今年のカウントダウンは近場の横浜中華街で過ごそうか
さてクリスマスが終わればすぐ年末年始。
でパラディーゾも年末年始で連休だ。
去年はカップルになってから最初のデートということもあって、浅草の花やしき・浅草寺・東京タワーと巡ったわけだが、正直人が多くて疲れたのも事実。
今年はゆっくり過ごしたい気もするんだよな。
「桜田さん、今年の大晦日は去年よりゆっくりしたいと思うんだけどどうかな?」
「そうね、浅草の浅草寺の初詣はすごい人混みだったし、もうちょっとゆっくりしたいかな」
「そうしたら大晦日は横浜で過ごすのはどうかな?
横浜中華街のカウントダウンとか面白そうだけどあんまり混んでるようなら帰ってくることもできるし」
「それはいいわね」
「じゃあ、今年最後は横浜でデートってことで」
「わかったわ」
「22時位にパラディーゾ前で待ち合わせでいいかな?」
「うん」
「じゃあ、そう言う事でよろしくな」
「うん、楽しみにしてるね」
というわけで今年は横浜で過ごすことになった。
去年と同じようにアパートの掃除などをして、仮眠をとった後、ことしも徹夜での年越しの準備をする、大晦日の22時に間に合うように横浜に向かう。
パラディーゾの前に到着したらすぐに桜田さんが家側の入り口からでてきたな。
「ごめんね? まった?」
「いや、俺もちょうどついたところだし、じゃあ行こうぜ」
「うん」
横浜からみなとみらい線で元町・中華街駅は10分もかからないくらいであっという間だ。
駅を出ると意外とすいてる。
中華街の店も基本は個人営業だからか大晦日のこの時間に開いてる店はそんなに多くない。
でもやってる店もあるのでまずは一品閣と言う店に行ってみた。
「ここは串焼きが美味いらしいよ」
「じゃあちょっと買っていきましょうか」
売ってる種類はラム串・手羽先串・牛肉串・ホルモン串・砂肝串が一本100円と結構安い。
店頭で注文するとその場で焼いてくれるようだ。
「じゃあ俺は全部の串を1本ずつ」
俺がそう言うと桜田さんは苦笑しながら言った。
「そんなにいっぱいよく食べるわね。
私はラムと牛で」
「ハイヨ」
焼き始めるといい匂いが立つ。
ただ店員の愛想がないんだよな。
これは中国人がやってる店全般に言えることなんだけど。
「デキタヨ」
金を払ってそれを受けとって近くのベンチに腰掛ける。
串焼きは山椒と唐辛子などのピリ辛の味付けが絶妙だ。
日本の串焼きの塩焼きやタレ焼きとはまた違うんだが香辛料とバッチリ合っててめちゃ旨い。
「中華風の串焼きもいいもんだな」
「そうね、この味付けは独特だけど美味しいわよね」
その後は華龍飯店にいく。
「ここは焼き小龍包がうまいらしいな」
「じゃあ食べてみましょう」
店頭で焼き小籠包箱入り4個入で450円を頼んで、それをもらうとやはり近くにあるベンチでガブリと食べる。
じゅわっと熱いスープが溢れ出すがこれまた美味い。
表面を焼いてあるからか香ばしくカリッとしていて、中の具はとてもジューシー。
「うん、これもうまいな」
「焼き小龍包ってここでしか見ないのよね」
「確かにな、うまいけど手間がかかるからとかかな?」
そんなことをしているとあちこちで爆竹がなり始めた。
中国では正月や小正月では爆竹を鳴らして祝うのが普通なんだな。
爆竹を鳴らすことで、邪気を祓い、福をもたらすものと考えられているらしい。
「そろそろ関帝廟に行こうか」
「そうね」
横浜中華街でカウントダウンが行われる場所は関帝廟。
しかし、関帝廟には入場制限がある。
「なんとか入れてよかったな」
「そうね」
とはいえ去年の東京タワーに比べればそこまで混んでいるわけでもない。
24時のカウントダウンとともに海上に停泊している船が一斉に汽笛を鳴らす。
「ハッピーニューイヤー」
「ハッピービューイヤー」
それからヤグラの上を飛び移るパフォーマンスが見られる奉納獅子舞が行わるのだが日本の獅子舞と違って色は白や黄色で全長も長いものなのでまたちょっと違う感じだな。
最後に関帝廟で初詣も済ませておく。
ちなみに三国志で有名な関羽は商売の神様でもあるんだ。
明代では三界伏魔大帝神威運震天尊関聖帝君。
清代では忠義神武霊佑仁勇威顕開聖大帝と呼ばれていたらしい。
かなりご利益はありそうな感じはするよな。
二人で商売繁盛のお祈りをしたら今年は横浜に帰ることにする。
「桜田さん今年もよろしくな」
「うん、よろしくね」
去年よりあっさりしてる感じもするけど数少ない休みはやっぱりゆっくりすごしたほうがいいだろう。