86話、真・阿津賀志山の戦い
つかれました。
――――――――陸奥国伊達郡阿津賀志山――――――――
追い詰められた義経軍は、阿津賀志山に陣取った。
義経の軍は1万と数千。対する義経討伐軍は2万騎。
「高楯黒!この山を突き進めぇ!アイヌの民共!俺についてこい!倭人どもに大墓公 阿弖流為の積年の恨み見せつけようぞ! 」
奥州藤原庶長子、藤原国衡は奥州随一の名馬、高楯黒に跨り配下のアイヌの兵たちを鼓舞していく。
「ウワナ!(御意!)」
国衡率いるアイヌの兵数百が、山の奥深く、敵軍の本陣へとたどり着いた。
「朝敵藤原秀衡、並びに源義経を討ち取りに参った!観念せい!」
「太郎兄上!新寿太郎兄上!たとえ兄上と言えど父と九郎殿は討ち取らせませぬ!」
国衡の前に、弟忠衡が立ふさがる。
「三郎!そこをどけい!」
「父上と九郎殿を討ち取りたければ三郎の首を落としていきなされ!」
「ぐっ、できぬ!異母弟と言えど三郎はかわいい弟。俺にはお前をうち取れぬ!」
「新寿太郎様!出羽守様の命により、この河田次郎衡博が泉三郎様を討ち取りまする!」
「三郎様!覚悟!」
「九郎殿、お逃げくだされ…」
藤原泰衡の郎党河田次郎の一太刀で、藤原秀衡三男、藤原忠衡は討ち取られた。
「ぐっ…これも全てはあの憎き九郎天狗のせいよ。天狗の皮を剥がしてやる。見つけ次第生け捕りにせい!」
アイヌの兵が本陣の幕を開けると、
本陣はもぬけの殻であった。
(泰衡の国を残そうという気持ちは分かるが、弟を躊躇なく手にかけるとは……)
国衡は空を見てそう心の中で呟いた。
高楯黒·····国衡の愛馬
河田次郎·····泰衡の郎党。史実では頼朝に泰衡の首を届けて斬首。
藤原忠衡·····藤原秀衡の子。史実では泰衡と義経を擁護するか否かで言い争いになり泰衡自ら誅殺。




