28話、鴨の主が死んだ。
サブタイトルは東の魔女が死んだにインスパイアを受けました。Inspire state of mind って曲オススメです。
「お菊様、松王丸様、お待ちしておりました。おぉ右大臣様まで、ありがとうございます。」
このじいさんは加茂家の下人の七郎さんだ。俺の事を松王丸呼びする数少ない1人で、幼い時から長継おじいちゃんに使えてきた人だ。
「七郎、お父様の容態は?」
「ずっと寝込んでおられます。朝廷から奥医者殿が来られましたが、いつ亡くなられてもおかしくないと。」
「あのお父様が……」
「若様、平右大臣様、お菊様、松王丸様がいらっしゃいました。」
「お通しろ。」
ススゥーー
あんなに元気の塊パワフルじじぃだったおじいちゃんが、布団に寝込んでいる。
「父上、お菊と松王丸、婿殿が来られました。」
「…」
「松王、じい様のそばにいてさしあげろ。」
「はい。父上。」
「じじ様、松王です。松王丸がまいりました。」
手が冷たい。目も開かない。
ピクリ、、、
「おぉ!父上…」
「…松王か……」
「!!!!…はい!!……松王丸です!!!!じじ様、遅くなってすみません……」
「松王…何泣いておるのだ。わしには御先祖の御加護……があるから、死しても……極楽浄土行きじゃ。」
「し、しかし、じじ様」
「松王丸……加茂家のを………社家として…………代々帝にお仕えしてきた。神を……祀ることで…………民達の心を抑え……叛心を…………抑え込んできた………いわば………加茂の家は帝の盾のひとつなのだ。」
「はい。じじ様。」
「そして……婿殿のお家は……桓武帝から分かれた………帝の矛……平家。」
「その2つの……家の………………血を引く松王は………死しても帝を…………………帝をお守りすることがお役目じゃ」
「心得ております。」
「ならば………七郎………盾を」
「はっ、」
七郎さんが綺麗な絹織物に包まれた板を持ってきた。それは日本では見慣れない、ローマの重装歩兵が使う盾だった。
「これは………漢の桓帝への…………大秦国の国王安敦からの送りもので……………………桓武帝が……我が家に………下賜なされたものじゃ。松王………は…初陣で…………武功をあげたと………聞く。この盾を…………持って更に強き……武者となり……………帝の盾となるのだ……………」
「はい。じじ様 」
こうして鴨の主が死んだ。
大秦とゆうのは古代中国から見てのローマ帝国の名称で大秦国王安敦は五賢帝の1人、マルクス・アウレリウス・アントニヌスのことです。




