ、私が明音を助けなきゃ!」


「あの疲れ知らずの明音がこんなに疲れはてる姿を、俺は初めて見たよ…」


「僕も…ひどいときには2日も寝ないで調べものしてたのを見たことあるもんねぇ。」


「なるほど疲れ知らずか。確かに、今朝まで一睡もさせてもらえずこの二人…幽霊姉弟の言葉を通訳させられてたが、こいつはピンピンしてたもんなぁ。」


「そ、その時のことはごめんね?禅内君…でも本当にすごいわ、姫野ちゃんとろく助君‼︎500年前の幽霊なんて最初聞いたとき、とてもビックリしちゃったんだから‼︎」


「「(えへへ…)」」


「…照れているのだけは見えてるから分かるけれど、やはり言葉が聞こえないと辛いものがあるな。」

 須上と相田には、やはり二人の声が聞こえない…


「「仁サマー!」」


「どうした?ネレにエレ。」


「確か幽霊のたいせい?が仁サマについたから、一緒にいる僕たちにも少しは見えるようになったんでしょ?だったら…」


「それに関係する能力が一緒についてるかも知れないって、私とネレ兄ぃは思うなぁ~。」


「あんた達、仁の特徴をかなり見るようになったわね?確かに、私もやれそうな気がする!仁、一度で良いから試してみて?」


「シアン……分かった、少しだけ試してみるか!舌を動かして会話ができるようになるとしたら…こんな感じか?」

俺は空中に、人差し指で舌の漢字を書いてからそれぞれ二人の口にあてがった。


「「…!」」

どうだ?これでしゃべれるだろうか…


「あ、あー…言葉が出てる?仁兄さん!聞こえてる?」


「お、おお!しっかり聞こえてるぞ姫野」


「わぁ~~‼︎僕も喋れるぞ~!」


「ろく助‼︎」


「姫野姉ちゃん!」

二人は車内から宙に浮いた状態で嬉しそうに抱き合っていた!


「…ウソみたい。」


「禅内、お前は本当に人間なのか?」


「ははは…いったいこれで何人目なんだろうな、そのセリフを言われたのって。」


「正直誰もが感じる事だから、もうこの際受け流したら?仁。」


「はは、そうだなシアン。」


 禅内達の会話が終わりかけた時、ちょうどエージェントの拠点についたようだ。

入り口は地下にあるらしく、皆が乗っている車は下へとどんどん降りていく。


「ようやく目的地に着いたはいいが、ここは地下何階だ?もしこんな所を例の巨大モグラに攻撃された日には目も当てられねぇぞ。」


「そうだな禅内仁君。ただまあ、上の人たちはそれらを承知の上でここに招いたのだろう…ちなみにここは、地下10階だ」


みんな「えっ⁉︎」

大丈夫なのかよ、本当に…


俺が不安がるのを気にすることなく、鵺雉隊長が先導して俺達全員を案内していく…


「…良いかみんな。これから向かう所は全てのエージェント部隊と、それを束ねる指揮官が待っている広い作会議室だ。

回答権が与えられた時にのみ発言してくれ。そうでないと、全ての代表者の意見が聞けないのでな?」


みんな「はい。」


「よし…では入るぞ」

鵺雉隊長が扉を開け皆で中に入ると、そこはまるで大学にあるような大教室が更に広くなったような所であった。


そこに、びっしりと大勢のエージェントとガイダー達がひしめいている!


「すげぇ迫力だ…」

そう呟いてしまう程、俺はその光景をみて強い衝撃を受けていた。


「ようこそ禅内君達、我らが『ガーディ』の会議室へ!」

光風指揮官の顔が向く方向に、他のエージェント達も一斉に俺達の方へと顔を向けてきた。


「‼︎」

一瞬驚いたけれど、女性隊員の中に混じっていたあかりが微笑を浮かべていたおかげで、俺も笑うことができ話に集中することができた。


俺の見ていないところで、あかりが周りの女性隊員達に肘でつつかれている瞬間を、シアンだけは見逃さなかった…


「ではこれより、巨大モグラ改め…エンセイモグラの捜索による捕獲もしくは、討伐を行う為の作戦会議を始める!

これは、我が国の生活を守るための作戦であることを各自が理解していると判断した上で話す事だ!……もし、怖じ気づいたならこの場で正直に話してくれ。」


「………」

さすがはエージェント…誰もが引き下がる様子を見せないな。俺も、頼もしい人達の姿を見て安心して参加できそうな気がしてきた。


「よろしい!では始めよう」

いよいよ、エンセイモグラ対策の作戦会議が開始された。


「まず現在の状況からだが、ヤツはこの東京エリアを拠点として日本国中を移動して回っている。ただ、至る地域に大小の穴が確認された。

これから皆の意見を聞いていきたいのたが、意見がある者は挙手と名を上げてくれ。」


「鵺雉です。発言よろしいですか指揮官」


「ああ、頼む。」


「対象は夜活発に動くので、作戦を開始するのは日中に仕掛けたいと我らは考えておりますが、いかが致しますか?」


「うむ、それも良い考えだとは思う。ただ国民の理解が一度にとれる発言力があるのはこの国の政治家なので、少々難しいだろうな。

あちらさんが危機感を持たない限り、思い腰をあげようとも予算をくんで国民に説明するだけの行動も、移してはくれんだろう…」


「菅谷です。私からも一つ良いですか?」


「うむ、何か他に良い案はあるのか?」


「正直リスクは大きいですが、やはり夜に動いてみてはどうかと。穴の付近を各部隊が見張り連絡してモグラが嫌うとされる刺激物を穴に落としたり、異物を投入するというのは?」


「菅谷隊長、私ども補給班とて一日でそれらを揃えきる事は不可能です。

ましてや相手は通常のモグラの大きさよりおおよそ100倍サイズですよ?仮に集め終わる頃には、もう地盤沈下どころではない…」

他部署のリーダーが菅谷隊長の意見に待ったをかける。


実際この組織は国の認可は降りていても、費用はそれぞれ多くの会社が資金を出し合って存続しているのだ。


故にどうしても、資金不足は否めない…


「我々だけで本当になんとかなるのか?」

一人の隊員がふとそんな呟きをしてしまった事がきっかけなのか、その不安はそこを中心に広がり会議室が次第に騒然となっていく……


「ど、どうすんだこれ。」

俺はもちろん、この場にいる皆も次第に不安を覚え始めてきた。


「静粛に‼︎」

指揮官の大声が、会議室内に木霊する。


「ここは我らが知恵を出し合うための作戦会議だ。不安を言い合うだけでは、それこそ無能の権力者と成り下がった政治家達の二の舞ではないか‼︎

まだ話始めて間がないのに、すぐ分かる筈があるまい!」


「……」


「…皆が納得するかどうかは私も分からんが、一度彼らにも聞いてみたい事がある。

彼らはどんな答えを出してくれるのか、私は聞いてみたい。」

全員が一斉に押し黙ったのを見て、指揮官は今度は俺達に意見する許可を出した。


「須上、いけそうか?」


「ああ、分かる範囲だけは言うさ……皆さん、私は須上と言います。エンセイモグラに関して、私の知ってる範囲でお答えさせて頂きますのでよろしくお願いします。」

須上が他のエージェント達と同様、手前にある二本のマイクのうち一つを手に取り、話し出す。


「うむ、続けてくれ。」

光風指揮官が須上に話の続きを促した。


「はい。私が知っているのは、対象は臭いと音を察知するところまでは通常のモグラと同じですが、もう一つの特徴があります。

それは、超音波攻撃を使って獲物の感覚を麻痺させてしまう事です…」


「超音波攻撃とは厄介だな…」


「禅内です。少し良いですか?」

 

「良いとも禅内君。何か良い案があるかね?」


「良い案とまでは分かりませんが、大きい穴に幕を張って端を重り代わりに鉄筋コンクリートを置いた後、土を少量被せてみるのはどうですか?

相手が超音波を飛ばすのであれば、障害物があるところを避けて移動するかもしれませんので、まずはできる範囲でしてみるしかないと思います。」


「ふむ…悪くない方法だ。ただ問題なのは、相手が動き回る度に地震は広がってしまう。

その為、極力奴が動き回らなくても良い状態にして対処に当たりたい事だな。

誰か、彼らの意見を元にしてまだ他に案を出せる者はいないか?」


「あ、あの…相田明音です!意見というよりお聞きしたいことがあるんですが。」

相田は須上からマイクを借りて、指揮官に尋ねてきた。


「ああ構わないよ。どうぞ遠慮なく我々に聞いてくれ」


「は、はい。よく田んぼの周りに出るモグラはミミズ等の益虫を食べると祖母から聞いたことがありました。でもこの件のモグラは、何を餌にしているんでしょうか?」


「⁉︎」

これには須上を含む禅内達。それとこの場にいるエージェント達も盲点だったのか、気づけなかった!

まずその肝心の餌が何かを知らない限りは対処はできない。


「明音!君は最高だ‼︎」


「ひゃあ…ちょっと直毅⁉︎」

須上がまたも、公衆の前で相田を強く抱き締めた!


「おーい須上~?感極まって相田を抱き締めてる所悪いが…皆が見てるぞ。」


「ハッ‼︎…す、すみません皆さん!」


男女隊員達「リア充がぁ~…」

今サラッと怨唆(えんさ)の呟きが周りから聞こえたが、俺は知らないふりをしておこう…すまん須上。


「う、うむ…では一度奴の餌について各自早急に調査するとしよう!その上で、この対策会議を改めて行う事とする。

なお、先程須上君と禅内君が出した案の準備もできる限り行いたい……以上、解散!」


相田明音の疑問がきっかけとなり、改めて再調査をすることになった[特殊部隊ガーディ]…


大がかりな対処をする為、会議も後日に続ける事となった。

エンセイモグラ…現実にもし存在しているとしたら、特撮映画並みの戦力がいるのかも知れませんね。


続きの話は、今日の午後15時頃にいたします!また読みに来てくださる方は、できれば改善点などをコメントで教えてくださると大変助かります…

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