表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/102

98話、松殿守備戦

途中で一人称から三人称に変わりますがご了承下さい!!!

「伝令兵!名は?」


「上総太守様郎党、新羅三郎義光が後裔、柏木甲賀入道義兼と申しまする。」


「ほう、そなた僧兵か?」


「園城寺で出家をいたしました。」


「婿殿、甲賀入道とその兄山木冠者は太守様随一の郎党じゃ。この兄弟はあの三井寺に押し入り僧兵の名代となった剛の者。婿殿の郎党と仕合をしても、五分であろうな。」


「上総介様、お世辞が過ぎますぞ!」


とか言いつつにやにやしてんじゃねぇか。てか、勝手に着いてくんなよ、お義父さん。


「甲賀入道こそ謙遜がすぎるぞ!」


「こんなうかうかして場合じゃないんじゃった。娘とお腹の中の孫が、危険にさらされておる。急がねば。」


宮様も危険ですけどね。


「その通りです!!父上!!!!早く行かねば我が甥も姉も木曽の山猿ともに殺されてしまいます!!!!!」



うわ!実信大きい声出すな。



実信も父がこうだから、こうなったのかも。前世?では俺より生きてそうだけど?




――――――――松殿―――――――


以盛達が松殿に向かっている一方、松殿では元親王、平上総太守最勝が優美な甲冑を身にまとい、一の郭の御殿の前に威風堂々と天照大御神と書かれた旗と、皇族の紋章描かれた旗が無数たなびく本陣を置いている。


「上総太守様!何とか三の郭、持っております。」


「わかった。余は、二の郭の民を安堵させ、三の郭の兵を鼓舞して参る。義経、高綱、着いてまいれ。」


「し、しかし、上総太守様の御身に、もしものことがあれば!」


「そうでございまする!この佐々木四郎高綱と山本冠者殿にお任せくだされ。」


「ならぬ!宮である余が行くから、民は落ち着き、兵は士気が上がるのじゃ。」


2人は1度聞いたらこの男が考えを曲げないことを分かっている。


「「承知!」」


上総太守は御殿に向かい、


「玉殿!安心なされよ!そなたの夫が参るまで、余がこの松殿を守り通そうぞ!!!」


そう言い残して本陣を後にした。




上総太守は二の郭の門の楼閣に立ち、


「兵達よ、民達よ!よく聞けぃぃ!!!!余は、後白河院第三皇子、平上総太守最勝なり!!!!!皆の者、今は耐えい!!!時期に援軍が届く故今だけでも耐えい!!!!我が精鋭達よ!民を守れぇい!!!!!」


最勝がそう、兵と民を鼓舞すると歓声が沸き起こった。





すると、1人の武者が女武者を伴って、



「上総太守様とお見受けする!拙者、木曽冠者義仲と申しまする!!この松殿を開けてくだされば、全ての民と兵の命を助けまする、そして宮様を神輿とし、平家を追討いたす!」


沈黙が流れたあと、



「何を申すか!!!逆賊が!!!!余は、帝の兄であると同時に臣下じゃ!!!!!!!なぜ逆賊に手を貸せようか!!!!????者共、何としてもこの山猿共に、我らの家をくれてやるな!!!!!!」


「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!」」」」」


「伝令!!東門より、援軍が!!!遠江守様が率いられる総勢1000!」


「よし!!でかした松王丸!!!!早く援軍をいれぇい!」



数分もしないうちに、二の郭の門が開き、一気に遠江勢い、千が最勝直下兵の援軍に躍り出た。


「上総太守様、おまたせいたしました。」


「うむ。松王丸、約束通り松殿は守ったぞ。」


「さすが宮様でございます。」


「最初にそなたの子を抱かせよ。」


「し、しかし...」


「余はそなたの子の命の恩人じゃぞ?」


「わ、分かりました。」


「はっはっはっ!冗談じゃ!!しかし油断してはならぬぞ!!!!」


楼閣の上から、最勝が叫ぶ。


急な援軍の急襲により、木曽兵は士気が落ちている。




そこに、二の郭から火の玉が上がる。


「ほう、火薬で火を打ち上げておるのだな。」


「その通りでございます。我が軍師、実信の発案でございます。」


「ほう、信連の倅か。流石じゃな。また美味い酒を作らせてくれ。して実信はどこじゃ?」


「我が娘を付き添っております。何とか出産にいい方法があるとかないとか。」


「実信は本の虫出会ったからな。有益な方法もしっておるのじゃろう。しかし、火をあげるということはなにかの合図じゃろう?」


「そろそろ、奴らが来る頃でございます。」




「赤坂兵部少丞直下兵団、赤熊!この兵部少丞に続けぇー!!!!!!!」


「「「「「「おおおおおおおおおお!!!!!!!」」」」」」


黒革縅の甲冑を身にまとった集団が坂を駆け上がる。


歩兵の前の20数騎の先頭の男は熊の毛皮を被っている。


その集団は士気がさがっている、木曽兵の後方を強弓のごとく、突き破っていく。それに呼応するように、1200の軍勢は攻勢を仕掛ける。




「巴!逃げるぞ!!!」


「分かりましたわ!駒王丸様!!!!」


「兼光、お前も逃げるぞ!」


「ふっ、誰かが残らねばなりませぬ。巴、殿をお守りせよ。」


「兄上...」


「な、何を言っておるのだ!!!!兼光!!!!!」


「巴!!!行けぇぇぇぇ!!!!!」


「承知しました、兼光兄様!!」


「か〜ね〜み~つ~!!!!!!!!!」


義仲と巴は、数騎で、命からがら松殿を降りていった。


「駒王丸様、お仕えできて幸せでござった。」



しかし、兼光が安堵したのもつかの間、義仲は、200数騎の兵に囲まれる。


「源木曽冠者義仲様であらせられるな?」


「いかにも。もう良い。わしの首を取って手柄にせい。」


「それはなりませぬぞ、駒王丸様。」


「ん?そなたは...?ん!斎藤か!!!!!」


「斎藤でございまする。生きながらえるのです。斎藤と一緒に遠江守様の元に参りなされ。」


「ならん!いくら斎藤の頼みであっても遠江守の元へは行けぬ!!!ならばこの義仲自害いたす!!!!!」


「黙りなさい!!!!!そなたの父君を討ち取ったのは誰か?憎きは誰か?義朝であり、頼朝であろう!!!!!ならばその軍才、遠江守様の為に使えい!!!!」



義仲は、甲冑を脱ぎ、刀を抜いた。


「わしは、斎藤に2度も命を救われたのか。しかし、ならん。やはり生き恥は晒せぬ。すまんな、斎藤。礼に閻魔にそなたの良きことを伝えておこう。」


「駒王丸様なりませぬ!」




義仲が首を掻っ切ろうととする刹那、白い手がその刀を掴んだ。


「巴は、貴方様を好いております。巴を1人にしないでくだされ。」


「巴.........。」


巴は、潤んだ瞳で義仲に訴えかける。


「わかった。斎藤、遠江守様の元へ連れて行ってくれ。」


「承知。」


「ひとつ頼みがある。わしの兵たちの命は取らないでくれ。」


「承知致しました、者共!!!!聞けぇぇぇぇ!!!!!!木曽冠者義仲は、この斎藤尾張介が捕らえた。戦は終わりじゃ!!!!!!木曽兵は皆投降せよ!!!!!」


「斎藤殿、すまぬ。」


「なんてことございませぬよ。」


斎藤実盛は、笑顔で駒王丸に答えた。

疲れました。


お腹減りました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ