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打ち明けろ

仁とシアンがアパートを出て、須上直樹とそのガイダー・エンラがいるらしき東京タワーに向かっている頃、どうやらあかりは自身の招いた反省会をすることになったらしく…


「…あかり?自分の浅はかな考えをいっぺん反省しとかないとね」


「…は、はい」

昔では考えられなかったくらいに、フロットからのお叱りを甘んじて受けてるあかり。


「まあ、こうなっちゃったら何にもならないわよね?真矢」


「そうだねミューラ…」


「「う~ん…」」

今頃になって佳与とリオーネは、幽霊達を見て気絶してしまった。


「(あちゃー、やっぱり私達を見たら気絶しちゃうのね。人間もガイダーも…)」


「(ねーちゃんを見てまた人が気絶したね…っていだだだ!ほっぺたはやめてよ~‼︎)」


「なんだろうな…このシュールな光景は。」


「…本当だな幹太。」


「「一緒に気絶のフリ~。」」

双子達はいつのまにかマイペースに楽しみだした。


「えーと、ほら…よく人生に障害があるほど愛が燃えるって聞いたことがあったから、ちょっと見てみたかったもので……ゴメンナサイ。」


「あかりさんがそれに憧れるのは確かに分かりますけど…よりによって仁さんの部屋でやらなくとも」

真矢も、室内を見渡してその惨状を見ながら苦笑いしてしまう。


「あたいも真矢に同感。まあ、良いものは確かに見れたけどね?ふふふ!」


「ミューラ!」

ふとあかりは、賛同者がいてくれた事に喜ぶも…


「「「でもやり過ぎ。」」」


「はうぅ~……」

更にへこんでしまったあかりなのである。


氷漬けにされたままの相田明音とシェーラをそのままにした状態で、フロットによる注意がしばらく続いていた一方、仁達は須上がいる目的地に向かいつつエンセイモグラが掘った穴を確認して回っていた。



「どうだシアン。このくらいの速さなら平気そうか?」


「(うん、大丈夫‼︎仁の中に入ってる分負担はあんまり無いみたい)」


「おし!じゃあこのまま行くぞ。」


「(分かった!ついでにこの周辺に穴とかがないか探してみるから、そのまま気にせず移動しててね。)」


「おう!」

俺達二人は分担して、現地に着くまでの間巨大モグラの出現場所を探していく事にした。


「(あった!お台場前公園の敷地内に少し大きいのが一つ!)」


「ナイスだシアン!後であかり達と連絡とるぞ…って、俺あかりの番号知らねぇ‼︎」


「(もう…そんな調子じゃ女の子に嫌われるわよ?一応私は覚えてるけど。どうせなら帰った時に自分で聞いておきなさいよね?)」


「お、おう。…ってどうしたんだシアン?今までは俺を好きだと言ってからは、真矢とか佳与とかミューラとか寄ってくる女の子にダメだと言い続けていたのに」


「(うん……えっとね、本当は私を含めてガイダー達でも人間と同じサイズになって、好きな相手にずっと触れあっていたいって思いを秘めてるのがいっぱいいるのよ。

でもそれはマスター・ゼノン様の意思に背く事になっちゃうから、できないから仕方ないんだ…)」


「マスター・ゼノンの意思に背くってなんだ?シアン」


「(…それについては後でもう一度話すわ仁。もう現地に着いちゃったみたいだし)」

見ると、目の前には確かに東京タワーとその周囲にエージェントらしき人達が、須上直樹を取り押さえる組とガイダーのエンラを囲んでいる組が見えた。


「…分かった。さっさと終わらせて帰ろうぜ!」

俺は須上直樹を押さえているエージェントと、エンラと対峙している部隊との広い間に割り込む形で着陸した。


全員「‼︎」


「ぜ、禅内仁君⁉︎あなたどっからきたのよ!」

あかりの上司である、菅谷美玲さんが驚きを露にして叫んできた。


「えっと、空から降りてきました。とりあえずあかりからもらった封筒の中身は見させてもらったので、その件について協力はしますよ?

ただそのためには、そいつの…須上直樹の知識が必要かも知れないんです。」


「その子の知識が?(って今、あかりって言った⁉︎)」


「はい。なので、一度強引にでもうちにいる相田明音の元にさっさと連れていって、いい加減本音を言い合ってもらう為にこうして[彼]を止めにきたんすよ。」


「……俺は幽霊でもみてんのか?お前は確かにガイダーの炎で⁉︎」

須上が言いきる前に、俺は奴の顔の目前に火柱を突き落とした。


「熱っ‼︎えっ…何で火柱が?」


「…黙れやコラ。俺への復讐で焼き殺そうとしてくれた事に関してはこの際もうどうでもいい…

だがな、てめぇのパートナーであるガイダーの名前も呼ばねぇまんま、『道具』を見るような言い方すんな!

それ以上こいつを侮辱してみろ?俺が代わりにてめえを焼き尽くしてやる‼︎」


「その意見には私も仁と同じよ?須上直樹。相田明音は自分のやってたことがひどいことだと気づいて白状もしたし、彼女のパートナーでもあるシェーラとの仲は悪くないけど……あんたはダメね?

そりゃ彼だって暴走したくなるわよ。」


「グウゥ‼︎」


「なあ、確かエンラって名前だったよな。お前さえよかったら俺達と一緒に帰らねぇか?こんなアホを殺した所でなんの価値もねぇし、シェーラも待ってるぞ?」


「会いたい。デモ、このままじゃみんな焼イチャウ…そんなの嫌ダ!」

エンラは暴走しながらも、遺志はまだ伝えられるくらいの理性があったのは幸いだ。


「…聞いただろ須上。こいつがてめぇのせいで暴走しながらも、あいつらの事が心配で必死に踏ん張ってるんだ。

それなのになんだそんなツラは?俺を殺したいほど憎む本当の理由を一度も白状できないまま捕まって、あいつと分かり会えると思うか?

八つ当たりで相田を叩いたお前の気持ちなんて、誰も分かりたかねぇ!てめぇも男なら、本人に面と向かって思ってたことくらい言ってみろよ‼︎」


「………」

何も言えなくなった須上は一度放っておくとして、さっさとエンラの暴走を止めてやるか。


「エンラ、悪いけど少し痺れさせるか凍らせるかしてでも止めてやる。お前としてはどっちが楽だ?」


「氷ナラ、少し大丈夫ダヨ?君のガイダーはエット…」


「あ、私はシアン。雷属性よ?こいつ自身が凍らせるから勘違いしないで」


「人間……ダヨネ?」


「まあ細かいことはまた後でな。じゃ、歯を食いしばっとけよ?…フッ!」


「エッ⁉︎」

一瞬で俺に凍らせられたエンラは、驚きの顔のまんま小さく固まっていた。


その時にエンラ周辺を纏っていた炎は、どんどん大気中に霧散していく。


全員「…え?」


「とりあえず、あかりにエンラの暴走を止めたこともエージェントの菅谷さんに今会った事も伝えておいた方が良いよな?シアン」


「うーん、それならいっそのこと…菅谷さん。申し訳ないですけど、あかりと連絡をとってもらえませんか?」


「えっ!ええ、別にそれは構わないけれど…」


「助かります菅谷さん!俺達は今から秋葉原のアパートにすぐ戻ります。

本当はこいつを…今すぐ気絶するまでひっぱりまわしてやりたいんですけどね?」


「…ッ‼︎」

 思わず須上は身構えてしまう。


「…ほっとこ仁!とりあえずもう戻ろっ?藍田明音とシェーラもそろそろ戻してあげないとね。」


「待てお前達!明音に何かしたのか?」


「あー、身の危険を感じる出来事が起きちまってな…でもすぐ元に戻すから心配すんな。

再会するまでに、せめて今のうちにエンラには謝っておけよ?」

俺は氷漬けになっていたエンラを解き放った!


「ふ、ふぁくしょーん⁉︎…ブルブルブル!」


「悪いな凍らせちまって。もう少しあいつの側にいてやってくれるか?エンラ」


「う、うん。だだ、だいじょうぶぶ…」


「大丈夫じゃねえだろ…ほれ!」

今度は炎を操り、エンラを回復させた!


「ああ…生き返る~」


「……自分でやってて俺は何者に染まっていくんだろうなと思っちまったが、もう考えるのは諦めた。行こうぜシアン」


「あはは!うん♪」

シアンを俺の体に入れてから、来たときと同様に氷で横壁を作って十分な高さまで来た後、アイスロードを展開しながら電気を足元に集中してこの場所から走り去った。



この光景を、今あかりに電話をかけながら見ていた菅谷隊長と全てのエージェント達。

そして須上直樹とエンラすら、その出来事を見てしばし無言になっていた。


「…もしもし隊長。菅谷隊長?どうかされましたか?」


「…あ、ええ。あなたの彼氏は空を移動してそちらに戻って行ったわ?

あと、対象者の確保とガイダー・エンラ君の暴走は彼…禅内仁君が止めてくれたからもう大丈夫!

『あの生物』対策にこっちの彼、須上直樹君の存在が必要かも知れないと言う話なんだけど本当なの?」


「か、彼氏⁉︎そそ!そんなんじゃ……コホン、彼が暴走を解決してくれたんですね?良かった!

隊長のおっしゃる通り、その人は生物関係に詳しいと相田明音からは聞いております。

できれば、会わせてあげていただきたいのですが。」


「…分かったわ、上に掛け合ってみる。一度こちらの方でこの子の身分は預かっておくけれど、一度あなたも戻ってきてちょうだい?もちろん禅内君に伝えた後でも構わないわ。」


「はい!分かりました。」


「…あらかた片付いたら、休みの日にでも彼をデートに誘ってみなさい?あの手の坊やは多分こういった事にはかなり奥手かもしれないから。フフッ!」


「隊長⁉︎むぅー…失礼します‼︎」

あかりは拗ねたような声を出しつつ、通話を切ってしまった。


「うふふふ!本当にかわいくなったわねあの子。」


「菅谷隊長も、結構あかりちゃんをいじるのが好きですねぇ?もちろん私たちもですけど!」


「アハハハ!」

菅谷美玲と側にいる女性隊員達は一通り楽しそうに笑いあった後、男性隊員達に押さえられたままでいる須上直樹をしばらく眺めていた。


彼はふと、自身のガイダーであるエンラに目線を移したまま考え込んでいる。


「直樹…」

エンラは今の直樹の気持ちが分からなくて戸惑いつつも、声をかけずにはいられなかった程に、彼の顔は悲しみと悔しさで歪んでいたのだった。


そんなとき、須上直樹を押さえていた男性隊員の一人が声をかけてきた。


「なあ君。私らには君が受けてきた苦渋の数々がどれ程耐えがたいものなのかは、理解しきれない所ではある。

ただ、段取りを気にしすぎて伝えるべき言葉を言えないまま人生を終わらせるのは、正直もったいなさ過ぎるとは思わないか?」


「…でも、でもっ!一番伝えたかった時に言えないこんなだらしない男の俺が、今さら伝えたってみっともないじゃないか‼︎

俺はすべてを完全に片付けてから気持ちを言わなきゃ収まらない。彼女に気持ちを伝える前にモヤモヤした気持ちを抱いたままなんて嫌だったんだ‼︎

あいつを殺せば、全て思い通りになるんだとずっと信じきっていたのに…」

須上直樹が隊員達に押さえられつつも、ずっと言えなかった時の気持ちと後悔を口に出してたら、もう一人の若い隊員が彼の目の前に来て頭を強く殴り付ける!


「…痛ぇ‼︎何すんだお前!」


「あんた本当にただのバカじゃね?俺はあの禅内仁さんがどんな人生を歩んできたかも知らないし、知ったからといってそれを責めて良いような生き方なんざしてきてねぇよ。

でもな、過去にあった事ばかり見てねぇで今あの人があんたにしてくれた事の意味くらいまず考えてみろよ!

どんだけまともそうな生き方をしてるやつだって、いざ助言しようとしてもうまく言えねえ人間の方が多いんだ!

あの人はあんたに一番大事なことを伝えてくれてるんだぞ?ならいつまでもそこでいじけてんじゃねぇ‼︎」


「…ッ‼︎」


「ふっ!うちの若い隊員が言った通りだ。まずはお互い謝り会うところから始めても良いかも知れんぞ?」


「…俺が今更禅内に謝って、何が起きるってんだ。」

まだ渋ってる須上に対して、若い男性隊員はつまらなそうな顔をしている。


「俺がもしあの人と同じ立場だったら、その言葉が最初に出てきた瞬間殴り飛ばしてやりたいっすね~。

こんなわからず屋と会話してても、本当にめんどくせぇし!リーダー、ちと飲み物買ってきます…こいつの側にいるとイライラしてくるんで。

ついでにそいつの分も買ってやりますよ!頭が冷めねぇなら逆に熱いやつをね?」

若い男性隊員が愉快そうな顔でそう告げると、少し離れた建物の近くにある自販機へと向かっていた。


「直樹…やっぱりあの人にちゃんと謝ってから話そうよ。もう、こんな事ばかりするのはやめよ?僕も一緒に謝るから!」


「エンラ……すまん。」

このあと須上は一時的に拘束を解かれ、体の自由を手に入れた。


だが自販機から買ってきた若い隊員がやけどしそうなくらい熱そうな飲み物の缶を運んでくると、勢いよく須上の顔にめがけて投げつけてきた!


そのせいで当たった所が口からほっぺにかけていたため、その場で倒れ込みじたばたしている彼。


彼の様子をゲラゲラ笑い続けている若い男性隊員を見て、リーダー男性が彼の頭に強烈なげんこつを落とし、離れた所で二人とも倒れこんでいるといったおかしな光景を離れた所で見ていた女性陣達。


女性隊員全員「男ってバカね~」

全くその通りである…


今後、須上直毅が主体となって巨大生物駆除作戦に乗り出す事になるだろう。

その前に彼は、禅内仁と和解することができるのであろうか?

うむむ…なかなか和解するのが難しい事情にも思えてきますね。今後の彼らがどう向き合うか、とても気になるところです!


次回の更新は、5月17日の火曜日…18時にいたします。

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