63話、ご遺言
今回は題名はちゃんと真面目にしました。
あ、真面目の方がいいですか?
建春門院様の葬儀は壮大なものであった。
さすが、後白河院の寵愛を一身に受けたお方だ。参列者の列は三日三晩続き、僧は、喉がかれるまでお経を読み続けた。
参列者は、父上を初めとする伊勢平氏一門、建春門院様の実兄で父上のご正室の二位尼様の実弟の平時忠様ら堂上平氏を中心に、名だたる公家や武家の棟梁が参列した。皇族からも主上の兄弟はもちろん、主上の異母兄にあたる、平下総守最勝様も遠江から参列した。
こうして、平家一門と、上皇勢力、そして朝廷を結びつけていた女傑が浄土の蓮の上に座った。
「今業平よ。」
「後白河院。」
俺は咄嗟に平伏した。
「いや、そのままで良い。」
なんかこの人らしからず、気分が沈んでいる。目も腫れているのでは無いか?
そうか院も最愛の女性を失ったのだ。
「建春門院がそなたにとな。」
後白河院から、綺麗な文箱が手渡された。
「こちらは?」
「滋子が生前、そちに書いた文じゃ。」
俺は元々京で住んでいた六波羅の父上の屋敷の一室で、建春門院様からの文を読む。
『今業平殿。貴方がこの文を読んでるということは、妾は浄土にいることでしょう。今業平殿が従五位上遠江守に就任なされたとお聞きしました。叔母ながら誇らしくございます。妾は平家御一門と、朝廷、そして院の橋渡し役となるために、後白河院に入内いたしました。しかし妾は、使命半ばで事切れてしまいました。これから間違いなく世は乱れることでしょう。
妾は妾のやり方で、日ノ本の安寧を守ってまいりました。妾は、遠江守殿の今様をお聞きしたあのころから、遠江守殿が他の者達とは何かが違うことに気づいておりました。そんな遠江守殿に最後の願いでございます。
遠江守殿は遠江守のやり方で日ノ本の安寧を守ってくださいませ。叔母は鴨長継殿と共に蓮の上、遠江守様のやりようを見守っておりますよ。
建春門院 平滋子』
俺にできることは、俺の知行国、遠江を要塞化し、さらに東海を支配下に置き、頼朝の進行を食い止めることだ。
即座に遠江に、戻らなければ。
昨日はAPEXずっとやってました。楽しかったです。




