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夜の異変

警察官達に守られながら、俺はシアン達がいるであろう近くの小学校にある校庭広場へと向かっていった。

そこでは大勢の住民が避難してきたのか、夜だというのにごった返している。


「ハッ!仁~‼︎」


「シアン!」


「本当に何もされなかった?尋問とか解剖とか後でされたりはしないよね⁉︎」


「か、解剖なんてさすがにされねぇよ!心配かけて悪かったなシアン。向こうで氷付けにしていたオヤジさんを解凍した後、再び撃って来やがったんだ!

でも警察官の人達に守られていたおかげで、ここまでたどり着いた。

ところでおっさんの姿が見えないが、もう病院に入れたのか?」


「うん。真矢と佳与達が付き添ってる……でも、仁のそばで守れなかったのが辛いよ」


「すまねぇな、俺もシアンやみんなを傷つけたくなくて一人残っていたんだがやっぱり不満…か?」


「大いに不満よ‼︎確かに今の仁はバカみたいに強くて私たちは守られてばかりだけど、もう少しぐらい私にも甘えてくれたって良いじゃない‼︎……もし知らないところで勝手に死なれたら絶対嫌よ!」


「…悪い」


「私もシアンと同意見よ?禅内クン。」


「そうだね、君がどれ程高次元の存在に近づこうと人は人。独りよがりは通用しない…」


「富士野にフロットも悪かった。って、言うか高次元の存在ってのはなんのこ…と⁉︎」

再び…今度は大きな縦揺れとなって、強めの地震が起きた!


「また地震か!富士野伏せろ~‼︎」


「キャー‼︎」


「仁!」


「あかり⁉︎」


住民達「うわあぁぁ‼︎」

なんだか最初よりも更に強くなったぞ!


「あかり、菅谷隊長に連絡しよう!これは普通の地震なんかじゃない‼︎」


「分かったわフロット。今から連絡するね‼︎禅内クンありがとね…そろそろ離してくれても大丈夫…だから。」


「お…おう!」

倒れ込んだまま彼女を抱いていた俺は、慌てて富士野から離れた!


「ジトー……」


「うっ…」


「…ふふ!」


「あはは!」

案の定シアンに嫉妬されてしまっている俺と、それを見て笑顔になっていた富士野とフロット。


「んもう仁ってば、どんどんあかりに対して意識する事が増えてきてない?まあ、別に悪い訳じゃないけどやっぱり……プイ!」


「え?し、シアンさん?」

動揺している俺を見て、シアンは膨れっ面になりつつも、富士野達に向き合う。


「あかり、私店長さんと真矢達が心配だから改めて病院に行こうと思う……仁も行くでしょ?」


「も、もちろんだ!おっさんにも確認したいこともあるし、もしかしたら幹太達も一緒にいるかも知れねぇからな。」


「うん。あかりにフロット!そう言うわけで私たちは病院に向かうけど、そっちも無理しないでね?」


「もちろんよシアン!私もすぐ連絡しないと…じゃあまた!」


「またね二人とも‼︎」

富士野とフロットから別れてすぐに病院へと向かう俺とシアン。


「おう‼︎」


「「僕(私)達がいるのを忘れないで~‼︎」」

富士野達と別れて移動していると、双子ガイダー達も慌てて姿を現した。


「す、すまん!」

何故か夜中ずっと起きていたらしく、朝から夕方頃まで寝ていたので俺が家を出る前に静かに連れてきていたネレとエレ。

今ようやく目が覚めたのか、俺の服ポケットの中から二人が顔を出してきた。


「そもそもなんで、二人とも夜に起きてたのよ?」


「それは後で教えるよ!」


「うんうん!」

二人とも、今回の地震のことか何かを知ってるんだろうか?



一方その頃、病院の中で犬吹家族とばったりあった端水幹太とロル。


「あっ、端水…君。」


「犬吹どうしたってんだ?…ってその人、ひでぇ怪我じゃねぇか!誰が氷で止血してくれたのかは知らねぇがすぐに看護師を呼んでくるから。そこで待ってろ!」


「あっ!……行っちゃった」

真矢は自分の父親の事を言おうとしたが、幹太とロルはすぐに見えなくなってしまう。


「…へぇ、禅内みたいに少しは相手を見れる男みてぇだな。」

父こと犬吹豪太は、空いていたベンチに息苦しそうに腰かける。

だがその顔は、どこか満足そうに彼が去っていく方向を見ていたような気がした。


「お、お父さん…」


「あれ?お姉ちゃん顔が赤いけど、どうしたの?」


「⁉︎な、何でもないから!」


「「こりゃ惚れたかも(ね)」」

リオーネとミューラの二人は、息ピッタリな意見を口にする。


「わ!私は仁さん以外の人とか…別になんとも思ってない……よ?」

どことなく目線が定まらなくなっていた真矢。


「お姉ちゃん嘘が下手すぎ!」


「ハハハ…なるほど、真矢とあいつは歳が近いのか?」


「う、うん…確か19歳だって」


「へっ、まだまだこれからのガキだがあんな感じの奴なら悪くはねぇ…な。ただのくそ野郎だったら迷わず殴り付けてたが」


「ご主人様も素直に彼が良い人間だと認めても良いとは思いますよ?」


「…それもそうだな。」

そうこうしてるうちに端水幹太が、看護師と医師を連れて戻ってきた。


「急患というはあなたですね?…誰が処置したのかは知らないが、氷で見事に銃撃された所の止血ができている。あなたは氷のガイダーにしてもらったのですか?」


「…いや、これをやってのけたのは俺達と同じ人間だが、おかげでここまでなんとか移動はできた。」


「まさか?信じられん…」

 

「…犬吹達、何があったんだ?」


「それに関しては俺から言わせてもらうとしよう。だがその前に言っておく!俺は犬吹真矢の父・豪太……それと、この氷を張ってくれたのは禅内仁だ。」


「え”!仁の兄貴がか⁉︎何者なんだよあの人は…って、犬吹の父親ー‼︎」


「…全然似てねぇ」


「ちょっ!おいロル、思ってても直接言うんじゃねぇ!」


「へっ!二人揃って良い度胸してやがるなぁ?」


「「ひっ‼︎」」

豪太はわざと迫力一杯の眼力で鋭く睨み付けたので、二人は思わず怯えた。


「お前の事は娘から聞いているが、この子に対しててめぇがしたことも正直許したくは無い……だがお前はこの子を無事に助けた。

それに関してはお礼を言わせてもらうぜ?ありがとよ」


「い、いえ!その件については俺もひどいことをしたと思ってました……本当に、すいませんでした‼︎」


「端水君。もう私は怒ってないから安心して?」


「…ありがとうよ犬吹!シアンってガイダーから聞いたんだが、お前が俺の代わりに『つけめん屋や○べえ』で働いてくれてるんだってな?」


「あ…うん!それで端水君。その事なんだけど…ね?」

真矢が言いづらそうにしているのを見かねて、父・豪太が代わりに口を開く。


「…良いか端水幹太、落ち着いて聞けよ?俺の体に銃弾を浴びせたのは他でもなく、あそこの店主だ。

更に付け加えていうと、あの人は俺が自衛隊時代に色々世話になっていた教官でもある。」


「なんだって⁉︎俺はあの人と同じくカウンターにしばらく立ってたっすけど、あそこに銃があるなんて知りませんでしたよ⁉︎」


「えっ?私が今日の朝から仕事を教えてもらっていた時にはすでに見えてたよ。最初見たときはモデルガンかな?って思ってたけど…」


「おいおい、何を考えてんだよあの人は‼︎ただのラーメン屋の人間じゃないなってのは初めて雇ってもらえた時、やたらと意味の分からねぇトレーニングをさせられた時に感じてはいたけどよ!まさか本物の銃を使うだなんて…はっ!犬吹は怪我無かったのか?」


「う、うん…今日いきなり親父さんが私たちに銃を構えて撃ってきたんだけど、お父さんが庇ってくれたから…」


「うそ、だろ…」

ショックで固まりそうになる端水。


「おじさん大丈夫?」

佳与とリオーネも、心配そうにそばで座って豪太を見つめていた。


「ああ、なんとか大丈夫だ……だが、あの教官があそこまで怯えている表情を見たのは俺も初めてだ!

それも、わざわざ訓練時代に使っていた銃を使ってたんだから俺も驚きを隠せねぇ。」


「すまねぇ犬吹。俺の代わりに入ってもらったのに、こんな危険な目に会わせちまった!」


「端水君が悪いんじゃないよ!確かにあんなに苦しいトレーニングをさせられた時はすぐにバテちゃって散々だったけどね?

でも、仕事を真剣に教えてくれるいい人だったのは確かだもの!せめてあんな風になった原因が分かれば、なんとかなるんじゃないかな。」


「真矢、俺も昔は人情溢れるあの教官があそこまで変わっちまった理由までは知らねぇ。事情を探ってみたい所だが、これじゃあちと難しいかもな?」


「無理してはダメですよ~患者さん?今すぐ治療しますので、安静にしていてくださいね。」


「お願いします。でもその前に……確かお前の名は、端水幹太だったな?」


「は、はい!」


「すまないが俺はこのザマだ。だから娘を代わりに守ってくれねぇか?」


「も、もちろんです!彼女が無事にいられるようにお守りします‼︎」


「端水君…」

幹太の言葉を聞いて、次第に顔を赤く染めていく真矢だった。


「「「ヒューヒュー!」」」

こんなときにタイミングよく、ミューラ・リオーネ・佳与が揃って冷やかしてきた。


「こらっ!あなた達~‼︎」


「「「アハハハ!」」」


「良いなぁ幹太…」


「ロ、ロル!これは別にモテモテってわけじゃ……」


「ははっ…佳与ちゃん、みんなのそばにいるんだぞ?」


「うん‼︎お姉ちゃん達と一緒にいる~!」


「おう。じゃあなお前ら、無茶はしすぎるなよ!」

豪太は治療室へと運ばれていき、残された面々はしばらく立ち尽くしていた。



「…おーいみんな!」


「あ!仁兄ちゃんにシアンちゃん‼︎」


「あ、兄貴!」


「仁さん無事ですか‼︎」


「おお、二人とも合流してたんだな!ちょうど良いからみんなに聞きたい事がある……その前に、おっさんの様子はどうだった?」


「うん…苦しそうに息はしてたけど今から治療に入ってくるって。仁兄ちゃんも無事で良かった!」


「佳与…ありがとな」


「何かあったの?仁さん」


「ああ、あの後警察官達がたくさん救援に来てくれたんだよ。そのあとでオヤジさんの氷を取り除いてくれと頼まれたんだが……あの人、何に怯えてるのか知らねぇがまた銃を撃ってきたんだよ!」


「「⁉︎」」


「兄貴は撃たれてもなんともなかったのか⁉︎」


「んなわけあるか!ちょうど警視庁総監って言ってたかな?阪原権(さかはらごん)さんという人が盾を持った警官達を連れてきてくれたおかげで、無事にその場を離れることができたんだよ。」


「「良かった~」」

真矢と佳与、二人揃って安堵しているなか幹太は一人顔を曇らせていた。


「兄貴。親父さんを助けられねぇか?」


「それは警察の人に拘束しないように頼むって事か?」


「ちがう。あの人が怯える原因を突き止めてできたら解決してやりてぇんだ!

俺にあの美味いつけめんを食わせてくれて、作り方も教えてくれたあの親父さんが安心して戻ってきてくれるように…だから何でも良いから力になりたいんす‼︎」


「端水君……私も一緒にやる!」


「ダメだ犬吹!危険過ぎるかも知れないんだぞ‼︎」


「だったら尚更私もあなたをほっときたくないよ!私はあなたに助けられたんだもの。私だってあなたを助けたい‼︎もし黙っておいてく真似なんかしたら、死んでも呪うから!」


「⁉︎」

今の真矢が見せている表情は、すっげぇ怖いと感じたわ!幹太も顔が強張ってるし。


一同「こわ…」


「…言いたいことは分かるがよ、俺が犬吹を守りたいって気持ちも変わらねぇ。だがもしお前を守れない時があったら犬吹、お前は身を守れるのか?」


「確かに私一人じゃ無理…だからミューラ、私に力を貸して。そうすれば必ず生き残れるから!」


「アハハ!その潔さは正直感心したい気分ね?良いわよ真矢、あたいがそばにいるから思う存分したいようにしてみてよ。

そういうわけで禅内仁、あなたの今考えてることも聞かせてくれない?どうせまた、事件に首突っ込もうとしてるんでしょ?」


「やっぱ分かっちまうか…確かにそのつもりだけどよ、その前にネレとエレが言いたい事があるらしくて、まずはみんなで聞くとするか。

幹太、どこか落ち着いて話せる場所は無いか?」


「そうっすね、この時間は既に病院食堂は誰も使ってませんしそこなら良いと思います。ですが、何て言うかその……お化けは出ますよ?」


ガイダー達「おばけ?」


「「ひぃ!」」

まあ女の子は怖がるのも当然か…てか本当は男の俺でも怖い⁉︎


「…あ、兄貴。まさかとは思いますがひょっとして」

若干苦笑いをしている幹太に対して、俺は正直に白状した!


「ああ怖いよ、わりぃかよ!ガキの頃鏡の前で歯を磨いてる最中、鏡の中から目の所が真っ黒なボウズが手招きしてたのを見てからは、意識しちまうようになったんだからよ…」


「「それ一番怖いやつ!」」

真矢と佳与が揃って絶叫した!


「へぇ、仁にも苦手なものがあったなんてねぇ。なんか見てみたいかも!」


「シアン、洒落にならねぇからやめてくれ…俺もだがそれ以上に、後ろの二人が更に怯えちまう」


「は、端水く~ん!本当にそこしかないのぉ⁉︎」


「わわ、私がおおお姉ちゃんをま、守るんだからら…」

佳与、足震えながら無理に強がるな。


「すまねぇ。あとは俺のいる病室しか無いんだよ」


「「そこがいい!そこにする‼︎」」


「狭いっつーの!」


「良いんじゃね?幹太」

 

「ロルお前まで……ハァ、分かったよ。じゃあ一旦そこにするとしようか」


「「はーい!」」


「私たちには今でもお化けという概念がいまいち分からないんだけど、人間にしか分からないのかしら?」


「「「そうね(だな)ー」」」


「「ねー。」」

よくよく考えたら、ガイダー達から見えてる命の存在ってどう映ってるんだ?


目の前で死ぬことの辛さは分かるはずなのに、お化けと言うか命の見方に関しては、いずれお互いの意見交換した方が良いかもしれない。


俺達はさっそく、幹太の病室に一度向かうことにした。ネレとエレの二人は夜中に起きている生活がやや続いたせいか平気そうだが、佳与は大丈夫なのか?もう夜21時過ぎを回ってるけど。


「ま、まだ寝ないもん」


「無理して起きなくても良いのよ?眠いときは眠いって言えば良いんだから…」


「だいじょ、うぶ…私も、みんなと一緒に…聞くんだから〜!」


「こりゃ早いとこ伝えてすぐに帰ってやらねえと厳しいな。ネレとエレ、そういうわけで二人がここのところ寝不足だった理由を教えてくれるか?」


みんな「寝不足?」


「「うん!」」


「みんなで秋葉原に帰って来たときから感じてたんだけどね?私は毎日夜になると、変な感じの耳鳴りがするの…」


「僕は電気を感じないはずなのに、なんか下からピリピリ来るんだよ~。まるで何かが動いてて擦れている感じがするんだ」


「俺はなんも感じてはいなかったけどな?シアンはどうだ」


「私も特に気づかなかったわ。」


「「私たちも感じないわよ?」」

いやいやリオーネとミューラ。双子の真似みたいに同時にしゃべるなよ、紛らわしい…


「そうか…幹太達はこの2日間、なんか変わったことは無いか?」


「いえ、俺は毎日バイト終わってから、帰宅してすぐ寝てるんでなんもわかりませんでした。ロルはここ連日俺のスマホで遊んでる時になんか嘆いてたよな?」


「う!ああ…まあ、変って言えば変だったかなぁ。」


「何があったんだ?」


「幹太がバイトするようになってすぐの頃だったかな?スマホで今くらいの時間から遊んでたらいきなり通信障害が起きたってエラーコードが出てきて、翌朝まで全く使えない日々が続いてたんだよ。」


「そうなんだよな。一週間前からあの店で働いてたんですけど、携帯ショップに問い合わせても詳しい原因は分からないって言われてましたね。

それも国内全体で同時にそれが起きてたって話しですし訳がわかりませんでした。」


「あ!それ私もおんなじ。クラスメイトの女の子とスマホで夜に会話してたらいきなり圏外表示になってたんです!絶対これって変だって思います‼︎」


「一週間前……そう言えばその頃からだったかな?おっさんの店で働いてるときに少しずつ客の入りが多くなってきたのは。

極めつけは確か今朝だったよな佳与…あのおかしいくらいの数で押し寄せて来ていたあの客達。」


「うう、仁兄ちゃんがいなかったら何もできなかったよぉ!」

佳与、そしてリオーネとシアンも今朝のあの人数を思い出したのか、ゲンナリしてしまった。


俺もあれはひどいと感じたが、考えてみると本当におかしい…それに地震も更に大きく揺れていた。


「ネレにエレ。今は異変は感じないのか?」


「少しだけ感じる!でも、ここから遠ざかってるみたいな気がするわ。」


「僕も今はそんなに感じないかな。なんでだろ」


「分からないことばかりだな。こうなりゃエージェントの隊長さんと連絡をとってるらしい富士野にも、一度合流してみるか…」


「そうね、もしかしたら何か知ってるかも!でももう遅いし、私たちは病室にこれ以上残れないから今日は帰りましょ?」


「あ!じゃあ仁さんと端水君。今のうちに連絡先の交換しとこ?何かあったら連絡してほしいし!」


「おう良いぜ。」


「良いのか‼︎」


「はい!今まで言えなかったけど言えて良かった。でもね端水君?べ、別に深い意味は無いんだからね!今は友達として見たいだけなんだからね?」


「もう少し素直になりなさいよ…」


「ミ、ミューラ!」


「…お似合いじゃねーか幹太」

途端に顔を真っ赤にしている真矢を見て、つられて顔を赤く染め始める幹太。ロルはふてくされている…


「バッ…おまっ⁉︎」

二人のやり取りを見てると、部外者の俺はあまりいる意味はねぇよなぁ。さっさと交換して帰るか!


「パニックになるのはその辺にしとけよ二人とも。佳与は…寝ちまったか」


「じゃあ私がおぶってうちに帰ろっかな。明日また話そ?」


「ああ、じゃあちょっとスマホを…あ。」


「「ん?」」


「充電は十分あったのに電池切れになってるぞ…兄貴と犬吹はどうだ?」


「俺のもだ!」


「え?私のも⁉︎」


「仁サマ、多分この時間帯のせいかも」


「俺も幹太のスマホを使う時間はちょうど今ぐらいだったしな。」


「…しょうがねぇ、幹太に真矢。今日のところはお互いの電話番号だけメモして交換しておくが良いか?」


「「はい」」

三人で病室にあったメモ用紙を使って、それぞれの番号をメモしてから今日は解散することにした。


真矢と幹太は去り際に見つめあってたように見えたが、俺はあまりからかおうとはせず気にしない風を装いながら、先に佳与を背負いゆっくり幹太の病室を後にする。


「…仁さん、なんか佳与をおぶってくれててありがとう。途中で私が運ぶから!」

俺達は病院を出て途中までは俺が佳与を背負い、一緒に帰ることになった。


「そうしてくれ。明日はどうなるかわかんねぇけど、とにかく身を守ることだけは意識しとけよ?」


「うん。ありがとう仁さん‼︎」

二人で帰り道を歩くと、俺達の通る道の前で沈んだ顔をした富士野あかりの姿が見えた。


「禅内くぅ~ん⁉︎本部と連絡がとれなくて何もできないよぉ~!」


「う~ん、これは参ったな…」


「富士野にフロット、お前達もそうか…」


「じゃああかりさん!今日はもう遅いし、私たちの家で一緒に泊まりませんか?今駅の方角をちらっと見たけど、駅の明かりも真っ暗になってて動いてないみたいだから。」


「ホントなの⁉︎うう、隊長にどうやって連絡したら良いか…」


「これは日本中こうらしいから、たぶん向こうも同じなんだと思うぞ?今日のところは真矢の好意に甘えといた方が良いんじゃねぇか?」


「 うん、そうする…ま、真矢ちゃんよろしくお願いね?」


「もちろんです!わぁ、佳与以外にも一緒に泊まる女性がいるのってなんか嬉しい‼︎」

少し目がうるうるしている富士野を見て、はしゃぎ出す真矢であった。


「じゃあ俺らもこの辺で別れるか。ほれ、そろそろ佳与をおぶってくれねぇか?」


「あ、はい!……ありがとうございました仁さん。お休みなさい」


「おう、また明日連絡くれよ?」


「良いなぁ、私も彼と番号を交換したい…」

気のせいか富士野が口を尖らせて、そんな声を後ろから漏らしている気がした。

夜にだけ全ての電気が使えなくなるって、かなりの異常事態でしょうね……原因はなんなのかとても気になる所です。


次回の投稿は今夜の22時に致しますので、ぜひまた見に来て下さいね!

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