勘違いから始まる②
キーンコーンカーンコーンとホームルームの終わりを告げるチャイムが鳴った。櫻は急いでリュックサックに荷物を詰め、今日一緒に帰る予定の湊に
「悪い。今日一緒に帰れないんだ。やることあるから」
と言った。すると湊も
「丁度よかった。俺も今日一緒に帰れないんだよ」
とお互い用事があったようだ。そして櫻は雪穂を追いかけるために急いで下駄箱に先回りをした。そしてもねも同じ頃、校門で待機していた。何故なら仮に櫻が雪穂を逃した場合もあるためその時にはもねが捕まえるというシステム。
「確か先輩のクラスは3年2組だよな」
靴を履き変え、3年2組の下駄箱で待機する櫻。
5分後…。
「3年生は、忙しいからくるのが遅いのかもしれない」
10分後…。
「先生ときっと会話してるんだよ。うん。」
15分後…。
「先輩。トイレに閉じ込められたのかも」
その時櫻の担任の浅倉先生が話しかけてきた。
「さっきから太田何やってんだ?」
「先生。ちょっと3年生に待ってる人がいて。」
「太田。3年生は今日1、2年とは違って5分早く帰ったぞ」
「え?マジですか?」
櫻はしくじった。まさか今日3年生が5分早く帰るなんて知らなかった。しかしたかが5分走ればなんとかなるはず。そこで櫻はもねと合流するため校門へ向かった。
今日は6月というのにとてつもない暑さ。もねは木影で座って待機していた。
「今日、すごく暑いです。あと雪穂先輩来ませんね。」
手でパタパタと仰ぐ。
「もね!」
走ってもねの方へくる櫻。
「櫻。作戦成功したんですか?」
「失敗だ!三年生は今日、早く帰る日だったらしい。」
「やばいじゃないですか!!」
「ああ。そうだ。だから先輩の家まで行くぞ」
2人は走って先輩の家に行くことに。
2人は、レンガ造りの家の中在家につく。
「私がピンポンしますね。」
「たのむ。」
もねは人差し指をゆっくりとインターホンのボタンに近づけポチッと押す。ピーンポーン。と鳴り「はい」という声が聞こえた。
「あっあの。私、麻生もねと言います。中在雪穂さんいませんか?」
「ごめんなさい。雪穂ならまだ帰ってきてないわ。」
「わかりました!ありがとうございます」
もねは櫻の方を向き。腕で✖️をする。
「どうしますか櫻。」
櫻は悩んだ末に出した結論は
「今日暑いのに。こんなに走ったからちょっと休まない?休みながら考えよ」
「わかりました。」
2人は家のすぐ前にある公園のベンチで休憩することに。
「ジュース何がいい?買ってくるよ」
「んーじゃあ。ミルクルが良いです。」
「了解。」
櫻は、自動販売機に向かった。そしてボタンを押しミルクルとカフェオレが出てきた。それを持ちもねの元へ向かった。
「はい。もね」
宙に飛ぶミルクル。
「おおおっと。うっっしょ。」
「キャッチするときの掛け声独特すぎない?」
そう言いながら櫻は横目でもねを見ながら隣に座った。
「そうですか?いつも通りですよ。それより一つ聞きたい事があるんです!」
飲んでいたミルクルのキャップを閉めて櫻の方へぐいっと顔を近づけた。トルマリン色の瞳がキラキラ輝かせながら櫻を見る。
「聞きたいことって?」
「あのですね。ズバリ!雪穂先輩の事が好きになったきっかけはなんなんですか??私ちょー気になります!」
「は?」
少年は固まった。目の前にいる少女もねが何を言っているのかが理解できていなかった。しかしちょっとの間が出来、状況を理解することになる。
「もねなんか勘違いしてるよね?」
「え?」
もねは首を傾げる。
「俺、好きじゃないんだけど。先輩の事。ただ勘違いされてるのが嫌なんだけど。」
「……」
少女は目をパチクリさせる。今までずっと櫻は、雪穂の事が好きだから勘違いを解こうとしているのかと思っていたもねには衝撃だった。
「じゃあなんで勘違いされた時、悲しそうな顔してたんですか?!あと口も開きっぱなしでしたよ!!」
「それは、先輩の言った事が予想外過ぎたら。ただそれだけ。てゆうか好きと言うよりもなんか憧れ的なやつだと思うんだよ。俺的に」
「好きじゃなかったんですね。私の思い込みとは…。すみませんでした。じゃあ私、どうして雪穂先輩が憧れなのか教えてほしいです。」
櫻は、深呼吸を一回した。
「あれは、大体一年前ぐらいだっかたか。俺さストラップ無くしてさ教室や理科室でさがして見つかったんだけど校舎に鍵がかかったんだよね」
「ナルホド」
「困ったんだよ俺。そんでさ廊下見渡してたら青い髪の人がいるなー。って思って近寄ったらいたのが中在先輩だったんだ。俺を見るなり先輩が「君、さっき校舎に入っていくの見て、学校閉まっちゃうから戻っておいでって注意しようとしたら見失なったんだよね」て言われてたんだよね」
「ホウホウ」
「普通さ。そんなやつ見てもさ放っておくけど先輩は俺如きのために追ってくれてさ。凄いなっておもったんだよ。」
「あの。そのあと櫻達はどうなったんですか?」
櫻はクスリと笑い語った。
「そのあとな先輩が一階の窓こじ開けて脱出したけど次の日先生にバレて怒られたって話」
「なかなかダイナミックな事をする先輩ですね。」
「ああ。そうだな。頭もいいしな。」
「そうなんですね!やっぱり好きなんじゃないんですか?本当は?」
ニヤニヤとした目で櫻をツンツンしながらいう。
「いや、だからな憧れ=恋愛的な好きは限らないだろ」
「やっぱり違いましたか。……。」
突然黙り込むもね。櫻はモネの顔を覗き込む。
「どうしたもね?」
「櫻。雪穂先輩は青髪ですよね。」
「ああ。そうだよ。」
そうゆうともねはゆっくりと右手の人差し指で何かを指す。指した先には青い髪のボブのような髪型の人がいた。あの容姿的に確実に2人の探し求めた人、中在雪穂だとおもわれる。もねの指す方向を見るなり。櫻は走り出した。
「いくぞ!もね!絶対に見失わないように!」
「はい!」
慌ててもねも櫻の後を追う。