64話、資本主義
あは
遠江に戻ると、浦開宗の船団が磐田湊に入港したとの一報が入った。
宋の船を一目見ようと人だかりができている。
「遠江守様、約束の品持ってまいりました。」
「うむ、代金は、銭で良いか?」
「もちろんにございます。しかしこの湊なかなか素晴らしいですな。」
「それだけではありませぬぞ、浦殿。遠江守様は、民のために新たな農法を開発し、新たな田を開墾し、さらに茶、生糸、塩の生産を推奨なされました。」
実盛の爺が、自分の事のように自慢している。
「実盛の爺、大袈裟だ。」
「おぉ、松王丸様!今、実盛のことを、爺とお呼びなされましたな。」
あ、そうだ。実盛は自分が年老いてることを気にしてるんだ。実信が史実でも髪を染めて戦に出ていたって言っていたし。
「爺呼びもいいですなぁ。」
「え?あ、分かった実盛。」
「爺呼びもいいですなぁ。」
「分かった実盛。」
「爺呼びもいいですなぁ。」
「分かった実盛。」
「爺呼びもいいですなぁ。」
「分かった。爺。」
「これからも実盛の爺、国が破れようと、この白頭が短くなろうと、松王丸様の御ため命を賭しましょうぞ!」
「遠江守様ご主従は、仲がよろしいのですね。」
取引の内容は、青蒿の葉と苗、虫除けの効果がある白檀を買い寄せ、こちらからは約束通り茶と、生糸、絹を売った。
「あ、そうです。遠江守様、私が磐田湊に入りますと、気づきがございました。」
「どんな気づきだ?」
「船着場を木で作っておりましょう。木ではそのうち波風に晒されて、腐敗してしまうのではございませんか?」
「むむ。そうであるな。いい気づきをありがとう。」
「大事な取引相手でございますから。ああ、そうです大秦国に水に負けず、石よりも強い建材がありますとか。」
「ほう、その作り方は?」
「私、宋の貴婦人に遠江の絹をおろさねばならぬ故!では!」
浦開宗は、風のように去っていった。
そうです。皆さんが想像してる通りです。俺使ったら、籠城するにしても有利になるでしょうし、罠にもなるでしょう^^。




