学校行事の一日研修会も意外と面白かったぜ
さてさて9月の就活期間のピークも過ぎて落ち着いてきたら、秋はいろいろイベントが続いて行われる。
一年生のときは築地市場の見学会だったが、二年は一日研修会が各学科にわかれて実施される。
西洋料理・中華料理・日本料理などは各コース内容のホテル・レストラン・料亭で試食の研修を行うんだが、製菓製パンは日本最大の洋菓子コンテストであるジャパンケーキショー東京の見学だ。
会場は浅草浅草寺の東にある東京都立産業貿易センター台東館。
「日本中どころかアジアからも応募された洋菓子作品約2,000の作品が展示されるかぁ」
きっと展示されてるのはすごい作品ばかりなんだろうな。
このジャパンケーキショー東京は作る人間には有名だけど食べる人間にはそこまで浸透していない。
しかしながら日本ではそれなりに権威のある洋菓子コンテストで、結構な数の部門があり、その各部門に有名ホテルのコックや洋菓子起業、個人で店を持ってるパティシエ、製菓学校などの教師や学生らが出品する、日本国内で最大規模の洋菓子作品展なのた。
部門は
大型工芸菓子部門
小型工芸菓子部門
チョコレート工芸菓子部門
シュガークラフト工芸菓子部門
飴細工工芸菓子部門
マジパンデコレーション部門
バタークリームデコレーション部門
グラン・ガトー部門・プティ・ガトー部門
コンフィズリー&クッキー部門
ジュニア部門
ディスプレイ部門
などにと別れている。
見た目重視の工芸菓子などが多いけどそれだけではないのだ。
会場は7階が喫茶コーナー、6階と5階が作品展示場で5階はセミナー会場兼最終日は表彰式会場になるスペースも有り、4階は出展企業のブース。
7階の喫茶コーナーでは、出展作品と同じケーキや焼き菓子をその場で食べることが出来るともあって、長蛇の列ができるくらい人気だったりするんだな。
更には技術指導委員が行うデモンストレーションが行われたり、協賛企業が出展するコーナーでは普段あまり目にすることができない製菓業界の様々な道具を実際に触ったり購入したりできるという製菓関係者にとっては素晴らしいイベントなのだ。
当日は学校に集まったあとに電車で移動して浅草で降りて入場料の1,500円を支払い入館する。
そして展示作品を見てうなる事になった。
机の上におかれている展示品は皆美しい芸術品だ。
「これが飴細工かぁ」
眼の前にある金色に光るフクロウをつくったのは製菓学校の先生らしい。
羽毛などをうまく再現してるけどすごい技術だよな。
「本当にすげぇなぁ」
製菓学校の生徒の作品でもそのレベルはプロと比べても遜色はないものもある。
「このマジパンは製菓学校の生徒の作品なのか……」
もう展示されてる作品のレベルが凄く高くてやべえとしか言いようがないな。
いや俺もケーキの味にはそれなりに自信はあるんだけど、こういった芸術品みたいなものをきちっと作れる自信はあんまりない。
とはいえ卒業展示制作にはなんかしら作らないといけないし、クリスマスシーズンのケーキのデコレーションのマジパンだって大事だ。
「うし、俺もマジパン作りに真面目に挑戦してみるか」
クリスマスまでもうそんなんに時間もないけどいい目標ができたぜ。
そしてケーキが食べられる七階の喫茶コーナーにエレベーターで上ったら、すごい行列ができている。
並んでるお客も、いかにも製菓の関係者だとか、製菓学校の生徒だとか、ただ単に食べに来た人だとか、それぞれひと目で分かるな。
行列はそれなりの速度で進んでいき20分ぐらいで注文ができた。
ケーキの名前の下に店やシェフの名前も書かれているのでまずはラ・ヴィエイユ・フランスのヴェール ア シュルプリーズをたのんでみた。
これは白っぽいヨーグルトとクリームチーズのムースの商品でアクセントとしてタイベリーのクリームが入っているんだが……。
「うまっ」
ヨーグルトとチーズの酸味、そしてベリーの酸味が後を引く。
そしてもう一つ、パティスリー キャロリーヌのルーシーも試してみる。
「ああ、レモン風味のクリームがたまらんなぁ」
これはレモンクリームに、ジュレとショコラのムースの組み合わせのケーキ。
ミルクチョコの甘さをレモンの酸味がカバーしてスッキリとした味わいのケーキだ。
「やっぱ独創性ってのも大事だよな」
ケーキはある程度知名度のあるケーキのほうが安心して食べられるが、独創性のあるケーキが美味いというのはやはり魅力的だよな。
なかなか良い経験をできたぜ。