13話、あなたと名前どんな物語がありますか?
三条高倉宮。俺が訪れようとしている後白河院第三皇子以仁王の邸宅だ。
「兵衛少尉殿、主がお待ちです。」
この男は以仁王の乳母子、藤原従五位下宗信。
「主の迷惑をお詫びいたします。」
その気持ちよく分かる。やはりどんな時代でもワンマン上司の部下は気の毒だ。
「いえ、私のような童にお声をかけて頂き感謝しております。」
長い廊下を歩いていくと以仁王の部屋に着いた。
「兵衛少尉殿をお連れ致しました。」
「入れ」
「兵衛少尉、参りました。」
「松王丸、よくぞ参ったぞ。本当に美しい童じゃ。」
こいつ顔がいい。男の俺でもそんなこと言われたら惚れてしまいそうだ^-^
「今日はどういった御用で?」
「そうじゃそうじゃ。早速じゃが7日後この屋敷で元服せよ」
「え?」
「良いな?」
半強制じゃないですか………
〜7日後〜
「松王丸が、元服か。あの小さかった松王丸が元服か…」
「貴方様なにを気を落としておられますか。鷹丸はいくつになろうと私たちの子でございます。」
「しかし、鷹丸は9つじゃ。やはりやめには出来ぬかのう 」
「いつまでも駄々をこねないでください。童じゃないのですから。」
「兵衛少尉様お入りください。」
高倉宮の下人に言われ儀式が行われる部屋に入った。
「兵衛少尉頭を。」
この時ばかりはいつもヘラヘラしている以仁王も真剣な顔をしている。
「ははっ」
烏帽子を被らされた。これで俺は成人だ。もし前世で生きていたらちょうど今日くらいが成人式だろうか?
「わしの名から一字、’以’の字を与える。今日から’以盛’と名乗れ。」
「以の字に恥じぬよう、生きまする。」
これで平朝臣従七位下兵衛少尉以盛の人生が始まった。
本来は理髪の役、烏帽子の役、泔杯の役、打乱箱の役とありますが、簡略化させていただきます。
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