76話、真・富士川の戦い⑦
あ、真・を付けるのずっと忘れてました(^_^;)
以盛軍は、武田軍、頼朝軍が、共に疲労したのを狙って攻勢をしかけた。
神聖隊1000と、中央軍8000のうち5000、右翼6700のうち3000の合計9000で敵を蹂躙していく。
白兵戦となり、以盛軍で、最強の矛、赤坂長勝の、部隊が、混戦中の、武田軍、頼朝軍の間を駆け抜けていく。
「頭、大将首取っちまおうぜ。」
「あぁそうだな!盗賊出身が源氏様の首とったとなりゃ誠に面白いな。」
赤坂隊は、武田方を切って切って切っていく。
「やあやあ、我こそは〜甲斐の住人、武田太郎信義なり〜!首を討って手柄にせよ!」
「武田太郎信義大将自ら、前線に出てくるとは粋なものだ!!俺は、平遠江守様郎党、赤坂兵部丞長勝だ!首になってもらうぞ!」
赤坂長勝は、そう言って、盗賊時代からの、自慢の大鉈を武田信義目掛けて振るう。
武田氏の祖、名将武田信義も負けじと薙刀を振るうが、武器のウェイトが違うのだ。赤坂長勝の大鉈の重みには勝てず、地面に転がり落ちてしまう。
「斬れ。」
「斬らぬ。お主のような武将、主に紹介せねばならぬからな。」
赤坂兵が、武田信義を縛りあげようとすると、
「お前ら客人だ。縛らんでいい。」
「いや、でも」
「武田殿は、武器を捨てられただろう?非戦闘員だ。丁重に本陣までお連れするぞ。」
平盛俊率いる右翼本隊3000騎は、頼朝の本陣前へとたどり着いた。
「やあやあ我こそは、伴遠江守様が郎党にて、平六波羅入道様の第一の郎党平伊勢守盛国の子、従四位下斎宮助平正度が曾孫、平遠江介なり!主上からの勅によって逆賊、源三郎頼朝の首を討りに参った!」
「三郎様の郎党、梶原景時が子、梶原源太景秀なり!本陣を破りたくば、この景秀をうちとれぇい!」
「裏切り者の子倅か!手射ちにしてくれるわ!者共、わしがこやつと斬り結んでいる間、本陣へ目指して駆け抜けい!」
「「「「「「おう!」」」」」」
梶原景秀が若武者で武勇に優れた将であり、平盛俊は、歴戦の猛将。互いに1歩も譲らず、何合も撃ち合っている。
「盛俊様!本陣もぬけの殻でございます!」
「三郎様お逃げになったか!お役目も果たした。伴の陪臣共目に焼き付けよ!この、梶原源太景秀が、自害の手本を見せてやる。頼朝様に討ち取られる時の参考にせい!」
文武両道の将、梶原景秀は、馬上で甲冑を脱ぎ捨て、自分の首を掻っ切り、自害を果たした。
「見事。」
猛将平盛俊もそれを見た時感嘆のあまり呟いた。
その後、武田軍本隊も、兵を引きあげていった。
―――――――遠江・維盛連合軍・本陣―――――――
「赤坂兵部丞様帰陣!」
長勝は、武田信義を連れて歩いてきている。
「平遠江介盛俊様帰陣!」
盛俊は、梶原景秀の首を大事そうに抱えて。
「城上総掾国光様帰陣!」
城国光は、袈裟に身を包んだ男を縛り上げている。
「伊藤伊豆介祐親様帰陣!」
伊藤伊豆介は、好々爺じみた笑顔で無数耳を糸で通し以盛の前に置く。
「皆、良く働いてくれた。」
「兵部丞、そのものは?」
「武田信義殿だ。」
「ん?武田信義本陣は私の神聖隊が、突撃し、大将武田太郎信義は、甲斐方へと逃げ帰りましたが?その証拠に武田軍の軍師、曾禰厳尊殿を捕縛致しましたわ。」
「なら、お前は誰なんだ?」
武田信義?は焦り、曾禰厳尊は目を見開いている。
「それがしは武田太郎信義の兄辺見太郎光長でござる。弟信義とは畜生腹の兄弟で、弟の勢いに呑まれ、甲斐源氏の当主の座も奪われてしまい、源家の勝利のためにと、信義の影武者をしております。」
「光長兄者の申すこと嘘偽りございませぬ。この厳尊、神仏に誓いましょう。それより、信義兄者たちは、軍師で僧侶である、この私を、見捨てられた。もう武田にはついていけませぬ。」
「うむ。ならば、辺見太郎光長、曾禰厳尊、私の郎党にならぬか?」
「我らは先程まで敵でございました!」
辺見光長は大きな声でのたまう。
「頼朝も、敵であった梶原景時を郎党としておろう。」
「確かに。1度失った命。伴遠江介様に預けまする。」
「拙僧も、遠江介様に知恵をお貸し致します。」
こうして以盛は、2人の郎党が増えたのだった。
郎党増えちゃいましたね。
ちなみに辺見光長は武田信義の双子の兄説と異母兄説があるようです。
どっちにしろ、光長の方が兄のため、辺見冠者源清光の長子光長が辺見氏を名乗り、信義は、祖父の武田冠者源義清にあやかって武田氏を名乗ったのです。
その後、武田信義が辺見光長から甲斐源氏の棟梁の座を奪い、戦国時代の武田信虎や武田信玄へと続いていきます。辺見氏は飯富氏の祖先であり、辺見光長は飯富虎昌や山県昌景の祖先なのです。




