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クリスマスは忙しかったけど無事プレゼントを渡せたぜ

 さて、何やかやしてる間にクリスマス週間にはいった。


 パラディーゾの玄関にツリーやリースを飾り付けたり、テーブルにキャンドルサービスをしたりクリスマスムードも盛り上がってるぞ。


「やっぱりクリスマスは忙しいんですね」


 俺がそういうとチーフが苦笑しながら言う。


「そりゃ24日のイブをピークとして23日と25日も戦場みたいな忙しさだぜ。

 仕込みのために早起きしたり片付けのために遅くまで起きてたりしないと駄目だしな」


「へ、実際に何時に起きて何時に寝たんです?」


「去年は朝6時に起きて、夜は1時過ぎまで片付けだったぜ」


「げ、まじですか」


 聞いたら思っていた以上に過酷だった。


「おう、まじもまじだ、ま、年末は休みだからそこで体力は戻したけどな」


「なるほど、年末年始は休みですもんね」


「そのあたりはホテルやフェミレスとは違うからな」


「ああ、ホテルなんかは元旦でもやってますもんね。

 食堂とかも当然やってますよね」


「そういうことだ、まあ、ホテルもクリスマスは忙しいだろうけどな。

 まあ、今年はお前がドルチェを担当してくれる分多少は楽だが」


「そう言ってもらえると嬉しいですね」


 パラディーゾに入って半年とちょっと。


 最初は掃除と接客だけだったのが嘘みたいだぜ。


 最もまだストーブ(コンロ)前には入れてないけどな。


「チラシ配りもうまくやってくれよ」


「はい」


 駅前でのチラシ配りなんかもやっぱり下っ端がやることだから、俺とか桜田さんとか笠羽さんとかがやったりする。


「トラットリア、パラディーゾです。

 23から三日間だけのクリスマススペシャルディナーです」


 そう呼びかけながら歩いている人たちにチラシを差し出すがなかなか受取ってもらえない。


 24はほとんど埋まっているけど23や25はまだ開いてるんだよな。


「よろしくお願いしまーす」


 それでも精一杯の笑顔でなんとかくばっていったら、なんとかチラシを全部渡すことができた。


「なんとかさばけてよかったなぁ」


 俺がそういうと桜田さんや笠羽さんもコクコクうなずいた。


「そうねぇ、寒いし早く戻りましょう」


「そうですね」


 店に戻ればオーナーやチーフは仕込みをしている。


「只今戻りましたー」


 俺たちに声にオーナーやチーフが顔を上げる。


「や、おかえり」


「おう、ちゃんと配ってきたみたいだな」


 そしてオーナーからの一言。


「温かいエスプレッソでも飲んで少し休んでていいよ」


「ありがとうございます」


「では、休ませていただきますね」


 それぞれがエスプレッソをマシンでコップに入れて休憩室に行く。


「や、暖かいし、マスターやチーフは優しいし天国だねここは」


 俺がそういうと桜田さんが笑っていう。


「でしょう」


 笠羽さんもコクコクうなずいて言う。


「本当に良いお店ですよね、小さいけど本当暖かくて」


「そう言ってもらえると嬉しいわ」


 そうして23日のクリスマススペシャルディナーが出る日になった。


 ミルクレープのブッシュドノエルを作って冷蔵庫で冷やしたものが、テーブルに運ばれていくとドキドキするぜ。


 それ以外は厨房での皿の準備だとか、サラダを作ったりとかだけど目が回るほど忙しい。


「うわ、可愛いねこれ」


「うん、味もいいね」


 そういって美味しそうに食べてくれるお客さん。


 美味しいって言われるのはやっぱり嬉しいもんだな。


 ケーキだけじゃなく厨房(ストーブ)の前にも立てるようになりたいもんだ。


 そして忙しい3日間もおわって25日のディナーが終われば、クリスマスモードも終わりだがその前に。


「桜田さん、ちょっと良いかな?」


「ん、何かな?」


「人前だとあれなんでちょっと裏にいこうぜ」


「え、あ、う、うん」


 俺は店の裏手で桜田さんと向き合った。


「桜田さん。

 蒲調で一緒のクラスになれてほんとよかったよ。

 今のパラディーゾの俺がこんなふうにいられるのは桜田さんのおかげだし」


「良いのよ別に」


「だから、これを受け取って欲しいんだ」


 そう言って俺はプレゼントの入った箱を桜田さんへ差し出した。


「え、プレゼント? ありがとね」


 そう言って桜田さんは笑顔でプレゼントを受取ってくれた。


「開けてもいいかな?」


「あ、うん、どうぞ」


「あ、ネックレスだ、可愛いね」


 桜田さんが箱を開けて喜んでる。


「じゃ、私からもお返し」


「へ、お返しくれるの?」


「うん、何なら開けてみてもいいよ」


「じゃあ早速。

 お、腕時計か」


「スマホがあればいらないと思っても、腕時計はあると便利だからね」


「ん、ありがとな」


 俺がそういうと桜田さんが真剣な表情になっていった。


「私、貴方が好きだよ」


「え?」


「相田くんは私をどう思ってるの?」


「俺も桜田さんのことが好きだよ、一緒にいると楽しいし、いろいろ頼もしいし」


「そっか、よかった、私達両思いだね」


 真っ赤になってそういう桜田さんはやっぱ可愛い。


「そ、そういうことになるかな」


 俺も照れて多分顔は真っ赤だろう。


「また、休みにどっかでデートしよ」


「うん、どっかにいっしょにでかけようぜ」


 俺たちはそう言って笑いあったのだった。

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