42話、直臣が増えたけど.......
六波羅へと戻ると盛俊と長勝が出迎えてきた。
後ろに3つの人影も見えるような気がする。
「お帰りなさいませ。」
「土産は?」
さすが元盗賊がめつい。
適当に長勝を受け流していると。
人影①が口を動かした。
「おかえり、松王。」
父上、平清盛だ。
「無事で何よりです。母は心配したのですよ。」
母上、菊花殿。
そして、もう1人の人影は.......
「松王、この者がお主の文官第1号になろうと言っておるものじゃ。」
すーっと俺の前に現れたのは俺もよく見覚えがある、スラッとしたシルエットの男だった。
「松王丸様、久しゅうございます。」
ちょいちょい敬語はやめてよ。叔父上?
「敬語はやめてください叔父上。」
「しかし私は松王丸様の侍従となった身でありますれば、松王丸様を敬って当然でございます。」
「しかし叔父上は私の師であり、私は叔父上の弟子であるのですよ?」
「うむ、それもそうだな。松王、これからは従者として、叔父として、そして師としてそなたを見守ってゆく故、何事にも、心してかかるように」
なんだよ。やっぱり敬語使わせたくなってきた。こいつムカつく。
「長明殿は、岳父殿のように、神官となりたかったようだが、一族の妨害により、その道を断念せざるを得なかったのだ。そこで松王に使えぬか?と申したら快く引き受けていただけたのだ。」
父上も余計なことをするなよ。
「松王、そんな顔しても叔父は帰らぬからな。」
この人俺の家来やる気満々だよ。




