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過去の因縁・後悔

昨夜のうちにあかりと名前で言い合えるようになったわけなのだが、今朝は彼女のはだけた服の隙間から薄い空色の下着が垣間見え、見とれてしまった。

思い出すとつい口元が緩くなるのが自分でも分かる。


「…はっ!やべぇやべぇ⁉︎こんなところをまたシアン達に見つかったらただではすまねぇよな。」


「…別に見つかったってお前みたいなやつにはなんの問題もねぇだろ?禅内仁さんよ。」


「そうよね。他人を蹴り落として上に立ち続けて来たくそ野郎さんに、誰が心配なんかするってのよ!」


「はぁ?誰だ!…って、お前らは確か昨日人をじっと見てたバイクの二人組!俺に何の用だよ?」


「ハハハ?流石は最低野郎だぜ!お前はきたねぇ真似ばかりしかできない…てめぇの目障りだと思う相手の顔すら忘れても平気な奴だったもんなぁ!

良い大学に入ることができて喜んでた[エリート]様は本当に違うぜ!」


「全くだわ!人の答案用紙を盗み見して、それをやったのは私だなんて嘘をつかれて!人の人生を台無しにしてくれる奴って、本当に図太い神経してるわよね‼︎」


「うそだろ⁉︎お前らまさか高校時代の同級生…須上直毅(すがみなおき)と、相田明音(あいだあかね)か?」

二人とも、頭以外は上から下までライダー用のスーツを着ているからすぐには気づけなかった。


須上直毅のその顔は俺とは違って女子受けしやすい、たくましくてイケメンタイプ。

それと、スポーツ選手を連想してしまうほどの爽やかなショートヘアだった。


更に、相田明音の場合はモデルのようにスレンダーで全体のスタイルもよく、活発そうな性格だと感じられるその顔立ち……ヘルメットをかぶる為なのか、栗色の柔らかそうな髪の毛が後ろ側へと束ねられていた。


「「‼︎」」

二人は俺が名前を覚えていたことが意外だったのか、とてもビックリしていた。


「…へぇ、俺たちの名前を覚えてたとは驚いたぜ。てっきり完全に記憶から外してたかと思っていたぞ!」


「なんか、考えていたよりも変な展開ね?でもある意味ちょうど良いわ。あのときの事を謝らせてやるには…ね!」


「須上、お前の成績を下げようと教員を騙して中退扱いにしてしまって本当に済まない!」


「…んんっ⁉︎」


「相田!カンニングの罪を擦り付けて、更には嘘の報告をしてお前の行きたいところを全て潰し回っていたこと、本当に済まなかった‼︎」


「……はぁ⁉︎」


「俺は自分の目標の為だけに、全てを潰して生きてきた!その仕打ちは今も全て俺に跳ね返ってきている。

そしてこれからも、重荷は背負うときめてるんだ!

俺の首なんかで事足りるのならどうか好きなようにしてくれ!それでお前達が納得するのなら……」


「……え?ちょっ、ちょっと待ちなさいよ⁉︎何いきなり始めの内に謝ってくんのよ!こっちはね、あんたをめちゃくちゃひどい目に合わせるにはどうしたら良いか考えながらひたすら生きてきたのよ⁉︎そんなすぐ割り切れないわよ!」


「そうだ!お前の知り合いが見ている前で、徹底的にその心を壊しきる為だけにこっちは生きて来たんだぞ!

何今から謝って許してもらおうとしてんだ…そんなの、俺たちの気がすまねぇ!」


「ああ、分かってる!だが俺自身に復讐したいのなら、せめてこうして俺一人がいる時だけにしてくれよ…俺はいくらでも受け止めるからさ?頼む‼︎」

俺は、自分の愚かさと周りの人間に対して悪い影響を与えてきた事を心底後悔していた。


その因果は巡りめぐって色濃く染まり、一生涯に渡るまで味わい続けてしまうものだと知ったから。


「ちょっ…直毅どうすんのよ?」


「どうすんのって、もうヤるしかねぇだろ…おいへっぽこガイダー!早くこいつを攻撃しな‼︎」


「ひ、ひぃー!」

見ると、リオーネのような炎を操り泣きながら俺に狙いをつけている、上下ともに曇り空のようにくすんだ色の服を着たガイダーの男の子が目の前にいた。


「なあ須上、復讐ってのは手前だけでやるもんだろ?なんで自分の手で復讐をしようとしねぇんだ。

ガイダーを身代わりにして自分の手を汚さないって、まるで昔の俺がお前達にした事と同じ、[ただのクソ野郎]とたいしてかわらねぇぞ?」


「うるせぇな…俺の持ちもんを俺がどう使おうが、てめぇには関係ねぇだろが‼︎」


「う、うぅ…」


「ちょっと直毅そんなのやめときなって。今度はあたしらが犯罪者になっちゃうじゃないの!」


「うるせぇ明音!」


「…キャッ!」

須上が相田を対して殴り付けて黙らせるのを見て、俺は静かに怒りを覚え始める。


「…おい須上、最低まで落ちぶれた俺だから言えるけどな。お前は自分がさっきからとってる行動がどれほど最低な事なのか、本当に分かってんのか?

お前が俺を恨むことは別に構わねぇよ!それだけの事をこっちはお前達にしてきたんだからな。

だが同じ仲間の説得すらも耳に入らないような奴がどれだけ自分の主張を正しく見せたって、必ず報いがやって来るんだ。今のこの俺を見りゃ分かるだろ?」


「「………」」


「俺は親の言いつけを守る為だけに、汚いことをしてでも一番になるよう育てられてきた。それしか許してもらえなかったからだ…

俺のそばにいてくれたガイダーは、その時からそばにはいなかったしなおさら他人と対話なんてしてこれなかった。」


「…れ」


「…直毅?」


「でも、今の俺に変えてくれたのは他でもない彼女達だ。その想いを俺は一生大事にしたい!」


「黙れ!」


「待って直毅!」


「そのために俺は、新しく生きるって決めたんだ‼︎」


「うるせぇ黙れぇ!燃やせガイダー‼︎」


「…っ‼︎」


「う……がああぁぁっ⁉︎」

ガイダーの男の子が放つ炎に、俺は一瞬にして包まれながら倒れた。


「キャー‼︎」

相田明音はその光景を見て頭を抑え、あらんかぎりの声で叫び声をあげた。


「…フン!行くぞ明音。来い‼︎」


「イヤッ!触んないでよ直毅‼︎」


「チッ…勝手にしろ!おっと、お前は俺と来るんだよ」


「や、やだぁ~!もう、もうやめてよぉ~‼︎」

須上直毅は、燃やされた俺と地面に座り込んでしまった相田明音を一瞥してのち、ガイダーの男の子を無理矢理掴んでバイクに乗って逃げていった!


「ど、どうしようどうしよう⁉︎」

彼女は、目の前で燃えている俺を見てひどく取り乱してしまっている…


「…あなたはどいて下さい!ミューラ‼︎」


「オッケー!」

ミューラの水により、俺を包んでいた火は全て消火された。だが、全身火傷をおっていて体の隅々までも黒く焦げている…


「あ、あ……」

相田明音の心に安堵と恐怖がせめぎ合い、今どんな気分でこの光景を見ているのかすら分からなかった。


「…あなた、昨日の夜仁さんを睨んでた人の一人ですよね?なんでこんな真似をしたんですか!」


「ち、違っ…私じゃ…無いの!直毅が、直毅がぁ⁉︎」


「どっちかだなんて知りませんよ⁉︎とにかく仁さんを病院に連れていきますんで、違うと言い張るのなら手を貸してください‼︎」


「う、うん…うん‼︎」



二人は禅内仁を担いで無事に病院に着くと、退院した幹太と入院患者の着る服をきた豪太が歩いて来ていたのだが、禅内仁の負った火傷を見てこれは危険な状態だと判断し、慌てて幹太は医師を呼んだ!


「これは…なんとひどい⁉︎すぐ治療室へ運べ!手遅れになるぞ‼︎」


「…真矢、何があったんだ?なぜ禅内があんな目に‼︎」


「私だって分かんないよ!帰りが遅いから迎えに来ようと様子を見に来てみたらこの人が震えて動けなくなってて、そばには火に包まれたまま動かなくなった仁さんが倒れてたの‼︎」


「おい嬢ちゃん、何を知ってるかちゃんと教えてくれるんだろうな?」

豪太は相田明音の事を仇のように見るような目付きで睨み付け、彼女はただ無言で首を縦に振り続ける。


「犬吹、ミューラが兄貴の体についた火を消してくれたのか。」


「うん。でも、もっと早く来ておけばあそこまでひどくはなかったかもしれないと思うと…ウゥ!」


「お前はよくやったんだから気を落とすんじゃねぇよ。……ありがとなミューラ!兄貴の為に」


「ううん、あたいは真矢の力になっただけだから。それよりもシアン達がどんな気持ちになるか…」


一同「……」


「あれ?おじさんにお姉ちゃん達、なんでこんなところで暗い顔をしてるの?」


「ねえ真矢、仁様は~?ここにはいないの?」


「「お腹すいた~!」」


「もう、あいつってばどこで道草を食ってんだか!どうしたのよみんな。そんな真っ青な顔をして…って

、あなたは昨日もう一人の男と一緒にいた女よね?」


「ご、ごめんなさい‼︎」


「な、何?何に対して謝ってんのよ…ここだと他の人が迷惑するに決まってるじゃない。とりあえず外に出ましょ?そこで落ち着いて話をしないかしら」


「…(頷)」


「シアン…あの。私達も一緒にいっても良いかしら?ご主人様はあの方の様子を見てきていただけますか?」


「…分かった。じゃあな嬢ちゃん、後でちゃんと聞かせろよ」


「はい…」


「??」

シアンはこのときはさっぱりわけが分からなかったが、後に外へ出ておいてよかったと少しばかり安堵することとなる。


今いる全員で、誰も足を運びそうのない病棟外の片隅へとたどりついた。

 

彼女…相田明音の口から自分が抱いていた事と禅内仁が二人に向けて過去の過ちを白状し、謝罪してくれた事。

そして、一緒にいた須上直毅が道具のように使い回していた火属性ガイダーの攻撃によって、禅内仁が全身火傷を負ってしまったことなどを全て話した。


「…ふっざけんじゃないわよ‼︎」


「ヒィ~⁉︎」

シアンのいる所から、晴れ渡る天へとかけ昇るほどの激しい紫雷が起きた!


「あんた達が仁の事を恨む理由は正直分かるわ。でも、して良いことと悪いことがわからないそいつなんて人間以下よ‼︎なんで自分の手じゃなく、そいつは私達のようなガイダーを使うわけ⁉︎まったく最低以外の何者でもないわ!」


「ぜ、禅内…も、同じこと…言ってました。でも私には分からない。何が彼をそこまで変える事ができたの?」


「…それは単にあんた達が復讐したい気持ちに囚われ過ぎてたから、彼の言う言葉の意味に気づけなかっただけじゃない?」


「フロット。それにあかりまで…いつから来てたのよ?」

シアンも驚いて振り向く。


「みんなの帰りがあまりにも遅いと思って一旦学校近くまで戻ってたのよ。そしたらシアン達が病院に入っていくのが遠くから見えたから、駆けつけてる間にまた表に出て行くのが見えてね?

おまけに昨日見たその女と一緒に出てきてるのが分かったから、慌てて追いかけて角にまで近づいたタイミングでちょうど聞こえてきたのよ。」


「…私はただ、彼が私の時と同じように周りの信頼を全て無くして、嘆き悲しむ姿を見たかっただけなの!

殺すつもりなんて初めから無かったけれど、直毅だけは違ってた。」


「もう言わなくて良いわ。その代わり、私と他のエージェントが総力をもって仁君に被害を与えたそいつを必ず見つけ出し、絶対捕まえてやる!

だから今すぐに、そいつが乗っているバイクの特徴とナンバーをすぐに教えなさい。地のはてまでも追いかけてやるから……」


「は、はい…」

富士野あかりから発せられている殺気は、相田を怯えさせるには十分だった。


「これが、彼と彼のバイクの特徴とナンバーです!本当にごめんなさい…あなたの恋人だったのね?」


「ここ、恋人って言うんじゃないわよ‼︎言うなればそう、恩人…そう!恩人よ‼︎」


「ねぇあかり?私に気を遣って言ってくれてるんでしょうけど、私はこの通りガイダーだから……どれだけ仁の事が大好きでも、ただの相棒にしかなれないの。

あなたはあなたの気持ちを素直に出せば良いのよ?」


「えぅあうえぅ⁉︎」


「「あかり(ねぇちゃん)さん…」」

二人の姉妹から、なにやら温かく見守る先輩(?)のような目を向けられていた。


ガイダー達「あははは…」


「えっ?うそ!禅内仁っていつの間にこんなモテるようになったの?」


「ハァ…いずれあんたにも分かるかもね藍田明音。でも、私は仁をこんな目に合わせたあなた達を許しきれてはいないから、そこだけは覚えといて」


「…なぁあんた。兄貴はあんた達に謝るときに、最後はどんな顔で謝ってたのか聞かせてくれないか?せめてそれだけは聞きたい」


「彼は、泣いた顔で謝ってた……うっ、うわぁぁん‼︎」


「…ありがとよ教えてくれて。あと、泣いてくれて…」

その場で泣き崩れる相田明音をそのままにして、全員はそのまま一度病院の中に入るため、その場から去っていった。


「…明音、ごめんね?私水属性なのに怖くて出て来られなかった。」


「ううん、良いのよシェーラ。私だって同じ……だから今度は、逃げない為にあなたの力を貸してちょうだい?直毅の目を覚めさせたいの!」


「うん。私も彼を…エンラを直毅さんの手から救いたいから!」

普段から意見がすれ違い気味だった相田明音とシェーラは、このとき初めて思いを一つにした。


全ては、お互いの想い人を救うために…



炎に焼かれて倒れた俺は意識ごと暗い闇の中に閉ざされ、周りに見えているものは何一つない。こんな格好で死ぬくらいなら、もう少しシアンやみんなと一緒にいたかったな…


「…ん」

でもそれは、都合の良い手前勝手だ。俺はそれほどの悪事を小さい頃から続けてきたのだから、これが俺の罰で報いなければならない結末なのだろう。


「……して?…ん!」

マスター・ゼノン。すまない、自分の卑しさをめいいっぱい思い知らされたまま俺は死ぬんだろ?

なら、どうか来世はまともに生きることができる家庭に暮らせるよう、せめて祈っててくれよ。


ただ最後にもう一度この、この名を呼びたい…


「…シアン」


「仁?…仁‼︎生きてるのね?私よ、シアンよ⁉︎お願いだから目を開けてよ…仁~!」

バリバリバリバリ!


「ンギャーーー⁉︎」


全員「目覚めた⁉︎」


「ゴホッゴホッ…何すんだシアン!あの世に来てまでも電撃食らわせてくるのかよ‼︎」


「このバカ仁!よく見てみなさいよ‼︎ここは病院よ?びょ・う・い・ん!」


「えっ?病室…だと?俺はまだ生きてんのか。」


「当たり前でしょ‼︎本当に心配しかかけないんだからあんたはぁー‼︎」

シアンが大粒の涙を流しながら、俺に思いっきり抱きついてきた!


「ごめん、ごめんなシアン。俺も、生きてて良かった!」

二人がお互い抱き合い、涙を流しているところを見ていた全員も、思わず泣いていた。


「…驚いたな君は。ここに運ばれていた時は、医師である私らが見ても即死だと思えるくらいの火傷をおっていたのに、たった10時間でほとんど治っている…こんな人間を見たのは生まれて初めてだ‼︎」


「お、俺は10時間も眠ってたのか…」


「兄貴、本当にあんた何者なんすか?聞いた話だと氷だの雷だの出せるって言うし。一般の人間では全くできませんぜ?」


「幹太。俺にもなんでこんな力が備わってしまうのか、自分でもまだ分かってねぇんだよ。」


「仁君…」


「仁、目が覚めたんだね。」


「あかりにフロット。みんなにも心配かけたな?…でもよ、なんで[アイツ]もわざわざここに来てるんだ?」


「あなた!…まだ何か用なの?」

シアンは敵意を剥き出しにしつつも、相手の言葉を待っている様子だった。


「あ、あの!禅内…君。直毅の代わりに私から謝るわ、本当にごめんなさい‼︎」


「相田……俺の方こそ今までお前達を苦しめて、本当にすまなかった。」


「…良いの?仁君」


「ああ、元は俺が蒔いた災いの種だしな。こんな風に誰かに復讐されに来る事も、何となく予感はしてたからよ。

とは言え、須上は色々間違っちまったみたいだな。嫌がっていたガイダーの男の子を、道具扱いにまでしてたんだからよ?」


全員「……」


「…私らには君たちの事情に深く関われないから余計な事は言えないが、お嬢さん?せめてこれだけは言わせてほしい。」


「ドクター…はい。お願いします」

相田は医師の目をまっすぐ見て、言葉を聞き入れている姿勢を見せる。


「寄り添うだけが信頼ではない。言葉で封じるのも、同じ考えに同調するのも、わざとはね除けて距離を取ることも全く違う。

必要なのは、いかに気持ちを受け止めて素直に返していくかだ……一方的な意見の押し合いには決してならないように、相手と語り合うと良い。

なぜその人がこの彼に殺意を抱いてしまうほど思い詰めてしまったのかを知りたいのなら、取り乱さないで静かに聞いてごらん?そこにきっと答えがあるから。」


「はい……はい‼︎」


「では、この話はここまでにしとくとして…だ。確か禅内君と言ってたね?病み上がりで申し訳ないが、折り入って少し頼みがある」


「はい?なんでしょうか。」


「これから頼むことはとても大事な事だ。それはね、この病院に君の……君の持つ電気を分けてくれ‼︎」


「え"っ⁉︎」

あ、停電か…


「……マジっすか。自家発電の類いは無いんですか?」


「ケーブルはあるが動力源の方は完全にイカれてしまったんだ。実は今ついている電気も、緊急時用の物を使い続けている…

だから頼む、一晩だけで良い!その間に一人でも多くの命を救いたいんだ‼︎」


「わ、分かりました。それだけで良いのなら協力します。実際俺も助けられたし…場所はどこですか?」


「ここの地下にあるのだが…もう歩けるのか?」


「よっと、と……なんとか歩けますねって、なんて顔をしてるんだ?相田は」


「え…どう考えてもおかしいでしょ!あんだけ黒く火傷してたら絶対後遺症で体のどこがに障害が出るものなのに、なんで平気な顔してあなたは歩けるの⁉︎」


「お、俺もそこだけはどう意見っす。」


「まあ普通はそう思うよね…って、この台詞を言うのこれで何度目だっけ?ま、良いか!」

シアンも、度重なる非常識に考えるのをやめた。


目的地にたどり着いた俺達。この体に電気の帯電をするため、シアンに電気をぶつけてくれるよう頼んだ。


「もっちろん!今まで人に心配かけさせてくれたお礼に、とびっきりの雷をプレゼント(おしおき)してあげる♪…おりゃー‼︎」


「ほぎゃーー⁉︎」


「…ミューラ。人間ってなんだっけ?」


「アレは完全に論外だから、全然考えなくて良いのよ?リオーネ…」


「ガクガクガクガク‼︎」


「だ、大丈夫よ相田明音。仁君の耐性が高すぎるだけだから、誰も真似なんかしないわよ…」


「本当はこの考えになってしまうのも、もう手遅れなくらい現実離れな気がするよ?あかり…」


「兄貴って、もしかして不死身か?」


「う~ん…半分当たりかもね?端水君。」


「仁兄ちゃんって、本当にスーパーマンだね!」


シアンから電気をたっぷり受けて気絶から戻った俺は、医師の指示のもと病院の電力供給をするため自身でプラグを持つ。


自らの体に押し付けてから静かに電気を体に纏い、供給源となって今夜から朝まで続けていくのだった。

 (どうやってメシを食べたら良いんだろうか?)



・所変わって、病院のロビー端に備え付けられている充電コーナーで一人利用している人物がいた。

それは、富士野あかりである…この機会に電気の使えるこの病院でスマホの充電をしながら、エージェント部隊隊長・菅谷隊長に昨夜から起きていた事。


そして、本部から一目を置かれている禅内仁の過去による、因縁の相手が彼にとった行動などを細かに報告をしていた。


「そう、分かったわ。報告してくれてありがとう…とにかくあなたも無事みたいで本当に良かった!こちらの本部も今は大丈夫だけど、この震源がずっと移動を繰り返しているのなら、次に来るのは恐らくここかも知れないわね。

あなたの任務は引き続き彼のそばにいること。目的は……彼の護衛ですって!良かったじゃない」


「も、もぉ~隊長~~!」


「うふふ!すっかり可愛らしくなっちゃったわね?その調子なら、彼のスカウトに成功しやすいんじゃないかしら。」


「そ、それは…」


「あ、いえいえごめんなさい。私たちのボスが明日彼のいるところに行くと言ってたのよ。そろそろ返事が聞ける頃かなって……彼は、組織に来てくれそうな感じ?」


「私にも分かりません。本人の中ではどんな答えを出せば良いか分からないと、時々シアン達から聞いてますが…具体的な話はまだです。」


「…そうよね。最も、本人の意志がこの組織に関係してなくても、多分どこかで共闘作戦ができるって気がするわ。

だいいち彼は何て言うか、一人でも首を突っ込んでいくタイプでしょ?」


「そうなんですよ!見てるこっちがヒヤヒヤするんですから……あ」


「あらあら♪熱いわね!」


「むぅ~」


「フフフ!まあ、明日まではゆっくり休んでてね?じゃあおやすみ。」


「はい、おやすみ…なさい」


「菅谷隊長、日に日に母親らしいこと言うようになったね。あかり」


「もう、恥ずかしいなぁ……ねぇ、どうすれば良いと思う?フロット。仁君はなんていってくれるのかな」


「これは彼の考えに任せるしかないんじゃないかな?変に催促しちゃうと身構えて、思ったことを言わなくなるかも知れないから。」


「そうね!明日は彼の判断に任せましょう。今の私が負う任務は彼の護衛だし!」


「そうしよう。まずは今夜の内に決めるのは泊まる場所の確保と電気だね?」


「そうね、一応小型のライトは持って来てるんだけどやっぱ大きいのがいるよね?それに、検索してもどのホテルも停電してるし…ん?あれってシアンよね。おーいシアンー!」


「あれ?どうしたのよあかり、まだ帰らないの?もう23時になるわよ。」


「そうしたいんだけどね、ホテルはどこもまだ停電みたいで利用できないのよ。この近くでどこかに泊まれる所ない?」


「う~ん、一晩だけなら家で良ければ構わないわよ?何人か一緒になるけど。仁から鍵は一応借りてるし、どうする?」


「そ、そうね。お言葉に甘えよっかな!」

あかりは控えめに了承したように見せてはいたが、内心ドキドキしていた。

今はいないにしても男の泊まっている部屋を借りて過ごすなんて体験、誰が想像できただろうか?


「「……」」

シアンとフロットは、今全力でにやけ顔を隠そうとして見悶えている彼女の姿を見ていた。


「「……ハァ」」

そして二人揃って、本人の見えないところでため息をつくのであった。

普通の人間でないにしても、まる焦げからの完治ってほぼ不可能とは思いますが、そこはやはり主人公のみに与えられた特権(?)ってやつでしょうか。


次の投稿は、今夜の23時頃にいたしますのでぜひともまた、見に来てください!

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