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卒業制作展示はパスティヤージュ(砂糖細工)で行こう

 さて、バレンタインも無事終わって3月は卒業制作展示だ。


 最も俺はもう一年菓子・製パンクラスで学ぶつもりだから、厳密には進級作品展示だけどな。


 で、今回の卒業制作展示では俺はパスティヤージュで行こうと思う。


「パスティヤージュ」は、砂糖にゼラチンを入れてよく練ったものをお城・帆船・凱旋門・教会などの建物乗り物などに組み上げる、シュガークラフトとも呼ばれるウェディングや誕生日ケーキと共にディスプレイなどをつくるときに用いられる工芸東子(ピエスモンテ)の一つ。


 16世紀イタリアの糖菓職人のジャン・パステーリャが考案したといわれていて、19世紀末頃から、建築物的な工芸東子(ピエスモンテ)が数多く作られるようになった。


 中身はクリスマスケーキの上に乗ってるサンタなんかの「マジパン」と同じようなもので食べられる。


 マジパンはそのまま人形っぽく作るが、パスティヤージュは板状にして型抜きして模型のように組み上げて飾るのだ。


 作り方はそんなに難しくないし、材料も安い。


 まずは粉ゼラチンを水でふやかして、湯せんにかけ溶かして、お湯と粉砂糖をいれて混ぜて練って、ペースト状にした白い生地を均一にのばして、型抜きをしたり模様をつけたりしたり、食紅などで色を付けたりして作品のパーツをつくっていく。


「ぐはー、これ思ったよりずっと力がいるな」


 予想外だったのはお湯と粉砂糖をいれて混ぜて練る時点でだいぶ力がいること。


 さらにそれをペースト状にした白い生地を均一に平らに伸ばしたりするのはえらく大変だし、固まらないうちに型抜きしてパーツを作らないといけない。


 手にコーンスターチをつけて、パスティヤージュ生地をうどんのようによく捏ねて好きな形に細工するのは体力と時間と根気が必要だ。


「料理職人ってのは体力勝負だよなぁ」


  それを1日半ほど乾燥させるとカッチカチに固まる。


 これは薄くても意外に丈夫で壊れにくいので、大きな工芸菓子も作ることができるし、ウエディングケーキの飾り付けなどにも使われるんだな。


 型抜きしたもの同士をくっつけるのりには、粉砂糖と卵白を混ぜたものを使用する。


「ええと、これとこれをこうくっつけて……」


 このノリも完全にくっつくには最低でも1時間以上かかるが、万全を期すなら一昼夜乾燥させるのがベスト。


「よしできた」


 パスティヤージュのエッフェル塔もよくあるが、あえて東京タワーにしたのは元旦のデートが楽しかったからだ。


「な・なんかか、ちっとばかり歪んでるような気も……」


 なんかもっと繊細できれいな仕上がりになるはずだったんだけどな。


「俺もまだまだだってことかぁ」


 桜田さんの作品はハンドメイドイギリス式「三段のウエディングケーキ」。


 イギリス式のウエディングケーキはシュガーデコレーションケーキで、三段になっているんだが、ドライフルーツを使って固く焼いたケーキをシュガーペーストでコーティングして装飾と長期保存ができるようにされてる。


 なので砂糖でコーティングや装飾されてるんだけどすっげー綺麗。


「こりゃまたすごいな、一人でこれ全部作ったの?」


「うふふ、そうよ、綺麗でしょ?」


「あ、ああ、すげーとしか言いようがないな」


 なんか一番上に乗ってる男女のマジパンは俺と桜田さんっぽいけどそれがわかるくらい作り込んでるとかすごすぎるな。


 こりゃあ俺ももっと精進しないとな。


「東京タワーもなかなか良かったよ、私達の思い出の場所だもんね」


「うん、今年はもっと思い出を作っていきたいね」


 ホワイトデーには何をお返ししようかな。


 こういうことを考えるのも楽しいものだ。

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