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フロットの暴走

お風呂での一件以降、あれから数日間一緒に暮らせてはいるが、シアンが俺と口を聞いてくれなくなった。

声をかけてもピクッと反応しては俺の中に入り込み、会話ができずにいる毎日。


その事を仕事帰りにこっそり店長に伝えたら、豪快に笑い飛ばされた!


「わははははははは‼︎」

シアンはシアンで店の手伝い中は俺から出て、他のガイダーと話をしに行く。

その度に「ばか、見んな…」とだけは言ってくるが二人での会話はできなかった。


「「良いなぁ…」」

あの姉妹はどういう訳か、俺の下半身を見ながらそんな意味深な言ってくるし全然分からねぇ。


それから更に数日経った約束の休日。ついに俺達は秋葉原から少し離れた山手に向かい、ハイキングに行く事となった。

もちろん未成年の真矢達がいるので、保護者である店長も同行する。


「ハイキングかぁ、俺も若い頃嫁と行った事あったなぁ。」


「えっ!マジっすか⁉︎」


「おう。あのとき俺達は広い野原を駆け回ったり、ささいな喧嘩になった時はお互いのガイダーに止められたりしたこともあったが、今となっちゃ懐かしい思い出だぜ。」


「もう!ご主人様?あのとき私がどれだけ大変だったかまだ分からないのですか?」


「そ、その節は…本当にすまなかったティーア!」


「な、何があったのかスゲー気になるけど、聞いた後が怖くなりそうだからやめとく」

俺はそう伝えてから、前を歩いている女の子達に混じって楽しそうに笑うシアンをしばらく見ていた。


「禅内様、これだけは一つ伝えておこうと思います。」


「なにをだ?ティーア」


「シアンはあなたが嫌いで避けてるんじゃないってことだけです。その意味は近々分かると思いますけど」


「そ、そうなのか?まだ全然わかんねぇけど…」


「まあ、今日を楽しく過ごしてから考えればいいんじゃねぇか?すぐには分からない事は考えてても仕方ねぇし。」


「そうだなおっさん。」


「お父さん達~!着いたよ?早く早く~!」

今日の真矢は見慣れた夏の学生服ではなく、やや長い黒髪の上に気持ち程度で被った白いリボンが巻かれた麦わら帽子を被っていた。そして黄色いワンピースに水色の靴といったおしゃれな姿をしている。


そして佳与も、いつだかの白いワンピースではなく、上の服装がピンクの半袖Tシャツの上に白くて軽い袖を通すもの(名前が分からん)。下はおしゃれな赤いホットパンツに、水色のニーソと青い靴だった。

「やれやれ、娘達は本当に元気だな」


「はは…急ぎますか。」


「あれ?ねえみんな、あそこのベンチに女の人が座ってるよ?」

確かに。見たところスーツ姿の女だが……あれ?なんか見覚えがあるぞ。


そうこう考えてるうちに、真矢が先に声をかける。


「あの、あなたもここに遊びに来られたんですか?」


「…え?」

何やら死んだような目をしていて痛ましい表情の女性だが、隣に寄り添っている男の子らしいガイダーが悲しい表情のまま、笑って答えてくれていた。


「あー、ごめんねお嬢さん。彼女今落ち込んでてさ…一人で気持ちを落ち着かせにきただけなんだよ。だからそっとしておいてあげて欲しいかな?」


「は、はい。」

真矢が心配そうにその二人を見ながら、俺たちの元へと戻ってきた。


「なんか、見てるこっちが悲しいくらいひどい顔してるな。あの嬢ちゃんはおそらく……禅内、お前と同年代位だと思うぞ?」


「そうなのか…てかあの女は確か、浅草で土属性のガイダーにやられそうになってたやつだ。」


「!」

俺の言葉に反応したのか、彼女は俺を見て泣き出した。


「え!お、おいあんた。何で俺を見て泣いてるんだ?」


「う、うるさぁ~い!ヒック…あんたの助けなんか借りなくたって、私は無事だったんだからぁー‼︎」

泣きながらそんなことを言われてもなぁ…


「じ、仁さん!この人が仁さんの助けた彼女さん?」

真矢の言葉に、今度はシアンがすかさず首を向けて強く反応した!


「何故勝手にこの女が俺の彼女って話になってんだよ!一度もそんな話はしてないんだが⁉︎」


「ほ、本当に仁の彼女じゃないのね!」


「シアン…久しぶりに口を利いたと思ったら何言ってんだよ!俺はただ助けただけじゃねーか‼︎」


「あうぅ…」


「あははは……わ、私はまた誰にも認められずに終わっちゃうんだ。もう、生きてくのはやめようかな」


「待ってあかり⁉︎」

彼女はなんと、手持ちのカッターナイフで手首を切ってしまった!


「禅内!」


「バッカヤロウが‼︎」

俺はすぐさま駆け出して切った女の腕を見ると、これまでも何度かしていたのか、たくさんのリストカット跡があった。


「その場凌ぎの応急措置だが、こうするしかねぇ!」

俺は切断面だけを凍らせて流血を防いだ後、自分の着ていた服を脱ぎ下着のシャツを少し大きめに破いたものを女の腕に巻きつけた。


「あ、ありがとう!僕も毎日手首を切る彼女を止めてたけど全然やめてくれなくて…もうどうしたら良いか分からなかったんだ。」


「お前を見たことあるとは思ったが、やっぱりあのときこいつと一緒に暴走ガイダーと戦ってた者か。」


「うん……って、あんな離れたところからよくあんな攻撃できたよね。」


「まあ色々あってな。今は当たり前に使っちまってるからほとんど気にしてないがよ?」


「仁さん!」


「禅内!その嬢ちゃんは無事か?」


「ああ…応急措置だけしかしてねーから、どちらにしても医者に見せた方が良いだろうな。」


「よし、俺がこの子を運んで下に行ってやるからお前らは待っとけ!」

おっさんが気絶した彼女をおぶって、来た道を急いで下っていった。


「フロット、本当にあなたなの?」


「ミューラ?それにリオーネ!二人とも新しい人が見つかったんだね!」


「…ええ、あなたに止めてもらったお陰でこうして過ごせているわ。本当にありがとう!」


「あたいもお礼を言っとくよ!あのとき暴走を止めてくれてとても感謝してる。」


「えっ?えっ?お前ら知り合いだったのか」


「そうよ?あっ!改めて考えると、ここにいるガイダーはみんな禅内仁…あなたに助けられた者同士って事にもなるかしら。」


「本当に君はすごい人みたいだね?あかりが初めて、今日までライバル意識を向けてきてしまうのも納得だよ。」

俺、そんなに大それたことをしてたんだろうか。いまいち実感がわかねぇんだよな…


「最近の仁って私が目を離す間に、必ず誰かを助けてるもんね。」


「シアン、もしかして拗ねてるのか?」


「す!拗ねてなんかないし⁉︎」


「あはは!仲良しだね二人とも。羨ましいくらいだ」


「な!仲良だなんて…って、あなたは違うの?一応自己紹介しとくけど私はシアン。雷属性のガイダーよ!」


「僕は無属性ガイダーのフロット。君はなんか感情が忙しい女の子みたいだね?」


「ここ、こいつといると調子が狂うのよ⁉︎この前だってお風呂場で…ハッ!」

またあの時のことを思い出したのか、顔が真っ赤だ。


「ん?お風呂場で何かあったの?この人が覗いてきた…とか」


「「いやいやいや‼︎」」


「なんだ、ようはただの痴話喧嘩か。」

うっ!否定したいけどして良いのか分からねぇ…


「…そんなふうにもしもケンカができる関係なら、僕とあかりの付き合いかたも変わってたのかも知れないな。」


「「?」」


「何かあったのフロット?良かったら私たちにも話してみて。」


「そうよ、こういうことは言葉に出した方が楽なんだからあたい達にも言ってみて?」


「リオーネ、ミューラ……ありがとう。」

俺達はフロットの話を聞くために、先ほどの彼女・富士野あかりが座っていたベンチにみんなが座るかたちで話を聞く事にした。


「リオーネとミューラは既に知ってるかも知れないけれど、僕とあかりは人間とガイダーの安全と秩序を守る組織団体・ガーディのエージェントだったんだ。

でも数日前クビにされちゃってね……今は仕事捜しをしながらこうして彼女が落ち着けそうな所に連れていって、休ませてたんだ。

確か禅内仁さんだったね?実は彼女、気持ちが不安定になると手首を切る癖が昔からあったみたいなんだ…」


「あったみたい?お前は元からいた訳じゃないのか。」


「うん。僕も元々野良ガイダーだったから」


「うんうん…あのときのフロットはすごい荒れてたもんねぇ。」


「そうねぇ、あたい達とは比べものにならないくらい!」


「ははっ、茶化さないでよ~。」

三人が笑いあってるなか、俺はふと思ってた疑問をぶつけてみる。


「ずっと聞きたかったんだがよ、野良ガイダーって一体なんなんだ?」


「えっ?」

フロットは俺に不思議そうな顔をして見てきた。


「そう言えばあなた、今日まで生きてきて野良ガイダーの存在を知らなかったの?」


「信じられない…そんな君が、何で組織の上層部に注目されていたんだ?」


「その辺の話は私がするわ。二人とも、落ち着いて聞いてね?」

シアンが、俺の監視役としてそばにいるようにマスター・ゼノンに命令されていたこと。


そして、俺の願望で世界すべてに情報の可視化…つまりステータスが見える世界に作り替えられたという事実を、分かりやすく二人に伝えた。


「そうだったのね!」


「そうか、じゃあ僕があかりと出会えたのは君のおかげって事にもなるんだね!……ありがとう」


「ただそのせいでなんか色々おっかない事も起きちまったけどよ、正直今の世界も悪くないかもなって最近感じてきたから素直に礼は受け取っとくぜ。」


「うん!じゃあせっかくだから僕も野良ガイダーについて簡単に話すね。

早い話、いろんな事情で宿主の元を離れてしまったガイダー達の事さ。そしてその末路はね……」

野良ガイダーになった者の多くは感情が一定以上膨らみ続けたとき、能力の暴走を起こす。

それが、毎日起きている暴走ガイダーの実態だということ。


そしてフロット達がいた組織は、それらの兆しがある情報をいち早くつかんで事態の収束にあたるのが仕事らしい。


「そうなのか。もしかして、そこにいる皆は一人だけで解決してるのか?」


「ううーん…それができるのは上位の人達だけかな?正直あかりはそこへ辿り着けなかった悲しみのせいでああなったし、僕の説得を何度も何度も無視して…」

あ、あれ?なんか様子がおかしくね?


「フ、フロット落ち着いて!ね?」


「そうよ!私もミューラもあなたがいたから頑張れたのよ?だからほら、気を鎮めて?」


「ボクガ…もっとつよけレバ‼︎」

これは、なんかマズイ‼︎


「みんな!離れろ~‼︎」

俺、真矢、佳与。そしてガイダー全員がその場を離れた次の瞬間、フロットからすさまじき威圧感が放たれ始めた!


「フロットが暴走した~‼︎」


「なんて威圧感だ!とても弱いとは思えねぇ。」


「当然よ!フロットはね、たった一人でマンションを壊すだけの攻撃力があるんだから‼︎純粋な物理攻撃で彼に叶うガイダーなんていないわよ⁉︎」


「なんっじゃそりゃあ~‼︎」

ミューラの言葉からも伝わる緊迫感が、接近しているフロットによってさらに倍増されていく。


ゆっくりこちらに近づいてくるフロット。俺達は固まって動き、慎重に来た道へと後ずさりした。


「なぁ、あいつを凍らせておけば止まると思うか?」


「どうだろ…すべての属性攻撃は聞くと思うけれど、昔から力づくで突破されちゃってたから。」


「なら、足止めを目的で一度凍らせてから逃げた方が良いな。みんなも手を貸してくれ!」


「仁!何か手があるの?」


「ああ…危険だがやるしかない!」

俺は下がりながら皆にしてもらいたいことを説明する。


「…分かったわ。みんな、フロットを止めるわよ‼︎」


みんな「おお!」


「…今だよミューラ!」


「オッケー真矢!」


「 リオーネ!」


「うん!佳与」


「「熱湯攻撃‼︎」」

二人のコンビ技・熱湯攻撃で怯んだ隙に、俺の氷攻撃とシアンの雷で雷付きの氷塊にするというその場凌ぎの作戦だ。


「ウア⁉︎」

よし、怯んだ!


「行くぞシアン!」


「うん!」


「「はあぁ~‼︎」」

俺達二人の連携技が暴走しているフロットに炸裂した!

アイシクル・ボルトとでも名付けとこう。


「~~‼︎」


「すぐに下がれ!凍っても長くは持たねぇぞ‼︎」

皆が先に降りていったその時、最後に残っていた俺にめがけて、氷からすぐに出てきたフロットが氷の塊を投げつけてきたのでとっさに氷の壁を形成しながら後ろに下がる。


ガスッ!


「がぁ⁉︎」

壁を突き破った氷が俺の体に直撃して、そのまま気を失った。


「仁さん!」


「仁兄ちゃん‼︎」


「仁~~⁉︎」

皆が俺のもとに駆けつけて泣きながら俺をミューラの水を使って運んで行く。


「ウオアアァーー‼︎」

一人丘の上に残されたフロットは、激しい雄叫びを上げてその場に佇んでいた…


俺はまさか、こんなところで死んじまうのか?まだシアンとちゃんと会話できてないってのに、このまま死ねるかよ!

どれだけ焦っても、今の俺は動けない。


このままどうなってしまうのだろうと感じながら、俺の意識は暗闇の中に沈んでいく。


どれくらいの時間が経ったのだろうか?目の前は真っ暗だが、時々シアンや皆の声が聞こえてくる。



・とある病室にて


「先生!仁さんは助かりますか?」


「最善は尽くしました。後は本人の回復力次第ですね…」


「そうですか……ありがとうございました。」

医者は軽く私たちに会釈してから、今仁の眠っている個室に固まっていた。


「私たちが、ピクニックに行こうと言いさえしなかったら…」

 

「ううん真矢。きっと仁は、どこにいっても暴走ガイダーの所に必ず行ってたと思う。だから気をしっかりもって?」


「それを言うならシアンちゃんだって同じでしょ!ほら‼︎」

真矢は手持ち鏡で私の顔にむけると、そこには涙が止まらないままの自分が映っていた!


「…‼︎」


「仁さんなら絶対大丈夫!だからシアンちゃんも安心して信じて待とう?」

二人で泣き顔になりながらも励まし合うなか、備え付けられていたテレビに緊急生放送が映し出された!


「緊急ニュースです!現在〇〇県の〇山にある散歩道がある丘の上で、暴走ガイダーが周りの木々薙ぎ倒しながら暴れている模様!近くにいる方々は早急に避難をしてください‼︎繰り返します!……」


「フロット!また、彼は暴れてしまった…」


「ミューラ、本当にもう何も出来ないの?」


「…最終的には人の手によって殺されてしまうのも野良ガイダーにはよくある話なのよ。真矢」


「そんな‼︎」


「あ、あなたたち今フロットって言った?…うぐっ!」


「「「!」」」

三人が声がした方を振り向くと、自らのリストカットで気を失っていた富士野あかりが私たちの前に倒れ込んできた!


「ちょっとあんた‼︎」


「ダメ、シアンちゃん‼︎」

私が彼女の服を乱暴に持ち上げて、たまっていた不満をぶちまけた!


「私はあんたなんかの人生なんて知ったことじゃない!でもね、せっかく仁に向けて今日私が伝えたかった言葉を言うためにここまで耐えてきたのに、あんたのリストカットって行為で気絶したせいで台無しじゃない‼︎

おまけにフロットはフロットで我慢できなくなって暴走して、仁が私たちを守るために犠牲なっちゃったんのよ?どうしてくれんのよ⁉︎」


「うっ!うぅ…」


「泣いたってすむもんか!この最低女‼︎」


「シアン‼︎」

パチーン!と、仁が眠っている病室全体に勢いよくビンタの音が響き渡った。


「み、ミューラ?」

呆然としながら、私は掴んでいたあかりの服を離してその場から動けなくなった。


「あなたがどれほど本気で禅内仁を好きなのは痛いほど伝わってくるわ。でもね、あたい達を助けてくれたあの[荒くれフロット]が穏やかになったのは、この子のおかげかも知れないんだよ?最低なんて言葉、言わないであげて‼︎」

ミューラも私に怒りながら、本人もいつの間にか泣き顔に変わっていた。


「ミューラ…」

真矢が、ミューラを優しく両手でつつんでそっと慰める。


「じゃあ私は…どうすれば良いのよ?どこにこの気持ちをぶつけたら良いのよ‼︎」


「「「うわああぁ~‼︎」」」

二人のガイダーとあかり…共に泣いてしまうので真矢も泣きそうにしていると、眠っているはずの仁から声が聞こえてきた!


「なんなんだよさっきから……どっから大きい声で泣き出すやつらがいんだよ?」


「ヒグッ!…えっ?」


「まったく、泣き声がうるさくて目が覚めちまったじゃねーか」


「じ、仁…無事だったの?」


「なに言ってんだシアン、無事なわけねぇだろ?まだこんな痕が残って…うぉ⁉︎」


「良かった~‼︎仁が起きたぁ~!」

私は非常に嬉しくて、思いっきり仁の顔に抱きついた!


「仁さん‼︎」


「禅内仁‼︎なんで?あんな大量に血が出てたのに……」


「……」

仁が何事もなく起き上がっている所を改めて見ると、次第に驚きと戸惑いが広がっていく私とミューラ。


真矢だけが駆け足で他の皆を呼びに行ってしまった!


「…えっと、これは一体なんの会話だったんだ?シアン達」


「うそ…」


「あ?」


「なんでよ⁉︎手首を切った私の傷なんかよりも大傷負ってたんでしょ?なんでこんな風に何事もなく会話ができてるのよ‼︎」


「うるっせぇな迷惑女……あ、フロットからは確か富士野あかりってきいたっけかな?」


「…フロットが私の事を話してたの?」


「ああ。すごくつらそうな顔をして話してたよ…お前が何を抱えてそうなったかまでは知らねぇがな?」


「……‼︎」


「え、えっと禅内仁!その傷…どんどん塞がっていってない?」


「そうなの?ミューラ⁉︎」

ミューラの言葉に私とついでにあかりまでもが、彼の体についた傷が塞がっていくのを目の当たりにしてしまった。


「あれ?いたくなくなったぞ。どうなってんだ…」


「あ、あなたの持ってる能力なの…かしら?」


「んなはずねぇよ。こんなの俺だって初めてだ!」


「も、もしかして⁉︎」

私はあることに気づき、仁のステータスを確認してみると案の定、とんでもない[耐性]が彼に備えついてしまったことを知る……


「ミューラに仁。ついでにあんたも!皆がここに来たら一緒に見てもらいたことがあるの!だからそれまでの間ずっとこの場にいて!」


「お、俺はまあすぐには動けねえからいいけどよ……どうしたシアン。顔が青いぞ?」


「ごめん仁。こんな事を話すのは正直(あんたの事が)怖いから、皆が来るまでしばらく手を握らせて?でないととても冷静でいられない!」


「お?おう。」


「ねぇシアン、一体何を見てそんな顔をしてるの?」

ミューラも思わず私のそばに心配で駆け寄るほど、とても震えていた。


だってもう、こいつは人間の度を超えはじめてるのよ?冷静でい続けられるわけがないじゃない‼︎


「えっとよ、あんたの後ろに出入り口があるんだからこっちに来とけば良いじゃねぇか。そうでないと誰も通れねぇだろ?」


「あっ、うん…」

富士野あかり、おそるおそる仁が座っているベッドの横にきた‼︎


「じーー…」


「な、何もしないわよ」


「あははは…」

私が富士野あかりを睨み付け、私と動揺してる彼女を見て複雑な位置関係になってしまったミューラという図が出来上がった!


「…禅内‼︎お前本当にもう起きて平気なのか!」


「おっさん!みんなも。」


「わーい!仁兄ちゃんが生きてたー‼︎」


「いやいや佳与、そう簡単に死ねるかっての。」


「全員来たみたいね。それと、富士野あかり!」


「は、はい‼︎」


「本当に不本意だけど、なぜ仁がこうしていられるのかも、そしてあなたが知りたがってた秘密もせっかくだから教えてあげるわ……ただし真似できないわよ?」


「う…」


「みんな、仁のステータスを見て…」



ステータス表示


禅内 仁(25歳) レベル30(↑)


体力(HP)750(↑) スタミナ800(↑)

攻撃力400(↑) 精神力(MP)450(↑)

防御(忍耐)力500(↑) 器用さ700(↑)

賢さ(↑)2200 魅力260(↑)


責任感

誠実の姿勢(↑)

状態異常耐性++(↑)

氷属性攻撃・氷耐性

雷属性攻撃・雷耐性

裂傷耐性+(↑)New

自然治癒new

自己犠牲New

ステータス閲覧 

商売話術

ゲームプレイスキル

不屈の意志+

格闘センス

説得術

誘導話術

氷雷塊

氷攻撃

雷攻撃

地場機動力

アイスロード


コンビ技

:称号

鋼鉄のメンタル 強い責任感

強き若者 立派人間

商人の卵 舎弟持ち

初級格闘者 対話術師

閲覧者 異常耐性所持者

氷属性魔法取得者

雷と氷を操るもの

博愛の知者New


「うはぁ、こりゃあまた…」


「俺も自分の事ながら、さすがに血の気がひいてきたぞ。」


「私の顔が真っ青になる理由。分かってくれた?仁」


「ああ…」


「…バタン」


「あっ!あかりさんが倒れた」

あかりがショックで倒れたので、真矢と店主のおじさんが二人で彼女の病室まで運んでいく。



いくらステータスをあげたとしてもまた返り討ちにされてしまう。この時禅内仁は、密かにそんなことを考えていた…

今回は文字数が多くて改稿がしんどかったです……この後もやや長い話になるかも知れませんが、飽きずに見ていただけると嬉しいです。


今度の投稿は本日の18時と、22時に行う予定ですのでどうぞまた見てってくださいね!

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