9話、征夷大将軍、平家キラーの弟殺し頼朝(=社不)後編
頼朝の眉がぴくりと動いた。
その瞬間、刹那に盛俊が太刀を抜こうとした。
「盛俊、控えろ。」
「しかし、、、」
「頼朝殿は丸腰じゃ。頼朝殿は何も出来ぬ。」
牙が抜かれた狼ってやつだ。ざまぁみろ頼朝!ガッハッハッー
「承知致しました。」
「頼朝殿、部下の非礼すまぬな。」
「お気になさらず」
「では、頼朝殿そなたは平家一門を恨んでおらぬのか?」
「そうですな。父や兄、一族を殺された恨みはあります。しかし、それも平治の乱で我が一族が破れた結果でございます。」
「そうか。ではいずれわたしの将となれ。」
「!!!!」
そこにいたもの達全員が腰を抜かした。
「若様!それはなりませぬ!こやつは罪人。若様は大納言様の御子です。なにとぞご再考を。」
「分かっておる。盛俊。だからいずれなのだ。」
「しかし、大納言様が許されますまい。」
「父上はどうにかして説得する。」
「頼朝殿はよいか?」
「私は一生を伊豆で過ごそうと思っていた身。それをまた武士としてとりたてて頂けるなら光栄にございます。」
これで頼朝に殺されることが無くなったかな。
頼朝が釣った魚はなかなか美味かった。
「父上、母上。松王丸、ただいま帰りました。」
「松王丸。おかえりなさい。」
「頼朝はどうであったか?」
「わたしが思いますに、やつは大変危険な男です。伊豆に流罪にするなど虎を野に放つようなものでございます」
「では、斬った方がよいか?」
「京にて蟄居にし、われら一門で監視すべきでしょう。」
「それでは、源氏に殺された一門に示しがつかぬ。」
「しかし…」
「この話はなしじゃ。」
「分かりました…」