52話、Can you celebrate?
昨日は好きな子にドタキャンされて辛かったです。
せめて、せめてこの哀れでかわいそうな僕を笑ってください。
笑って酒のつまみにでもしてください。
今日は長谷川信連さんの屋敷に遊びに来ている。
玉ちゃんに贈り物を送った。蒲開宗との貿易でたくさんの大陸からの品物が入って来てるんだ。綺麗な品物は沢山ある。
その中から大きなターコイズが着いたネックレスを送った。
「まぁ美しい玉ですね。これを私に?」
「はい。玉さんに似合うと思いまして。」
俺が玉ちゃんにつけてあげた。
玉ちゃんは大人びた顔立ちをしているが実は俺と同い年だった。13歳でも、やっぱり女性だ。俺が鏡で見せてあげるとうっとりとしていた。
「この石は天の神が宿るそうです。」
「天照大御神様が宿ってらっしゃるのですか?」
「その通りです。私がいなくても天照大御神がいつでも玉さんのことを守ってくれます。」
「た、玉は、玉は、右様に守ってもらいたいのです!」
ドギューーン。はいキュン死。はい落ちました〜。
「た、た、玉さんそれはどうゆう意味で?」
「以盛様、私のことは玉と呼んでくださいまし。」
「よろしいのですか?」
「父から以盛様のお話を耳に入れるうちに、以盛様に惹かれておりました。何度もこの家に訪ねられていくうちに次はいつか次はいつかと待っているのです。」
「玉さん、こんな私でよろしいのですか?」
玉ちゃんがかわいい顔が膨れ顔になった。
「玉は、以盛様がいいのです。それになぜ呼び捨てにして下さらないのですか?私に恥をかかせないでくださいまし!」
「玉。俺もうれしい。俺と夫婦になってくれぬか?」
ガタゴト。
ん?なんの音だ?
俺と玉がなんか気まづかったので、お互い縁側に座って空を見ていると、
2人の男がやってきた。
父上と義父上だ。
「長兵衛尉、これからもよしなに。」
「六波羅入道様、娘をお頼み申す。」
2人ともニッコリ笑っている。
てかなんでパパそんなにフッ軽なんだよ。
もしかしてさっきの物音·····。
「婿殿、お願いがあるのですが。」
義父上も右殿って呼べよ
「以盛にできることでしたらなんなりと。」
「私には玉の他に5人の倅がおりまして、末子意外は、元服をし、それぞれ仕官しておるのですが、お恥ずかしいのですが、末子の実信だけは元服したというのに、禁中にもどこぞの家にも使える様子もなく、屋敷にて本を読みふけっているのです。婿殿の郎党方の末席に入れていただけませぬか?」
「まずは、実信殿にお会いしたいのですが。」
「婿殿が良いのであれば。」
「こりゃすごい書物の量じゃ。義弟殿は誠に本の虫じゃな。」
「実信殿。あなたの姉上の婿となりました。平兵衛少尉以盛と申します。」
「あなたが平兵衛少尉様ですか。その御慧眼かねがねお聞きしております。」
「実信殿、私の元に使える気はござらぬか?」
「仕官のお誘いですか。」
「ご不満でしょうか?」
「あなたは不穏分子を取り除くために郎党には武一辺倒のものばかりとか。」
なんでそんなことまで引きこもりニートが知ってるんだ?
「お恥ずかしいですが、その通りです。」
「そしてやっと、仕えてくれた文官が、鴨長明殿ですな?」
「なんでそこまで知ってらっしゃる?」
「はっはっは、草の噂ですよ。私は関羽にも、楊大眼にもなれませんがよろしいのですか?」
「では誰になれると?」
「武衛殿はどれほどの傑物を求めるのですか?」
「そうですなぁ。少なくとも政では周公旦、知略では諸葛亮を超えて頂かなくては。」
「はっはっはっはっはっ。父上、私が使うるお方が決まりました。主従水入らずでお話したいので、離れでお話しても良いですか?」
「婿殿はよろしいですか?」
「もちろんです。」
2人で長谷川邸の離れまできた。
「武衛殿はカレーライスを知ってますか?」
「ん?カレーライスとは?」
「とぼけないでいただきたい。」
え?なんでこの人カレーライスなんか知ってんの?え?え?
「し、知っています」
「私は202X年の日本から来ました。あなたは?」
「俺は202Y年から。」
「あなたはこの世でどうなさりたい?」
「え?」
「あなたの郎党になったのですから目的を聞かなければ。」
「前世でなんだったとか聞かないんですか?」
「はっはっはっは。私にただの清和源氏、長谷川源六郎実信。あなたは平兵衛少尉以盛の何者でもないでしょう?」
「そ、そうですね。俺は、源氏から家族を守りたいです。」
「ならば尽力致しましょう。」
「しかしなぜ俺の郎党、それに叔父上まで知ってたのですか?」
「はっはっはっは。言ったでしょう。草の噂ですよ。」
「草の噂ですか。」
「にしても姉上は美人でしょう。他人なら私が狙ってましたよ。まぁ他人ではありますがね。はっはっはっはー」
実信殿の中の人?はなかなか気さくな人物なのかもしれない。隠してることがいくつかありそうだが。
離れを出ると、
「あ、兵衛少尉様私の秘密を知りたいのであれば、私の願いをひとつ聞いてください。」
大どんでん返しをしたわけですが。
これからどうやってこの2人でやっていこうかと考えてます。
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