…人間やめました
「…仁君にシアン、なかなか目を覚まさないわね。」
「そうですね…私だって失神しちゃいますよ。たくさんの幽霊が近くでもし回っていたらと思うと‼︎」
「俺は昔から見慣れてっから大抵は平気だけど、やっぱみんなは違うのか…」
「「霊感あるの⁉︎」」
「うそ、この男の子どんな生き方を…」
仁とシアンの様子を見ていたあかりと真矢、そして共に行動する事にした相田が幹太の意外な一面を知った。
「まあいろいろとな。話し出すときりがないから多くは言えねえけど、ガキの頃から色々な霊にちょっかい出されてたから……
ガイダーみたいな力はねぇが、ロルと大喧嘩して独りぼっちだった時、よく俺の話し相手にはなってくれてたから気は楽だったよ。」
「はは!今思い出すとどうでもいいことで喧嘩してたよなぁ。」
「端水君一人だけが落ち着いてた理由が、何となく分かったわ」
「そう言うことだ!とりあえず、早く兄貴達を起こそうぜ?時間がいくらあっても足りねぇよ。」
「そ、そうね!じゃあさっそく…」
何を思ったのか、あかりは眠っている仁にいきなりキスをしようとしていた!
「「「⁉︎」」」
「「「わー…」」」
「「ダイタン~」」
「あかり、それは流石に…」
真矢、幹太、明音。そして…ガイダー達全員が目の前に起きようとしている光景をみて言葉を詰まらせる。
「え?小さい頃に見た絵本でも、寝ている相手をキスで起こすって……」
全員「それはお話だけ(よ)だ」
「…え?」
あかりさん天然?と、真矢はこのとき思った。
結局仁とシアンの顔をそれぞれが分かれ、ひっぱたいて起こす手段に移り二人はようやく目覚めた。
「う、うう…わ、私はどうしてたんだっけ?」
「あれ?ここは俺の家、だよな。確か病院で…」
「仁さん!」
「兄貴、もう大丈夫です!」
「ん?…ああそうか。今『お前達の上にいるこいつら』を見て、俺はもちろん一緒にいたシアンまでもが気絶したってことなんだな」
「あうぅ…怖いよ仁〜!」
「もう大丈夫だって。こいつらはちゃんと『ごめん』って言ってるんだからよ?」
全員「…え?」
この場にいる人間とガイダー全員が上を見上げてみると、そこには間違いなく幽霊達がいた。
「(こ、こんにちはー…)」
「(やっほー!)」
女の霊と男の子の霊が、上で挨拶する。
女の子達「ぎゃー⁉︎」
「…あちゃ~、こいつらついてきちまってたのかよ。これじゃ兄貴達にも隠せねぇわな」
今、犬吹豪太の様子を改めてみるためこの場にいない佳与とリオーネを除いて、ガイダー達を含めた女の子達は全て気絶した。
その際に、あかりの手から例の封筒が零れ落ちる。
「ん?なんだこれ。なんであかりがもってんだ?」
「えらくしっかりした封筒みたいだけど…幹太、どうしたのこれ?」
シアンの問いかけに幹太とロルはしばらく黙っていたが、意を決してここに到着するまでに起きた事を、俺たちにも教えてくれた。
「そうか、光風社長がここに来てたのか…なんか手間ばかりかけちまって悪かったな?幹太。」
「え、ええまあ。それは全然構いませんけどね?なぜ今はそんな落ち着いてんですか?病院ではずっと壊れた頭みたいに、『あへあへ』言ってましたでしょ!」
「…そういや、俺の持ってるスキルをちゃんと説明してなかったな。
俺は状態異常耐性ってのを持っていてな、どうやら一度受けた特殊なダメージは耐性がつくらしい。」
「…は?」
「あはは、見てもらった方が良いかもね?仁も良い?」
「おう。だが俺、また人外に一歩近づいてるんじゃないかと不安ではある…」
「あんたの場合は元からでしょ」
「はっきり言うなよな…まあいいや。頼む」
「オッケー!この場にいる全員にも、目覚まし代わりで表示ありにして…えい!」
ステータス表示
禅内 仁(25歳) レベル40(↑)
体力(HP)800(↑) スタミナ1000(↑)
攻撃力550(↑) 精神力(MP)600(↑)
防御(忍耐)力700(↑) 器用さ850(↑)
賢さ(↑)2600 魅力300(↑)
責任者(↑)
誠実の姿勢
ゲームプレイスキル+
状態異常耐性++
氷属性攻撃・氷耐性
雷属性攻撃・雷耐性
New火属性攻撃・火耐性
裂傷耐性+
New霊障耐性・霊感能力
自己犠牲→英雄(↑)
ステータス閲覧→情報共有者
カリスマ商売人(↑)
不屈の意志++(↑)
格闘センス
説得術 誘導話術
地場機動力 New帯電
アイスロード New電光石火
コンビ技 New覚醒の絆
:称号
鋼鉄のメンタル 強い責任感
強き若者 立派人間
ベテラン商人 舎弟持ち
初級格闘者 対話術師
閲覧者 異常耐性所持者
氷属性魔法取得者
New火属性魔法取得者
雷と氷を操るもの
博愛の知者 New初級霊感能力
全員「…ふぁっ⁉︎」
目覚ましがわりに俺のステータス表記が使われて、彼女達全員が起きた!
「「…マジか」」
幹太とロルは、その場で呆然とする。
「う~ん…ごめん仁!私もうあんたのフォローは諦めるね♪」
「だよな~……俺もこうなりゃ腹据えて、全部受け入れながら生きてみるか。」
「(ねーねー!お兄ちゃん達~)」
「(あの、その封筒には何が書かれてるのですか?)」
幽霊達が会話に参加し、俺が今手にしている封筒のことを聞いてきた。
「なんで、霊感のない私たちも見えてるのかしら?何か視認できる条件でもあるというの?……ブツブツ」
何やら相田明音は研究者顔負けの集中力で幽霊達をみているようだが、今はそっとしておこう。
それよりも…
「そうだよな。あかりが確か持ってたようだったけど、見ていいもんなのか?」
あかりに尋ねようとしたところで、佳与が病院から戻ってきたようだ。
「ただいま~!お姉ちゃん、おじさんは明日退院できるって!
あ、良かった!仁兄ちゃんも目が覚めたんだね?もう幽霊の心配はないからね!」
「(…あはは)」
「(ここだよ~)」
「え?誰か上に別のガイダーでもい…わー!なんで私の目を塞ぐのお姉ちゃん‼︎」
「ごめんね~佳与?今いろんなことが起きて混乱してて…先に大事な話があるからその後で、ね?」
話が進まないと感じたからか、真矢がやんわりと佳与の上側の視界を塞いでくれた。
「ありがと真矢ちゃん…早速だけど仁君。その封筒の中を今すぐ開けてみてくれないかな?
その中に地震の原因と、相手の正体に関して書かれている内容が入ってるはず。」
「お、おう…んじゃ、開けてみるぞ。」
慎重に中の大きい二つ折りの紙を取りだし、みんなが見守るなか開いてみたら、信じられない生き物の写真と共にレポートが同封されていた!
全員「……モグラ?」
レポートには推定、全長30メートルはあるモグラ型の怪物がこの日本列島の地底を縦横無尽に走り続け、地盤鎮火のスピードを早めているといった信じようのない話が箇条書きで記されていた。
「…あかり、これがあの地震の原因なの?」
「うん、そうみたい…正直私もこんなやつが原因だなんて信じたくはないんだけどね。」
それもそうだろう。いくら昔の時代で『地の底にオオナマズがいるせいで地震が起きるんだ!』なんて迷信が信じられてた時代はあったにせよ、まさかでっかいモグラがいたんです!って伝えたって、まともに向き合ってくれやしない。
「こりゃ俺一人じゃ確かに無理な話だな。モグラを誘き出すと言うか出てこさせる方法はあるんだが…」
「仁君、それって異物を落として外に排除させるってやつよね?」
「ああ。もし見つかってる穴があるなら、各場所でそれをすればどこから出るか分かるんじゃねぇのか?」
「……」
相田は俺たちの会話を聞いてて、自分は場違いなのでは心のなかで思い始める。
「?どうした相田、話がついていけてない感じみたいになってるが。」
「う、うん…直樹なら生き物の駆除関係に関する知識は豊富だけれど、私にはさっぱりだから。」
「あ!あんたがいってる須上直樹なんだけどね、今私のスマホに確保したとの連絡は来たわ!ただ…」
「…ただ?」
「…彼のガイダーが暴走しちゃってる」
「ああ…エンラ~‼︎」
須上直樹の名前を聞いて慌てて姿を現していたシェーラは、恐れていた事が現実になってしまったと感じ悲しんでいる。
「あ、あの富士野さん‼︎」
「どうしたのよ相田さん…」
「彼の居場所を教えてください‼︎私には何ができるかまでは分からないけど、彼の本心を聞きたいし自分の思ってたことを伝えたいの!」
「…場所は東京タワーの前よ。だからと言って、ただの一般人を一人で行かせるわけには行かないの。
あなた、ガイダーのトラブルで一度でも立ち向かうだけの勇気を持てたことなんてある?無いなら来るだけ無駄よ。」
「っ!」
相田明音は堪らなく悔しくて、自分の非力さを痛感しているみたいだ…無理もない。
「どうしても行きたいのなら、一度シェーラと二人で仁君の攻撃を受けてみなさい?」
「あかり!お前はなに言い出すんだ⁉︎そりゃ俺も手加減はできるけどよ。」
「お願い黙って!」
「……」
さっぱり訳がわからねぇ。なにを考えてるんだ?
「…ごめんなさい仁君。彼女には、もし本人達に攻撃をされたとしても立ち上がって向き合って行ける人間なのかどう、それを知りたいの。
そのくらいの意志が無ければ、暴走しているガイダーの元には決して行けないから…」
「そう…つまり富士野さんは、私に根性を見せろって言いたいのね?良いわ。だったらやってやるわよ!禅内君、私を撃って‼︎」
「…死なない程度の加減はするが、痺れて痛い思いはすごくするぞ。本当に良いのか?」
「ちょっと仁⁉︎明音も!」
「大丈夫よシアン。仁君は攻撃をしても優しい性格なんだって私にも最近分かったから、こんな無茶なお願いをしてるだけ…」
「バカな事をさせるなぁあかりも。そんなことせずとも…ムゴムゴ!」
ん?なぜフロットの口をあかりは塞いでんだ?まあいいか、やるからには控えめにやってやる。
「行くぞ相田、覚悟はできてるな?」
「…うん。」
この光景を見ていたみんなも、何がどうしてこうなる?って困惑した顔をしていた。
…って言うか、本当は俺が一番困ってんだよ⁉︎
「威力をうんと落とすイメージで…ふっ!」
少し大きめの静電気みたいな感じで、俺は相田を攻撃した!
「ひゃあぁん♪」
全員「……ん?」
「ま、まだまだぁ〜!」
「え?いやまて相田!なんか様子がおかしくね?なんでそんな気持ち良さそうにしてんだよ。」
「えぇ~?そんなことないよぉ。」
「…仁、私が代わるわ。」
あれ?シアンがなぜか怒ってる。
「ええ~?禅内君のがキモチイイのぉ~!」
なんか今ゾクッと来たぞ‼︎ヤバイ…もんのすげー身の危険を感じてきた⁉︎
「シアン、頼む!」
「喜んで~…えいやっ‼︎」
「きゃはーん♪シ、シアンさんのもキモチイイ…」
「「…ギャー‼︎」」
これ…完全に雷の耐性が高すぎるやつだ‼︎
「あかり、やめよう!もうやめよう⁉︎これもう絶対収まりがつかないやつだから!」
「そうだ!こいつはもう連れていく。もうそれで決まりにする…ってか、そうしてくれ⁉︎」
俺とシアンが例えようのない恐怖に包まれていく中…なんとよりによってシェーラも、俺達の雷を受けて感じてしまっていた!
「にへへへぇ~…私も、もっと欲しいですぅ!」
真矢達「えー…」
「えっと?どうしよっかコレ。雷ってそんなに気持ち良かったっけ。ねぇみんな…」
全員「ブンブンブンブン!」
あかりの問いに、当事者である相田とシェーラを除いた俺達全員が、同時に首を横に振っていた!
「禅内くぅーん…シアンさぁーん」
「「…もっとぉ~」」
ゾンビみたいに寄ってきたぁ⁉︎
「悪い相田!シェーラ‼︎」
身の危険を感じ、たまらず二人を凍らせてしまった…
「…兄貴、ドンマイっすよ」
「仁さんのせいじゃないから。ね?」
「仁兄ちゃん、元気出して?」
「「「シアン…」」」
「「大丈夫?」」
「ごめんねみんな。私、なんかドッと疲れが…」
「ごめん仁君、不本意だけど…」
「いや、良いんだあかり……とっととあいつを黙らせて取っ捕まえてくる。シアンは中に入ってくれるか?酔うかも知れねぇけど」
「うん、そうする。この子達を見てるとこっちが精神的にしんどいから……でもできれば、速すぎない程度でお願いね?
そうだ!ねぇあかり。ここで留守を預かるのと、私たちと空の旅をランデブーするのと、どっちが良い?」
シアンはこんな結果を招いてしまったあかりを空の旅へ連れていき、怖がらせようと企んでいた…
「ま、またの機会でお願い!ここで待ってるから…」
「…分かったわ(チェッ)」
内心舌打ちしたい気持ちをこらえつつ、シアンは禅内仁と共に須上直樹とそのガイダー・エンラの確保へと向かっていった…
雷耐性が高いと、あんな風に感じるものなんですね?(いやちがうだろ)
次の投稿する日は、5月14日の15時にさせて致します!




