食事が終われば夏の風物詩花火を楽しもう
皆でバーベキューグリルを囲んで、肉などをどんどん焼いていきそれを食べつくす頃には皆お腹もいっぱいになった。
「ふー、くったくった、やっぱりバーベキューはうまいなー」
俺がそんなことを言ってると桜田さんも笑いながら言った。
「そうね、私もお腹いっぱい」
「こういうとこで焼いて食べる肉とか野菜って多少焦げたりしても美味いってのは不思議だよな」
「そういうふうに思い込んじゃうからかもね」
そんな感じでたらふく食べた後は、しばらく腹休めのためにゴロゴロしてから、起き出して調理道具や食器を洗ったり、それを所定の場所へ片付けて戻したりたりしていたが、まだまだ遊びたりない。
ということですっかり暗くなったことでもあるし、夏の夜の風物詩である花火をやることになったのだ。
この時期はどこかしらで手持ち花火のたぐいは売ってるから入手も楽だしな。
準備としてバケツに水をためて花火の火をきちんと消せるようにしながら、虫よけ効果もあるというアロマトーチに火をつける。
ろうそくやライターを使うより火持ちも良さそうだし、実際火をつけたらいい感じに火と煙が出てるな。
「お、結構いい感じに燃えてるな。
そういえば手持ち花火をやるなんて、何年ぶりかな。
小学校のときは毎年やってた気がするけど」
桜田さんが同意するようにいう。
「花火大会とかは見に行っても手持ち花火は結構やらなくなっちゃうものよね」
「そうだよな、せっかくだしいっぱい楽しもうぜ」
さっそく俺は一本手持ち花火を手にとって、アロマトーチの炎に先端の紙をかざすと火が燃え移って、火薬が燃える音とともに盛大に煙を上げながら、炎が噴き出した。
「やっぱ花火は綺麗でいいな」
そうしたら桜田さんが花火を手にとって俺の花火の方へ向けてきた。
「私の花火にも火をつけてよー」
「りょーかい」
俺の手持ち花火から吹き出してる火を桜田さんのお手持ち花火の先端に差し出すと炎が燃え移って、そちらも火と煙と音が吹き出した。
「静かなキャンプ場での暗闇で吹き出す火花はすてきよね。
花火大会とかの大きな打ちあげ花火や仕掛け花火とは違う綺麗さとか風情があるわよね」
「たしかになー」
そのうち吹き出す火の量が減っていき、消えてしまった。
消えた花火は水の入ったバケツの中に捨てていく。
吹き出し系の花火をバーベキュー場の外側のバーベキューグリルなどがある土の上において火をつければ火が吹き出し僅かな時間の間に様々に色が変わっていく。
「これはこれでやっぱきれいでいいな」
「色がどんどん変わっていくって面白いわよね」
吊るしたヒモをもって人つけるとくるくる回る回転花火やねずみ花火なども交えつつ、手持ち花火をどんどんやっていき最後の締めはやっぱり線香花火だ。
「他の花火に比べると派手じゃないけど、やっぱり線香花火はいいよな」
「そうよね、どっちが落とさないでいられるか競争しましょう」
「よし、やろうぜ」
線香花火にほぼ同時に火をつけてどっちが最後まで落とさないでいけるか。
これもやっぱり楽しい。
ジジと小さく炎を広げる線香花火を揺らさないようにしながらそのもともと小さな火花が更に小さくなっていき球になってなっていき……。
「あっ」
俺のほうが先に落ちてしまった。
「やったー、私の勝ちー」
「むむ、もう一回勝負しようぜ」
「何度やっても無駄よー」
そんな感じで線香花火がなくなるまで俺たちは勝負を続けた。
結果は俺の負けだけど、それはそれとして楽しかったしまあいいか。