今年も一日体験遊学のデモンストレーションをやることになったぜ
さてさて前期の期末の筆記や技術考査も終われば学校も夏休みだ。
就職志望先が決定している生徒に対しての先生の個別指導や実務研修 もあったりするが、俺や桜田さん、笠羽さんには関係ない。
なにせすでにバイト先として実務に携わってるわけだしな。
そして今は職員室に呼び出されている最中だ。
「今年もお前さんの技術考査の結果を見込んで頼みたい。
夏休みの一日体験入学で製菓のデモンストレーションをやってくれないか?」
「今年も俺が体験入学のデモンストレーションをやるんですか?」
「ああ、やはり見た目や味がいいやつがデモンストレーションしたほうが学校の評判もあがるしな」
「バイト代はでないんですよね」
「出ないが、今年も打ち上げで多少いいもんは食えるぞ」
「あ、じゃあやります!」
「ははは、そうしてくれると助かるよ」
というわけで桜田さんも今年も駆り出されてるようだ。
「しかし、今年も、一日体験入学の手伝いをすることになっちまったな」
俺がフット息を吐きながらいうと桜田さんも苦笑しながらいう。
「去年も大変だったわよね」
去年はデモンストレーションでオムレツを焼いたが桜田さんは卵を溶いたり、試食してもらった皿を洗ったりしてもらったっけ。
「今年は製菓だから何をやるのかな?」
「シュークリームだって」
「手作りシュークリームかぁいいわよねぇ」
「あんがい簡単だしな」
そして当日俺と桜田さんは調理実習室に向かう。
今頃は毎年恒例の学校の学校のカリキュラムや就職の説明などをして、その後の班分けなどをしてることだろう。
去年はパティシエをやりたいと思っていたが今年はそれができるのは嬉しいぜ。
「さて、ちゃんとうまく仕上がるようにに準備しないとね」
嬉しそうに桜田さんは笑いながらいう。
「入学希望の人の前で失敗したら目も当てられないしな」
「まあ、お店のケーキよりはお金をもらうわけじゃないから気は楽でしょ」
「まあそりゃそうだ」
シュークリームのシュー生地用の材料は薄力粉・卵・バター・塩・牛乳・水・砂糖。
卵やバターなどは室温にもどしておき薄力粉はだまにならないように振るっておく。
”さて、皆様ここが調理実習室です”
「おっと来たみたいだね」
”製菓は現在では食品業界の花形となっております。
がここではシュークリームの作り方をお見せしましょう”
学生さんやおじさんおばさんなど老若男女様々な集団が入ってきた。
「さて、みなさん今日はシュークリームの製作デモレーションです。
では始めますね」
小さめの片手鍋にバター・塩・牛乳・水・砂糖。を入れて中火にかけ、それが沸騰したら火を止め、ふるった薄力粉を一度に加え、木べらで手早く混ぜ、火からおろして、溶きほぐした卵を4回に分けて加え、力強く混ぜ合わせる。
オーブンシートを敷いた天板に、シュー生地を丸口金のしぼり袋に入れて直径4~5cmにしぼリだして、 霧吹きで表面に霧を十分にふき、シュー生地に水分を与え90℃のオーブンで焼く。
「シュー生地は、イーストやベーキングパウダーは使いません。
でもシュークリームが膨らむのはシュー生地の中に含まれている水分がオーブンで焼くことで水蒸気となって、その水蒸気によって生地が押し上げられて膨らむんです」
「へえ、そうなんだぁ」
その間に生クリームに砂糖を加えてハンドミキサーでホイップして適度な硬さにし、シュー生地が焼き上がったら横にスライスして生クリームを挟んでパウダーシュガーを振れば出来上がりだ。
「はい、シュークリームが出来上がりました」
見ていた体験入学の人たちが感嘆している。
「可愛いね」
「あっという間にできるんだね」
そして皿に取り分けて一日体験の皆の前に出す
「良ければみなさん試食をどうぞ」
それではと皆思い思いに手を伸ばす。
「ん、おいし」
「私も作れるようになりますか?」
俺は笑顔を作って力強くうなずいて答える。
「みなさんも入学してコツをつかめばすればすぐ出来るようになりますよ」
「ええー本当ですかぁ?」
「ええ、本当ですよ」
今年はオムレツとちがってそこそこ時間がかかるので体験学習はない。
説明が終わったら器具を一旦きれいに洗ってまた次の組へのデモンストレーションの準備をして、集団が入ってきたらデモンストレーションを行うの繰り返し。
そしてなんとか無事一日体験入学は終わって俺は打ち上げでローストビーフの食べ放題を食わせてもらったんだ。
「んあーうまー」
「ははは、ご苦労さんだった、今年も無事終わってよかったよ」
今年は男女一緒で打ち上げだったけど男はガツガツローストビーフを食ってたけど女の子はそうでもなかったな。