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4章 協力とワケアリ幽霊達…

夜から朝まで病院の電気供給をする事になった俺は、病院の電気モーター代わりとして一人寂しく座り続けていた。


「…暇だな。シアンと双子とみんなは俺の家の電気ならついてることを伝えたら、『今夜だけお借りしたいです!』って言ってきたんでとりあえずオッケーを出したけど、こうも誰もそばにいないと寂しく感じるもんだな。」

以前は寂しいと感じる余裕はなかったから、この感覚はある意味懐かしいと言わざるを得ない。


「あーあ、誰でも良いから話し相手が欲しいぜ…」


「…ふふ」


「ん?誰かいるのか?」

誰もいないはずの電気室で、俺は声の正体をしばらく探していた。



一方その頃こちら禅内宅にて、軽い女子会になりそうな状態へと変わっていった。


「…あはは、どうもあかりさん」


「あかり姉ちゃんもきた~!」


「まあこんな感じで先客がいるけどみんな女性なんだし、大丈夫でしょ?」


「え?あ、うん。そうですね……」

分かってはいたが、思わず変な期待を持っていた自分が恥ずかしいとこのとき富士野あかりは思った。


「え、なーに?まさかあかりも真矢の時みたいに、あいつの臭いを探そうとしてたのかなぁ。」


「「ひゃ~⁉︎」」

過去にこっそりそれをやらかした真矢と内心考えていていたあかりは、共に羞恥心にさいなまれてしまった!


「お姉ちゃん達も好きねぇ。じゃあ私は先におふろ入ってこよっと!リオーネにエレとネレも、一緒に入ろうよ?」


「「うん!」」


「え?僕も良いの?男の子なのに…」


「あら、私みたいなお姉さんと一緒に入るのは恥ずかしい?」


「え!いやその…モゴモゴ」


「だーいじょうぶだよネレ兄ぃ! リオーネさんの裸が見えないように、私がちゃんと目を塞いであげるから……ね?」


「う、うん。そういうことなら…」


「「「じゃ、入ろ!」」」


「わー!」


「あなた達、あまり無駄に湯水を使いすぎないでよね?一応節約してるから。」


佳与達「はーい!」


「あはは!シアンちゃんたら、なんかママみたい。」


「ま、ママ⁉︎そそ、そんなことないわよ!」


「やっぱり男である仁くんと少しでも長く暮らしているから、自然としっかりしてしまうのかな。」


「うう……そんなんじゃないと思うんだけど、あかりとフロットは今日までどんな生活を送ってたのよ?」


「「うっ…」」


「えっと、あかりさんもしかして……冷凍食品とかで済ませてたとか?」


「「ギクッ!」」


「…図星ね」


「お恥ずかしい…」


「僕もあいにくそっち関係には疎くて。何せゆっくり食べる余裕も、作る時間もないからさ…」


「それもそうよね…変な例えで言うけど、毎日仁がガイダーのトラブルに駆けつけるようなイメージしか私にはできないし。」


「ほぼそんな感じであってるわよシアン…だいいち親からも、料理の仕方なんて教わらなかったし。」

世の中には自炊できない女性も、正直少なくないのかも知れない…


「じゃあさ、シアンちゃんにあかりさん!明日朝から仁さんが帰ってくるまでの間、料理の練習でもしてみない?」


「まあ構わないわよ?あとは何時に仁が帰ってくるかが問題よね…」


「ウフフ、みんなして愛妻弁当でも作るのかしら?」


「み、ミューラ…そんな意味じゃなくて⁉︎」


「アハハ!分かってるわよ、あなたには気になるボーイフレンドができたんだもの…ね?」


「きゅ~…」

恥ずかしさのあまり、気絶してしまった真矢。


「ミューラやり過ぎ。」


「良いじゃない、たまにはみんなとこんな感じの会話をしてみたかったし!……もっとも、別の客がいない時に限るんだけど、ね?」

ミューラが警戒しながら眺めている先には、同じ水属性と思われるガイダーが窓の外から部屋の中を眺めていた。


「みなさん初めまして、夜遅くに押し掛けてきてごめんなさい。少し相談があるんだけど…」

彼女は快晴な空色のような髪の毛と瞳を持ち、夜の風になびいている純白のドレスが月のあかりを受けて、神々しい明かりを放っていた。


「何?相談って…あなたはどこのどちら様?」

少し弱めな、極小の雷がシアンの体をまとい始める。


「わ、私の名前はシェーラ!見ての通り水属性のガイダーよ。そして私は藍田明音のパートナーです…」


「そう、あの女の……それで相談って何?言っとくけど、うちに泊めるってのは無しよ?」


「も、もちろんよ!本人はネカフェで調べものをしながら寝泊まりすると言ってたからそこは心配しないで!」


「「「「ネカフェって……」」」」


「本人も、この大規模停電のせいでホテルに泊まれなかったんだからしょうがないのよ。でね?相談って言うのは……私たちも、須上直毅さんの捜索に参加させてほしいの!」


「探してどうしたいの?こらしめたいわけ?」


「ミューラ!」


「……」

挑発的な意見をするミューラを、反射的にたしなめるシアン。


「…もしかして、ガイダー絡み?」


「‼︎」

あかりの一言に、シェーラは強く反応した。


「…なるほどね。」


「納得ね。」


「…救出か」


「ちょっと本気?」

あかり、フロット、シアン、ミューラ…共に反応の差はあるが気持ちはみな分からなくもない。


「これはあくまでも私の見方だから断言はしづらいけど、あなたがそこまで深刻に考えてる様子を見て思うのは、近々その子は暴走するのね。」


みんな「……」


「…もうしかけています。このままだと明音の想い人の直毅さんは、私の好きなエンラの暴走によって殺されると思います。そんなの、私は嫌!」


「それは確かに、一番悲しい気持ちしか残らないわね。でも、会ってそれからどう伝えるの?藍田明音から聞く限りだと相当な理由があって、そいつは仁の事を焼き殺そうとしたんだし……」


「シアン…」


「…ありがとあかり」

あかりがシアンを気にかけて優しく呼び掛ける。


「私もその事は分からないの。だから明音と一緒に助けたい!それに、何を望んでそうなったのか直毅さんの口から直接聞きたいの‼︎」


「…話はわかったかも。みんなやろうよ!」


「真矢!あんた起きてたの?」

ミューラは真矢が起きてた事に驚く。


「途中からだけどね?テヘ……やることはもう決まってるじゃないみんな!仁さんと明日合流しよ?」


「まあ、仁なら間違いなく行くでしょうしね。みんなもそれでいいかな?」


「聞いてしまった以上協力するしかないじゃない。でもあたいの本音としては、無関係だと突き放してしまいたい気分なのよね。でも……好きな相手の事に必死なら、協力するわ‼︎」


「私も、真矢ちゃんとミューラに賛成かな。実際仁くんとみんなのおかげで、フロットとまた一緒になれたもの。」


「あかり…」


佳与達「私たちも行く~!」


「あ、あんた達⁉︎濡れたまんま出てきちゃダメでしょ、早く拭きなさい‼︎」


佳与達「…ごめんなさーい」


「ウフフフ!あなた達ってとても賑やかなのね?明音が聞いたらきっと羨ましがるわ。」


「彼女もそれなりに分別ができるみたいだし、そのうち一緒になるのかしら?シアン」


「それはどうだか……あかりもそこまで気持ちに余裕はなさそうだけど、平気なの?」


「分からない…でも、塞いだ気持ちのままで生きるのはもう辞めたいから。『この傷跡』とも、そろそろお別れしないとね!」

あかりの手には、まだリストカット跡が残ったままである…


「じゃあ今日は遅いし、他のみんなもお風呂に入って早く寝ましょ?シェーラ、あなたはもう戻るの?」


「も、戻りたいのは山々なんだけどね?多分窓も出入り口もこの時間は閉められちゃってると思うから、入れない……かも。」


「ハァ…しょうがない、今回限りだからね?ほら入るわよ!」


「う、うん!ありがとうシアン‼︎」


「はいはい、どういたしまして」

シェーラを含めた女達は、それぞれの好きな異性についての話に盛り上がりつつ、仁が決して見つけてほしくないところにしまっていた『男用のアノ本』を、よりにもよって佳与が見つけてしまう。


最初はワーキャー言いながら反対していた面々も、揃って無言のままその本を読み漁っていた。


仁は、秘蔵にしていたその本達を彼女達によって処分されたというショックを、後日談で店長の豪太と端水幹太に打ち明けていたが、それはここで語られる事のない話である…



翌朝、禅内仁がいつ帰ってきてもいいように朝食をみんなが作って待っては見たものの、午前中に戻ってくる様子はなかった。


幸いこの非常事態では学校関係もしばし休止のため真矢はみんなと残ってはいたのだが、真矢の父豪太から電話がかかってきた!


『おー真矢!そっちは大丈夫そうみたいだな?こっちは何て言うか……禅内の奴様子がおかしくなって困ってるんだ。すまねぇが病院まで来てくれ!』


全員「?」

シェーラを交えてみんなが首を傾けつつも、アパートを揃って出た。


病院の近くまで歩いてくると、ちょうど藍田明音と合流を果たす。

昨夜の話をシェーラから聞き、二人の捜索に協力してもらえる事を伝えたら、泣いて喜んでいた。


そして今、みんなで禅内仁の様子を見に来たわけなのだが……一晩で本当に様変わりしていたのである…


「ははははは…人が、人がたくさん飛んでら~」


「おーい兄貴‼︎そろそろしっかりしてくださいよ⁉︎彼女達も迎えに来てるんすよ!」


「ふへへへへへ…」


「な、何があったの店長さん?」

シアンは戸惑いを隠せないで尋ねてみる。


「いや、まあその……笑わないで聞いてやって欲しいんだが…な」


「?」


「なんでも、今朝までずっと電気を出してくれていたあいつにお礼を言いに来てた看護師が言うには、電気室に一人いる禅内に…」


「…仁に?」


「たくさんの幽霊達が群がっていたそうだ」


女子達「ひっ‼︎⁉︎」


ガイダー達「??」


「だから今日は、ここに置いてやるのは逆に可哀想すぎる……さっさとアパートに連れ帰ってやろう。」


「は、はい…分かり、ました。仁くん、なんか何もしてあげらなくてごめんなさい…」


「あかりもそうだけど、なんでみんな恐怖に震えてるの?僕らにはさっぱり分からないや。」


「そうねフロット。後でしっかり教えてあげる…」

みんながタクシー乗り場に行ってタクシーを確保するなか、シアンだけが禅内の元に残った。


「じーん。ほら、早く目を覚まして?一緒に帰ろ!」


「うふふふ、あなたは彼の恋人……なのかしら?」

なぜかシアンの背後、そして周りには既に誰もいないはずなのに、ふと寒気を覚えるような冷たい息を背筋に受け、身の凍るような声が聞こえた。


「え?やだなぁ~そんなんじゃないってば!まあ一緒に住んでいるのは確か…って誰よ?どこなの!」


「フフフフ…ここよ?こーこ。」


「えっ?ここって声がなんで上から聞こえ…」

 シアンが目線を向けた先に現れた者……それは!


「ウフフフフフ…」


「キャハハハハハ!」

事故によるものかなんなのかは知らないが、額がパックリ割れて脳みそがドロリと落ちて来そうな青白肌の女性と、首がぐるんとあらぬ方向に曲がって目玉が落ちかけている、これまた青白い肌の男の子が不気味な笑い顔を出しながらシアンの頭上を回っていた。


「キ…」


「「き?(ふふふ!)」」


「キャーーー⁉︎」


「「「…ギャーーー‼︎」」」

シアンは己の叫び声と共に、既に無人となっていたフロア内で禅内仁ごと幽霊達に雷をぶつけると、速攻で彼の中に逃げ隠れた‼︎


はて、幽霊に雷は効くのだろうか。


(ナニアレナニアレナニアレナニアレ〜⁉︎)

もはや怖さのあまり、禅内仁もシアンも協力するほどの意欲すら沸くことはなかった…


数時間後、タクシー2台ほど使ってアパートに戻った面々の前に、ちょうどエージェントの光風指揮官が近くで待機していた。


「し、指揮官!わざわざ御足労いただき恐れ入ります!」

富士野あかりは、つとめて姿勢をただし敬礼をしながら隊の挨拶をした。


「「おお~…」」

真矢と幹太は思わず、その姿に感心している。


「うむ。今日が禅内君の返事を聞く日でもあるので、とりあえず来てみたのだが禅内君は…んんっ⁉︎」


「あ、あはは…色々ありまして。仁くんもシアンもこの有り様なんです…」


「アハハハ…」


「フヘヘヘ…」

あかりも笑顔を取り繕っていたが、内心泣きたいほど戸惑っていた。


「こ、これはひどいな!病院に連れてったほうが…」


全員「…病院はやめてあげてください」


「む?」


「光風指揮官、少々お耳を。実はですね…」

あかりは今朝病院でみた禅内仁の様子と、彼の体験した話を聞いた事…そして一晩中発電代わりをしていて心身共にすり減っていた事を簡潔に説明した。


「なんと!それはさぞ恐ろしかったであろうな…よしわかった。ならばワシの事は構わず、彼を部屋に連れて行きなさい!そしてすまないが、彼が起きたらこれを見せてやって欲しいのだ。」


「…これは!指揮官もしや‼︎」


「うむ……今回頻発している大きな地震の正体が、私たちが極秘でおってきていた『あやつ』の仕業だという結果が出た。

彼がわが社に来るか来ないかは後回しでいいが、事は一刻を争う。近々協力してもらわねばならん!」


「…分かりました。責任を持って彼が落ち着いたときにお話しておきます!」


「頼んだぞ?では、失礼する。」

みんなが指揮官の姿が見えなくなるまで見送ってから、それぞれが富士野あかりに尋ねてくるので、彼女はその問いに順序を追って答えていった。


「…うん、これはあの大地震の正体についてかかれた機密情報なの。だからまず、仁君とシアンが目を覚ましてから話そ?それほどにまでこれは大変な役目だから!」



富士野あかりが言う重要機密の内容とは?仁とシアンが目を覚まし、この問題に携わる事が地震騒動と『つけめん屋や○べえ』店主が変貌を見せる、原因解決に大きく繋がっていく事となる。

人間である禅内仁が気絶するのは無理もないが、まさかガイダーのシアンも幽霊を怖いと感じる日が来ようとは……


今度の投稿は、5月10日の18時に行います!またどうぞ、見に来てくださいね?

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