改めて眺めてみれば星空がこんなにきれいだとは
さて、締めの線香花火も燃え尽きてしまえば、楽しかった花火の時間もおわりだ。
このキャンプ場では出したごみの処理はすべて自分たちでやらないといけない。
要するに燃え尽きた花火などは自分ですべて持ち帰って捨てないといけないので、燃え尽きた花火は水の入ったバケツに今夜は入れっぱなしにしておいて、明るくなったら落ちてるゴミも拾い集めて持ち帰らないといけない。
「さて可能な限りきれいい片付けますか」
「そうね、きちんときれいにしないと」
まあ、この貸し切りのキャンプ上の管理人さんは一人だけのようだからバンガローの掃除とか薪炭なんかの補充の手配で手がいっぱいなんだろうな。
だからゴミ処理なんかはサービスに含まれていなくてもしょうがない。
そして花火を片付ければそろそろ夜も更けていい時間になってきた。
持ち回りで風呂に入って湯船で昼間の川遊びの疲れを癒やす。
「はあ、やっぱり風呂に入れると疲れのとれ具合が違うよな」
キャンプ場によってはトイレはともかく風呂はない場合も多いしな。
そして風呂に入ったら後はバンガローで寝るだけだな。
「じゃあみんなおやすみ」
「おやすみ~」
このキャンプ場には5つのバンガローがあって、大きなテントを一つ晴れるテントサイトもある。
バンガロー自体はキャンプ上の平たい場所の一番奥に奥が1番バンガローがあり、2番と3番は少し高い所、4番と5番は更にその上。
それぞれ布団は5枚程度しける広さがあるので、大型テントも設置すれば30人は確かに寝泊まりできるな。
バンガローのエアコンは1番から3番にはあるけど4番と5番は扇風機だけらしい。
なので1番がオーナー夫妻、2番が笠羽さん、3番が桜田さん、4番が俺で、5番がチーフと言う配置になった
そしてバンガローなどへの通路は草の生えてない本当に細い道や木の板の階段のようなものがあるので迷うことはない。
バンガローの中にもトイレとシャワーは付いてるがシャワーはお湯ではないので暑くて汗を書いたときにそれを流すとかに使う程度かな?
もっとも、昼はそこそこ暑くても夜風は涼しいのでエアコンがなくても扇風機を動かせば十分だけど。
おいてある布団もシーツ類はきちっとクリーニング済みでパリっと糊がきいてるんで寝やすそうだ。
夜も更けてきたと言ってもまだ22時ぐらいでそこまでな無垢はないこともあって、俺は窓から夜空を見上げてみた。
星がすごくきれいに見えるな。
市街地から結構離れてるのもあって周りに照明などもなく空気も澄んでるからだろう。
「うーん、星が綺麗だな」
そんなことをしていったらバンガローのドアがノックされた。
俺がドアを開けるとそこにいたのは桜田さんだ。
「来ちゃった、えへへ」
「おいおい、夜中に俺のところに来るなんて大丈夫かい?」
「大丈夫よ、もう高校生じゃないんだもの夜更かしとかお泊りくらい」
「そういや正月に夜通しデートしたっけ。
オーナーとかの許可はもらってたんだな」
「当然でしょ。
私達はそう言う仲だと思われてるし平気よ」
まあ、オーナー夫妻も夫婦水入らずでのんびり楽しんでるだろうし、チーフも笠羽さんの所へ行ったりしてるかもな。
「で、何してたの?」
桜田さんがそう聞いてきたので答える。
「あ、うん、星空を眺めてた、桜田さんもこっちに来て空を見上げてみて」
桜田さんが俺のそばまで移動してきて夜空を見上げた。
「え、どれどれ、あ、本当にきれいだね。
あれって天の川かな?」
夏の夜空の一部を埋め尽くす星の大群が帯のように見えるが、これこそが天の川なんだよな。
深夜でも明るい東京や横浜だとあんまりわかんないけど。
「うん、天の川だとおもう。
ここは市街地から結構離れてるから周りも暗いし、空気もきれいなんだと思うよ。
だから星空もすげーキレーなんだろう」
「こういうのも素敵よね」
「ま、手の届かない星より、手の届く桜田さんのほうがずっと魅力的だと思うけどな」
「あーそういうセリフはもうちょっと私の行為に早く気がついてくれてから言ってほしかったな」
「うー、正直すまんかったと思ってます」
「へへ、そう言う素直なとこはきらいじゃないよ」
聞こえるのは虫の声、見えるのは満天の星空。
そんな中で俺たちはキスして一つの布団で一緒に眠ったのだった。
きっと明日も楽しいだろうな。
夜空の写真はフリー素材サイトのぱくたそよりお借りしました。