16話、源氏のハイパーじじぃ
今日は三条高倉宮に出仕する日だ。
以仁王は俺が幼少ということで3日に1度出仕するようにと言ってくれている。
「以盛。今日はそなたに合わせたい者がおる」
上座に以仁王、以仁王の前に俺と老人が向かい合う形で座っていた。
「源正四位頼政と申します。」
ん?頼光?よりまさ…あ、こいつ以仁王と一緒に平家を倒そうとして返り討ちにあったやつじゃん!
「平兵衛少尉以盛でござる。」
「この頼政はのう。和歌の達人でな、時々こうやって屋敷に招き和歌を読ませておる。また弓の名手で近衛院の御世には弓で鵺を討ったほどの者のじゃ。」
「以盛様は武門として最年少で官職をもたれました。同じ武門の出として、こんなに誇らしいことはございませぬ。」
「頼政殿の和歌、我が叔父上、長明が感服しておりました。」
「おぉ、以盛様は長明殿の甥御でございましたな。長明殿はよく共に和歌を読み、共に酒を呑む良き友です。長明殿の甥御で平清盛様の御子とは羨ましいです。」
六波羅の館帰宅後
「松王、今日の腐れ親王はどうであったか。」
あいつなかなか良い奴だから悪口やめてやってくれ^-^
「源頼政殿にあわせて頂きました。」
「ほう、頼政とな。あの爺は源氏長老でありながら、わしら平家に尽くしておる忠義者じゃ。」
「頼政殿から父上にとこのような和歌が。」
〜のぼるべきたよりなき身は木の下に
椎をひろひて世をわたるかな〜
「源頼政め、粋なことをしよるわ!源氏のジジイ!わしが太政大臣に昇進した暁にはそなたは源三位と呼ばれておろう!」
何ひとりでわめいてんねん。どんなに叫んでもあのじいさんには聞こえねえよ。