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<<01 龍王紹介>>

前置きは三話になります・・・

長くなりすみません・・・


 『極める者』、それが名高き竜人族に与えられた称号である。

 その名の通り、一つの魔法を極限まで鍛え上げる竜人族の別称であるが、魔法を最高まで極めた竜人は今までに四人しかいなかった。

 しかもその四人は同じ時を生き、同じ空気を吸い、同じ戦場に蹂躙し続けた。

 その『極めし者』が四人も生まれた時代を『龍神時代』と呼び、いつしか彼らは世間上で、こう呼ばれるようになった。

 ――――『龍王』と。




「龍王様方、来訪者でございます。面会されますか?」

「何者だ?それによっては話が変わる」


 得体の知れない生物と談笑する気は毛頭ない。

 そのように匂わせて言葉を放ったのは、龍王が一人、『炎龍王』イノフェ=フリードだった。

 夕日のように輝く紅色の髪に、全てを光で覆い尽くすような金色の瞳を持つ男。

 まさに、『炎の化身』と呼ぶにふさわしい外見であった。

 そして彼が所有する魔法こそ、万物の始まりであり、神秘の誕生。

 『四大元力』である、『炎』をその身に兼ね備えていた。

 『四大元力』の説明を簡略すると、『四大元力』が始まりの魔法ということだ。

 全ての魔法の源となる、云わば土台みたいなものだ。

 『炎』の土台だからこそ、炎を発火させたり、コントロールしたりと自由自在に操ることができる。

 大抵の『炎』を有する竜人は、火を噴くことしかできない。

 いや、そもそも他の竜人の場合は、『炎』ではなく『火』だ。

 そんな他の竜人族と比べ物にならないくらいの力を有するイノフェ達に面会を求める者と言えば、人間族の勇者くらいしか思い当たらない。

 この世界では、勇者がトップクラスの実力を持ち、その後ろに続くように『龍王』達が控えている。

 そんな大層な実力を有する『龍王』だからこそ、恐れ多いと言わんばかりの面会の少なさ。

 仮に面会に来たとしても、来るのはいつも決まって勇者レボルトだった。

 だが、今回の面会はレボルトではないことは確かだ。

 レボルトだとしたら、使用人もその顔を熟知しているため、来訪者だという言葉の言い回しは決して使わない。

 イノフェの後に続いて、使用人は答えた。


 「人間族の勇者レボルト様に仕えていた者だとおっしゃられていました。詳しいご職業は龍王の御前でしか口を割らないと」

 「はあ?そいつばっかじゃねーの!?職業不特定のやつが普通に面会できると思ってんのか!?頭冷やして出直してこいって言っとけ!」


 そう怒り狂う男の名は、『土龍王』ソイルス=マダム。

 金木犀のような鮮やかな橙色に、燃えるような真っ赤な瞳が特徴的で、質実剛健という言葉がしっくりくる男。

 大地操作や土属性魔法を得意とする。

 彼が怒り狂うのは言うまでもなく、来訪者の件だった。

 常識的に考えれば、自分の正体を明らかにした後に面会という場を設けるものなのだが、どうやらこの来訪者は常識というものがないらしい。

 そんなふざけた態度にソイルスは怒っていたのだ。


 「そこまで言う必要ないでしょう?わざわざここまで足を運んできてくれたお客さんなんだから、もっと大切にしないと」

 

 ソイルスをなだめるように言う彼女の名は、『水龍王』ミネラ=アウラーネ。

 神秘的だと感じさせるほどの美しい水色の長髪に鈴蘭の髪飾りをしており、アメジストのような煌めく瞳をしている女性。

 別名『水の妖精』と言われ、水を自由自在に操ることができ、人工降雨すらも引き起こすことができる。

 常識がなっていない輩に、憤りを覚えるのは確かだ。

 だが、かれこれ一年近くは龍王が屯するこの場所を訪れた者はいなかった。

 だから、ミネラは数少ない客人には盛大におもてなしがしたかったのだ。

 常識外れの輩を追い返す方法と輩を受け入れ、盛大におもてなしをする。

 意見が割れたソイルスとミネラは、いうまでもなく言い争いに。


 「ミネラ、お前何言ってんだ?常識がない奴ほど信用ない奴はいるか?いや、いねーだろ」

 「私は常識うんぬんの話をしているわけじゃないの。私が言いたいのは、数少ない客人を大切にしようと言っているだけ。ここまで足を運んでもらったのだから、面会はするべきでしょう?」

 「その考えが甘いっつてんだよ!礼儀がなってねー奴は中身もしっかりしてねーんだよ!そんなこと常識中の常識だろ?」

 「あら?だったら足を運んでくれた客人を無理やり追い返そうとするソイルスの言動は、礼儀ができていると言えるかしら?」

 「二人とも、言い争いはやめようよ?別に揉めるようなことでもないでしょ?」


 二人の会話に割って入ってきた彼女の名は、『空龍王』ゼクス=シード。

 艶やかな黒髪のミディアムヘアをハーフアップにしている女の子で、彼女の瞳は全てを見透かしているような灰色の綺麗な目をしている。

 彼女は生まれつき下半身が動かない病を患っており、椅子に座る日々であったが、空中浮遊や空気の流れを自由に操ることができる。

 現に今も、椅子に座りながら空中浮遊をしているわけだが。

 

 「ゼクス、この件に関してはみっちり議論を重ねてから、ようやくどう対処するか決まるんだ。この案件こそ揉めるべきだ」

 「私もソイルスの言う通りだと思います。みんなの意見が一致しない限り、良い気分はしないでしょう?こっちにとっても、お客さんにとっても。生半可な態度を取らないように、今一度議論するべきなの」

 「いーや、議論するべき案件ではないね?君たち忘れてるの?ボクたち自身がどういう存在なのか」


 ゼクスに言われずとも、龍王達は頭の中で把握している。

 ゼクスの言葉の後をなぞるようにイノフェは告げた。


 「それもそうだな。俺たちは名高き『龍王』だ。俺たちと渡り合えるのは勇者であるレボルトだけなのだから、最初から弱腰で構えなくてもいいんじゃないか?」

 「いや、俺は別に弱腰なんか・・・」

 「あら?私にはビビっているウサギさんにしか見えなかったんだけれども?」

 「ミネラ!」


 ゼクスの意見がごもっともだった。

 龍王と渡り合えるのは勇者であるレボルトしかいない。

 仮に勇者を超える存在だったとしても、こちらには勇者クラスの化け物が四人いる。

 始まりの魔法である『四大元力』を極限まで鍛え上げているため、そう簡単に四人を殺せる者はいない。


 「来訪者をこちらへ、面会を承認します」

 「かしこまりました、すぐにお呼びします」


 ゼクスの指示の元、数分後に来訪者は『龍王』が屯するこの場へと召喚されたのだった。


最後まで読んでいただきありがとうございます!

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