75話、富士川の戦い⑥
昨日は、彼女未満友達以上の子と喧嘩をして、仲直りしました。でも、いつもと違います。はい僕のせいです。
皆さん、彼氏、彼女、夫、妻と喧嘩した時どうしてますか?
富士川上流まで退いていた武田軍が、遠江・維盛連合軍の方へとにじりよっていく。
―――――――遠江軍左翼――――――――
「斎藤様!敵が突貫してまいります!その数、千と数百ほど!」
「見えておるわい。老眼でも虱の目を射抜き、妻のまつ毛を射切れるわ!」
斎藤尾張介実盛は、黒い甲冑に、白髪をたなびかせながらそういった。
「まずは小手調べじゃ。弓兵前へ!」
「射てぇ!」
実盛の号令と共に無数の矢が武田軍先遣隊を襲う。
それでもさすがは一騎当千の武田軍。矢に怯むことなく、兵を減らしつつも前線まだたどり着く。
「やあやあ、我こそは、甲斐の住人にて、甲斐守新羅三郎義光が曾孫、武田軍総大将武田太郎信義が実弟、安田三郎義定なり!腕に覚えがあるものは手合わせせよ!」
「むむ!小童が!耳のあるものは音にこそ聞け!目のあるものは近くば寄って目にも見よ。やあやあ我こそは、伴遠江守以盛様の侍大将にて傅役の1人、斎藤尾張介実盛なり!やんごとなき主上の命により、逆賊、武田太郎、源三郎とその郎党を討ち取りに参った!安田三郎!最初に首に乗るのはお主よ!」
「抜かせ!白髪のじじい!しかし、斎藤尾張介!相手に取って不足なし!いざ尋常に勝負!」
いい場面だがここで余談だ、平安時代の一騎打ち。諸君の想像通り、日本の在来種の馬は今の競馬や、大河ドラマで使われるようなサラブレッドでは無く、ずんぐりむっくりしていて、体高も130センチほどしかない。よって、大河ドラマのような一騎打ちは出来ないのだ。実際の一騎打ちは、馬に落ちないようにし、馬の勢いに任せて刀や薙刀を当て、落ちた敵を組討にしていたという。それを踏まえて続きをどうぞ。
安田義定は、上段に構えて、左手は手綱を握り、斎藤実盛目掛け駆け抜ける。
対する斎藤実盛は、脚で馬の鞍を挟み、両手で薙刀を握りしめ、馬を駆けさせる。
ギィィーーーン
金属と金属がぶつかり合う音が響き、遠江軍左翼の兵、武田軍先遣隊の兵共に固唾を飲んで見守っている。
ギィィーーーン
ギィィーーーン
ギィィーーーン
ギィィーーーン
五合ぶつかったところで
安田義定の馬が脚を挫き、安田義定は馬から転げ落ちた。
斎藤実盛も、飛び降りて安田義定に馬乗りになる。
安田義定、刀を落とすも脇差しを抜き、斎藤実盛に応戦しようとする。そこで安田義定の助太刀をしようと兵たちが、斎藤実盛に切りかかる。
寸前で左翼の兵が斎藤実盛を刃から守りきり、斎藤実盛は、1度後ろへと下がる。
「一騎打ちは、わしの圧勝じゃ!者ども!のこのこと出てきおった武田の猿共を討ち取れぇい!」
左翼の兵は6000を超える軍。対する先遣隊、1500。4倍を超える兵の猛攻に耐えられる訳もなく、命からがら、10数名の兵に守られ、安田義定は逃げ帰っていった。
威力偵察ってやつです。




